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ダイナミックマッププラットフォーム(336A)の企業分析|6社39車種に載る高精度3次元地図、AI需要でライセンス型売上2.2倍も営業赤字18.8億円

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ダイナミックマッププラットフォーム(336A、以下DMP)は、自動運転や運転支援システム(ADAS)に使う高精度3次元地図データ(HDマップ)をつくり、自動車メーカーなどにライセンスする会社です。2016年に政府の研究開発プログラムから生まれ、国内の自動車メーカー10社などが出資しました。2019年には米GM(ゼネラル・モーターズ)の投資先だった米Ushrを買収し、日本・北米・欧州・韓国などで合計180万kmの道路データを持ちます。

2026年3月期は売上高56.9億円(前期比−23.8%)、営業損失18.8億円でした。地図を新しく整備する受託(プロジェクト型)が一巡や期ずれで減った一方、整備済みのデータを使わせるライセンス型売上は25.9億円と2.2倍になり、AIの学習・検証向けの「法人ライセンス」が伸びています(2026年3月期 決算短信)。

2027年3月期は売上高70億円(+23.1%)を計画し、利益の予想は開示せず、調整後EBITDAの黒字化(0.5億円)を目標に掲げます。ただ第1四半期(2026年4〜6月の3か月)は営業損失10.0億円と赤字が広がりました。株価は1,621円、時価総額383億円、PBR5.32倍(2026年10月2日終値)で、8月下旬からの約1か月半で2倍近くに上がっています。この記事では、事業の仕組み、赤字の中身と資金繰り、ゼンリンや海外勢との違い、投資家が見るべき点を整理します。

この記事の内容(目次)

  1. 会社概要 — 政府主導で生まれた高精度3次元地図の会社
    1. 沿革 — 国内の高速道路から北米、AI向けデータへ
    2. 大株主 — 産業革新投資機構(JIC)が31%を持つ筆頭株主
    3. 売上の74%が海外、43%がGM向け
  2. 事業を理解する — 地図を「つくる」プロジェクト型と「使わせる」ライセンス型
    1. 自動運転向けデータ(HDマップ)— 量産車への搭載で台数に応じて稼ぐ
    2. 北米のDMP North America(旧Ushr)— GM「Super Cruise」の地図
    3. Data for AI — AI開発向けにデータを固定額で使わせる「法人ライセンス」
    4. 3Dmapspocket(Viewer)— 点群データを事故調査・インフラ管理・不動産開発に
    5. 除雪支援システムSRSS(Guidance)— 雪の下の路肩やマンホールを画面に映す
    6. 位置情報サービスと国家プロジェクト — 空港・物流施設の自動化
    7. 測量会社のM&A — データを集める力を買う
  3. 業績推移と財務分析
    1. 通期業績 — 売上は2025年3月期の74.7億円から23.8%減
    2. 調整後EBITDAの中身 — 地図への投資は資産に計上される
    3. 四半期 — 売上は第4四半期に集中、2027年3月期第1四半期は営業損失10.0億円
    4. 財務 — 現預金42.5億円、既存の借入は財務制限条項に抵触
    5. 株価指標(2026年10月2日終値)
  4. 競合との比較 — ゼンリン・アイサンテクノロジーと海外の地図大手
  5. 投資家が注目すべきポイント
    1. 強み
    2. リスク
  6. まとめ

会社概要 — 政府主導で生まれた高精度3次元地図の会社

ダイナミックマッププラットフォームの公式サイトのトップページ(MODELING THE EARTH)
出典:ダイナミックマッププラットフォーム公式サイト

DMPは、内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」の自動走行システムで使う高精度3次元地図を開発する目的で、2016年6月に「ダイナミックマップ基盤企画」として設立されました。2017年6月にいすゞ自動車・スズキ・SUBARU・ダイハツ工業・トヨタ自動車・日産自動車・日野自動車・本田技研工業・マツダ・三菱自動車の10社などを株主として事業会社になり、2023年2月に現社名へ変えています(有価証券報告書(2026年3月期) 沿革 p.6)。

  • 証券コード・市場:336A(東証グロース。2025年3月27日上場、公開価格1,200円)

  • 設立:2016年6月13日

  • 本社:東京都渋谷区

  • 代表者:代表取締役社長CEO 吉村修一氏(三井物産、産業革新機構を経て2017年6月に当社の社外取締役、2022年1月から現職)

  • 従業員:連結210名(2026年3月末)

  • 決算期:3月(無配)

  • 展開地域:日本・北米・欧州・韓国・中東の26か国(日本を含む、2026年3月末)。米国・ドイツ・韓国・サウジアラビア・アラブ首長国連邦に子会社を置く

出典:有価証券報告書(2026年3月期) 沿革・事業の内容・役員の状況・従業員の状況、発行済株式総数の推移(注15)よりKabuGraph作成

沿革 — 国内の高速道路から北米、AI向けデータへ

  • 2016年6月:ダイナミックマップ基盤企画として設立

  • 2017年6月:自動車メーカー10社などを株主に事業会社化

  • 2017年9月:GMのハンズフリー運転支援「Super Cruise」に、Ushr(現・北米子会社)の地図が初採用

  • 2019年3月:国内の高速道路と自動車専用道路(上下線計29,205km)の整備を完了

  • 2019年4月:北米のUshrを子会社化(現Dynamic Map Platform North America)

