【投資テーマ解説】自動運転タクシー(ロボタクシー)|東京は2027年に無人運行を開始、段階的に100台へ——制度・採算と関連8社の立ち位置

自動運転タクシー(ロボタクシー)は、運転手のいない車をアプリで呼んで乗るサービスです。日本で一般の人が乗れるのは、計画どおりなら2027年中の東京からで、GO・Waymo・日本交通の3社が段階的に100台規模の完全無人運行をめざしています(GO・Waymo・日本交通 2026年9月15日発表)。
米国ではAlphabet傘下のWaymoが15都市で週50万回超の乗車を提供し(Waymo 2026年9月14日)、中国ではPony.aiのロボタクシーが1,975台(2026年6月末、Pony.ai 2026年第2四半期決算)、WeRideが1,800台超(7月末、WeRide 2026年第2四半期決算)まで増えています。一方で、日本の上場企業で自動運転タクシーの数字を開示しているのはGOくらいで、業績への寄与はまだ小さいのが現状です。
この記事では、次の順に整理します。
日本でいつ乗れるのか(計画の時期・台数・前提)
海外の先行例の運行規模と採算
誰が何で稼ぐのか(技術・車両・タクシー会社・配車アプリの役割分担)
日本の制度と、事故のときの責任
タクシー業界の人手不足と配車アプリ、事故・撤退の教訓
関連8社の立ち位置と事業規模、リスクとチェックポイント
株価指標はすべて2026年10月1日終値時点、業績は各社の決算短信・決算説明資料によります。
この記事の内容(目次)
自動運転タクシーとは——日本ではいつ乗れるのか
自動運転タクシーは、決められたエリアや天候などの条件の中でシステムが運転のすべてを担い、運転者が乗らない「レベル4」の車を使うタクシーです。乗客はアプリで車を呼び、車内に運転手はいません。代わりに離れた場所の監視者が車を見守ります。自動運転のレベル分けや、日本の制度の年表は自動運転の記事で詳しく扱っています。

【投資テーマ解説】自動運転|レベル4は全国11か所、2030年度に1万台目標——用途別の現在地と関連15社の立ち位置と事業規模
自動運転のレベル4は2026年6月時点で全国11か所で実装。政府は2030年度に自動運転サービス車両1万台を目標に掲げます。レベル0〜5と制度、自家用車・バス・トラック・タクシーの現在地、半導体や地図など関連15社の立ち位置と事業規模を解説します。
早ければ2027年、まず東京から
日本で最も具体的なのは、GO・Waymo・日本交通が2026年9月15日に合意した計画です。2027年中に東京で、国内初のレベル4の完全無人による商用タクシー運行をめざし、段階的に100台規模まで増やします。車はGOとWaymoの両方のアプリから呼べるようにします(GO 2026年9月15日)。
エリア:試験走行は2025年から港・新宿・渋谷・千代田・中央・品川・江東の7区で行っている(Waymo 2025年4月14日)。商用運行は「東京の主要な地域」で約100台とされ、具体的な範囲は未発表(Waymo 2026年9月14日)
今の段階:日本交通の乗務員が乗った状態での自動走行の試験(GO 2026年9月15日)
時期の前提:正式な運行開始の時期は、確かな安全性が認められ、道路交通法や道路運送法などの許認可を取ったあとに決める(同)
運賃:東京の自動運転タクシーの運賃は未発表(2026年10月1日時点)。日本のタクシー運賃は、道路運送法に基づき国土交通大臣の認可を受ける決まり(国土交通省「タクシーの運賃・料金について」)
ほかの計画——Uber・日産、横浜、大阪
Uber・Wayve・日産(東京):2026年3月12日に覚書を結び、WayveのAI Driverを載せた日産リーフで2026年後半に東京で試験運行を始める予定(Uber 2026年3月12日)。日々の運行は日の丸交通が担い、初期は乗務員が「セーフティドライバー」として同乗する(Uber 2026年8月13日)
日産(横浜):2026年10月1日〜12月18日に、みなとみらい・桜木町・関内で10台の実証(2025年度は5台)。セーフティドライバーが乗るレベル2相当で、2027年以降に遠隔監視によるドライバーレスのサービスをめざす(日産 2026年9月14日)
newmo(大阪府堺市):2026年4月下旬から堺浜の周辺で、走行動画をもとに自社でAI学習させた自動運転システムの実験を始めた。2027年度にレベル4の認可を取り、2028年度に限定エリアでレベル4の商用走行(ドライバー有)を始める目標(newmo 2026年4月20日)。2026年8月には、KDDI・関西電力などと「堺市自動運転タクシー実装コンソーシアム」を共同設立した(newmo 2026年8月5日)
