新株落ちとは|株価が分割比率で下がる日と、新株をもらえる最終日

新株落ち(しんかぶおち)とは、株式分割や株主割当増資などで新しい株を受け取る権利が、株を買っても付かなくなることです。東証では、権利が確定する基準日の1営業日前(権利落ち日)から「新株落ち」として売買されます(日本取引所グループ「用語集:新株落」、2026年10月時点)。
新株をもらうには、基準日の2営業日前(権利付最終日)までに買う
新株落ちの日から、株価は分割比率で割った水準で取引される(1株→2株なら約半分)。株数も増えるので、持っている株の価値は変わらない
株数が増えるのは基準日の翌日(効力発生日)。ただし増えた分も、権利落ち日から売り注文を出せる
2026年9月29日は、9月30日を基準日とする株式分割の新株落ちの日で、JPXが制度信用取引の建玉を調整した銘柄だけで53ありました。東京エレクトロンの終値は前日の56,320円から11,505円へと約8割下がって見えますが、1株が5株になったので、分割で調整すると前日比+2.1%です(東証の終値よりKabuGraph算出)。
この記事では、新株落ちの日付の数え方、東証が株価の基準をどう調整するか、チャート・PER・配当・信用取引・株主優待で気をつけること、新株が届くまで売れなかった2005年までの制度を、取引所の資料と実例で解説します。分割を行う目的やメリットは株式分割の記事で扱っています。
この記事の内容(目次)
新株落ちとは——新株を受け取る権利が付かなくなること
株式分割や株主割当増資では、会社が決めた基準日に株主名簿に載っている株主だけが、新しい株(株主割当増資なら、払い込んで新株を引き受ける権利)を受け取ります。基準日に間に合わない日に株を買っても、新株は付いてきません。この「新株の権利が付かない状態で売買される」ことが新株落ちです。
JPXの用語集では、新株落ちは「権利落ち」の一つです。何の権利がなくなるかで、呼び名が3つに分かれます(日本取引所グループ「用語集:権利落」・「配当落」・「その他権利落」)。
配当落ち:配当を受け取る権利がなくなる。株価は配当の分だけ下がる
新株落ち:株式分割や株主割当増資で、新株を受け取る権利がなくなる。株価は新株の分だけ下がる
その他権利落ち:臨時株主総会の議決権など、配当・新株以外の権利
「新株落ち」は古い言葉に見えますが、東証は今も統計月報で「新株落・権利落等一覧」を毎月公表しています(日本取引所グループ「統計月報」、2026年10月7日閲覧)。2026年1〜8月の一覧をKabuGraphで数えると、内国株(TOKYO PRO Marketを含み、ETF・REITを除く)の新株落ち・権利落ちは次のとおりで、今の新株落ちのほとんどは株式分割です。
種類 | 件数 | 内訳・例 |
|---|---|---|
株式分割 | 148件 | 3月31日基準が71件、6月30日基準が31件 |
株式無償割当て | 2件 | 平河ヒューテック(1株に0.05株)、ロードスターキャピタル(1株に0.2株) |
新株予約権無償割当て | 2件 | 地域新聞社(割当率0.5)など |
株主割当増資 | 0件 | ― |
臨時株主総会の議決権 | 162件 | その他権利落ち |
既存の株主に有償で新株を割り当てる株主割当増資(日本取引所グループ「用語集:株主割当増資」)や、新株予約権を全株主に無償で配るライツ・オファリングは今は件数が少なく、増資の種類ごとの株主への影響はこちらで説明しています。

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新株落ちはいつ?——権利付最終日・権利落ち日・基準日・効力発生日
新株落ちの日付は、基準日から逆算します。株の受渡し(決済)は約定日から数えて3営業日目なので(日本取引所グループ「株式等の決済期間短縮化(T+2化)」)、基準日の株主名簿に載るには、その2営業日前までに買う必要があります。
権利付最終日(基準日の2営業日前):この日の大引けまでに買えば、新株をもらえる
権利落ち日(基準日の1営業日前):新株落ちの日。株価は分割後の水準で取引が始まり、この日に買っても新株は付かない
