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景気敏感株(シクリカル株)とディフェンシブ株の違い|33業種の分類と見分け方

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景気敏感株(シクリカル株)とは、景気の良し悪しで業績と株価が大きく上下する株、ディフェンシブ株とは、景気が悪くなっても業績が落ちにくく、株価の下げも小さい株のことです。景気敏感株の代表は鉄鋼・化学・機械・電気機器・輸送用機器・海運、ディフェンシブ株の代表は食料品・医薬品・電気・ガス・陸運(鉄道)・通信です。

東証33業種の上場株2,426銘柄の月次の株価(2016年10月〜2026年9月)で確かめると、TOPIXに対する株価の振れ(β)の中央値は、食料品0.41・電気・ガス業0.53に対して、電気機器1.26・輸送用機器1.28でした(KabuGraph算出)。TOPIXが大きく下げた12か月の平均では、業種に属する銘柄の中央値で食料品の下げが−3.3%、電気機器が−9.8%(TOPIXは−6.9%、全銘柄の中央値は−7.0%)。一方、大きく上げた12か月では、食料品は+1.5%しか上がっていません(TOPIXは+7.2%、全銘柄の中央値は+3.5%)。

この記事では、両者の違いと利益が振れる仕組み、33業種での分け方、業績・β・PERでの見分け方、ディフェンシブ株でも下がる場面を、決算短信と株価のデータで解説します。景気の局面ごとに業種を乗り換える考え方(セクターローテーション)は、景気サイクルとセクターローテーションで扱っています。

景気敏感株(シクリカル株)とディフェンシブ株とは——違いは景気で利益がどれだけ振れるか

景気敏感株は、景気の動きによって業績が大きく変わる銘柄で、「景気循環株」「シクリカル株」とも呼ばれます。鉄鋼・化学・紙パルプなどの素材や、工作機械などの設備投資に関わる銘柄が代表で、好況のときは素材や設備の需要が増え、不況のときは在庫調整で需要が落ち込んで生産が減ります(大和証券「金融・証券用語解説[景気敏感株]」)。

ディフェンシブ株(ディフェンシブ銘柄)は、景気の動きに業績が左右されにくい銘柄です。生活必需品の食品や医薬品、社会インフラの電力・ガス・鉄道・通信などの企業が代表です(大和証券「金融・証券用語解説[ディフェンシブ銘柄]」)。

観点ごとの違い

  • 業績

    • 景気敏感株:景気がよい年は大きく増益、悪い年は大きく減益や赤字になる

    • ディフェンシブ株:景気がよくても悪くても増減が小さい

  • 株価の振れ(β)

    • 景気敏感株:TOPIXと同じかそれ以上に動きやすい。電気機器1.26、機械1.27、輸送用機器1.28、鉄鋼1.07(業種の中央値。2016年10月〜2026年9月の月次、KabuGraph算出。以下同じ)

    • ディフェンシブ株:TOPIXの半分ほどしか動かない。食料品0.41、電気・ガス業0.53

  • 相場が大きく動いた月

    • 景気敏感株:TOPIXが大きく下げた12か月の平均で−8〜−10%、大きく上げた12か月で+5〜+7%(電気機器・機械・輸送用機器・鉄鋼など)

    • ディフェンシブ株:下げた月は−3〜−5%、上げた月は+1.5〜+3%台(食料品・電気・ガス業・陸運業)

  • PERの見え方

    • 景気敏感株:利益が最も多い年にPERが最も低く見え、利益が落ちると跳ね上がるか赤字で算出できなくなる

    • ディフェンシブ株:利益が安定しているので、PERで割安・割高を比べやすい

なぜ景気敏感株は利益が大きく振れるのか

違いを生むのは、需要を先送りできるかどうかと、固定費の重さです。設備や車・家電の買い替え、素材の仕入れは、景気が悪くなると先送りされて注文が急に止まります。食べ物・薬・電気・通勤のような支出は、景気が悪くてもやめにくいものです。

出典:需要の例と代表的な業種は大和証券「金融・証券用語解説[景気敏感株]」・「[ディフェンシブ銘柄]」をもとにKabuGraph作成。固定費の説明と計算例はKabuGraph作成(説明のための仮の数字)

図の計算例のように、売上100・変動費60・固定費30の会社は、売上が10%減ると利益が10から6へ4割減ります。売上が10%増えれば、利益は14へ4割増えます。売上の小さな変化が利益の大きな変化になるため、景気敏感株は業績も株価も大きく動きやすいと考えられます(KabuGraphの見方)。

33業種ではどれが景気敏感株・ディフェンシブ株?

