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ヤマダホールディングス(9831)の企業分析|家電量販首位がエディオンと経営統合で基本合意

2027年3月期 第2四半期決算まで反映

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ヤマダホールディングス(9831)は、ヤマダデンキを中核に住宅・金融・リサイクルまで手がける家電量販の最大手です。2026年3月期は在庫処分で営業利益が161.7億円に落ち込みましたが、今期は515億円への回復を予想し、2026年6月にはエディオンとの経営統合で基本合意しました。2026年11月6日終値は735.2円、予想PERは14.9倍です。

この記事では、稼ぎ方、業績と株価、競合との違い、今後の注目点を初めての方向けに整理します。

会社概要:家電店を入口に、住まいまで売る最大手

ひとことで言うと、全国のヤマダデンキで家電を売り、来店したお客さんに住宅・リフォーム・ローンまで提案する会社です。会社はこれを「くらしまるごと」戦略と呼んでいます。

ヤマダホールディングス公式サイトの「くらしまるごと」戦略のページ。街と住宅、店舗を描いたイラストと戦略の説明
出典:ヤマダホールディングス公式サイト「くらしまるごと」戦略のページ(2026年11月6日閲覧)

2026年3月期の売上高は1兆6,918億円で、会社は業界で売上高トップと認識しています(有価証券報告書 2026年3月期 p.28)。2026年9月末の店舗数は直営956店、FC(加盟店)を含むグループ全体で8,585店です(2027年3月期 第2四半期 決算短信 添付資料 p.3)。売上の約8割がデンキ、約2割が住建です。

セグメント別の売上構成比(2026年3月期)

出典:ヤマダホールディングス 2026年3月期 決算短信 添付資料 p.18(セグメント情報)よりKabuGraph算出。外部顧客への売上高(合計1兆6,918億円)に占める割合

沿革:買収で家電の外へ広げてきた

  • 1973年:山田昇氏(現 代表取締役会長兼CEO)が群馬県前橋市で個人創業

  • 2005年・2010年:専門量販店として初めて年間売上高1兆円、2兆円を達成

  • 2011〜2012年:住宅のエス・バイ・エル(現 ヤマダホームズ)、住宅設備のハウステック、家電量販のベスト電器の株式を取得

  • 2019〜2020年:大塚家具、ヒノキヤグループの株式を取得。2020年10月に持株会社へ移行し、現在の社名に。ベスト電器は2021年、大塚家具は2022年にヤマダデンキへ吸収合併

  • 2025〜2026年:東和総合住宅、トクラスの株式を取得。2026年6月にエディオンと経営統合の基本合意

出典:ヤマダホールディングス 有価証券報告書 2026年3月期 p.3-4(沿革)よりKabuGraph作成

売上2兆円の後は、店舗を減らして立て直してきました。家電エコポイントと地デジ移行の特需が終わった後の低迷を受け、2012年3月期から2026年1月末までに延べ450店舗を閉じました(2026年2月16日の開示)。社長は上野善紀氏(代表取締役社長兼COO、2025年4月就任)です。

大株主:旧村上ファンド系が買い増し

株主

持株比率

テックプランニング

9.83%

ソフトバンク

3.64%

山田 昇

3.08%

山田昇記念財団

2.36%

野村 絢

2.16%

出典:ヤマダホールディングス 有価証券報告書 2026年3月期 p.50よりKabuGraph作成。2026年3月31日時点、自己株式を除く発行済株式数に対する割合。信託銀行の信託口(日本マスタートラスト信託銀行11.30%、日本カストディ銀行4.94%)は表から省いた

5%超を持つ株主が出す報告書によると、シティインデックスイレブンスなど4者の保有は2026年10月9日時点で合計9.39%です(変更報告書 2026年10月19日提出)。内訳の最大は野村絢氏の6.78%で、7月の初回の報告から買い増しています。共同通信はこの投資会社を「旧村上ファンド系」と報じています。自己株式を除いて計算すると約13.6%に当たり(KabuGraph算出)、報告書は提案の内容に増配・自己株式取得、資産や事業の譲渡、業界再編、経営陣による買収などで上場をやめること(非公開化)を挙げています。