  • 2019年9月:日産「スカイライン」(ProPILOT 2.0)が、国内で初めて高精度3次元地図を載せた車として発売

  • 2021年3月:自動運転レベル3の運転支援機能を持つホンダ「レジェンド」に採用

  • 2022年10月:三菱UFJ銀行との合弁で株式会社DMP Axyz(現ダイナミックマッププラットフォームAxyz)を設立

  • 2025年3月:東証グロース市場に上場

  • 2025年8月:北米の整備距離が150万kmになり、世界の合計は180万kmに

  • 2025年10月〜2026年4月:測量会社の日本海測量設計とリカノスを買収

  • 2026年9月:日産「エルグランド」に採用され、採用実績は6社39車種に

出典:有価証券報告書(2026年3月期) 沿革 p.6〜7・ダイナミックマッププラットフォーム公式サイト「沿革」(2019年3月の「上下線計」の表記)・日産「エルグランド」採用のお知らせ(2026年9月15日)よりKabuGraph作成

大株主 — 産業革新投資機構(JIC)が31%を持つ筆頭株主

筆頭株主は官民ファンドの産業革新投資機構(JIC)で、持株比率は31.32%です(2026年3月末)。2位の海外交通・都市開発事業支援機構(14.72%)と合わせると、上位2社で46%を持ちます。JICの持分は、2025年3月末に運営期限を迎えたグループ会社のINCJから、2025年7月24日に立会外取引で全株(740万1,200株)を引き継いだものです(主要株主の異動に関するお知らせ・INCJによる保有株式の譲渡について)。ベンチャーキャピタルや政府系の投資ファンドなど投資事業者の持株比率は合計48.6%(2026年3月末)で、会社はこれらが市場で売却すれば株価に影響しうるとしています(有価証券報告書(2026年3月期) 事業等のリスク⑥ p.41〜42)。

  • 産業革新投資機構:31.32%

  • 海外交通・都市開発事業支援機構:14.72%

  • 日本カストディ銀行(信託口):4.81%

  • 野村信託銀行(投信口):3.93%

  • 三井物産:2.37%

  • SBI4&5投資事業有限責任組合:2.15%

  • トヨタマップマスター:1.35%

  • 三菱電機:4.91%(2025年12月4日時点、大量保有報告書の変更報告書。会社は2026年3月末の実質所有株式数を確認できないとして上位10位の表に入れていない)

出典:有価証券報告書(2026年3月期) 大株主の状況 p.72よりKabuGraph作成。上位10位からの抜粋(ほかに個人株主1.74%、楽天証券共有口1.51%、野村證券0.81%)。持株比率は2026年3月31日現在、発行済株式(自己株式を除く)に対する割合

地図大手のゼンリン(9474)は、2025年3月末に48万株(2.03%)を持っていましたが、2026年3月期中に全株を売却しました(有価証券報告書(2025年3月期) 大株主の状況、ゼンリン 有価証券報告書(2026年3月期) p.56)。両社の関係は「競合との比較」で触れます。

売上の74%が海外、43%がGM向け

報告セグメントは地域別の「国内」と「海外」の2つです。2026年3月期の外部顧客への売上高は国内14.6億円、海外42.3億円で、海外が74.4%を占めます。

地域別売上構成比(2026年3月期)

出典:ダイナミックマッププラットフォーム 2026年3月期 決算短信 セグメント情報よりKabuGraph算出。外部顧客への売上高(合計56.86億円)に占める割合

最大の顧客はGMで、2026年3月期の売上高の42.8%(24.3億円)を占めます。2位は三菱電機モビリティの14.0%(8.0億円)で、前期に24.0%を占めた新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は1.5%に下がりました(有価証券報告書(2026年3月期) 主要な販売先 p.45)。

事業を理解する — 地図を「つくる」プロジェクト型と「使わせる」ライセンス型

DMPの売上は、収益の生まれ方で2つに分かれます(2027年3月期 第1四半期決算説明資料 p.10、有価証券報告書 事業の内容 p.17〜18)。

  • プロジェクト型:自動車メーカーや官公庁の注文で地図を新しく整備・更新する受託。原価に一定の利益を乗せて受注し、費用の大半は案件ごとの変動費。自動車メーカー向けに整備した地図の所有権はDMP側に残る

  • ライセンス型:整備済みの地図を使う権利を売る。量産車の販売台数に応じた「量産ライセンス」と、企業に固定額で使わせる「法人ライセンス」がある。原価の中心はデータ更新などの固定費で、会社は粗利率を80%超としている(2027年3月期 第1四半期決算説明資料 p.40)

プロジェクト型(オートモーティブ・3Dデータ)とライセンス型(量産ライセンス・法人データライセンス)の2本柱のビジネスモデル
出典:ダイナミックマッププラットフォーム 2027年3月期 第1四半期決算説明資料 p.10

プロジェクト型で地図をつくり、ライセンス型でそれを何度も売るのが会社の描く稼ぎ方です。2026年3月期はプロジェクト型が30.9億円と前期の半分以下に減った一方、ライセンス型は25.9億円と2.2倍になり、売上に占める比率は45.6%まで上がりました。2027年3月期は、ライセンス型30億円・プロジェクト型40億円を計画しています。