東証の33業種に当てはめると、次のように分けられます。大和証券の用語集が挙げる業種の例と、次の章で示す業績と株価の振れのデータをもとにした、KabuGraphの整理です。

  • 景気敏感株(素材・市況):鉄鋼、非鉄金属、化学、石油・石炭製品、鉱業、ガラス・土石製品、ゴム製品、パルプ・紙、海運業

  • 景気敏感株(設備投資・輸出):機械、電気機器、精密機器

  • 景気敏感株(車などの耐久消費財):輸送用機器

  • 景気敏感株(相場・地価):証券・商品先物取引業、不動産業

  • ディフェンシブ株(生活必需品・医療):食料品、医薬品、水産・農林業

  • ディフェンシブ株(公益・インフラ):電気・ガス業、陸運業(鉄道)

  • 金利・資源価格で動く:銀行業、保険業、その他金融業、卸売業(総合商社)

  • 会社・事業で分かれる:情報・通信業(通信会社はディフェンシブ)、小売業、サービス業、建設業、倉庫・運輸関連業、空運業、繊維製品、その他製品、金属製品

銀行業は、景気そのものより金利で利益が動く業種と考えられます(KabuGraphの見方)。前回の景気後退期(2018年10月〜2020年5月)に大きく下げた一方、その後は金利が上がる中で大きく上がり、景気の局面だけでは説明しにくい動きでした。景気の局面ごとの業種の株価は、次の記事で検証しています。

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景気サイクル(景気循環)は景気が拡張と後退を繰り返すこと。山と谷は内閣府が後から決め、2020年5月の谷の後の山は未定(2026年10月時点)。株価は景気に先行し、2018〜21年の日本株では谷の後に自動車・鉄鋼が強かった一方、銀行はモデルどおり動かなかった。

海外の指数の分け方とは違うところもある

世界の株価指数を算出するMSCIは、世界共通の業種分類(GICS)の11セクターを2つに分けた「MSCI Cyclical and Defensive Sectors Indexes」を算出しています。方法書の2022年11月版では、景気敏感(Cyclical)が一般消費財・金融・不動産・資本財・情報技術・素材・コミュニケーション・サービス、ディフェンシブ(Defensive)が生活必需品・エネルギー・ヘルスケア・公益です(MSCI「Cyclical and Defensive Sectors Indexes Methodology」2022年11月版 p.4、2026年10月7日閲覧)。日本の業種に当てはめるときは、次の2点が違います。

  • エネルギー:MSCIはディフェンシブに入れていますが、日本の石油・石炭製品は原油価格で利益が大きく振れます。3月決算の6社の営業利益の合計は、2020年3月期に赤字(−932億円)になりました(各社の決算短信よりKabuGraph算出)

  • 通信:MSCIの2014年6月版では電気通信サービスはディフェンシブでしたが、「コミュニケーション・サービス」に改まった後の2018年11月版からは景気敏感に入っています。日本の情報・通信業にも、通信会社とソフトウェア・ゲーム・ネット・投資会社が同じ業種に入っています

分け方は指数や証券会社によって違います。業種名だけで決めず、その会社の利益が何で動くのかを確かめるのが確実です。

同じ業種でも銘柄で大きく違う

業種は目安にすぎません。情報・通信業のβは、NTTが0.32、KDDIが0.22と業種の中でも特に小さい一方、ソフトバンクグループは1.60で、33業種のどの業種の中央値よりも大きくなっています(2016年10月〜2026年9月の月次、KabuGraph算出)。小売業も、業種に属する銘柄の真ん中の半分(四分位)のβが0.41〜0.84とばらついています。

化学も同じです。素材の信越化学工業は1.21ですが、日用品・化粧品の花王は0.41、ユニ・チャームは0.30、小林製薬は0.23、資生堂は0.61と、食料品並みに小さくなっています(同じ算出)。東証の業種が化学でも、日用品のように需要がやめにくい会社は、ディフェンシブ株に近い動きをしています。

