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【投資テーマ解説】カーシェア|車両8.5万台の77%がタイムズ、撤退も相次ぐ——稼ぎ方と関連10社の事業規模

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カーシェアは、会員が無人の駐車場に置かれた車を、15分単位などの短い時間で借りられるサービスです。法律上はレンタカーと同じ「自家用自動車の有償貸渡し」の一形態で、2026年3月時点の国内の車両は85,312両、会員は539万人でした(交通エコロジー・モビリティ財団「わが国のカーシェアリング車両台数と会員数の推移」)。

投資家にとって大事なのは、車両の77.1%をタイムズカー(パーク24)が占める一強の市場だという点です(同財団「全国のカーシェアリング事例一覧(2026年3月一斉調査版)」よりKabuGraph算出)。個人間カーシェアの「Anyca」は2024年末に、ENEOSは2025年9月にサービスを終え、ホンダも「Honda EveryGo」を2027年3月下旬に終えると2026年9月28日に発表しました。カーシェアが業績を左右するほど大きい上場企業は、実質的にパーク24だけです。

この記事では次の順で整理します。

  • カーシェアの仕組みとレンタカーとの違い(3つの型と制度)

  • 市場規模(車両・会員の推移と、市場規模の推計)と、レンタカーとの料金比較

  • 事業者の勢力図と、撤退・再編の流れ

  • 稼ぎ方(駐車場・稼働・1台あたり利用料)と、EV・自動運転との関係

  • 関連10社の立ち位置とカーシェア事業の規模、株価指標、リスク

株価指標はすべて2026年10月5日終値時点、業績は各社の決算短信・決算説明資料によります。

カーシェアとは——会員制・無人で貸す「レンタカーの一形態」

カーシェアは、事業者が駐車場に置いた車を、登録した会員がスマートフォンや会員カードで予約・解錠して使うサービスです。料金は短い時間を単位にしたものが中心で、最大手のタイムズカーは15分220円から、ガソリン代・保険料込みです(タイムズカー「料金」、2026年10月6日閲覧)。

借りた車をどこに返すか、誰の車を借りるかで、次の3つの型に分かれます。

出典:国土交通省「貸渡人を自動車の使用者として行う自家用自動車の貸渡し(レンタカー)の取扱いについて」・「レンタカー型カーシェアリングにおける乗り捨て(ワンウェイ)方式の実施に係る取り扱いについて」・「法令適用事前確認手続 回答書(2021年6月7日)」よりKabuGraph作成

法律上はレンタカーと同じ許可で営む

国土交通省は「レンタカー型カーシェアリング」を、道路運送法第80条第1項の許可を受け、会員制により特定の借受人に対して自家用自動車を業として貸し渡すことと定めています。許可そのものはレンタカーと同じで、違うのは運用のルールです(国土交通省 自動車局長通達「貸渡人を自動車の使用者として行う自家用自動車の貸渡し(レンタカー)の取扱いについて」、2022年5月31日最終改正)。

  • 無人の拠点で貸せる:本社などでITを使って車両の貸渡し状況や整備状況を把握できれば、従業員のいない駐車場に車を置いて貸し出せる

  • 貸渡証が要らない:レンタカーは借りる人に貸渡証を交付するが、レンタカー型カーシェアリングは対象外

  • 保険の最低限度は同じ:対人1人当たり8,000万円以上、対物1件当たり200万円以上、搭乗者1人当たり500万円以上の自動車保険への加入が許可の条件

レンタカーとの境目は薄れつつあります。国内のカーシェア統計を2002年から続けてきた交通エコロジー・モビリティ財団は2026年7月17日、オンライン予約・短時間利用・無人貸渡しがレンタカーにも広がり、「一般的なレンタカー事業とのサービス上の差異は次第に小さくなっています」ことなどを挙げ、2026年3月の調査で統計を終えると公表しました(同財団「わが国のカーシェアリング車両台数と会員数の推移に関する調査の今後について」)。

ワンウェイ(乗り捨て)は2014年に扱いを明確化

借りた場所と別のステーションに返せる「ワンウェイ型」について、国土交通省は2014年3月27日の通達で、ITで車両を把握できれば無人の路外駐車場も配置事務所にでき、そこを車の「使用の本拠の位置」にできると明確にし、2014年9月1日から運用しました(国土交通省 報道発表・通達本文)。日産は2019年1月31日、福島県富岡町に開いたステーションで「NISSAN e-シェアモビ」初のワンウェイ運用を始めました(日産自動車 ニュースリリース 2019年1月31日)。

ただ、乗り捨てを認めると車が人の集まる場所に偏りやすく、偏りを戻す手間や返却する区画の確保が要ります。タイムズカーや三井のカーシェアーズなど大手の主力は、今も借りた場所に返すラウンドトリップ型です。

個人間カーシェアは「共同使用」の扱い

個人が自分の車を他人に貸す個人間カーシェアは、仲介サービスを通じて持ち主と借り手が車の「共同使用」の契約を結ぶ形が中心です。国土交通省は2021年6月7日、照会された事例(社員の車を勤務先と共同使用する形)について、仲介サービス自体は道路運送法の許可の対象にならないとしたうえで、共同使用料の設定が形骸化したり、日・時間単位だけで料金を決めたりすれば「自家用自動車有償貸渡業との差はない」とし、車の持ち主に許可が要る場合もあるとの見解を示しました(国土交通省 法令適用事前確認手続 回答書)。