売上高の内訳(ライセンス型・プロジェクト型)

出典:ダイナミックマッププラットフォーム 事業計画及び成長可能性に関する説明資料(2026年5月29日) p.48・2027年3月期 第1四半期決算説明資料 p.37よりKabuGraph作成。2027/3(予)は会社予想(2026年5月14日公表、8月7日時点で修正なし)。プロジェクト型の予想は売上高予想70億円からライセンス型予想30億円を差し引いた値

自動運転向けデータ(HDマップ)— 量産車への搭載で台数に応じて稼ぐ

ダイナミックマッププラットフォームの自動運転向けデータ(HDマップ)の紹介ページ。国内33,000km、北米1,500,000km、欧州255,000km、韓国20,000kmのカバレッジ
出典:ダイナミックマッププラットフォーム公式サイト「自動運転向けデータ」

HDマップは、車線・道路の形・標識などをセンチメートル級の精度で3次元に記録した、機械が読むための地図です。カーナビの地図(SDマップ)と違い、道路の勾配やカーブの曲率、停止線と信号機の対応まで持ち、車が「今どの車線のどこにいるか」を推定したり、センサーでは見えない先の道路形状を先読みしたりするのに使われます(有価証券報告書(2026年3月期) 事業の内容 p.9〜12)。

つくり方は、レーザースキャナー(LiDAR)や高精度の衛星測位受信機を積んだ計測車両(MMS)で道路を走って点群データを集め、そこから区画線や標識などを抜き出して地図にします。国内の地図は、自動車メーカー10社の要求にもとづく共通の仕様で整備しています(同 p.9)。

採用は自動車メーカー6社・39車種に広がりました(2026年9月15日時点)。公表されている主な車種は次のとおりです。

  • 日産:スカイライン、アリア、セレナ、リーフ、エルグランド、北米のRogue・Armada・Infiniti QX80

  • ホンダ:レジェンド・ハイブリッドEX、Acura ZDX、アコード

  • トヨタ:レクサスLS、MIRAI

  • SUBARU:北米向け「アウトバック」(アイサイト。2026年1月15日のお知らせ)

  • GM:Cadillac・GMC・Chevrolet・Buickの23車種(Super Cruise)

  • このほか、守秘義務により社名・車種を公表していない採用がある

出典:有価証券報告書(2026年3月期) p.13〜14・日産「エルグランド」採用のお知らせ(2026年9月15日)よりKabuGraph作成

量産ライセンスは、車が売れたときに一括で計上する「ライセンスフィー」と、契約期間中に毎期計上する地図更新の「メンテナンスフィー」で構成されます。搭載車が累積するほど更新料が積み上がる仕組みです(事業計画及び成長可能性に関する説明資料 p.37)。

地域別の高精度3次元データのカバレッジ。北米1,560,000km、欧州255,000km、日本33,000km、韓国20,000km、中東は2026年度中に整備完了見込み
出典:ダイナミックマッププラットフォーム 2027年3月期 第1四半期決算説明資料 p.9

整備済みの道路は北米156万km、欧州25.5万km、日本3.3万km(高速道路)、韓国2万km(高速道路)で、中東は2026年度中に高速道路の整備を終える見込みです(2027年3月期 第1四半期決算説明資料 p.9、2026年8月時点。上の公式サイトの紹介ページは北米を150万kmと表記)。会社は、先進国での新規整備が概ね完了し、データを「つくる」段階から「提供・更新する」段階に移ったと説明しています(2026年3月期 決算短信 p.2)。

ただし、整備を終えた道路も更新し続けないと使えません。車に載せた地図は道路の経年変化に合わせて更新する必要があり、会社はその対価(メンテナンスフィー)を受け取っています(有価証券報告書(2026年3月期)p.8)。

日本では新規開通や大規模工事の情報を道路管理者から得られますが、標識や路面ペイントの変化、一般道の変化は現地を確かめる必要があり、国によっては大きな工事の情報さえ入りません。会社は自動車メーカーなどから得た走行データで道路の変化を見つけ、再計測して更新しています(同 p.30)。更新の頻度(年に何回か)は開示されていません。

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自動運転のレベル4は2026年6月時点で全国11か所で実装。政府は2030年度に自動運転サービス車両1万台を目標に掲げます。レベル0〜5と制度、自家用車・バス・トラック・タクシーの現在地、半導体や地図など関連15社の立ち位置と事業規模を解説します。

北米のDMP North America(旧Ushr)— GM「Super Cruise」の地図

Dynamic Map Platform North Americaの公式サイト。北米で975Kマイルの道路を整備、450以上の道路地物、26か国で提供
出典:Dynamic Map Platform North America公式サイト

売上の4分の3を占める海外の中心が、2019年4月に買収した北米子会社です。前身の米Ushrは買収前にGMの投資先で、2017年9月からGMのハンズフリー運転支援「Super Cruise」に地図を提供しています(有価証券報告書 沿革 p.6)。同社の公式サイトは、北米で97.5万マイル(約156万km)の道路を整備済みとしています。

Data for AI — AI開発向けにデータを固定額で使わせる「法人ライセンス」

Hugging Faceで公開されているダイナミックマッププラットフォームの交差点データセット(hard-intersection-multimodal-sample)
出典:Hugging Face「dynamic-maps/hard-intersection-multimodal-sample」