基準日(権利確定日):この日の株主名簿に載っている株主が、分割などの対象になる
効力発生日(基準日の翌日):株数が増える。東証は上場会社に、株式分割と株式無償割当ての効力発生日を基準日の翌日にするよう定めている(有価証券上場規程第427条(英語参考訳)、2026年7月21日現在)
東証の業務規程施行規則は、普通取引の配当落・権利落の日を「権利確定日の前日(権利確定日が休業日に当たるときは、権利確定日の2日前の日)」と定めています。日数は休業日を除いて数えます(東京証券取引所「株式等の決済期間の短縮化に伴う業務規程等の一部改正について」新旧対照表 第18条)。基準日が土日・祝日なら、直前の営業日を基準日とみなして数えるのと同じ結果になります。2026年の運用も同じで、8月30日(日)が基準日だったサガミホールディングスの株式分割は、権利落ち日が8月27日(木)でした(日本取引所グループ「統計月報 17 新株落・権利落等一覧(2026年8月)」)。
2019年7月・2009年11月より前は、日付が早かった
決済期間がT+3からT+2に短くなった2019年7月16日から、権利付最終日と権利落ち日はそれぞれ1営業日遅くなりました。改正前は、権利落ち日が基準日の2営業日前、権利付最終日が3営業日前でした。新しい数え方は、2019年7月18日以後に権利確定日が来る株から使われています(同新旧対照表 第18条・付則)。
さらにさかのぼると、基準日などがあるときに売買日から5日目に決済する「5日目決済」が2009年11月16日に廃止されるまでは、権利落ち日が基準日の3営業日前、権利付最終日が4営業日前でした(後の図の2005年の例)。株券電子化で名義書換が要らなくなったための改正で、東証は11月19日を基準日とする分から廃止されると説明していました(名古屋証券取引所「株券等の5日目決済及び期間売買停止の廃止に伴う『業務規程』等の一部改正について」、2009年11月6日。東京証券取引所「『株券等の5日目決済及び期間売買停止の廃止について』に寄せられたパブリック・コメントの結果について」)。古い解説や過去のチャートの日付を読むときは、この違いに気をつけましょう。
増えた株は、権利落ち日から売れる
権利落ち日に売った株の受渡しは2営業日後で、効力発生日(基準日の翌日)と同じ日か、それより後になります。基準日が金曜日なら効力発生日は土曜日で、受渡しは翌週の月曜日です。どちらにしても受渡しの時には株数が増えているので、権利付最終日まで株を持っていた人は、権利落ち日から分割後の株数で売り注文を出せます。
例えばSBI証券は、分割で増える株を権利付最終売買日の夕方の処理が終わった時点で預り残高に反映し、注文を受け付けるとしています。口座への入庫は原則として効力発生日です(SBI証券「取引注意銘柄」、2026年10月7日閲覧)。画面への反映の時刻は証券会社ごとに違うので、急いで売りたいときは利用している会社の案内を確かめてください。
次の新株落ちを調べるには
会社の適時開示「株式分割に関するお知らせ」:基準日・効力発生日・分割比率のほか、配当や株主優待の扱いが書かれていることがある(後で取り上げるバローHDの開示が例)
日本取引所グループ「権利処理に関する情報」:制度信用の建玉を分割比率で調整する銘柄が、割当日(基準日)ごとに分割比率つきで載る。バックナンバーは過去1年分(2026年10月7日閲覧)
利用している証券会社のお知らせ:保有株数や信用建玉がいつ、どう付け替えられるかは、会社ごとの案内で確かめる
分割の発表から効力発生までの流れや、分割比率と単元未満株の扱いは、株式分割の記事にまとめています。

株式分割とは|仕組みと株価への影響、NISA枠活用のメリット
1株を2株に分けても資産の総額は変わらない株式分割の仕組みを、NTTの1:25分割などの例で説明。東証の投資単位50万円未満の要請、権利付最終日・効力発生日の日程、配当・優待・単元未満株への影響、発表後の株価の動きまで整理します。
新株落ちで株価はどう変わる?——東証の「基準値段」の計算
新株落ちの日、東証は前日の終値から新株の分を差し引いた値段を「基準値段」にします。基準値段は、その日のストップ高・ストップ安を決める基準でもあります(東京証券取引所『東証公式株式サポーター 株式取引編[第8版]』 Q.8)。