海外の先行例——Waymo・Tesla・中国勢の運行規模
ロボタクシーが事業として回り始めているのは米国と中国です。規模で先頭を走るのはAlphabet傘下のWaymoで、週あたりの乗車回数は2024年10月の15万回超から、2026年4月には50万回超まで増えました。
Waymoの週あたり乗車回数(Alphabetの発表値)
各時点の出典:2024年10月29日・2025年4月24日・2026年2月4日・2026年4月29日(いずれもAlphabet 決算説明のCEO発言)
Waymo(Alphabet)——米国15都市、次は東京・ロンドン・シンガポール

運行規模:2025年の乗車は1,500万回で前年の3倍超、累計は2,000万回を超えた(Waymo 2026年2月2日)。2026年9月には米国の15都市で、週50万回超の有料の乗車を提供(Waymo 2026年9月14日・9月15日)
資金:2026年2月に160億ドルを調達し、投資後の評価額は1,260億ドル(Waymo 2026年2月2日)
安全性(会社の分析):2026年6月末までの完全自動運転2.7億マイルで、負傷を伴う衝突は人の運転より82%少ない(5都市の分析、Waymo 2026年9月24日)
海外展開:東京(2027年)に加え、欧州はロンドン・ミュンヘンから(Waymo 2026年9月15日)、シンガポールへの進出も発表(同 9月17日)
損益:WaymoはAlphabetの「Other Bets」に含まれ、2026年4〜6月期のOther Betsは売上高3.82億ドル・営業損失18億ドル(Alphabet 2026年第2四半期決算説明)。Waymo単独の損益は開示されていない
Tesla——2025年6月に開始、2026年は無人運行の都市を拡大
2025年6月に、テキサス州オースティンで最初のロボタクシーサービスを始めた(Tesla 2025年第2四半期 Update)
2026年4〜6月期に専用車「Cybercab」の生産を開始。7月にマイアミ・オーランド・タンパで無人の乗車を始め、オースティン・ダラス・ヒューストンを含む6都市で無人運行を拡大中。サンフランシスコ・ベイエリアはセーフティドライバーが乗る形(Tesla 2026年第2四半期 Update p.3・p.9)
有料のロボタクシーの累計走行距離は、2026年6月までで約240万マイル(同 p.9のグラフの読み取り)
中国勢——百度・Pony.ai・WeRide
百度 Apollo Go:2026年1〜3月期に完全無人の乗車320万回、3月のピークは週35万回超。一般向けの累計乗車は2026年4月時点で2,200万回超(百度 2026年第1四半期決算)。8月時点で世界28都市、累計走行3.5億km(うち完全無人2.4億km)。ドバイで完全無人の商用運行を始め、Uberのアプリでも呼べる(同 第2四半期決算)
Pony.ai:2026年4〜6月期の売上高3,620万ドルのうち、ロボタクシーは1,210万ドル(前年同期比+691.2%)で、純損失は4,540万ドル。車両は1,975台(2026年6月末)で、年末に3,500台超をめざす。欧州ではUberと2,000台超の配備で合意(Pony.ai 2026年第2四半期決算)
WeRide:2026年4〜6月期の売上高2億3,170万元、損失4億70万元。7月末のレベル4車両は約3,400台で、うちロボタクシーは1,800台超(WeRide 2026年第2四半期決算)
Zoox(Amazon):2026年7月30日、ハンドルもペダルもない専用のロボタクシーとして初めて、米運輸省道路交通安全局(NHTSA)から運賃を取るための適用除外を受けた(Zoox 2026年7月30日)。8月10日にラスベガスで有料の運行を始めたと報じられています(Futurride 2026年8月10日)
ロボタクシーは誰が何で稼ぐのか——役割分担と採算
ロボタクシーの事業は、自動運転の技術・車両・運行するタクシー会社・配車アプリ・保険の分業で成り立ちます。日本で動いている2つの陣営を並べると、役割は次のとおりです。
配車アプリ(GO・Uber):乗客の窓口。GOは地域のタクシー事業者との連携の要となり、Waymoの技術を日本のタクシーに組み込む全体設計も担う(GO 2026年9月15日)