2026年3月期にライセンス型を2.2倍に押し上げたのが、自動車メーカーグループや半導体メーカー、自動運転システムの開発会社に、AIの学習・検証・シミュレーション用としてデータを固定額で提供する法人ライセンス(Data for AI)です(2026年3月期 決算短信 p.2、事業計画及び成長可能性に関する説明資料 p.38)。

制度面では、2026年6月に国連の自動車基準調和世界フォーラム(WP.29)でレベル3・4を含む自動運転システムの国際基準が合意され、2027年1月ごろに発効する見込みです(国土交通省 報道発表(2026年6月26日))。会社は、走行できる範囲(ODD)の管理やシミュレーションによる安全性の評価で、データの活用機会が広がるとみています(第1四半期決算説明資料 p.59)。

2026年3月期は第4四半期(2026年1〜3月の3か月)に、法人ライセンス案件を中心に23億円の売上を計上しました(2026年3月期 決算説明資料 p.20)。法人ライセンスは案件ごとの固定額契約のため、毎年同じ規模で積み上がるとは限らない点には注意が要ります(KabuGraphの見方)。

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フィジカルAIは生成AIを現実世界のロボットに実装する次世代技術。政府は2040年度までに官民10.5兆円を投じる方針。NVIDIA連携で加速する日本のロボット大手からサプライチェーンの要まで、関連12銘柄を投資家目線で解説します。

3Dmapspocket(Viewer)— 点群データを事故調査・インフラ管理・不動産開発に

3Dmapspocketの紹介ページ。点群データによる高精度な現場再現(距離・勾配の計測、路面標識の数量確認)
出典:ダイナミックマッププラットフォーム公式サイト「3Dmapspocket®」

地図をつくる過程で集めた点群データを、ブラウザで見て測れるようにしたサービスです。全国の高速道路・自動車専用道路・主要幹線道路の点群とGoogleの「Photorealistic 3D Tiles」を重ね、現地に行かずに距離・勾配の計測や建物からの見え方の確認ができます。料金は契約ユーザー数とデータ閲覧の実績に応じた従量課金です(有価証券報告書 事業の内容 p.16、公式サイト「3Dmapspocket®」)。

  • 交通事故調査:東京海上日動調査サービスが採用(2026年8月18日のお知らせ)

  • 不動産開発:東京建物(2026年7月28日)、三井不動産レジデンシャル(2026年9月1日)が眺望確認や景観・配置の検討に採用

  • インフラ管理:点検前の事前確認や、災害時の被災前の状況確認など

ただし会社自身、3Dデータのライセンスは「売上貢献は途上」と説明しています(2027年3月期 第1四半期決算説明資料 p.39)。

除雪支援システムSRSS(Guidance)— 雪の下の路肩やマンホールを画面に映す

ダイナミックマッププラットフォームAxyzの除雪支援システムSRSSの紹介ページ
出典:ダイナミックマッププラットフォームAxyz公式サイト「除雪支援システムSRSS」

HDマップをつくる技術を除雪車向けに応用した製品で、子会社のダイナミックマッププラットフォームAxyz(三菱UFJ銀行との合弁、DMPの議決権は95.1%)が販売します。雪に覆われた路肩・マンホール・ガードレールなどの位置をタブレットに表示し、経験の浅い作業員でも安全に除雪できるようにします(有価証券報告書 事業の内容 p.16・関係会社の状況 p.20)。

2025年度の出荷台数は2023年度の約9倍に増え、北海道・東北の自治体のほか、石川県の能登空港でも使われています(除雪支援システムの利用拡大のお知らせ(2026年5月21日))。

位置情報サービスと国家プロジェクト — 空港・物流施設の自動化

位置情報サービス(空間ID)の紹介ページ。自動運転車両への先読み情報配信、ドローン・AGVの運行計画、地下埋設物管理
出典:ダイナミックマッププラットフォーム公式サイト「位置情報サービス」

3次元の空間を箱状に区切って番号を振る「空間ID」をキーに、地図(静的な情報)と交通・気象など(動的な情報)を統合して配信するサービスです。空港内の車両の自動化に向けた情報集約基盤「VIPS」などを、国の研究開発事業として開発しています(有価証券報告書 事業の内容 p.17・研究開発活動 p.48、公式サイト「位置情報サービス」)。

こうした自動車以外の取り組みは、現状は官公庁・企業から受託するプロジェクト型の売上が大半です(同 p.15)。政府案件は年ごとの振れが大きく、2026年3月期は受注形態の変更で国内の政府プロジェクトが期初の想定を8億円下回りました(2026年3月期 決算説明資料 p.42)。足元では民間の物流自動化の案件が増えているとし、2026年9月には鹿島建設と組んだ自動物流道路の実証が国土交通省の事業に採択されました(鹿島建設との実証採択のお知らせ)。

測量会社のM&A — データを集める力を買う

2025年10月に子会社化した日本海測量設計の公式サイト
出典:日本海測量設計公式サイト

2025年度からは、地図のもとになるデータを集める測量会社の買収を始めました。会社は、空港・港湾・物流センターなど特定のエリアで事業を広げるには測量の能力を増やす必要があるとし、地域の測量会社を束ねる「ロールアップ」を掲げています(2027年3月期 第1四半期決算説明資料 p.12〜14)。