事業を理解する:デンキと住建が2本柱

売上も利益もデンキが中心ですが、2026年3月期は在庫処分でデンキの利益がほぼ消え、住建が稼ぎ頭になりました。会社は今期、デンキの回復を計画しています。以下の各事業の売上高はセグメント間取引を含みます。

セグメント別の営業利益

出典:ヤマダホールディングス 2026年3月期 決算短信 添付資料 p.17-18、2026年3月期 決算説明会資料 p.9・p.35よりKabuGraph作成。セグメント間取引を含む。2025/3は2026年3月期の区分に組み替えた値。2026/3のデンキは在庫処分を除くと概算264.9億円(会社公表)。2027/3(予)は2026年5月8日公表の計画で、11月6日の修正ではセグメント別の更新なし。その他と調整額は省略

デンキ:売上の約8割を占める中核

テレビ・冷蔵庫・エアコンなどの家電と、パソコン・携帯電話を売る事業です。2026年3月期の売上高は1兆3,294億円でした。

ヤマダデンキ公式サイトのLIFE SELECTのページ。最新型コンセプトストアとして、家電・家具・インテリア・おもちゃ・リフォームまで揃う大型店舗と説明している
出典:ヤマダデンキ公式サイト「LIFE SELECT」(2026年11月6日閲覧)

力を入れているのは大型店「LIFE SELECT」です。家電に加えて家具・インテリア、おもちゃ、リフォームまで扱う体験型の店で、2026年9月末で43店、国内直営店の売上の20.0%を占めます(2027年3月期 第2四半期 決算説明会資料 p.15)。小さな店を畳んで大型店へ集める方針で、店舗数が減っても直営店の売場面積は前年同期比100.8%です(2026年9月末、決算短信 添付資料 p.2)。今期の新規出店計画は11月6日に10店から7店へ減らしました(決算説明会資料 p.27)。

利益率を上げる柱は、売上に占める粗利の割合が高いオリジナル商品(PB・SPA、上期の売上885億円)と、他社モールを抑えて自社サイトに力を入れるEC改革です。ネット通販・テレビ通販の上期の売上は514億円で、通期計画は100億円減らして1,100億円としました(決算説明会資料 p.16・p.28)。

住建:家電の次の柱

戸建て住宅とキッチン・バスなどの住宅設備を手がけ、2026年3月期の売上高は3,339億円、営業利益は102.5億円です。家電店のお客さんを住宅やリフォームにつなぐのが狙いで、ヤマダデンキの店内に「住まいの相談カウンター」を置いています(2026年3月期 決算短信 添付資料 p.3)。

  • ヒノキヤグループ:注文住宅と断熱材など。売上高1,772.9億円(決算期変更で15か月分)

  • ヤマダホームズ:注文住宅と分譲住宅。売上高938.8億円

  • ハウステック・トクラス:システムバス・キッチンなどの住宅設備。ハウステックの売上高は648億円。トクラスは2026年2月に取得し、取得前の売上高は259.4億円(2025年3月期、2026年1月30日の開示)

ヤマダホームズ公式サイトのトップページ。戸建て住宅の外観写真と新価格発表フェアの案内
出典:ヤマダホームズ公式サイト(2026年11月6日閲覧)
ヒノキヤグループ公式サイトのトップページ。片流れ屋根の戸建て住宅の外観写真
出典:ヒノキヤグループ公式サイト(2026年11月6日閲覧)
トクラス公式サイトのトップページ。白いシステムキッチンの写真と商品・ショールームなどのメニュー
出典:トクラス公式サイト(2026年11月6日閲覧)

戸建ての受注は厳しくなっています。上期の注文住宅の受注金額はヒノキヤが前年同期比90.1%、ヤマダホームズが同101.1%で、会社は前期好調の反動も挙げています(決算説明会資料 p.20)。10月の月次では、金利と物価の上昇で「受注環境は一段と厳しさを増しています」と説明しています(2027年3月期 月次速報)。