計算式は東証の「呼値の制限値幅に関する規則」の別表「基準値段算出に関する表」で決まっています。Pを権利付最終日の終値とすると、次のとおりです(東京証券取引所「呼値の制限値幅に関する規則」別表(英語参考訳 Rules concerning Price Limits on Bids and Offers)、2014年12月1日現在。同じ式は名古屋証券取引所「呼値の制限値幅に関する規則」別表「基準値段算出に関する表」にもある)。SBI証券も2026年10月時点で、分割の権利落ち後の基準値を「権利付き最終売買日の終値÷株式分割比率」と案内しています(SBI証券「取引注意銘柄」、2026年10月7日閲覧)。
株式分割:P ÷ 分割の倍率(1株→2株なら2で割る)
株式無償割当て(同じ種類の株を配る場合):P ÷(1+割当率)
株主割当増資:(P+払込金額×割当率)÷(1+割当率)。上場する新株予約権を配るライツ・オファリングも、払込金額を行使時の払込額に読み替えて同じ式(別表では「新株落」ではなく「権利落」として扱う)
配当落ちが同じ日に重なるとき:先にPから1株配当を引く
上の式で払込金額を0にすると株式無償割当て、割当率を「分割の倍率−1」にすると株式分割の式になります。計算した値段の端数は呼値の単位に丸めます。配当は、当期の額が決まっていなければ前期の額を使い、変わる見込みなら会社に確かめた当期の額を使います(同別表の注)。
図の①と②のように、同じ分割でも配当落ちが重なると基準値段が変わり、ストップ高・安の値幅まで変わることがあります。制限値幅は基準値段1,000円以上1,500円未満なら上下300円、1,500円以上2,000円未満なら上下400円です(日本取引所グループ「制限値幅」、2026年10月7日閲覧)。終値と翌日の基準値段がずれるほかの場合は、大引けの記事で説明しています。
3月決算の会社の9月末・3月末の分割は、配当落ちと重なる
3月決算の会社が9月30日や3月31日を基準日に分割すると、中間配当や期末配当の配当落ちと新株落ちが同じ日に起きます。配当はその基準日の株主名簿で決まるので、分割前の株数に対して払われます。
例えばバローホールディングスは、2026年9月30日を基準日に1株を2株に分割し、同じ日を基準日とする中間配当(1株40円)は分割前の株数を基準に支払うと開示しています(バローホールディングス「株式分割及び株式分割に伴う定款の一部変更、配当予想の修正(増配)並びに株主優待制度の一部変更に関するお知らせ」、2026年6月30日)。権利付最終日(9月28日)の終値は3,405円だったので、理論上の基準は(3,405円−40円)÷2=1,682.5円です。29日の終値は1,643円で、この理論値より2.3%安く引けました(東証の終値よりKabuGraph算出)。
バローホールディングス
バローホールディングスは、東海・北陸・甲信越地方を地盤とする総合小売グループです。食品スーパー「バロー」を中核に、ドラッグストア「V-drug」(中部薬品)、ホームセンター「バロー」、スポーツクラブ「アクトス」などを展開。食品製造・物流など…
「前日比−50%」は見かけ
東証は、配当落ち・権利落ちの日は権利関係が前日と同じ条件ではないため、前日との比較はできないとしています(東京証券取引所『東証公式株式サポーター 株式取引編[第8版]』 Q.8)。ニュースや画面に大きな下落率が出ても、比べるべきは基準値段か、分割の倍率を掛け戻した値です。
証券会社の評価損益も、この考え方で計算されます。SBI証券は、権利付最終日の夕方17時以降に保有株数と取得単価を分割比率で付け替え、始値が付くまでは予想配当を引いた基準値段で評価損益を計算するとしています(SBI証券「保有株式の値段や株数が変わっているのはなぜでしょうか?」、2026年10月7日閲覧)。
2026年9月29日の新株落ち——53銘柄の「見かけ」と実際
2026年9月29日(火)は、9月30日を基準日とする株式分割の権利落ち日でした。JPXが制度信用取引の建玉を分割比率で調整すると公表した銘柄は53あり、1株→2株が18銘柄、→3株が15銘柄、→5株が13銘柄、ほかに→4株が4銘柄、→10株が2銘柄、→15株が1銘柄です(日本取引所グループ「権利処理に関する情報」のバックナンバー「2026年9月」の9月末日割当銘柄、2026年10月7日閲覧)。