同じ回答は、共同使用料は「営利を目的とせず、自動車の維持費の範囲内」であることを考え方の例に挙げており、持ち主が利益を得る仕組みにはしにくい形です。個人間の最大手だった「Anyca」は2024年12月31日にサービスを終えました(次の「事業者の勢力図」で触れます)。

市場規模——車両8.5万台・会員539万人、市場は1,205億円

10年で車両は4.3倍、会員は6.4倍に

交通エコロジー・モビリティ財団の調査では、2026年3月の国内のカーシェアはステーション37,231か所、車両85,312両、会員5,391,855人でした。2016年3月(車両19,717両・会員84.6万人)と比べると、車両は4.3倍、会員は6.4倍です(同財団よりKabuGraph算出)。

国内のカーシェアの車両と会員(各年3月)

出典:交通エコロジー・モビリティ財団「わが国のカーシェアリング車両台数と会員数の推移」(2026年7月17日公表)よりKabuGraph作成。車両は貸渡車両数、会員(右軸)は万人。調査に回答した事業者の合計で、2024年は個人間カーシェアのAnyca(会員84万人以上)、2025年はNISSAN e-シェアモビ(1万両・100万人)を含み、2026年はどちらも含まない(同財団「全国のカーシェアリング事例一覧」2024年版・2025年版・2026年版)

ただし、この合計は回答した事業者の出入りで動きます。グラフの直近2年を読むときは、次の点に注意が要ります。

  • 2025年→2026年は「横ばい」ではない:2025年3月の合計にはNISSAN e-シェアモビの1万両・100万人が入り、2026年3月には載っていない。これを除いて比べると、車両は74,887両から13.9%増、会員は460.2万人から17.2%増(2025年版・2026年版よりKabuGraph算出)。矢野経済研究所も2025年3月の車両数を、同財団の公表値に一部見直しを加えた74,887台としている

  • 2025年の跳ねも日産の分:2024年→2025年の車両の増加(約26%)の大半は日産の1万両(2024年版は238両)。日産とAnycaを除くと66,872両から74,887両へ12.0%増で、矢野経済研究所の「74,887台・前年比12.0%増」と一致する(2024年版・2025年版よりKabuGraph算出)

  • 2024年の会員の急増:前年から約156万人増えたうち、個人間カーシェアのAnycaが初めて会員数つきで載った分(84万人以上)が大きい(2024年版)

市場規模は2025年に1,205億円、2030年に1,819億円の予測

矢野経済研究所は、カーシェアの市場規模を2025年に1,205億円と推計し、2030年に1,819億円まで伸びると予測しています(矢野経済研究所「レンタカー&カーシェアリング市場に関する調査を実施(2026年)」、2026年5月7日)。対象はBtoC型の乗用車カーシェア(レンタカー型)だけで、個人間カーシェアは含みません。

  • レンタカーの約1割の規模:同じ調査でレンタカーの市場規模は2025年に1兆669億円。国内のレンタカー車両は2025年3月末に116万8,522台(全国レンタカー協会の集計を同社が引用)で、同じ時点のカーシェアの車両(同社の値で74,887台)はその6%ほど

  • 1回の利用は近場・日常使いが中心:2026年3月のネット調査では、1回あたりの平均利用料金がレンタカー11,304円、カーシェア6,652円。同社はこの差を、レンタカーは旅行・レジャーが主なのに対し、カーシェアは買い物などの日常使いの比率も高いという用途の違いによるものとしている。カーシェアが割安という意味ではなく、1回の利用が短く近場であることを映した数字で、利用時間あたりの料金の比較は公表されていない

  • 伸びの背景:同社は、車を「保有すること」から「必要な時に利用すること」への意識の移行と、法人需要の増加を挙げている

出典:矢野経済研究所 2026年5月7日 プレスリリースよりKabuGraph作成

レンタカーとカーシェア、どちらが割安か

1回あたりの平均利用料金の差は用途の違いを映したもので、同じ使い方での料金の比較ではありません。そこで、同じパーク24グループのタイムズカー(カーシェア)とタイムズカーレンタル(レンタカー)について、同じクラスの車を同じ時間・距離で使った場合の料金を、公表されている料金表から計算しました。

場面
時間・距離

カーシェア
(円)

レンタカー標準
(円)

レンタカーWeb会員
(円)

近場の買い物
2時間・15km

1,760

7,468

6,229

半日のお出かけ
6時間・60km

5,090

7,979

6,739

日帰りの遠出
12時間・200km

9,100

10,959

9,441

日帰りの長距離
12時間・350km

12,100

12,661

11,143

1泊2日の旅行
33時間・300km

14,400

22,379

19,024

2泊3日の旅行
57時間・500km

23,900

33,668

28,729

1週間の帰省
7日・1,000km

55,900

75,422

64,147

出典:タイムズカー「利用料金」「補償制度」、タイムズカーレンタル「料金」「補償コースについて」(いずれも2026年10月6日閲覧)、資源エネルギー庁「石油製品価格調査」よりKabuGraph算出。カーシェアはタイムズカーのベーシッククラス(15分220円、6・12・24・36・48・72時間の上限料金あり、20kmを超えた分は1km20円、ガソリン代・補償込み)。レンタカーはタイムズカーレンタルのC-1クラス(MAZDA2など)の通常期の標準料金に、カーシェアと同じ免責0円にそろえる免責補償(24時間ごとに1,100円)と、ガソリン代(レギュラーの全国平均170.2円〈2026年9月28日〉を実燃費15km/Lと仮定して1kmあたり約11.3円)を加えた。Web会員はタイムズクラブ会員が公式サイトで予約した場合の2割引。太字は3つのうち最も安いもの
  • 短時間・近場はカーシェア:レンタカーは6時間が最低単位で、2時間しか使わなくても6時間分かかる。カーシェアは15分単位