運行主体(日本交通・日の丸交通):Uberは「日本の法令において、ロボタクシーの運行は旅客運送サービスの認可を受けたタクシー事業者が行う必要がある」と説明。日の丸交通は運行管理・車両基地・点検・清掃・充電を担う(Uber 2026年8月13日)
自動運転の技術(Waymo・Wayve):Waymoは運用基盤や車両管理の仕組み、専門的な知見も提供する(GO 2026年9月15日)
車両:Waymoは東京の試験に電気自動車のジャガー I-PACEを使う(Waymo 2024年12月)。Uberの陣営は日産リーフ

運賃が誰にどう配分されるか(タクシー会社・アプリ・技術会社の取り分)は、どの陣営も開示していません。
採算——海外の先行企業はまだ赤字
損益を開示している先行企業は、いずれも全社で赤字です。開示のある数字を並べると次のとおりです。
Alphabet「Other Bets」(Waymoを含む):2026年4〜6月期 売上高3.82億ドル、営業損失18億ドル
Pony.ai:同期のロボタクシー売上1,210万ドルに対し、全社の純損失4,540万ドル。中国の大都市では1台あたりの収支(ユニットエコノミクス)がプラスだと説明している(Pony.ai 2026年第2四半期決算)
WeRide:同期の売上高2億3,170万元に対し、損失4億70万元
日本でロボタクシーを走らせる場合の費用と収入は、次のように整理できます。
費用の中心:車両とセンサー、遠隔監視の人員、車両基地、研究開発
車両費の例:国土交通省の手引きは、タクシー型の自動運転車両の調達費の例を1台1,750万円(自動運転システムとベース車両の合計、あくまで一例)としている(国土交通省「自動運転移動サービス社会実装・事業化の手引き」第3版 p.182、2026年9月)
なくなる費用:タクシー運転者の年間給与の推計は450.82万円(2025年、全国ハイヤー・タクシー連合会)
収入(運賃):日本のタクシー運賃は道路運送法に基づく国土交通大臣の認可事項で、人件費・燃料費などの営業費に適正な利潤を加えた「総括原価」をもとに運賃の幅が決まる(国土交通省「タクシーの運賃・料金について」)。ロボタクシーでも運賃を自由には決められず、運転手の人件費が減った分を運賃と利益にどう振り分けられるかは、認可の運用しだいとKabuGraphはみています
日本の制度——3つの手続きと事故時の責任
日本では2023年4月に、運転者がいない「特定自動運行」(レベル4相当)が制度上できるようになりました。ロボタクシーを走らせるには、車両・運行・事業の3つでそれぞれ審査を受ける必要があります。
運行(道路交通法):都道府県公安委員会の「特定自動運行」の許可が必要。遠隔監視装置を置いて「特定自動運行主任者」を配置し、事故の時などは主任者らの対応が義務づけられる。違反には許可の取消し、事故の時には警察署長による許可の効力の仮停止もある(警察庁「特定自動運行に係る許可制度の創設について」)。施行は2023年4月(警察庁「自動運転」)
車両(道路運送車両法):自動運行装置が保安基準に合うかを国が審査し、走ってよい条件(走行環境条件)を付ける。運行エリアが限られないロボタクシーには、国際的なガイドライン案による安全性評価の手法も使えると整理された(国土交通省 手引き第3版 p.150・p.165)
事業(道路運送法):2023年4月1日施行の省令改正で、運送事業者がレベル4相当の自動運転車を使う事業ができるようになった(国土交通省 2023年3月31日)
事故の賠償は「車を持つタクシー会社」が負う
国土交通省の検討会は2025年4月30日の報告書で、ロボタクシーでも自賠法の「運行供用者責任」を維持するのが妥当としました(国土交通省 検討会報告書 p.4・p.6-7・p.11)。整理の中身は次のとおりです。
タクシー事業者:車両を保有して運送するので、運行供用者にあたる
運行の業務を受託した会社:原則として運行供用者に該当しない
配車アプリを運営する会社:運行供用者に該当しない
残る課題:車両やシステムの欠陥が原因のとき、保険会社が自動車メーカー等に求償する仕組みの実効性
国の方針——「2027年度に見込まれる自動運転タクシー」
2026年1月16日に閣議決定された第3次交通政策基本計画は、「2027年度に見込まれる自動運転タクシーや自動運転トラックの社会実装も見据えつつ」制度整備を進めるとしています(第3次交通政策基本計画 本文 p.63-64)。具体的に挙げているのは次の4つです。
1対N型:1人が複数台を遠隔監視する運行形態を見据えた、管理の受委託と運行管理の要件の明確化