銘柄 | 9月28日の終値 | 9月29日の終値 | 分割調整後の |
|---|---|---|---|
東京エレクトロン | 56,320 | 11,505 | +2.1% |
キオクシアHD | 53,340 | 17,880 | +0.6% |
三井住友FG | 6,990 | 3,357 | −3.9% |
東京海上HD | 8,075 | 523.2 | −2.8% |
バローHD | 3,405 | 1,643 | −3.5% |
53銘柄の29日の終値は、前日と比べると48〜94%下がっています。ところが分割の倍率を掛け戻すと、前日比は−6.9%〜+4.4%(中央値−2.8%)で、上昇8・下落45でした。
この日は3月決算の会社の中間配当の配当落ち日でもあり、分割の無かったプライム・スタンダード・グロースの3,606銘柄(ETF・REITを除く)も前日比の中央値は−1.2%(上昇716・下落2,705・変わらず185)でした。分割した53銘柄のうち47銘柄は3月決算で、46銘柄は前期に配当を払っているので、多くは配当の分も下がっており、下げ幅がそのまま損失というわけではありません。10月7日の終値まで見ると、53銘柄の分割調整後の騰落は上昇25・下落28(中央値−0.5%)です(いずれも東証の終値・決算短信よりKabuGraph算出)。
ただし1日だけの集計なので、分割した銘柄が権利落ち後に上がりやすい・下がりやすいとは言えません。中央値の−2.8%と市場全体の−1.2%の差も、配当落ちの幅や業種の違いを含んだままの数字です。
三井住友FGの終値:実際の値と分割調整後(2026年9月1日〜10月7日)
分割で調整しない線(実際の終値)は、9月29日に崖のような段差ができます。調整した線では段差が消え、29日の動きは前日比−3.9%のふつうの値下がりとして残ります。
三井住友フィナンシャルグループ
三井住友フィナンシャルグループは、三井住友銀行を中核とする国内3大金融グループの一角。個人・法人向けの預金・貸出・為替を土台に、証券・カード・消費者金融・リース・シンクタンクをグループ内に揃えた総合金融グループを形づくる。事業はホールセール…
チャート・PER・配当はどう見える?——段差と分割調整
チャートの段差は、売買でできた「窓」ではない
分割で調整していないローソク足では、権利落ち日に大きな窓(ギャップ)が開いたように見えます。これは売り買いでできた値動きではなく、株の単位が変わったことによる段差です。「窓は埋まる」という経験則を当てはめて、反発を期待する根拠にはなりません。
チャートによっては過去の株価を分割の倍率で割り、段差を消して表示します。調整するかどうか、権利落ち日の何時から調整されるかはツールによって違うので、急落に見えたら、まず分割の有無を確かめましょう。ローソク足の窓の読み方は、こちらで説明しています。

ローソク足の見方|陽線・陰線とヒゲの読み方、形の意味は位置で変わる
ローソク足は1本で始値・高値・安値・終値を表し、実体は始値から終値、ヒゲの先が高値・安値。陽線・陰線は始値との比較で前日比とは別。十字線・包み足・窓など1本・2本の形と、出た位置で意味が逆になる形、だましの注意点を図解。
1株あたりの数字は、何株の基準かを確かめる
EPS・PER:分割前の決算の1株利益と分割後の株価で計算すると、PERが分割の倍率の分だけ低く出る(1株→5株なら5分の1)。会社予想の1株利益も、分割を反映した値かを確かめる
1株配当・配当利回り:分割の前後で1株配当の水準が変わる。過去と比べるときは、分割の倍率で割った値にそろえる。分割後も1株配当を据え置けば実質の増配
分割の年の配当予想:中間配当は分割前、期末配当は分割後の株数で示され、年間の合計を出さない会社もある。バローHDは「株式分割の実施により単純比較ができないため」合計の予想を表示していない
年初来高値・安値、騰落率:分割をまたぐ期間の値は、調整した値か確かめる
信用取引・配当・株主優待はどうなる?