  • 日帰りで長く走るならレンタカー:カーシェアの距離料金(1km20円)は、レンタカーのガソリン代(約11円)より1kmあたり約9円高い。Web会員料金のレンタカーとは日帰りで約230〜250km、標準料金とは約390〜430kmを超えるとレンタカーの方が安くなる(KabuGraph算出)

  • 泊まりはカーシェアの上限料金が効く:36時間8,800円・48時間9,900円の上限があり、Web会員料金のレンタカーと比べても、1泊2日で約840km、2泊3日で約1,060kmまではカーシェアの方が安い(KabuGraph算出)

  • 前提が変わると結論も動く:燃費の良いハイブリッド車を借りればレンタカーのガソリン代が下がり、逆転する距離は短くなる。年末年始・GW・お盆はレンタカーに繁忙期料金がかかる。カーシェアは借りた場所に返す必要があり、72時間を超える利用は一部のステーションに限られる(タイムズカー「利用料金」)

事業者の勢力図——タイムズが車両の77%、撤退が続く

車両の77%、会員の71%がタイムズカー

2026年3月の調査に回答した16事業者のうち、タイムズカーは車両65,776両・会員3,809,783人で、車両の77.1%、会員の70.7%を占めます。2019年3月の車両シェアは70.0%で、先頭との差はむしろ広がっています(交通エコロジー・モビリティ財団「全国のカーシェアリング事例一覧」2026年版・2019年版よりKabuGraph算出)。

  • タイムズカー(タイムズモビリティ/パーク24):65,776両・会員3,809,783人

  • 三井のカーシェアーズ(三井不動産リアルティ/三井不動産):7,062両・会員719,633人

  • モビシステム(西尾レントオール/ニシオHD):5,050両・会員17,550人。法人向けの工事車両

  • TOYOTA SHARE(トヨタ自動車):3,441両・会員229,991人

  • オリックスカーシェア(オリックス自動車/オリックス):2,604両・会員477,379人

  • 名鉄協商カーシェア カリテコ(名鉄協商/名古屋鉄道グループ):644両・会員52,200人

出典:交通エコロジー・モビリティ財団「全国のカーシェアリング事例一覧(2026年3月一斉調査版)」よりKabuGraph作成。車両の多い順。括弧内は運営会社/上場している親会社

上位2社と6位の名鉄協商には共通点があります。タイムズ(タイムズパーキング)、三井(三井のリパーク)、名鉄協商(名鉄協商パーキング)は、いずれも時間貸駐車場を自ら運営する会社です。首位のパーク24自身も、駐車場の空きスペースを使ってすばやく拠点を増やせることを強みに挙げています(次の「稼ぎ方」で触れます)。

撤退・再編の年表

  • 2024年2月:三井不動産リアルティが「カレコ・カーシェアリングクラブ」を「三井のカーシェアーズ」に改称。三井不動産グループとの連携を強め、車両1万台・会員100万人をめざすとした(2023年12月末は7,297台・約48万人。三井不動産リアルティ 2024年2月1日)

  • 2024年12月31日:個人間カーシェア最大手の「Anyca」(ディー・エヌ・エーとSOMPOホールディングスが出資するDeNA SOMPO Mobilityが運営)がサービスを終了。会員は91万人を超えていたが、運営会社は「サービス開始当初から描いていた規模には遠く及ばず」と説明したと報じられた(Car Watch 2024年10月15日・DeNA 2019年4月12日)

  • 2025年1月:日産が「NISSAN e-シェアモビ」の運営を日産カーレンタルソリューションに移し、日産レンタカーの予約システムと統合(日産自動車 2024年12月25日)。NTTドコモの「dカーシェア」での取扱いは1月16日で終了(dカーシェア お知らせ)

  • 2025年3月:三井のカーシェアーズが、楽天の予約サービス「楽天カーシェア」と提携(三井不動産リアルティ 2025年3月11日)

  • 2025年9月19日:ENEOSが2020年に始めた「ENEOSカーシェア」を終了。最後に残っていたのは東京晴海水素ステーションの1か所だった(ENEOS 2025年9月17日)

  • 2026年1月:タイムズモビリティが、京成不動産の「京成カーシェア」にカーシェアの運営の仕組み「タイムズプラットフォームサービス(TPL)」を提供すると発表(タイムズモビリティ 2026年1月15日)

  • 2026年3月:交通エコロジー・モビリティ財団のカーシェア統計が、この月の調査で終了(同財団)

  • 2026年4月:東武鉄道が、TPLを使う「東武カーシェア」(約30カ所・約70台)を開始。予約・解錠はタイムズカーのアプリと会員カードで行う(タイムズモビリティ 2026年2月20日)