2026年4月に子会社化したリカノスの公式サイト
出典:リカノス公式サイト

業績推移と財務分析

通期業績 — 売上は2025年3月期の74.7億円から23.8%減

連結売上高は2023年3月期の36.8億円から2025年3月期の74.7億円へ2倍に伸びましたが、2026年3月期は56.9億円に減りました。営業赤字は上場前から続き、営業利益率は2025年3月期の−16.3%から2026年3月期は−33.0%に悪化しています。

通期業績推移(売上高・営業利益・純利益・営業利益率・売上高成長率)

出典:ダイナミックマッププラットフォーム 有価証券届出書(2025年2月19日) 連結損益計算書(2023/3・2024/3)、決算短信(2025/3・2026/3)よりKabuGraph作成。2027/3(予)の売上高は会社予想(2026年5月14日公表、8月7日時点で修正なし)で、利益は会社予想の開示なし。純利益は親会社株主に帰属する当期純利益で、2024/3は減損損失15.96億円を含む。営業利益率・売上高成長率はKabuGraph算出(2023/3の営業利益率は−108.6%で、右軸の目盛りが広がっている)
  • 減収の理由(会社の説明):先進国での新規整備が一巡したことと、プロジェクトの実施時期の後ろ倒し(2026年3月期 決算短信 p.2)。期初予想(売上高70億円)に対しては、中東当局との折衝による整備の遅れ、米国関税政策でGMの新規整備の受注が翌期にずれたこと、国内の政府プロジェクトの受注形態の変更が響いた(2026年3月期 決算説明資料 p.21・p.42)

  • 2026年2月13日に下方修正:売上高を70億円→55億円、調整後EBITDAを−5億円→−10億円に修正。実績は売上高56.9億円、調整後EBITDA−5.0億円で、修正後の予想は上回った(業績予想の修正に関するお知らせ・予想と実績の差異に関するお知らせ)

  • 赤字が広がった理由:売上が減ったことで、固定的な原価と販管費の負担が相対的に重くなった(同)

  • 純損失が営業損失より小さい理由:営業外収益に国の研究開発事業などの補助金収入3.25億円を計上したため。特別損益はほぼない(2026年3月期 決算短信)

2027年3月期は売上高70億円(+23.1%)、うちライセンス型30億円を計画しています。会社は営業利益などの利益予想を開示しておらず(業績予想の修正に関するお知らせの注記)、代わりに調整後EBITDAを0.5億円の黒字と見込みます。理由として、ライセンス型の継続成長とコスト削減の効果を挙げています(第1四半期決算説明資料 p.37)。中長期では、ライセンス型を中心に売上高を年10〜30%で伸ばす姿を示しています(同 p.40。会社は達成を保証するものではないと注記)。

調整後EBITDAの中身 — 地図への投資は資産に計上される

会社が重視する調整後EBITDAは「営業利益+減価償却費+政府補助金+M&A関連費用」です。2026年3月期は、営業損失18.76億円に減価償却費9.69億円、のれん償却0.03億円、補助金3.25億円、M&A関連費用0.77億円を足して−5.01億円でした(2026年3月期 決算説明資料 p.38)。

注意したいのは、地図データの整備費の多くがソフトウエア(無形固定資産)として資産に計上され、費用は償却費として後から出てくる点です。2026年3月期の無形固定資産の取得は14.61億円で、減価償却費(9.69億円)を上回りました。営業キャッシュフロー(−0.61億円)と投資キャッシュフロー(−19.10億円)を合わせたフリーキャッシュフローは−19.71億円です(2026年3月期 決算短信よりKabuGraph算出)。

地図データは5年で償却するため、償却費は2027年3月期も増える公算が大きく、その先は新規整備の投資しだいです。地図データの生成費用はソフトウエアとして資産に計上し、5年の定額法で償却しています(有価証券報告書(2026年3月期)p.101)。

  • 減価償却費:2024年3月期3.49億円 → 2025年3月期5.29億円 → 2026年3月期9.69億円。2027年3月期第1四半期(3か月)は2.93億円で、前年同期の2.13億円を38%上回りました

  • 設備投資(大半は地図データのソフトウエア):2024年3月期9.00億円 → 2025年3月期24.42億円 → 2026年3月期16.25億円

  • 新規整備の計画:北米の新規道路地図データ整備は、計画総額を62.87億円(2025年3月期の有価証券報告書)から43.07億円に縮めました。支払済みは37.59億円で、残る約5.5億円を2030年12月までに投じる計画です

出典:ダイナミックマッププラットフォーム 有価証券報告書(2026年3月期 p.49・51・100、2025年3月期 p.49・50・96)・有価証券届出書 p.73・2027年3月期 第1四半期決算説明資料 p.48よりKabuGraph作成

2025年3月期と2026年3月期の設備投資(2期で計40.7億円)の償却は、5年かけて2030年3月期〜2031年3月期ごろまで続きます。新規整備の計画は縮小されているため、新たな資産計上が減れば、償却費はその後に下がっていく計算です。ただし会社は償却費の見通しを開示しておらず、これはKabuGraphの見方です。