代表的な大型株のβ(同じ算出)は次のとおりです。

  • ディフェンシブ寄り:関西電力0.53、日本たばこ産業0.57、東日本旅客鉄道0.72、武田薬品工業0.79

  • 景気敏感寄り:日本製鉄1.34、日本郵船1.25、信越化学工業1.21、トヨタ自動車1.12

景気敏感株・ディフェンシブ株の見分け方——業績・β・PERの3つ

持ち株がどちらに近いかは、①業績の振れ、②株価の振れ(β)、③PERの動き方の3つで確かめられます。

①業績の振れ:過去10年の営業利益を並べる

いちばん直接的なのは、過去10年ほどの営業利益を並べ、景気が悪かった年にどれだけ減ったかを見ることです。業種ごとの営業利益の合計を、2017年3月期を100として比べると次のとおりです。

業種別の営業利益の合計(2017年3月期=100)

出典:各社の決算短信よりKabuGraph算出。3月決算で、2017年3月期〜2026年3月期の10期すべてに営業利益がある会社の業種合計を、2017年3月期=100として指数化。持株会社化によるコード変更で2026年9月29日に上場廃止となったNOK・イーグル工業(日本取引所グループ「NOK Group 新規上場会社概要」)は期間中に存続した会社として含め、それ以外の上場廃止した会社(買収・経営破綻など)は含まない。会計基準は各期の決算短信のまま(日本基準・IFRS・米国基準が混在し、IFRSの営業利益には減損などの一時的な損益も入る)。業種は2026年10月時点の東証33業種。対象は食料品70社、情報・通信業163社、化学139社、機械137社、輸送用機器69社
  • 機械:2019年3月期の136から2021年3月期の82へ約4割減り、2026年3月期は206まで増えた

  • 輸送用機器:2021年3月期は63まで減り、2024年3月期に178まで増えた後、2026年3月期は103に戻った

  • 化学:2019年3月期→2021年3月期と2023年3月期→2024年3月期の2回、約2割減った

  • 食料品・情報・通信業:10期のうち前の期から5%以上減った年が無く、2026年3月期は151と135

鉄鋼業の振れはさらに大きく、3月決算33社の営業利益の合計は2020年3月期に赤字(−4,306億円)になり、2022年3月期には2017年3月期の4.2倍(1兆5,412億円)になりました(同じ集計)。

②株価の振れ:β(ベータ)を見る

βは、株価がTOPIXなどの指数とどれだけ連動して動くかを示す数値です。β1.2の株は、指数が10%上がると12%上がり、10%下がると12%下がる計算になります(大和証券「金融・証券用語解説[β(ベータ)値]」)。33業種で計算すると、景気敏感株の業種はβが大きく、ディフェンシブ株の業種は小さく出ます。

出典:東証株価・日本取引所グループ(TOPIX)よりKabuGraph算出。2016年10月末〜2026年9月末の月末終値(株式分割を調整、配当を含まない)。上場中で120時点すべてに終値がある2,426銘柄が対象で、期間中に上場廃止した会社(買収・経営破綻など)は含まない。βは各銘柄の119か月の月次騰落率とTOPIXの月次騰落率から求めた値の業種中央値。下げた月・上げた月はTOPIXの月次騰落率が低い・高い各12か月(月は本文の一覧)で、各月の業種中央値を平均。業種は2026年10月時点の東証33業種、色分けはKabuGraphの整理
出典:東証株価・日本取引所グループ(TOPIX)よりKabuGraph算出。条件は上の図(1)と同じ(期間中に上場廃止した会社は含まない)。全2,426銘柄のβの中央値は0.88
  • βが最も小さいのは食料品(0.41)で、水産・農林業(0.49)、電気・ガス業(0.53)、小売業(0.59)、陸運業(0.64)が続く

  • βが最も大きいのは非鉄金属(1.40)で、輸送用機器(1.28)、機械(1.27)、電気機器(1.26)が続く

  • TOPIXが大きく下げた12か月(TOPIXの平均−6.9%)の業種中央値の平均は、食料品−3.3%・電気・ガス業−3.8%に対し、電気機器・輸送用機器は−9.8%