事故時の補償:自動運転車を使う事業での補償の在り方の明確化
事故の原因究明:運輸安全委員会での体制づくり
車両数の目標:自動運転サービスの車両を2025年度の11台から2030年度に1万台へ
車両の基準では、レベル3・4の自動運転システムの国際基準が2026年6月の国連の会議(WP.29)で合意され、2027年1月頃に発効する見込みです(国土交通省 2026年6月)。
タクシーの人手不足と配車アプリ
日本でロボタクシーが求められる背景は、運転者の減少です。法人タクシーの運転者は2004年度の約38.2万人をピークに減り、2022年度には21.5万人まで落ち込みました。2024年度は22.4万人と少し戻りましたが、ピークの6割弱です(全国ハイヤー・タクシー連合会「運転者数の推移」、国土交通省調べ)。
法人タクシーの運転者数
平均年齢:56.8歳、勤続年数8.3年(厚生労働省「賃金構造基本統計調査」2025年6月分、全国ハイヤー・タクシー連合会)
市場の大きさ:タクシーの営業収入は2024年度に1兆4,425億円で、2019年度(1兆4,951億円)に近い水準まで戻った(全国ハイヤー・タクシー連合会「輸送人員及び営業収入の推移」、国土交通省調べ)
車両数:法人タクシー16万7,404台、個人タクシー2万5,009台(2024年度末、全国ハイヤー・タクシー連合会)
日本版ライドシェア:タクシーが足りない時間帯に、タクシー事業者が一般のドライバーと自家用車を使って補う制度を2024年3月に創設(国土交通省)
配車アプリが乗客の入口を握る
ロボタクシーでも、乗客がまず開くのは配車アプリです。GOは「国内No.1のタクシーアプリ」(Sensor Tower調べのダウンロード数、2020年10月〜2026年6月)として、Waymoの車をGOのアプリから呼べるようにします(GO 2026年9月15日)。UberもWayve・日産と組み、自社のアプリでの提供を準備しています(Uber 2026年3月12日)。
全国ハイヤー・タクシー連合会は、今のタクシーと同等かそれ以上の安全性を、タクシー事業者の責任で確保することを基本に、自動運転タクシーの社会実装に取り組むとしています(TAXI TODAY in Japan 2026)。
事故・撤退の教訓——Cruise、Waymo、百度
ロボタクシーは、1つの事故やシステム障害が許可の停止に直結し、計画の遅れや撤退の判断にもつながる事業です。主な出来事を時系列で並べます。
2023年10月:別の車にはねられた歩行者がCruiseの車両の前に投げ出される事故が起きた。その後の調査で、Cruiseが車両の二次的な動きをはっきり説明しなかったと当局に受け止められ(GM 2023年度 年次報告書(10-K))、カリフォルニア州DMVが10月24日にCruiseの商用展開と無人での試験走行の許可を即時停止した。DMVは根拠として、車両が公道での運行に安全でないこと、安全に関する情報の虚偽報告、公衆への不合理なリスクなどの規定を挙げた(カリフォルニア州DMV 2023年10月24日)
2024年12月10日:GMがCruiseのロボタクシー開発への資金拠出をやめると発表。理由は「事業の拡大に必要な時間と資源の大きさ」と「ロボタクシー市場の競争の激化」(GM)。ホンダがGM・Cruiseと2026年初頭に東京都心で始める予定だった計画(数十台から始め500台規模)は前提を失った(ホンダ 2023年10月19日)
2025年12月20日:サンフランシスコの大規模停電で信号が消え、Waymoは車両からの確認の要請が集中して渋滞の一因になったとして、一時的にサービスを止めた。停電時の情報を車両に持たせる更新を進めるとした(Waymo 2025年12月23日)
2026年3月31日:武漢で百度Apollo Goの車両が一斉に止まったと報じられた。4月29日には、中国政府が新たなロボタクシーの許可の発行を止めているとNikkei Asiaが報じました(Nikkei Asia 2026年4月29日)。7月下旬には、6月末に業界全体の安全点検を終え、一部の都市で許可の発行を再開したと報じられています(electrive 2026年7月23日、Bloombergの報道を引用)。停止が報じられてから再開まで約3か月でした。百度の4〜6月期の決算発表には、1〜3月期にあった乗車回数の記載がありません(百度 2026年第2四半期決算)