償却費が減っても、地図を保つ費用は残ります。会社は償却費を「新規データ整備に係る減価償却費」と説明する一方(事業計画及び成長可能性に関する説明資料 p.47)、ライセンス型の原価の中心を「整備済みのデータ更新費用」としています(有価証券報告書(2026年3月期)p.18)。

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四半期 — 売上は第4四半期に集中、2027年3月期第1四半期は営業損失10.0億円

売上は期末に偏ります。2026年3月期は第4四半期(1〜3月の3か月)だけで売上高23.1億円と通期の4割を占め、この3か月は営業利益2.7億円の黒字でした(四半期累計の差からKabuGraph算出。会社が開示する第4四半期の調整後EBITDAは7.86億円)。

2027年3月期第1四半期(4〜6月の3か月)は売上高11.5億円(前年同期比−21.3%)、営業損失10.0億円でした。ライセンス型は6.45億円と10%増えましたが、北米の新規整備が終わったことなどでプロジェクト型が5.02億円に減りました。一方で売上原価は前年同期より4.2億円多い14.45億円で、売上総利益は2.97億円の赤字です。会社は原価が増えた内訳を説明しておらず、調整後EBITDAが黒字だった前年同期には案件の前倒しの効果があったとしています(第1四半期決算短信、第1四半期決算説明資料 p.36・p.48)。

項目(億円)

2026/3 1Q

2027/3 1Q

売上高

14.59

11.47

ライセンス型

5.86

6.45

プロジェクト型

8.73

5.02

営業利益

−1.96

−9.99

調整後EBITDA

0.24

−6.67

純利益

−2.85

−9.80

出典:ダイナミックマッププラットフォーム 2027年3月期 第1四半期決算短信・第1四半期決算説明資料 p.48よりKabuGraph作成。いずれも4〜6月の3か月(第1四半期累計)。純利益は親会社株主に帰属する四半期純利益
  • 進捗:通期の売上高予想70億円に対して16.4%、ライセンス型予想30億円に対して21.5%。会社は、調整後EBITDAのマイナス幅は予算内としている(第1四半期決算説明資料 p.36)

  • 地域別:国内は前年同期にあった大型案件の反動で売上高1.42億円(−62.2%)、海外は10.05億円(−7.2%)(第1四半期決算短信 p.2)

  • 後発事象:2026年7月28日の令和8年熊本地震で、顧客に提供している地図データの一部が使えなくなった。補修・再作成の費用が見込まれるが、影響額は調査中(同 p.9)

財務 — 現預金42.5億円、既存の借入は財務制限条項に抵触

2026年3月期は長期借入金36.51億円を返済し、現預金は83.8億円から36.6億円に減りました。2026年6月末は新たな借入で現預金42.5億円、借入金18.0億円、自己資本比率60.1%です(2026年3月期 決算短信、第1四半期決算短信)。

有価証券報告書は、既存の借入2本が2026年3月期末に財務制限条項に抵触したと開示しています。シンジケートローン(期末残高5億円、弁済期限2026年6月30日)は「営業損失を計上しない」と「DSCR(返済能力の指標)を1.2以上に保つ」の2条項に、タームローン(同1.25億円、期限2026年9月20日)は「経常損益を0円以上に保つ(2期連続で抵触)」に当たりました。どちらも金融機関は期限の利益の喪失(期限前の一括返済を求めること)を請求しない方針で、約定どおり返済される見込みです(有価証券報告書(2026年3月期) 事業等のリスク⑤ p.41・連結貸借対照表関係 ※5 p.107〜108)。第1四半期に借入金が約5億円返済されており、6月期限のシンジケートローンは返済を終えたとみられます(KabuGraphの見方)。

借入枠のコミットメントラインや、2026年1月以降の新規借入にも、純資産や損益の条件が付いています(有価証券報告書 連結貸借対照表関係 ※5 p.108、子会社株式のグループ内移管に関するお知らせ(北陸銀行からの借入)、2026年3月期 決算短信 重要な後発事象、借入金の実行に関するお知らせ)。

  • コミットメントライン(都市銀行、極度額10億円、期限2027年3月30日):中間期末(9月末)と期末ごとに、純資産を直前の期末の75%以上に保つ

  • コミットメントライン(政府系金融機関、極度額10億円、期限2027年3月31日):各期末の純資産を20億円以上に保つ

  • 北陸銀行(約2億円、2026年1月、子会社の借入):2026年3月期以降、連結の営業損益を2期続けて損失にしない。2027年3月期末以降、純資産を直前の期末の75%以上に保つ

  • あおぞら銀行(5億円、2026年5月):①2027年3月期末以降、各期末の純資産を直前の期末の75%以上に保つ ②毎月末の連結の現預金を10億円以上に保つ ③2027年3月期末以降、各期末の連結調整後EBITDAを損失にしない

  • 山形銀行(3.1億円、2026年4月、子会社の借入):2026年3月期末以降、各期末の純資産を直前の期末の75%以上に保つ

次の判定は2026年9月末(都市銀行のコミットメントライン)で、純資産を約54.2億円(2026年3月末の72.29億円の75%)以上に保つ必要があります。6月末の純資産は63.45億円で、余裕は約9.2億円です。第1四半期と同じ程度の純損失(9.80億円)が第2四半期にも出ると下回る計算で、結果は11月の中間決算で分かります(KabuGraph算出)。