  • 2026年9月25日:タイムズカーのWebシステムへの不正アクセスを検知。28日に約660万件のアカウントの個人情報の漏えいを公表し、29日の第3報で、うち約160万件は運転免許証の画像などの本人確認書類も漏えいしたと明らかにした(パーク24 2026年9月28日・第3報)

  • 2027年3月下旬(予定):ホンダが「Honda EveryGo」を終了。新規会員登録は2026年11月18日18時で締め切り、ステーションは順次閉鎖する(Honda EveryGo お知らせ 2026年9月28日)

カーシェアの稼ぎ方——駐車場・稼働・1台あたり利用料

カーシェアの売上は、ざっくり言えば車両の台数 × 1台あたりの利用料です。費用の大半は車を置いておくだけでかかる固定費なので、1台がどれだけ使われるか(稼働)が利益を決めます。パーク24はタイムズカーの「台・月当たり利用料」を、利用単価×利用件数に分けて開示しています(2026年10月期 第3四半期決算説明会資料 p.10)。最大手のタイムズカーの開示から、その構造を見ておきます(パーク24 IR Book 2025 p.16)。

出典:パーク24 IR Book 2025 p.16・2025年10月期 決算短信よりKabuGraph作成
  • 車両:新車を購入かリースで調達し、購入した車は4年で償却した後に中古車市場で売る。売却額もタイムズカーの売上になる

  • 原価の約7割が固定費:車両の償却費(リース費)や駐車場費など。燃料費や事故関係費などの変動費は約3割

  • 燃料と整備は事業者持ち:利用者は給油せずに返せる。料金にガソリン代が含まれるため、燃料価格の上昇は事業者の負担になる。逆に燃料が下がれば追い風で、パーク24は2026年10月期の計画にガソリンの暫定税率廃止の影響などを織り込んでいる(2025年10月期 決算説明会資料 p.19)

出典:パーク24 IR Book 2025 p.16よりKabuGraph作成

駐車場を持つ会社が有利な理由

車を置く区画の確保は、カーシェアの拠点づくりそのものです。パーク24はタイムズパーキングの空きスペースを使ってすばやく展開できることを事業戦略の1番目に挙げています(IR Book 2025 p.16)。同社の国内のタイムズパーキングは2026年7月末で20,400件、月極などを含む総運営は27,668件・917,152台です(2026年10月期 第3四半期決算短信)。

2位の三井のカーシェアーズを運営する三井不動産リアルティも、貸し駐車場「三井のリパーク」を252,857台(2026年3月末)管理しています(三井不動産 2026年3月期 決算短信)。上位2社とも、車を置く場所を自社の駐車場網から用意できる立場にあります。

増車が会員の伸びを上回ると減益になる

台数を増やせば売上は伸びますが、近くに使う会員がいなければ1台あたりの稼働が落ち、固定費だけが増えます。タイムズカーはそれを2025年10月期に経験しました(パーク24 2025年10月期 決算短信)。

  • 2024年12月17日の中期経営計画:カーシェアの増車を「年1万台のペースへ」加速し、平日の法人利用を中心に稼働を上げる方針を示した(2027年10月期 中期経営計画 p.13)

  • 2025年10月期:タイムズカー専用車両を12,829台(25.1%)増やして63,880台にしたが、会員は3,616千人(19.2%増)で、会社は「会員獲得が想定を下回ったこと等により、サービスの稼働が軟調に推移した」と説明。車両1台当たり利益が前期を下回り、モビリティ事業の営業利益は148.9億円(6.4%減)

  • 2026年10月期:増車ペースを緩め、地域ごとの会員の集中度と車両の配置を比べて車を置く場所を選ぶ方針に変えた。第3四半期累計(2025年11月〜2026年7月)は専用車両が5,853台増の69,733台、会員は441千人増の4,057千人で、車両1台当たり会員数は改善したが、車両1台当たり利用料は想定を下回った(2026年10月期 第3四半期決算短信)

  • 稼働の実数:第3四半期累計のタイムズカー専用の台・月当たり利用料は113.1千円(前年同期比97.2%)で、利用単価3,689円×利用件数30.6件。2025年12月の料金改定で単価は上がったが、件数が減った(第3四半期決算説明会資料 p.10)

  • 伸びしろは平日:会社は、休日の稼働率は90%を超える一方、平日の稼働には上昇余地があるとし、法人会員の獲得と利用の喚起に力を入れるとしている(第3四半期決算説明会 質疑応答 A6)

EV化・自動運転との関係

EV:車を「貸す側」が充電を抱える

  • 制度の狙いにEVがあった:国土交通省は2014年にワンウェイ型の扱いを明確にした際、EVを使うカーシェアで充電設備を置けるエリアが広がることを効果の1つに挙げていた(国土交通省 報道発表 2014年3月27日)

  • タイムズカーは約42車種、電動車率は約66%:会社の表現で、内訳(EV・ハイブリッドなど)は示されていない(パーク24 IR Book 2025 p.16)

  • 水素・EVのカーシェアは撤退も:ENEOSは燃料電池車「MIRAI」とEV「リーフ」を東京晴海水素ステーションで貸していたが、2025年9月19日にサービスを終えた(ENEOS 2025年9月17日)