  • 大きく上げた12か月(TOPIXの平均+7.2%、全銘柄の中央値+3.5%)では、非鉄金属+7.0%・電気機器+6.6%に対し、食料品は+1.5%

対象にした月と、その月のTOPIXの騰落率(前月末→当月末)は次のとおりです。

  • 大きく下げた12か月:2026年3月(−11.2%)、2018年12月(−10.4%)、2020年2月(−10.3%)、2018年10月(−9.4%)、2020年3月(−7.1%)、2019年5月(−6.5%)、2022年9月(−6.5%)、2022年1月(−4.8%)、2022年12月(−4.7%)、2020年7月(−4.0%)、2025年2月(−3.8%)、2018年2月(−3.7%)

  • 大きく上げた12か月:2020年11月(+11.1%)、2026年2月(+10.4%)、2020年8月(+8.2%)、2024年1月(+7.8%)、2023年6月(+7.4%)、2020年5月(+6.8%)、2026年4月(+6.6%)、2025年10月(+6.2%)、2026年5月(+6.2%)、2016年11月(+5.5%)、2017年10月(+5.4%)、2023年11月(+5.4%)

出典:日本取引所グループ(TOPIXの月末終値)よりKabuGraph算出

食料品・電気・ガス業では、下げ相場での下げがTOPIXの半分ほどで済む代わりに、上げ相場では大きく取り残されます。守りとして持つなら、上昇局面の出遅れも込みで考える必要があります。

βを使って株主の期待する利回り(資本コスト)を計算する方法はWACC(加重平均資本コスト)とはで解説しています。

③PER:景気敏感株は「PERが低いとき」に注意

景気敏感株は、利益が最も多い年にPERが最も低く見え、利益が落ち込むとPERが跳ね上がるか、赤字で算出できなくなります。日本取引所グループ(JPX)が毎月公表する業種別のPERで、鉄鋼業の推移を見ると次のとおりです。

業種別PER:鉄鋼業の純利益の合計と実績PER(各年3月末・9月末)

出典:日本取引所グループ「規模別・業種別PER・PBR」(連結、加重平均)よりKabuGraph作成。2022年3月までは東証一部、2022年9月からはプライム市場の鉄鋼業(2026年9月は20社)。PERの空白は純利益の合計が赤字で算出されない月
  • 2020年3月末:PERは5.2倍。その後に開示された決算で業種の純利益の合計は赤字(2020年9月末の集計で−6,637億円)になり、2020年9月末〜2022年3月末はPERが算出されなかった

  • 2022年9月末:純利益の合計が1兆1,987億円に増え、PERは4.5倍まで下がった

  • 2026年9月末:純利益の合計が3,958億円に減り、PERは21.4倍に上がった。プライム市場の食料品(24.0倍)に近い水準だが、PBRは0.6倍で食料品(1.9倍)の3分の1以下。減少の大半は日本製鉄の当期利益(3,502億円→171億円)で、同社は2026年3月期に事業再編損2,712億円(AM/NS Calvertの持分譲渡の影響2,321億円など)を計上し、「USスチール合併に伴う一過的な損失」があったとしている(日本製鉄 2026年3月期決算短信 p.7・8・24)。景気の悪化だけでなく、一時的な損失でもPERは跳ね上がる

景気敏感株のPERが低いのは、利益が景気の山にある印のことがあります。このため景気敏感株は、PERより純資産で測るPBRや、数年分の平均利益で割ったPERで見ることが多くなります。個別の会社でPERが外れた例は次の記事で扱っています。

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PERが当てにならないのは、分母の利益がふだんの稼ぐ力とずれる時です。売却益で実績PERが10.0倍、会社予想では22.9倍になる三菱倉庫、利益の山でPER1.5倍だった日本郵船など実例で、PERが外れる7つの場面と補い方を解説します。

PERとPBRの使い分けはPERとPBRはどちらが重要?、業種ごとの最新のPER・PBRは業種別PER・PBRで33業種を一覧できます。

ディフェンシブ株でも下がる場面

ディフェンシブ株は「下がらない株」ではありません。2017年3月期〜2026年3月期の10期でも、ディフェンシブとされる業種の利益が大きく崩れた年がありました。

ディフェンシブとされる業種の営業利益の合計(2017年3月期=100)