2026年6月17日:Waymoが、高速道路の工事区間に入り、そのままの速度で走りうる不具合で3,871台のリコールを届け出た。原因に対処するまで高速道路の走行を制限した(NHTSA リコール 26E035)
関連銘柄① 配車アプリと自動運転ソフト(GO・ティアフォー)
日本の上場企業で、自動運転タクシーが事業に最も近いのはGOとティアフォーの2社です。どちらも、ロボタクシー単独の売上は開示していません。
GO(581A)——Waymoと組む国内最大のタクシーアプリ

GO
GO株式会社は日本最大級のタクシー配車プラットフォームを運営するモビリティ企業。配車可能タクシー8.5万台、累計ダウンロード3,500万件を擁する配車アプリ「GO」を中核に、法人向け「GO BUSINESS」、高級車指定「GO PREMIU…
立ち位置:タクシーアプリ「GO」を運営。Waymo・日本交通と東京で2027年中の完全無人運行をめざし、地域のタクシー事業者との連携と全体設計、GOアプリでの提供を担う(GO 2026年9月15日)
当該事業の規模:自動運転の売上は開示なし。自動運転の実証実験の費用のうちGOが負担した「自動運転費用」は、2025年5月期2.21億円、2026年5月期7.54億円(2026年5月期 通期決算説明資料(2026年8月3日訂正版)p.38)。全社の売上高は414.5億円、営業利益は70.4億円(2026年5月期 決算短信)。自動運転費用7.54億円は営業利益の約11%、売上高の約1.8%にあたる(KabuGraph算出)。会社はこの費用を、本業の稼ぐ力を示す「調整後EBITDA」で足し戻している(同 p.38)
業績への影響:2026年9月15日にWaymoと協業契約を結び、今期(2027年5月期)の業績への影響は軽微と開示した(GO「Waymo LLCとの自動運転タクシーの商用化に向けた戦略的パートナーシップに基づく協業契約締結に関するお知らせ」2026年9月15日)

GO(581A)の企業分析|タクシーアプリ4,000万DLが生む配車プラットフォームの収益構造
GO株式会社(581A)の事業構造(タクシー配車アプリ「GO」・TOKYO PRIME・DRIVE CHART・GX事業)、業績推移、競合比較、投資リスクを個人投資家向けに包括的に解説します。
ティアフォー(593A)——自動運転ソフト「Autoware」、タクシーは「後方追い上げ」

ティアフォー
自動運転用オープンソースソフトウェア「Autoware」の開発を主導するディープテック企業。東京都品川区に本社を置き、The Autoware Foundationを通じて世界の開発者コミュニティを束ねる。「自動運転の民主化」をビジョンに掲…
立ち位置:自動運転のオープンソースソフト「Autoware」の開発を主導。2024年11月にお台場、12月に西新宿でJPN TAXIを使ったロボットタクシーのプレサービス実証を行い、2027年度までに新しい地域で3か月以内に運行を始められるサービスモデルをめざす(ティアフォー 2025年2月18日)。2025年3月にはハンドル・ペダル操作が不要な試作車を公開し、設計を公開する方針(同 2025年3月21日)。2025年7月には、自動運転タクシーの事業化に向けてnewmoとの協業を発表した(newmo・ティアフォー 2025年7月2日)
戦略の位置づけ:会社はタクシー・乗用車を、技術が広まったあとに市場での地位を築く「後方追い上げ型」の領域とし、現時点では過度な投資を抑えるとしている(事業計画及び成長可能性に関する事項 p.30)
当該事業の規模:タクシー単独の売上は開示なし。全社の2026年9月期の会社予想は、売上高84.8億円・営業損失112.4億円(2026年9月期 第3四半期決算短信)。2025年9月期の売上高の内訳(管理会計ベース)は、自治体・交通事業者向けのモビリティ22.7億円、自動車メーカーなど向けのデベロップメント13.3億円、研究機関・企業・政府向けのソリューション28.1億円(事業計画及び成長可能性に関する事項 p.8)

ティアフォー(593A)の企業分析|自動運転OSS「Autoware」の開発者が創業、レベル4バスとOEM量産開発で狙う2030年1,800台
ティアフォー(593A)は自動運転OSS「Autoware」を主導する東証グロース上場企業。3つのサービスの稼ぎ方、2026年9月期予想の売上84.8億円・営業損失112.4億円と補助金の構造、上場資金の持ち時間、Waymo等との競合を一次資料で解説。
関連銘柄② 自動車メーカー(トヨタ・日産・ホンダ)