EVは燃料費が下がる一方、充電設備を置ける区画の確保と、充電中は貸せない時間が生まれる点が、稼働で稼ぐカーシェアの採算に直結します(KabuGraphの見方)。

自動運転:駐車場と管制の「運営者」になれるか

パーク24は2024年12月17日の中期経営計画で、駐車場とカーシェアを一元的に見守る中央管制センターを育て、「将来的に自動運転車が普及した際の車両の遠隔操作・制御を担い、日本最大・唯一のモビリティサービスプラットフォーマーへ」という長期の構想を掲げました(2027年10月期 中期経営計画 p.23)。モビリティ事業の方針にも、ライドシェア・インバウンド・自動運転などの事業機会をつかむことを挙げています(同 p.13)。

ただし、これは長期の構想で、自動運転に関わる具体的な事業計画や数字はまだ示されていません。

自動運転の制度と各社の現在地、自動運転タクシーの採算は、それぞれ次の記事で整理しています。

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関連銘柄の立ち位置とカーシェア事業の規模

カーシェアの車両台数で見ると上位は駐車場・不動産・リースの会社と自動車メーカーですが、カーシェアの売上を区分して開示しているのはパーク24だけです。ほかの会社は、交通エコロジー・モビリティ財団の2026年3月の調査の車両台数・会員数で規模を示し、カーシェアを含む開示区分と全社の数字を添えます(同財団 2026年版)。

カーシェアが本業の柱

パーク24(4666)— タイムズカーで車両の77%

タイムズカーの公式サイトのトップページ。ステーション検索・料金・利用方法のメニューと、不正アクセスによる個人情報漏えいのお詫びと問い合わせ案内が表示されている
出典:タイムズモビリティ公式サイト「タイムズカー」(2026年10月6日閲覧)
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パ
4666不動産

パーク24

駐車場事業の全国チェーン。『タイムズパーキング』で時間貸・月極駐車場サービス、『タイムズカー』でカーシェアリングとレンタカー融合型モビリティサービスを提供。英国・豪州・台湾など海外進出も積極的。

  • 立ち位置:時間貸駐車場「タイムズパーキング」の区画を中心にカーシェア車両を置く最大手。2026年3月の車両シェアは77.1%(同財団 2026年版よりKabuGraph算出)。2026年8月末のタイムズカーの車両は87,040台(うちカーシェア専用70,005台)、会員は4,149千人(2026年10月期 速報数値 8月度)

  • 当該事業の規模:パーク24は決算説明会資料で、カーシェアだけの数字(直営の「タイムズカー専用」)を開示している。2025年10月期のタイムズカー専用の売上高は968億円、事業利益96億円(全社売上高4,061.7億円の約24%。2025年10月期 決算説明会資料 p.8)。矢野経済研究所の2025年の市場規模(1,205億円)の約8割にあたる(期の区切りが違うため目安、KabuGraph算出)。レンタカー・ロードサービスを含むモビリティ事業全体では売上高1,285.1億円、営業利益148.9億円(2025年10月期 決算短信)

  • 直近:2026年10月期 第3四半期累計(2025年11月〜2026年7月)のタイムズカー専用は売上高788億円・事業利益75億円で、修正計画を29億円・7億円下回った(第3四半期決算説明会資料 p.8)。モビリティ事業全体は売上高1,033.4億円(前年同期比12.3%増)、営業利益103.8億円(同14.3%増、第3四半期決算短信)。他社ブランドに仕組みを貸すTPL(事業開発)は売上高6億円・事業利益2億円(同説明会資料 p.4)

  • 見るべき点:2026年9月に判明した約660万件の個人情報漏えい(うち約160万件は運転免許証の画像などの本人確認書類を含む)について、会社は業績への影響を精査中としている(2026年9月28日 開示・第3報)。損害賠償を求める集団訴訟の募集に3,000人近くが参加の意思を示し、10月2日に株価が一時4か月ぶりの安値をつけたと報じられています(ITmedia NEWS 2026年10月2日)。調査・対策の費用に加え、会員獲得のペースに影響が出るかが焦点

会社全体の業績、駐車場事業、英国事業の再編、漏えいの経緯は、銘柄の分析記事で詳しく扱っています。

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駐車場・不動産・リース・レンタルの会社

三井不動産(8801)— 三井のカーシェアーズとリパーク

三井のカーシェアーズの公式サイトのトップページ。運営会社の三井不動産リアルティのロゴと、サービス・料金・ステーションのメニュー、メンバーズプログラムなどの案内
出典:三井不動産リアルティ公式サイト「三井のカーシェアーズ」(2026年10月6日閲覧)
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三
8801不動産

三井不動産

日本最大級の総合不動産デベロッパー。オフィスビル・商業施設の賃貸、「三井不動産レジデンシャル」による戸建・マンション分譲、「三井のリハウス」ネットワークによる不動産仲介、駐車場「リパーク」の運営を展開する。ホテル・リゾート施設営業や不動産投…

  • 立ち位置:子会社の三井不動産リアルティが運営する国内2位。2026年3月の車両は7,062両、会員は719,633人(同財団 2026年版)。2024年2月の改称時に、車両1万台・会員100万人をめざすとした(三井不動産リアルティ 2024年2月1日)

