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日産自動車(7201)の企業分析|Re:Nissan再建計画と2期連続赤字からの回復シナリオ

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日産自動車(7201)は、ルノー・三菱自動車とのアライアンスを軸に世界で事業を展開する日本の大手自動車メーカーです。「技術の日産」を標榜し、EV先駆者としてLEAFを世に送り出し、独自のシリーズハイブリッド技術「e-POWER」を展開しています。

しかし近年の業績は厳しく、2025年3月期に6,709億円、2026年3月期に5,331億円と2期連続の大幅最終赤字を計上。2025年にイヴァン・エスピノーサ新CEOのもとで経営再建計画「Re:Nissan」を発表し、抜本的な構造改革に取り組んでいます(日産公式)。

この記事では、日産の事業構造、Re:Nissan再建計画の中身、e-POWER技術の強み、投資判断のポイントを個人投資家の視点から解説します。

会社概要 — 「技術の日産」の現在地

日産自動車は1933年に設立された日本の大手自動車メーカーです。1999年にルノーとのアライアンスを結び、現在は三菱自動車を含む3社連合で事業を展開しています。2018年のカルロス・ゴーン事件以降、経営の混乱が続きましたが、2025年にイヴァン・エスピノーサ氏がCEOに就任し再建に着手しています。

項目

内容

会社名

日産自動車株式会社(Nissan Motor Co., Ltd.)

証券コード

7201(東証プライム)

設立

1933年12月

代表

イヴァン・エスピノーサ CEO(2026年8月時点)

従業員数

約13.4万名(連結、2026年3月時点)

本社

横浜市西区高島(グローバル本社)/登記上の本店は横浜市神奈川区宝町

事業構成 — 自動車事業と販売金融事業の2本柱

日産の事業セグメントは自動車事業と販売金融事業の2つです。売上の約89%を自動車事業(10兆9,201億円)が占め、販売金融事業(北米を中心としたオートローン・リース)が約11%(1兆3,180億円)を構成しています。

通期業績推移(売上高・営業利益)

出典:決算短信・有価証券報告書・IR資料よりKabuGraph作成、2027/3は会社予想

日産の技術と事業を理解する

① 自動車事業 — 世界で約315万台を販売

日産自動車のイノベーション(N6 EV)
出典:Nissan Motor Corporation Global Website

日産の自動車事業は、2026年3月期の売上高10兆9,201億円(販売金融除く)で、グローバル販売台数は約315万台(前期比▲5.8%)、2027年3月期も約315万台を計画しています。主力市場は北米・中国・日本で、SUV(ローグ/エクストレイル)、セダン(アルティマ)、EV(アリア)、e-POWER搭載車(ノート、セレナ)が主力車種です。

しかし近年は販売台数の減少が深刻で、特に中国市場ではBYDなどの地場EVメーカーに押されてシェアが急落。北米でもインセンティブ(値引き)依存の販売体質が利益率を圧迫しています。

② e-POWER — 充電不要のEV体験を提供する独自技術

日産e-POWER技術の進化(3世代)
出典:Nissan Motor Corporation Global Website

e-POWERは日産独自のシリーズハイブリッド技術で、エンジンは発電専用、駆動は100%モーターで行います。充電インフラに依存せずEVに近い静粛性と加速感を実現する点が特徴です。2016年の初代(ノート搭載)から現在は第3世代に進化し、5-in-1ユニットとして効率が大幅に向上しています。

充電インフラが未整備の新興国市場では特に競争力が高く、日産の差別化技術として重要な位置づけにあります。

③ 販売金融事業 — 安定した利益貢献

販売金融事業は売上高1兆3,180億円(2026年3月期)で、北米を中心にオートローン・リースを提供しています。自動車事業が赤字に苦しむ中でも比較的安定した利益を確保しており、グループ全体の下支え役を果たしています。

Re:Nissan再建計画と業績分析

Re:Nissan — 「選択と集中」による再建の道筋

2025年に発表された「Re:Nissan」は、日産の経営再建計画の核となるものです(日産自動車 プレスリリース(2025年5月13日))。主な施策は以下の3つの柱で構成されています。