金融:買い物と住まいの資金面を支える

住宅ローンや少額短期保険、カードで、家電や住宅の購入を資金面から支える事業です。2026年3月期の売上高は47.1億円、営業利益は12.6億円と規模は小さく、金利の上昇で調達コストが増えています(2026年3月期 決算短信 添付資料 p.3)。

ヤマダファイナンスサービス公式サイトのトップページ。ヤマダNEOBANK住宅ローンのポイントプレゼントキャンペーンの案内
出典:ヤマダファイナンスサービス公式サイト(2026年11月6日閲覧)

環境:回収した家電を再生して売る

環境は、買い取った家電やパソコンを再生して売るリユースと、リサイクル・廃棄物処理の事業です。2026年3月期の売上高は428億円(外部顧客向けは258億円)、営業利益は18.7億円で、再生品は全国のヤマダデンキ330店舗以上で売っています(第2四半期 決算短信 添付資料 p.3)。

ヤマダ環境資源開発ホールディングス公式サイトのトップページ。小売を中心とする3つのリソースサーキュレーション(資源循環)をつなぐと掲げる
出典:ヤマダ環境資源開発ホールディングス公式サイト(2026年11月6日閲覧)

業績推移と財務

通期業績:売上は横ばい圏、利益は細ってきた

売上高は1.6〜1.7兆円台で大きく変わらない一方、営業利益は2021年3月期の920.8億円から減ってきました。2021年3月期は給付金と巣ごもり需要の追い風があった年で、翌期はその反動が出たと会社は説明しています(2022年3月期 決算短信 添付資料 p.2)。

通期業績推移(売上高・営業利益・純利益・営業利益率・売上高成長率)

出典:ヤマダホールディングス 決算短信(2020/3・2021/3・2022/3・2023/3・2024/3・2025/3・2026/3・2027/3期 第2四半期)、2026年11月6日の業績予想の修正よりKabuGraph作成。純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。2027/3(予)は2026年11月6日時点の会社予想で、売上高・営業利益は2026年5月8日公表から据え置き、純利益は11月6日に278億円から328億円へ上方修正。売上高成長率は前期比(2021/3は2020/3の1兆6,115.4億円との比較)。2022/3は収益認識基準の適用で1,040.7億円の減収要因があり、適用前の基準では前期比−1.7%(会社公表)。2026/3はヒノキヤグループ等の決算期変更で15か月分を連結しており、増えた3か月分(売上高293.9億円・営業利益9.5億円)を除くと前期比約+2.0%(KabuGraph算出)。2027/3(予)の+5.2%は15か月を含む前期との比較で、トクラスの損益も2027/3から入るため、いずれも単純には比較できない

2026年3月期:在庫を一気に処分して営業利益161.7億円に

2026年3月期の営業利益は前期比62.2%減の161.7億円で、期中の予想489億円を大きく下回りました。2026年4月13日に予想を修正した際、会社は次の理由を挙げています(2026年4月13日の開示)。

  • 計画外の在庫処分(営業利益で約240億円のマイナス):店舗閉鎖で残った在庫を第4四半期に処分しました。オリジナル商品の売場を広げることと、金利上昇の中で財務を改善することが狙いです

  • ポイント施策の強化:お客さんを増やすために付けたポイントが、会計上は先に利益を減らします。会社は今期にこの影響が解消すると説明しています

  • 大型店の退店:都市型の大型店LABIの津田沼・仙台・名古屋などが、再開発や契約満了で閉店しました(2026年3月期 決算短信 添付資料 p.2)

四半期ごとの営業利益(3か月単体)

出典:ヤマダホールディングス 2026年3月期 決算説明会資料 p.6-7、2027年3月期 第2四半期 決算説明会資料 p.6よりKabuGraph作成。1Qは4〜6月、2Qは7〜9月、3Qは10〜12月、4Qは1〜3月

今期の予想:営業利益515億円、修正は純利益だけ

項目(億円)

2026/3
実績

期初予想
(5月8日)

最新予想
(11月6日)