  • 当該事業の規模:カーシェア単独の売上は開示なし。カーシェアは「マネジメント」セグメントのプロパティマネジメントに含まれ、2026年3月期の売上高は3,763.3億円(貸し駐車場「三井のリパーク」なども含む)。会社は同区分の増収要因の1つに「カーシェア事業における売上高増加」を挙げている。全社の売上高は2兆7,097.5億円(2026年3月期 決算短信)

  • 見るべき点:全社に占める比率は小さく、カーシェアが業績を動かす段階にはない。改称時の目標(車両1万台)に対し、2026年3月は7,062両。車両は2024年3月の7,560両から2年続けて減る一方、会員は503,638人から719,633人に増えている(理由の開示はない。同財団 2024年版・2026年版)

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オリックス(8591)— オリックスカーシェア

オリックスカーシェアの公式サイトの「オリックスカーシェアの特徴」のページ。24時間いつでも利用でき、ガソリン代も保険もコミコミの料金と説明している
出典:オリックス自動車公式サイト「オリックスカーシェアの特徴」(2026年10月6日閲覧)
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オ
8591金融(除く銀行)

オリックス

リース事業から出発した多角的金融サービス企業。自動車・ICT機器のリース・レンタル、不動産開発・運営、再生可能エネルギー、生命保険、銀行業務、航空機投資を展開。米国・欧州・アジアで1,369の子会社と128の関連会社を擁する。プライベートな…

  • 立ち位置:オリックス自動車が2002年4月に始めた老舗。2026年3月の車両は2,604両、会員は477,379人で、会員数は国内3位(同財団 2026年版)

  • 当該事業の規模:カーシェア単独の売上は開示なし。「法人営業・メンテナンスリース」セグメントの「自動車」部門のセグメント利益は2026年3月期に517.9億円、国内自動車管理台数は141.9万台(2026年3月末)(オリックス 決算補足資料(5ヵ年の業績データ)p.5〜6)

  • 見るべき点:カーシェアの車両は国内自動車管理台数の0.2%ほど(KabuGraph算出)で、全社の業績への寄与はごく小さい

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名古屋鉄道(9048)— 名鉄協商のカリテコ

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名
9048運輸・物流

名古屋鉄道

名古屋圏を基盤とする私鉄大手。鉄道・バス・タクシーの交通事業を中核に、トラック運送・フェリー(「太平洋フェリー」)の運送事業、不動産の賃貸・分譲、ホテル・リゾート施設の運営、「名鉄百貨店」の流通事業、航空関連サービスまで幅広く展開する名鉄グ…

  • 立ち位置:時間貸駐車場「名鉄協商パーキング」も運営する名鉄グループの名鉄協商(名古屋鉄道「名鉄グループ」)が、「名鉄協商カーシェア カリテコ」を運営する(カリテコ 公式サイト)。2009年11月開始で、愛知・岐阜・三重が中心。2026年3月の車両は644両、会員は52,200人(同財団 2026年版)

  • 当該事業の規模:カーシェア単独の売上は開示なし。名古屋鉄道の全社売上高は2026年3月期に6,915.8億円で、業績への寄与はごく小さい

ニシオホールディングス(9699)— 作業車のモビシステム

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ニ
9699情報通信・サービスその他

ニシオホールディングス

建設・設備工事用機器(ユンボ、クレーン等)及びイベント用関連機材のレンタル・販売を主力。国内全域、オーストラリア、タイ、マレーシア、ベトナムでレンタル展開。建設機械のオペレーション業務、電気設備工事、自動車整備等の関連事業も手掛ける。

  • 立ち位置:子会社の西尾レントオールが2008年10月に始めた「モビシステム」は、工事車両を、キーボックスを使って会員に無人で貸し出す法人向けのレンタカー型カーシェア(モビシステム 公式サイト)。2026年3月の車両は5,050両で、台数ではトヨタやオリックスを上回る(同財団 2026年版)

  • 当該事業の規模:カーシェア単独の売上は開示なし。建設機械などのレンタルが本業で、全社の売上高は2025年9月期に2,149.5億円

  • 見るべき点:個人向けのカーシェアとは需要の源が違い、建設工事や設備工事の量で動く

日本駐車場開発(2353)— エコロカ

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日
2353不動産

日本駐車場開発

日本駐車場開発は、オフィスビル等の遊休スペースを一括借り上げて月極・時間貸で運営するサブリース型駐車場事業を主力とする。駐車場の直営・管理運営・コンサルティングに加え、スキー場の運営・取得事業、テーマパーク「那須ハイランドパーク」の運営にも…

  • 立ち位置:オフィスビルや商業施設の駐車場の空きを借りて運営する会社で、2008年7月にカーシェア「エコロカ」を本格展開した(日本駐車場開発「沿革」)。2011年12月にカーシェア事業を子会社に移した。2026年3月の調査では、運営会社の日本自動車サービス開発が車両208両・会員482人と回答している(同財団 2026年版)

  • 当該事業の規模:カーシェア単独の売上は開示なし。全社の売上高は2026年7月期に407.1億円で、駐車場事業のほかスキー場・テーマパーク事業を持つ

自動車メーカーと通信

トヨタ自動車(7203)— TOYOTA SHARE

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ト
7203自動車・輸送機

トヨタ自動車

トヨタ自動車は、世界最大級の自動車メーカーです。カローラ、ランドクルーザー、アルファードなど幅広い車種を展開し、セダンからSUV、トラックまで手がけています。子会社にダイハツ工業、持分法適用関連会社にデンソーを持ち、グループ全体で600社超…