制度信用の建玉は、取引所のルールで調整される
制度信用取引の建玉は、権利落ちの日に取引所が定める方法で調整され、売り方と買い方の不公平をなくします(日本取引所グループ「制度信用取引の権利処理」、2026年10月7日閲覧)。
1株→2株のように、売買単位の整数倍の新株が割り当てられる分割:建玉の株数を分割比率で増やし、約定値段を減らす(1,000株・900円 → 2,000株・450円)
1株→1.5株・1株→1.2株のような分割や、株主割当・ライツ・オファリング:株数は変えず、証券金融会社の権利入札で決まる「権利処理価格」を約定値段から引く(日本取引所グループ「用語集:権利入札」、2026年10月7日閲覧)
配当落ちと重なるとき:配当金相当額(配当落調整金)を別に受け払いする
株主優待・議決権:権利処理の対象にならない(同「制度信用取引の権利処理」)
権利処理価格は理論値どおりとは限りません。SBI証券は、入札時の相場や需給によっては「理論値から大きく乖離する可能性があります」と注意しています(SBI証券「取引注意銘柄」、2026年10月7日閲覧)。配当落ちのときのお金のやりとりは、こちらの記事で計算式とともに説明しています。

配当落調整金とは|制度信用84.685%・一般信用売建100%の計算式と税金の扱い
配当落調整金の仕組み・計算式(制度信用は買い方・売り方とも84.685%、一般信用の売り方は主要ネット証券で100%)・税金の扱いを解説。信用取引で権利確定日をまたいだときに発生する配当金相当額のルールと、優待クロスで現物の配当金と相殺したときの実質コスト(一般信用は損益通算で実質ゼロ、制度信用は約15%の差益)がわかります。
一般信用は、証券会社ごとにルールが違う
取引所が権利処理を定めているのは制度信用だけで、一般信用は顧客と証券会社の取り決めです(日本取引所グループ「一般信用取引の権利処理」、2026年10月7日閲覧)。
例えばSBI証券では、整数倍の分割なら一般信用の買い建玉も株数と約定値段を調整しますが、それ以外の分割やライツ・オファリングでは建玉を続けられず、権利付最終売買日の前営業日が返済期限になります(SBI証券「取引注意銘柄」、2026年10月7日閲覧)。株主優待のための一般信用のつなぎ売りでも、分割の発表が無いか確かめておきましょう。制度信用の仕組みそのものはこちらです。

制度信用取引とは|6ヶ月期限と逆日歩のルール、一般信用との使い分け
制度信用取引の仕組み・返済期限6ヶ月のルール・逆日歩の発生条件を解説。一般信用取引との違いを比較表でわかりやすく整理し、コスト面の使い分けがわかります。
配当は基準日の株数、優待の条件は会社が決め直す
分割と同じ日を基準日とする配当は、分割前の株数に対して払われます(前のバローHDの例)。分割後の株主優待の条件は会社が決め、分割の発表と一緒に開示されることがあります。バローHDは2026年6月30日の開示で、優待を次のように変えました(バローホールディングス「株式分割及び…株主優待制度の一部変更に関するお知らせ」)。
分割後に100株以上200株未満となる株主向けに、500円分の優待を新設
分割前100株以上(分割後200株以上)の株主は、優待額が実質的に変わらない
「1年以上保有」の判定では、2026年9月末以前の保有記録を「100株を200株とみなす」
新しい基準は2027年3月末の株主から
かつての新株落ち——新株券が届くまで約50日売れなかった
今は基準日の翌日に株数が増えますが、2005年までは新しい株券の交付まで、基準日から約50日かかっていました。基準日の株主を確定する名寄せや、株券の印刷などに時間がかかったためです(大和総研「株式分割の効力発生前倒し」、2005年6月27日)。
その間も株価は権利落ち日から分割後の水準で取引されるのに、市場で売れる株は分割前の数のまま、という状態が続きました。名古屋証券取引所は2005年の通知で「新株券が交付されるまでの間、投資者は新株券を売却できず、流通市場において需給の不均衡が生じて株価の大きな変動を招く事例が見受けられます」と説明しています(名古屋証券取引所「株式分割に係る基準日の翌日を効力発生日とすることに伴う業務規程等の一部改正について」、2005年8月5日)。