  • コスト構造の改善:2万人の人員削減、世界17工場中7工場の閉鎖、サプライチェーン見直しで合計5,000億円の固定費・変動費削減

  • 市場・商品戦略の再定義:販売台数ではなく収益性を重視し、インセンティブ依存からの脱却。米国・日本・中国・欧州・中東・メキシコを主要市場と位置づけ、市場ごとに最適なモデルを投入。日本ではモデルカバー率を拡大しホームマーケットのブランドを強化

  • パートナーシップの強化:ルノー・三菱自動車との共同プロジェクト(次期型リーフをベースとした北米市場向け新型BEV、フィリピン向け新型バン等)を推進。ホンダとも自動車の知能化・電動化における戦略的パートナーシップを継続

主要財務指標

指標

2025/3期

2026/3期

2027/3予

売上高

12兆6,332億円

12兆79億円

13兆円

営業利益

698億円

580億円

2,000億円

最終損益

▲6,709億円

▲5,331億円

+200億円(会社予想・黒字転換)

EPS

▲187.08円

▲152.58円

5.72円

1株配当

0円

0円

0円(無配継続)

BPS

1,419.78円

1,372.56円

最終損益の推移

出典:決算短信・有価証券報告書・IR資料よりKabuGraph作成

PBRは約0.25倍(2026年9月1日時点)と、東証プライム市場でも下位に位置する低水準です。再建が軌道に乗れば大幅なバリュエーション修正が見込まれます。一方、自己資本比率は約26%(2026年3月期末の純資産5兆2,417億円)を維持しているものの、赤字が続けば財務の余力が細り、投資余力や格付けへの影響が懸念されます。

投資家が注目すべきポイント

回復シナリオ

Re:Nissanの実行スピード:5,000億円のコスト削減が計画通り進めば、2027年3月期の営業利益2,000億円は達成可能です。7工場閉鎖と2万人削減の実行状況が最大の注目点。エスピノーサCEOは2026年5月の会見で「再建から成長段階へ進んだ」と発言しています。

e-POWERの海外展開:充電インフラ不要のe-POWERは、東南アジア・インド・中南米など新興国市場での拡大余地があります。第3世代の5-in-1ユニットでコスト競争力も向上しており、差別化技術として長期的な成長ドライバーとなる可能性があります。

リスク要因

自己資本の毀損:BPSは2024年3月期の1,599円から2026年3月期の1,372円へ減少。2期連続の巨額赤字で自己資本が急速に縮小しており、追加の赤字が発生すれば財務的な余裕はさらに失われます。ROEは-10.2%と深いマイナス圏です。

中国・北米市場の回復時期が不透明:中国市場ではEVシフトの波に乗り遅れ、BYDなどの地場メーカーに大幅にシェアを奪われています。北米も関税リスクとインセンティブ依存の課題を抱えており、販売台数回復の見通しが立ちにくい状況です。

アライアンスの行方:ホンダとの経営統合は2025年2月に破談。ルノーとの資本関係は2023年に見直され対等に近づきましたが、規模のメリットをどう確保するかは引き続き課題です(日産自動車 プレスリリース(2025年2月13日))。

まとめ

日産自動車は2期連続の大幅赤字から経営再建に取り組む「ターンアラウンド銘柄」です。

  • Re:Nissan再建計画で2万人削減・7工場閉鎖による5,000億円コスト削減を推進中

  • e-POWER第3世代は充電インフラ不要の独自技術として新興国市場で差別化可能

  • PBR 約0.25倍は再建成功時の上値余地が大きいが、下値リスクも相応に高い

  • 無配・ROE-10%で、安定的な投資先としては不向き。再建の進捗を見極める必要あり

日産への投資は「再建計画の成否に賭ける」投資です。Re:Nissanの実行力と北米市場の回復が確認できるまではリスクが高い一方、PBR 約0.25倍という極端な水準は再建成功時のリターンも大きいことを示唆しています。


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7201自動車・輸送機

日産自動車

国内主要自動車メーカー。乗用車、商用車の製造・販売が中核。電動化(EV・ハイブリッド)、自動運転技術開発を推進。国内外で幅広い車種ラインアップを展開。

コラム著者・編集者

K

KabuGraph編集部

KabuGraph編集部は、投資情報の発信と株式分析ツールの開発に携わるチームです。日本株・米国株の事業分析から、投資に役立つ情報をわかりやすくお届けします。

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