  • 立ち位置:2019年10月に始めた「TOYOTA SHARE」は、15分220円から使え、入会費は無料、月会費も現在はキャンペーンで無料(2026年10月6日閲覧、トヨタ自動車「カーシェアの紹介」)。2026年3月の車両は3,441両・会員229,991人で、1年前(3,102両・171,118人)から伸びている(同財団 2025年版・2026年版)

  • 当該事業の規模:開示なし。全社の売上高は2026年3月期に50兆6,849.5億円で、カーシェアが業績を動かすことはない

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NTT(9432)— dカーシェアは他社の車をつなぐ

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N
9432情報通信・サービスその他

NTT

日本最大の通信グループ。NTTドコモによる携帯電話・5G・ブロードバンドの「総合ICT事業」、NTTデータグループによるシステムインテグレーション・データセンターの「グローバル・ソリューション事業」、NTT東日本・西日本による固定電話・「フ…

  • 立ち位置:子会社のNTTドコモが運営する「dカーシェア」は、オリックスカーシェア・三井のカーシェアーズ・カリテコ・TOYOTA SHARE・aoi dカーシェアを1つのアプリから予約できる予約プラットフォーム(dカーシェア よくあるご質問)

  • 当該事業の規模:開示なし。NTTの全社売上高は2026年3月期に14兆4,091.2億円

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日産自動車(7201)・本田技研工業(7267)— 自前のカーシェアは縮小

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日
7201自動車・輸送機

日産自動車

国内主要自動車メーカー。乗用車、商用車の製造・販売が中核。電動化(EV・ハイブリッド)、自動運転技術開発を推進。国内外で幅広い車種ラインアップを展開。

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本
7267自動車・輸送機

本田技研工業

本田技研工業(ホンダ)は世界有数の自動車・二輪車・汎用機械メーカー。乗用車(シビック、アコード)、SUV(CR-V、パイロット)、二輪車、発電機、耕運機など多彩な製品を開発・製造・販売。電動化、自動運転技術に投資。

  • 日産:「NISSAN e-シェアモビ」の運営を2025年1月に日産カーレンタルソリューションへ移し、日産レンタカーの予約システムと統合した。全国約190店の日産レンタカー店舗でも使えるようにしている(日産自動車 2024年12月25日)。2025年3月の調査では1万両・100万人と回答していたが、2026年3月の調査には載っていない(同財団 2025年版・2026年版)

  • ホンダ:「Honda EveryGo」を2027年3月下旬で終えると2026年9月28日に発表。新規会員登録は2026年11月18日18時までで、ステーションは利用状況や契約状況を踏まえて順次閉鎖する(Honda EveryGo お知らせ)

  • 当該事業の規模:両社とも開示なし。2026年3月期は両社とも最終赤字で、カーシェアは業績の論点ではない

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事業規模と株価指標を比べる

カーシェアの車両で見た規模と、会社全体の売上の大きさを並べると、カーシェアが業績に効くのはパーク24だけだと分かります。パーク24はモビリティ事業が全社売上の約3割を占める一方、トヨタやオリックスでは、カーシェアの車両は会社全体の事業からみればごくわずかです。

会社
サービス

車両
(両)

区分の売上高
(億円)

全社売上高
(億円)

パーク24
タイムズカー

65,776

968
タイムズカー専用

4,061.7

三井不動産
三井のカーシェアーズ

7,062

3,763.3
プロパティマネジメント

27,097.5

ニシオHD
モビシステム

5,050

開示なし

2,149.5

トヨタ自動車
TOYOTA SHARE

3,441

開示なし

506,849.5

オリックス
オリックスカーシェア

2,604

開示なし

33,308.3

名古屋鉄道
カリテコ

644

開示なし

6,915.8

日本駐車場開発
エコロカ

208

開示なし

407.1

出典:交通エコロジー・モビリティ財団「全国のカーシェアリング事例一覧(2026年3月一斉調査版)」・各社の決算短信よりKabuGraph作成。車両は2026年3月時点。売上高はパーク24が2025年10月期、ニシオHDが2025年9月期、日本駐車場開発が2026年7月期、ほかは2026年3月期。パーク24はカーシェアだけの「タイムズカー専用」の売上高(2025年10月期 決算説明会資料 p.8)で、レンタカー・ロードサービスを含むモビリティ事業全体は1,285.1億円(2025年10月期 決算短信)。三井不動産のプロパティマネジメントは貸し駐車場「三井のリパーク」などを含む(2026年3月期 決算短信)。NTT(dカーシェア)は自社の車両を持たない予約サービスのため、日産・ホンダは2026年3月の調査に載っていないため、この表から除いた

銘柄

時価総額
(億円)

PER
(倍)

PBR
(倍)