自動車メーカーは車両の供給と技術提携で関わります。3社ともロボタクシー関連の売上は開示しておらず、全社の売上規模からみて、業績を左右する段階ではありません。
トヨタ自動車(7203)——Waymo・Pony.aiと提携
トヨタ自動車
トヨタ自動車は、世界最大級の自動車メーカーです。カローラ、ランドクルーザー、アルファードなど幅広い車種を展開し、セダンからSUV、トラックまで手がけています。子会社にダイハツ工業、持分法適用関連会社にデンソーを持ち、グループ全体で600社超…
立ち位置:2025年4月30日にWaymoと戦略的パートナーシップの基本合意。新しい自動運転の車両プラットフォームの開発や、市販車の自動運転技術の向上を検討し、Waymoはトヨタ車を配車サービスに導入する考えを示した。協業の範囲・詳細は今後協議する(トヨタ 2025年4月30日)
中国ではPony.aiの第7世代ロボタクシーにトヨタの「bZ4X」が使われ(Pony.ai 2025年4月23日)、2026年8月時点で日々運行している(Pony.ai 2026年第2四半期決算)
当該事業の規模:開示なし。全社の営業収益は50兆6,849億円(2026年3月期、トヨタ 2026年3月期 決算要旨)

トヨタ自動車(7203)の企業分析|日本初の売上50兆円突破、電動車500万台超のマルチパスウェイ戦略
トヨタ自動車(7203)の売上50兆円超の業績構造、電動車戦略、全固体電池への投資、米関税影響、1兆円の自社株買い、投資リスクを個人投資家向けに解説します。
日産自動車(7201)——Wayve・Uberにリーフを供給、横浜で自社サービス

日産自動車
国内主要自動車メーカー。乗用車、商用車の製造・販売が中核。電動化(EV・ハイブリッド)、自動運転技術開発を推進。国内外で幅広い車種ラインアップを展開。
立ち位置:Wayveに出資し(2026年2月の資金調達、Wayve)、WayveのAIを載せたリーフでUberと東京の試験運行を準備(日産 2026年3月12日)。横浜では自社の「Easy Ride」で実証
計画と実績:2024年2月の計画では、2025〜26年度に横浜で20台規模の実証、2027年度に地方を含む3〜4市町村で数十台規模のサービス開始をめざしていた(日産 2024年2月28日)。2026年度の実証は10台で、2027年以降のドライバーレスのサービス提供をめざすとしている(日産 2026年9月14日)
当該事業の規模:開示なし。全社は2026年3月期に5,331億円の最終赤字(日産 2026年3月期 決算短信)で、再建計画「Re:Nissan」を進めている

日産自動車(7201)の企業分析|Re:Nissan再建計画と2期連続赤字からの回復シナリオ
日産自動車(7201)の経営再建計画「Re:Nissan」の進捗、2期連続の大幅赤字と2027年3月期第1四半期の営業黒字転換、e-POWER技術の強み、PBR約0.23倍の投資判断ポイントを個人投資家向けに解説します。
本田技研工業(7267)——GMとの東京の計画は実現せず
本田技研工業
本田技研工業(ホンダ)は世界有数の自動車・二輪車・汎用機械メーカー。乗用車(シビック、アコード)、SUV(CR-V、パイロット)、二輪車、発電機、耕運機など多彩な製品を開発・製造・販売。電動化、自動運転技術に投資。
これまで:2023年10月にGM・Cruiseと、運転席のない専用車「クルーズ・オリジン」で2026年初頭に東京都心でサービスを始める計画を発表した(ホンダ 2023年10月19日)。2024年12月にGMがロボタクシー開発への資金拠出をやめ、計画は実現していない
当該事業の規模:開示なし。日本でのロボタクシーの新しい計画は、2026年10月1日時点でKabuGraphが確認した範囲では公表されていない

本田技研工業(7267)の企業分析|二輪世界首位の収益力とEV戦略転換、売上21兆円企業の岐路
本田技研工業(7267)の4事業(二輪・四輪・金融・パワープロダクツ)の構造、EV関連損失の影響、日産との統合協議破談後の戦略を個人投資家向けに解説します。
関連銘柄③ 出資・保険(ソフトバンクG・SOMPO・東京海上)
ソフトバンクグループ(9984)——Wayveの主要投資家
ソフトバンクグループ
ソフトバンクグループは、投資事業とテクノロジーを軸にしたグローバル企業です。「持株会社投資事業」「ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業」「ソフトバンク事業」「AIコンピューティング事業」の4セグメントを展開しています。通信事業はソフトバンク…