出典:各社の決算短信よりKabuGraph算出。3月決算で、2017年3月期〜2026年3月期の10期すべてに営業利益がある会社の業種合計を、2017年3月期=100として指数化。持株会社化によるコード変更で2026年9月29日に上場廃止となった九州電力(日本取引所グループ「キューデンホールディングス 新規上場会社概要」)は期間中に存続した会社として含め、それ以外の上場廃止した会社(買収・経営破綻など)は含まない。会計基準は各期の決算短信のまま(日本基準・IFRS・米国基準が混在し、IFRSの営業利益には減損などの一時的な損益も入る)。業種は2026年10月時点の東証33業種。対象は電気・ガス業22社、陸運業50社、医薬品31社、食料品70社
  • 相場全体の急落:TOPIXが大きく下げた12か月でも、食料品は平均−3.3%、電気・ガス業は−3.8%下げた(KabuGraph算出)。下げが小さいだけで、上がるわけではない

  • コストの急騰(電気・ガス業):業種の営業利益の合計は2023年3月期に2017年3月期の9%(1,141億円)まで減った(KabuGraph算出)。関西電力は2023年3月期に520億円の営業損失となり、原子力利用率の低下や為替・燃料価格の影響による火力燃料費の増加と、卸電力取引市場からの調達費用の増加を挙げている(関西電力 2023年3月期決算短信 p.2)

  • 需要そのものが止まる(陸運業):2021年3月期は業種の営業利益の合計が赤字(−9,901億円)になった(KabuGraph算出)。JR東海は同じ期に1,848億円の営業損失となり、新型コロナウイルス感染症の発生を受けた外出と移動の自粛などでビジネス・観光とも利用が大幅に減ったと説明している(東海旅客鉄道 2021年3月期決算短信 p.1・5)。固定費の重い鉄道は、需要が止まると赤字になりやすい(KabuGraphの見方)

  • 会社ごとの事情(医薬品):2024年3月期は業種の営業利益の合計(31社)が前の期から42%、約4,700億円減った。減益は3社に集中し、武田薬品工業(4,905億円→2,141億円)、住友ファーマ(−770億円→−3,549億円)、アステラス製薬(1,330億円→255億円)の3社だけで約6,600億円減った。残りの28社は合わせて約1,900億円の増益だった(各社の決算短信よりKabuGraph算出)

このほか、配当利回りの高さで選ばれやすいディフェンシブ株は、金利が上がると債券や預金と比べた魅力が下がりやすいと考えられます(KabuGraphの見方)。日本銀行は2026年9月18日、政策金利(無担保コールレート・オーバーナイト物)を1.25%程度に引き上げました(日本銀行「金融市場調節方針の変更について」)。利上げが業種ごとの株価に与える影響は次の記事で解説しています。

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投資のタイミングとメリット・デメリット

メリットとデメリット

  • 景気敏感株

    • メリット:景気の回復・拡大期や相場の上昇局面で大きく上がりやすい。利益の谷で買えれば、利益の回復が株価を押し上げる

    • デメリット:景気の後退や相場の急落で大きく下げる。利益とともに配当も大きく減ることがある。PERが低く見える利益の山で買うと、その後の減益で株価が下がりやすい

  • ディフェンシブ株

    • メリット:下げ相場での下げが小さく、持ち株全体の値動きを抑えられる。利益の見通しが立てやすい

    • デメリット:上げ相場で取り残されやすい。安定が評価されてPERが高めになりやすい(2026年9月末のプライム市場の食料品は24.0倍、JPX「規模別・業種別PER・PBR」)。コスト高・需要の急減・金利の上昇で下がることもある

買い時の考え方——株価は景気より先に動く

景気敏感株の株価は、景気や利益そのものより先に動きます。1991年以降の6回の景気循環では、TOPIXの天井は景気の山の8〜23か月前でした(内閣府「景気基準日付」と、内閣府「景気動向指数」の先行系列の東証株価指数(月中平均)よりKabuGraph算出。詳しくは景気サイクルとセクターローテーション)。景気が悪いと分かってから景気敏感株を売っても、株価はすでに下がっていることがあります。

局面は後からしか確定しないため、当てにいくより、次の材料で持ち株の偏りを点検する使い方が現実的です。

  • 景気の先行きを示す指標:内閣府の景気動向指数(先行指数と一致指数の基調判断)や日銀短観の業況判断。2026年8月分の景気動向指数(2026年10月7日公表)は、一致指数の基調判断が「改善を示している」で据え置き。ただし一致指数そのものは118.7と前の月から1.9ポイント下がり、6か月ぶりに下降した。先行指数は118.0と0.4ポイント上がった(内閣府「景気動向指数(令和8年8月分速報)」)