大和総研は、3月31日基準日の日程例とは別に、1株を100株に分けて12月下旬に権利落ちした会社(社名は示していない)の株価が、権利落ち後の約1か月で約3,000円から1万8,000円超まで上がり、新しい株が発行された2月20日ごろにはほぼ元の水準に戻った例を示しています(同レポート)。
2005年3月7日:東証と名証が上場会社に「大幅な株式分割の実施に際してのお願い」。1株を5株超にする分割は段階的に行い、一度に行うなら目的・配当方針・目標とする株主数などを詳しく開示するよう求めた(名古屋証券取引所 名証自規第157号、大和総研「株式分割の効力発生前倒し」)
2005年8月:東証(8月5日)と名証(8月5日通知、8日施行)が規則を改正し、株式分割の効力発生日を基準日の翌日とするよう上場会社に義務づけた。名証は、分割で発行される新株券の発行日取引も廃止した(名証自規第577号、大和総研「株式分割の効力発生前倒し(続報)」、2005年8月31日)
2006年1月4日:この日以後を基準日とする株式分割から適用(同)
2009年1月5日:株券電子化。上場会社の株券をすべて廃止し、株主の権利を口座で管理するようになった(金融庁「株券電子化についてQ&A」)。保管振替機構に預けていない株券は、2006年以降も新株券の交付を待つ必要があったが(大和総研「株式分割の効力発生前倒し」)、この違いもなくなった
今は権利落ち日から新株の分も売れるので、新株が売れないことによる品薄は、制度の上では起きなくなっています。
新株落ちのよくある質問
新株落ちの日に株を買うと損?
損も得もしません。新株は付きませんが、その分だけ株価の基準も下がっているからです。そこから株価が上がるか下がるかは、ふだんの値動きと同じです。9月末や3月末のように配当落ちが重なる日は、配当の分も基準が下がります。
権利付最終日に信用取引で買っても、分割の分は受け取れる?
信用取引の買いは株主名簿に載りませんが、制度信用の買い建玉は株数と約定値段が分割比率で調整されるので、損得は現物を持っている場合とほぼ同じになります。整数倍でない分割では、権利入札で決まる価格で調整されるため、理論値とずれることがあります(日本取引所グループ「制度信用取引の権利処理」)。一般信用は証券会社のルールを確かめてください。
株式併合のときも株価の基準は変わる?
変わります。株式併合は分割の逆で、複数の株を1株にまとめます。東証の「新株落・権利落等一覧」にも載り、基準値段は併合の比率の分だけ上がります(10株→1株なら約10倍。日本取引所グループ「統計月報」(2026年10月7日閲覧)、東京証券取引所「呼値の制限値幅に関する規則」別表(英語参考訳)、2014年12月1日現在)。
臨時株主総会の「権利落ち」とは?
JPXは、臨時株主総会の議決権などの権利落ちを「その他権利落」と呼び、配当落ち・新株落ちと分けています(日本取引所グループ「用語集:その他権利落」)。議決権は制度信用取引の権利処理の対象でもありません。その株主総会で議決権を使いたいなら、新株落ちと同じく権利付最終日までに買っておく必要があります。
まとめ
新株落ちは、株式分割・株式無償割当て・株主割当増資などで、新株を受け取る権利が付かなくなること。JPXの用語では権利落ちの一つで、今はほとんどが株式分割
権利付最終日(基準日の2営業日前)までに買えば新株をもらえる。権利落ち日(1営業日前)から新株落ちで、効力発生日(基準日の翌日)に株数が増える
新株落ちの日の株価の基準は、前日の終値を分割の倍率で割った値。配当落ちが重なれば配当も引く。「前日比−50%」は見かけ
チャート・PER・1株配当は、分割で調整した値か確かめる。権利落ち日の段差は需給の窓ではない
制度信用は取引所のルールで自動調整、一般信用は証券会社ごと。優待の条件と長期保有の記録の扱いは会社の開示で確かめる
2005年までは新株券が届くまで約50日売れず、株価が乱高下した。2006年から効力発生日が基準日の翌日になり、2009年に株券が電子化された