パーク24

2,975

18.6

3.02

三井不動産

38,243

14.1

1.18

ニシオHD

1,222

9.9

0.86

トヨタ自動車

422,306

9.8

0.94

オリックス

65,760

14.6

1.43

名古屋鉄道

3,583

15.6

0.74

日本駐車場開発

892

14.0

3.94

NTT

153,936

13.5

1.42

日産自動車

10,392

—

0.20

本田技研工業

75,996

—

0.55

出典:東証株価・決算短信よりKabuGraph算出(2026年10月5日終値時点)。PERは直近の通期の実績EPS、PBRは直近の通期末の1株当たり純資産で計算。PERの「—」は直近の通期が赤字のため算出不能。NTTの時価総額は発行済株式総数(約905億株、自己株式を含む)で算出。パーク24の2025年10月期の純利益は英国での特別損失(退職給付制度終了損33.5億円、契約関連無形資産の減損損失24.5億円)を含み、2026年10月期は英国事業の再編に伴う税効果で純利益が一時的に膨らむ見込み。第3四半期末(2026年7月末)の純資産で計算したPBRは約2.5倍(非支配株主持分を含む概算)

リスク

  • 増車と稼働のずれ:固定費が原価の約7割を占めるため、会員の伸びより速く車を増やすと利益が落ちる。タイムズカーは2025年10月期にこれでモビリティ事業が減益になった(パーク24 2025年10月期 決算短信)。2026年10月期も第3四半期までの車両1台当たり利用料は想定を下回っている(第3四半期決算短信)

  • 情報セキュリティと信頼:タイムズカーでは2026年9月に約660万件のアカウントの個人情報が漏えいし、うち約160万件は運転免許証の画像などの本人確認書類も含んでいた。業績への影響は精査中(パーク24 2026年9月28日・第3報)。集団訴訟の動きも報じられている。会員の数が稼働を決める事業なので、入会・退会の動きに表れるかが焦点

  • 車両と燃料のコスト:車は購入かリースで調達し、購入した車は4年で償却して中古車市場で売る。燃料費・整備費も事業者が負担する(パーク24 IR Book 2025 p.16)。新車価格・中古車相場・燃料価格の変動が採算に直結する(KabuGraphの見方)

  • 後発の撤退が続く市場:Anyca・ENEOS・ホンダと撤退が続き、首位への集中が進んでいる。首位にとっては競争が和らぐ一方、市場全体の伸びが1社の施策に左右されやすくなる(KabuGraphの見方)

  • 追える統計が減った:業界全体の車両・会員を示してきた交通エコロジー・モビリティ財団の調査は2026年3月で終わった(同財団)。同財団は民間のカーシェア・マップの月次集計を代わりに挙げているが、会員数まで揃う統計ではなくなり、パーク24以外は台数すら開示しない会社が多い

  • 自動運転・ライドシェアの影響:自動運転タクシーが広がれば、自分で運転して借りるカーシェアの用途の一部を置き換えうる。どの程度の速さで広がるかは制度と台数しだいで、見通しは立っていない(KabuGraphの見方)

投資判断のチェックポイント

  • 会員の伸びが車両の伸びを上回っているか:パーク24の毎月中旬の速報(タイムズカーの車両台数と会員数)で確かめられる(2026年10月期 速報数値 8月度)。2026年8月末は車両87,040台・会員4,149千人

  • 台・月当たり利用料:パーク24の四半期の決算説明会資料に、タイムズカー専用の台・月当たり利用料(利用単価×利用件数)が載る。第3四半期累計は113.1千円で前年同期比97.2%(第3四半期決算説明会資料 p.10)

  • 個人情報漏えいの影響:調査結果・費用・訴訟と、入会・退会の動き。2026年10月期の通期決算(2026年12月中旬の予定、パーク24 IRカレンダー)での説明が最初の確認点

  • カーシェアの比率:パーク24以外の関連銘柄は、カーシェアが会社全体の業績に占める比率がごく小さい。テーマのニュースで動いた株価に業績の裏付けがあるかを見る

  • 撤退・統合のニュース:自動車メーカーや異業種が自前のサービスを畳む動きが続くか、首位以外で規模を広げる会社が出るか

まとめ

  • カーシェアは会員制・無人・短時間で貸す「レンタカーの一形態」。道路運送法80条の許可で営み、無人の拠点で貸し出せる点と貸渡証が要らない点がレンタカーと違う

  • 2026年3月の国内の車両は85,312両・会員539万人(交通エコロジー・モビリティ財団)。事業者の出入りを除くと、1年で車両は約14%、会員は約17%増えた。市場規模は2025年に1,205億円、2030年に1,819億円の予測(矢野経済研究所)

  • 車両の77.1%をタイムズカーが占める一強の市場。首位と2位は自前の駐車場網を持つ会社で、鉄道会社などは首位の基盤(TPL)に乗る形も増えた。Anyca・ENEOS・ホンダなど撤退が続く

  • 稼ぎ方は台数×1台あたり利用料。原価の約7割が固定費で、会員の伸びより速く増車すると減益になる(タイムズカーの2025年10月期)

  • カーシェアの売上を区分して開示し、業績に効くのはパーク24だけ(2025年10月期のタイムズカー専用の売上高968億円)。三井不動産・オリックス・トヨタなどは規模が小さく、業績への寄与はごく小さい

  • 見るべき点は、会員と車両の伸びのバランス、1台あたり利用料、2026年9月の個人情報漏えいの影響、自動運転との関わり方

コラム著者・編集者

K

KabuGraph編集部

KabuGraph編集部は、投資情報の発信と株式分析ツールの開発に携わるチームです。日本株・米国株の事業分析から、投資に役立つ情報をわかりやすくお届けします。

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