  • 金利の向き:日銀の政策金利は2026年9月18日に1.25%程度になった。銀行・保険など金利で動く業種と、配当利回りで選ばれやすい業種に効く

  • PERではなくPBRと利益の水準:景気敏感株は、PERが低く利益が過去最高圏のときほど慎重に見る

  • 持ち株の偏り:景気敏感株とディフェンシブ株のどちらかに寄せるより、両方を持って比率を調整する方が、局面を読み違えたときの損を小さくできる(KabuGraphの見方)

よくある質問

景気敏感株とディフェンシブ株、今はどちらを持つべき?

どちらが有利かを前もって確実に知る方法はありません。足元では、景気動向指数の基調判断が「改善を示している」(2026年8月分、2026年10月7日公表。一致指数は6か月ぶりに下降)で、日銀は2026年9月18日に政策金利を1.25%程度に引き上げています。まずは自分の持ち株がどちらに偏っているかを、業種とβで確かめることから始めます。

銀行株は景気敏感株? ディフェンシブ株?

MSCIは金融を景気敏感に入れていますが(MSCI 方法書 2022年11月版)、日本の銀行は景気より金利で利益が動く業種と考えられます(KabuGraphの見方)。銀行業のβの中央値は0.93で、TOPIXが大きく下げた月は−4.9%、上げた月は+4.6%でした。三菱UFJフィナンシャル・グループ(1.17)や三井住友フィナンシャルグループ(1.12)のβは1を超えています(2016年10月〜2026年9月の月次、KabuGraph算出)。

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商社株は景気敏感株?

総合商社は資源価格で利益が大きく動くため、景気敏感株に近い面があります。卸売業全体のβの中央値は0.76ですが、三菱商事は1.13、伊藤忠商事は0.95でした(同じ算出)。資源と非資源の利益の比率が会社ごとに違う点は、次の記事で扱っています。

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高配当株はディフェンシブ株?

同じではありません。景気敏感株は利益が多い年に配当も増え、配当利回りが高く見えることがありますが、利益が減ると配当も減ります。日本製鉄の1株配当は、2019年3月期の80円から2020年3月期・2021年3月期は10円に減り、2022年3月期は160円に増えました(各期の決算短信。2025年10月1日の1株→5株の株式分割の前の株数基準)。

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βはどう計算する?

ある株の騰落率と指数の騰落率を同じ期間で並べ、次の式で求めます。

Cov(共分散)は2つの騰落率が一緒に動く度合い、Var(分散)は指数の騰落率のばらつきです。この記事では、2016年10月末〜2026年9月末の月末終値から求めた119か月の月次騰落率と、同じ月のTOPIXの騰落率で計算しています。期間や頻度を変えると値も変わります。

まとめ

  • 景気敏感株(シクリカル株)は景気で業績と株価が大きく上下する株、ディフェンシブ株は振れにくい株。違いは需要を先送りできるかと、固定費の重さで生まれる

  • 33業種では、鉄鋼・非鉄・化学・機械・電気機器・輸送用機器・海運などが景気敏感、食料品・医薬品・電気・ガス・陸運などがディフェンシブ。銀行・商社は金利・資源価格で動き、情報・通信や小売は会社で分かれる

  • 2016年10月〜2026年9月のβの中央値は、食料品0.41に対し電気機器1.26・輸送用機器1.28(KabuGraph算出)。ディフェンシブ株は下げ相場の下げが小さい代わりに、上げ相場で取り残される

  • 景気敏感株はPERが低いときに注意。鉄鋼業のPERは2020年3月末の5.2倍の後、業種の純利益が赤字になり算出されなくなった

  • ディフェンシブ株も、相場全体の急落・コストの急騰・需要の急減・金利の上昇で下がる。業種名で決めつけず、その会社の利益が何で動くのかを確かめる

コラム著者・編集者

K

KabuGraph編集部

KabuGraph編集部は、投資情報の発信と株式分析ツールの開発に携わるチームです。日本株・米国株の事業分析から、投資に役立つ情報をわかりやすくお届けします。

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