立ち位置:2024年5月にWayveの10.5億ドルの資金調達(Series C)を主導し(Wayve 2024年5月7日)、2026年2月の12億ドル(Series D、投資後の評価額86億ドル)もSoftBank Vision Fund 2が共同で主導した(Wayve 2026年2月25日)
WayveはUberがフリートを保有・運行する形で、10を超える市場に広げる計画(同)。2026年9月3日にはロンドンで、訓練を受けたドライバーが同乗する形の自動運転の配車をUberで始めた。料金は通常のUberと同じで、少ない台数から増やす(Wayve 2026年9月3日)。東京の試験運行もUberとの協業の一つ
当該事業の規模:Wayveの持分の評価額は開示なし

ソフトバンクグループ(9984)の企業分析|NAV72兆円・OpenAIに累計546億ドル、孫正義が描くASI時代の覇権戦略
ソフトバンクグループ(9984)のNAV構成、Arm・OpenAIへの集中投資、純利益5兆円の構造、投資リスクを個人投資家向けに解説します。
SOMPOホールディングス(8630)——ティアフォーの筆頭株主、自動運転向けの保険
SOMPOホールディングス
SOMPOホールディングスは、損害保険ジャパンを中核とする国内大手保険グループ。国内損害保険事業を主力に、SOMPOひまわり生命による国内生命保険事業、北米・欧州・アジアなど海外27か国での保険事業を展開する。加えて、SOMPOケアが有料老…
立ち位置:ティアフォーの議決権の17.49%を持つ筆頭株主で(2026年7月22日時点)、自動運転に関する保険の加入などで取引がある(ティアフォー 2026年7月22日)。損保ジャパンは、ティアフォー・アイサンテクノロジーとレベル4向けの「自動運転システム提供者専用保険」を開発した(損保ジャパンほか 2022年2月4日)
当該事業の規模:自動運転向け保険の保険料は開示なし
東京海上ホールディングス(8766)——遠隔監視と保険を組み合わせる
東京海上ホールディングス
東京海上ホールディングスは、東京海上日動火災保険を中核とする国内最大級の損害保険グループ。自動車保険・火災保険・傷害保険・海上保険等の国内損害保険事業を主力に、東京海上日動あんしん生命保険による国内生命保険事業、北米・欧州・アジアなど世界4…
立ち位置:東京海上日動・東京海上ディーアール・プレミア・エイドが2023年6月、自動運転向けの遠隔監視・事故対応と保険を組み合わせた「Hawk SafEye」の提供を始めた(東京海上日動ほか 2023年6月14日)。東京海上日動は2026年4月、プレステージ・インターナショナルが持つプレミア・エイドの株式の33.4%を取得する契約を結び、プレミア・エイドと資本業務提携した(東京海上日動 2026年4月14日)。プレミア・エイドは日産の横浜実証(第2期)で、監視システムを使った乗客サポートを担う(日産 2026年9月14日)
当該事業の規模:開示なし

東京海上HD(8766)の企業分析|海外利益67%・修正純利益9,500億円、グローバル損保の成長戦略
東京海上ホールディングス(8766)の国内損保・海外保険・生保・ソリューションの4事業、セグメント別業績、株主還元策、2026年10月1日効力の1:15株式分割と株主優待の新設、日本基準とIFRSで二重に開示された2026年3月期の利益を個人投資家向けに解説します。
関連銘柄の事業規模と株価指標を比べる
ロボタクシーの数字を開示している会社はほとんどありません。規模が見えるのは、自動運転の実証費用を開示するGOと、会社全体が自動運転のティアフォーで、自動車メーカー・投資会社・損保にとっては業績のごく一部です。
銘柄 | 役割 | 開示されている規模 |
|---|---|---|
GO | 配車アプリ・全体設計 | 自動運転費用 7.54億円 |
ティアフォー | 自動運転ソフト | 全社の売上高予想 84.8億円 |
トヨタ | 車両・提携 | 開示なし |
日産 | 車両・自社サービス | 開示なし |
ホンダ | 計画は実現せず | 開示なし |
ソフトバンクG | Wayveへ出資 | 開示なし |
SOMPO | 保険・筆頭株主 | ティアフォーの議決権17.49% |
東京海上 | 保険・遠隔監視 | 開示なし |
銘柄 | 時価総額 | PER | PBR |
|---|---|---|---|