2027年3月期末には、北陸銀行の借入の「営業損益を2期続けて損失にしない」条件も判定されます。会社は利益の予想を出していませんが、調整後EBITDAが計画どおり0.5億円の黒字でも、2026年3月期の減価償却費9.69億円・補助金3.25億円・M&A関連費用0.77億円を当てはめると営業損益は約−13億円の計算です(KabuGraph算出)。あおぞら銀行の借入では調整後EBITDAの黒字そのものが条件で、会社の業績目標が借入の条件にもなっています。会社は、抵触が新たに生じたり金融機関の判断が変わったりすれば、期限の利益の喪失を請求される可能性があるとしています(有価証券報告書 事業等のリスク⑤ p.41)。

コミットメントライン2本(借入極度額計20億円)は、2026年3月末時点で使っていません(2026年3月期 決算説明資料 p.39、有価証券報告書 連結貸借対照表関係 p.106〜107)。無配で、自己株式は持っていません。2026年8月31日には、資本金を1億641万円から1,000万円に減らす無償減資を行いました(減資に関するお知らせ)。株数と純資産は変わりません。

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株価指標(2026年10月2日終値)

  • 株価:1,621円(公開価格1,200円の1.35倍)

  • 時価総額:383億円

  • PER:赤字のため算出できない

  • PBR:5.32倍(2026年3月末の1株純資産304.97円)。2026年6月末の自己資本(63.22億円)で計算すると6.06倍

  • PSR(株価売上高倍率):6.7倍(2026年3月期の売上高)、5.5倍(2027年3月期の会社予想売上高70億円)

  • 配当:無配

出典:東証株価・ダイナミックマッププラットフォーム 決算短信よりKabuGraph算出(2026年10月2日終値)

株価は2026年1月末の終値566円から、8月下旬以降に大きく上がり、9月3日には終値1,779円をつけました(KabuGraph調べ)。赤字のため利益では測れず、時価総額は2026年3月期の売上高の6.7倍です。2027年3月期の売上計画と黒字化の進み具合が、この評価を支えられるかが焦点になります。

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競合との比較 — ゼンリン・アイサンテクノロジーと海外の地図大手

有価証券報告書は、HDマップの競合としてHERE、TomTom、Googleを例に挙げています。会社は精度の面で上回られているとは見ていないとしつつ、地図の更新サイクルを縮める変化検知の技術や、計測車両(MMS)に代わる安く速い計測手法を持つ競合が現れることをリスクとしています(有価証券報告書(2026年3月期) 事業等のリスク ②競合について p.34〜35)。

会社

売上高
(億円)

営業
利益率

時価総額
(億円)

ダイナミック
マップ
プラットフォーム

56.9

−33.0%

383

ゼンリン

642.8

5.4%

512

アイサン
テクノロジー

75.9

10.0%

175

出典:各社の2026年3月期 決算短信(ダイナミックマッププラットフォーム・ゼンリン・アイサンテクノロジー)・東証株価よりKabuGraph作成。時価総額は2026年10月2日終値。ゼンリンは住宅地図・カーナビ用地図など、アイサンテクノロジーは測量ソフト・計測機器などを含む全社の数値
  • ゼンリン(9474):住宅地図・カーナビ用地図の会社で、DMPの販売先でもある。DMPがつくる高速道路・自動車専用道路の共通データに独自の情報を加えて自動車メーカーなどに提供しており、レベル4の自動運転トラックを開発するT2向けもゼンリン経由で提供した(ゼンリン 会社紹介資料 p.21(スライド番号20)、ゼンリンとの地図データの使用許諾契約はDMP 有価証券報告書 重要な契約等 p.47、DMPの2026年1月6日のお知らせ)。一方でゼンリンは一般道の自動運転向けデータの研究開発を続けており、持っていたDMP株は2026年3月期中に売却した

  • アイサンテクノロジー(4667):測量ソフトや計測機器の販売に加え、計測車両(MMS)による3次元計測、高精度3次元地図データベースの構築、自治体の自動運転の導入支援を手がける。自治体向けにはティアフォーの小型EVバスなどの自動運転車両も販売する(アイサンテクノロジー 2026年3月期 決算短信 p.3)。DMPの上場前の株主でもあった(有価証券届出書)

  • HERE(非上場):自動運転向けの「HD Live Map」を提供する地図会社

  • TomTom(本社アムステルダム):自動車メーカー向けの地図・ナビのソフトを手がけ、自動運転向けに「Orbis Maps」を展開。2025年12月期の売上高は5億5,500万ユーロ(TomTom 2025年通期決算)

  • Mobileye:運転支援システムを積んだ市販車のカメラから道路情報を集めて地図をつくる「REM」を展開。専用の計測車両で走るDMPとは、地図のつくり方が違う

  • Google:有価証券報告書が競合の例に挙げる

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ア
4667情報通信・サービスその他

アイサンテクノロジー

測量・土木・自動運転向けの高精度計測ソフトウェア・システム企業。3D計測機器『MMS』で三次元点群データ取得、自動走行用高精度地図構築、土地・河川・海洋調査業務を提供。測量用ソフトが主力商品。

投資家が注目すべきポイント

強み

1. 国内の共通仕様とGMで築いた採用実績

国内は自動車メーカー10社の要求にもとづく共通仕様の地図を整備し、北米では2017年からGMの「Super Cruise」に地図を提供しています。採用は6社39車種で、搭載車が増えるほど更新料が積み上がります。