GO | 2,774 | 29.8 | 8.90 |
ティアフォー | 1,234 | — | 4.54 |
トヨタ | 426,903 | 9.9 | 0.96 |
日産 | 10,982 | — | 0.22 |
ホンダ | 76,880 | — | 0.56 |
ソフトバンクG | 382,751 | 7.7 | 2.19 |
SOMPO | 61,846 | 9.4 | 1.14 |
東京海上 | 151,142 | 28.0 | 1.85 |
リスク
許認可と開始時期のずれ:正式な開始時期は許認可の取得後に決まる(GO 2026年9月15日)。「1対N」の運行管理や事故時の補償など、国の制度もまだ明確にする途中(第3次交通政策基本計画 p.63-64)
事故・システム障害:事故のあとに許可が停止され(Cruise、2023年)、その約1年後にGMが時間・資源と競争を理由にロボタクシー開発から撤退した例や、停電や一斉停止で運行が止まった例(Waymo・百度)がある。日本でも事故の時には警察署長が許可の効力を仮に止められる(警察庁)
採算:損益を開示している海外の先行企業はいずれも赤字(Alphabet「Other Bets」の営業損失18億ドル、2026年4〜6月期など)。車両費の例は1台1,750万円(国土交通省 手引き第3版 p.182)
海外の技術への依存:東京の2陣営の自動運転技術はWaymo(米国)とWayve(英国)。運賃の配分は開示されておらず、国内企業の取り分は分からない
テーマ株の値動き:GOは2026年6月16日(GO 上場に伴う決算情報等のお知らせ)、ティアフォーは2026年7月22日(ティアフォー 2026年9月期 第3四半期決算短信)の上場で、ロボタクシーのニュースで株価が大きく動きやすい
投資判断のチェックポイント
完全無人の開始時期と台数:GO・Waymo・日本交通の2027年の開始と、約100台へ増える速さ。2026年後半の予定のUber・Wayve・日産の試験運行がいつ始まり、セーフティドライバーがいつ外れるか
許認可の進み具合:特定自動運行の許可(都道府県公安委員会)と、国による車両・事業の審査
GO・ティアフォーの開示:GOの決算説明資料の「自動運転費用」(2026年5月期7.54億円)の推移と、ロボタクシーの収益が立った時の区分の開示。次の決算はGOの2027年5月期 第1四半期が2026年10月15日の予定(GO IRカレンダー)、ティアフォーの2026年9月期が2026年11月中旬の予定(ティアフォー IRカレンダー)
海外の運行規模:Alphabetの決算説明で更新されるWaymoの週あたり乗車回数、百度・Pony.ai・WeRideの車両数と赤字の幅。7〜9月期の決算は、前年の開示日からみてAlphabetが10月下旬(2025年は10月29日、Alphabet 2025年第3四半期決算説明)、百度・WeRide・Pony.aiが11月中旬〜下旬(2025年はそれぞれ11月18日・24日・25日、百度・WeRide・Pony.aiの2025年第3四半期決算)
事故とリコール、規制の動き:米NHTSAのリコール、中国の許可の扱い(2026年7月下旬に一部の都市で再開と報道)、日本での事故と許可の仮停止
国の制度:1対N型の運行管理の要件、事故時の補償、運輸安全委員会の事故調査の体制。車両側では、レベル3・4の国際基準が2027年1月頃に発効する見込み
まとめ
日本で無人のタクシーに乗れるのは、計画どおりなら2027年中の東京から。GO・Waymo・日本交通が段階的に100台規模をめざし、正式な時期は許認可の取得後に決まる
米国ではWaymoが15都市・週50万回超(2026年9月)。中国ではPony.aiが1,975台(6月末)、WeRideが1,800台超(7月末)に広げたが、損益を開示している先行企業はいずれも赤字
日本の運行はタクシー事業の許可を持つ会社が担い、事故の賠償もタクシー会社が負う。配車アプリの運営者は運行供用者に当たらない(国土交通省 2025年4月)
Cruiseの許可停止、Waymoの停電・リコール、百度の一斉停止と中国の許可停止のように、事故や障害は許可停止と計画の遅れに直結する。中国の許可は約3か月後に一部の都市で再開と報じられ、GMは時間・資源と競争を理由にロボタクシーから撤退した
関連銘柄で数字が見えるのはGO(自動運転費用7.54億円、2026年5月期)とティアフォー。トヨタ・日産・ホンダ・ソフトバンクG・損保にとって、ロボタクシーはまだ業績のごく一部