2. 180万kmの整備済みデータ(更新し続けることが前提)

先進国の新規整備は概ね完了し、会社はデータを「提供・更新する」段階に移ったと説明しています。整備済みのデータを何度も売るライセンス型は、会社によると粗利率80%超です。ただしデータは道路の変化に合わせて更新し続ける必要があり、その費用がライセンス型の原価の中心です。

3. AI向けの法人ライセンスの立ち上がり

法人ライセンスの拡大で、2026年3月期のライセンス型売上(量産ライセンスなどを含む)は2.2倍の25.9億円。2027年3月期第1四半期には海外大手半導体メーカーから欧州・韓国・日本のデータを追加受注しました。

4. 自動車以外への広がりと測量会社の買収

点群ビューアー「3Dmapspocket」は事故調査や不動産開発で採用が進み、除雪支援システムの出荷台数は2年で約9倍になりました。測量会社の買収でデータを集める体制も広げています。

リスク

1. 赤字の継続と財務制限条項

2026年3月期の営業損失は18.8億円、フリーキャッシュフローは−19.7億円です。既存の借入2本は2026年3月期末に財務制限条項(営業損失を計上しない、経常損益0円以上など)に抵触し、金融機関は期限前返済を求めない方針です。借入枠と新規借入にも、純資産を直前の期末の75%以上に保つ(次の判定は2026年9月末)、営業損益を2期続けて赤字にしない、調整後EBITDAを損失にしないといった条件があります。

2. GMへの集中と自動車メーカーの投資姿勢

GM向けが売上の42.8%を占めます。2026年3月期は米国の関税政策の影響でGMの新規整備の受注が翌期にずれ、通期予想を下方修正しました。

3. 地図の更新費用と鮮度

地図の更新はライセンス型の原価の中心で(有価証券報告書(2026年3月期)p.18)、会社自身が「データ更新のコストと鮮度の維持」を課題に挙げています(有価証券届出書 p.55)。走行データで道路の変化を見つける技術は、まだ実用化に向けて課題を整理している段階です(有価証券報告書 p.48)。会社は、変化の検知で更新の周期を縮める技術を持つ競合の参入もリスクに挙げています(同 p.35)。

4. 地図を必須としない自動運転と競合

AIで車両制御まで処理する方式が広がれば、量産車向けの地図の需要は伸びにくくなります。HERE・TomTom・Googleのほか、市販車のカメラで地図を更新するMobileyeの方式も競合になります。

5. 期末に偏り、期ずれしやすい売上

2026年3月期は第4四半期に通期売上の4割を計上しました。政府案件は受注形態の変更で規模が縮むことがあり、海外の整備は相手国の当局との折衝で遅れることがあります。

6. 大株主の動向と株価の評価水準

官民ファンドのJICが31.32%を持つ筆頭株主です。株価はPBR5.32倍・PSR6.7倍の水準にあり(2026年10月2日終値)、未行使の新株予約権が279万株(発行済株式の約12%)あります。

まとめ

ダイナミックマッププラットフォーム(336A)は、政府主導で生まれた高精度3次元地図の会社で、GMの「Super Cruise」を通じて北米で稼ぎ、整備した地図を更新しながらAI開発向けにも売り始めた段階にあります。

  • 事業:自動運転向けHDマップの整備(プロジェクト型)とライセンス(量産・法人)。採用は6社39車種、整備済みの道路は世界で180万km。売上の74%が海外、42.8%がGM向け

  • 業績:2026年3月期は売上高56.9億円(−23.8%)、営業損失18.8億円。ライセンス型は2.2倍の25.9億円。2027年3月期は売上高70億円・調整後EBITDA0.5億円の黒字を計画するが、第1四半期は営業損失10.0億円

  • 財務:2026年6月末の現預金42.5億円・借入金18.0億円・自己資本比率60.1%。既存の借入2本は2026年3月期末に財務制限条項に抵触(金融機関は期限前返済を求めない方針)。借入枠と新規借入にも純資産・損益の条件があり、次の判定は2026年9月末

  • 株価:1,621円、時価総額383億円、PBR5.32倍・PSR6.7倍(2026年10月2日終値)。無配

地図データという資産をAI向けにどこまで売れるかが成長の鍵で、法人ライセンスの積み上がりと調整後EBITDAの黒字化が試金石です。売上が期末に偏るため、四半期の数字よりも、通期の進捗、ライセンス型の受注、GM向けの動向、財務制限条項との距離で評価したい銘柄です。


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ダ
336A情報通信・サービスその他

ダイナミックマッププラットフォーム

ダイナミックマッププラットフォームは、自動運転実現に向けた高精度3次元地図データ開発を専門とする企業。官民一体で知見・技術を結集し、自動運転・先進運転支援システム、インフラ維持管理、防災・減災システム向けデータを提供。

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。記事中の株価指標は2026年10月2日終値、その他の数値は2026年10月4日時点で確認できた開示に基づいています。

コラム著者・編集者

K

KabuGraph編集部

KabuGraph編集部は、投資情報の発信と株式分析ツールの開発に携わるチームです。日本株・米国株の事業分析から、投資に役立つ情報をわかりやすくお届けします。

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