売上高

16,918.1

17,800

17,800

営業利益

161.7

515

515

純利益

147.8

278

328

EPS(1株利益、円)

21.95

41.81

49.33

出典:ヤマダホールディングス 2026年11月6日の業績予想の修正、2027年3月期 第2四半期 決算短信よりKabuGraph作成。純利益は親会社株主に帰属する当期純利益

通期予想の修正は、11月6日の純利益の上方修正(278億円→328億円)だけです。会社は一部の非事業用資産の売却が先行したことなどを理由に挙げ、売上高と営業利益は「今後の市場動向を慎重に見極める必要がある」として据え置きました。第3四半期以降の資産売却の影響は含めておらず、想定どおりに進めば純利益はさらに上振れるとしています。これに先立つ10月27日には、上期の予想を上方修正しました(営業利益275億円→286億円、純利益155億円→215億円、10月27日の開示)。

上期(4〜9月累計)は売上高8,802億円(前年同期比10.0%増)、営業利益286.2億円(同32.1%増)、純利益215.6億円(同68.7%増)でした。営業利益は通期予想の55.6%に達しています(KabuGraph算出)。ただし数字の中身には、次の点があります。

  • エアコン特需:エアコンの売上は25.7%増です。2022年5月に2027年度を目標年度とする新しい省エネ基準が決まっており、会社はこれに伴う需要を「エアコン2027年問題」と呼んでいます

  • 計上方法の変更と買収も上乗せ:携帯電話の40.2%増には取引条件の変更で売上の計上額が増えた分が入っています(決算説明会資料 p.8・p.13)。住建の17.4%増にも、前年同期に連結していなかったトクラスなどの分が入っているとみられます(KabuGraphの見方、2026年3月期 決算短信 添付資料 p.15)

  • 純利益は税金の軽さが効きました:特別利益は16.9億円(関係会社株式売却益14.0億円など)にとどまり、特別損失44.8億円を引くと特別損益はマイナスです。一方、税負担率は39.8%から20.0%に下がり、純利益の増加87.8億円のうち32.3億円は税金の減少の分です(KabuGraph算出、決算短信 添付資料 p.8)。会社は中国・瀋陽の子会社の売却で税金が軽くなる効果を見込むと説明し、資産売却益等を除いても二桁以上の増益だとしています

10月の月次は前年を下回りました。デンキの売上(速報値)は前年同月比92.5%でした。前年のWindows 10サポート終了前の特需の反動でパソコンが減ったことなどを、会社は挙げています(2027年3月期 月次速報)。下期の営業利益の計画は228.8億円です。前年下期の赤字(55.1億円)は在庫処分を含む数字で、除くと概算184.9億円の黒字なので、計画はこれより約24%多い水準です(決算説明会資料 p.24、2026年3月期 決算説明会資料 p.7)。

配当・自社株買い・株主優待

1株配当と配当性向の推移

出典:ヤマダホールディングス 決算短信(2022/3・2024/3・2026/3・2027/3期 第2四半期)、2026年3月期 決算説明会資料 p.43よりKabuGraph作成。2024/3は記念配当1円を含む。2027/3(予)は2026年5月8日公表から据え置きの会社予想で、配当性向は本文のとおり置いていない

配当は年1回で、方針は「連結配当性向40%以上」が目標です。当初の予想配当17円は配当性向40.6%でしたが、純利益の上方修正で17円のままだと約34.5%に下がる計算です(KabuGraph算出)。会社は資産売却などによる利益の増加を踏まえて増配を検討するとしていますが(決算説明会資料 p.25)、利益が大きく伸びた場合の使い道に成長投資も挙げており(決算短信 添付資料 p.5)、増配額は未定です。

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自社株買いと消却も進めています。2025年5月〜2026年3月に154.9億円を取得し(2026年4月1日の開示)、11月6日には保有する自己株式3億184万株(発行済株式の31.22%)を11月30日にすべて消却すると決めました(同日の開示)。1株当たりの数字はもともと自己株式を除いて計算するので、消却で変わりません。

保有株数

3月末

9月末

年間

100〜499株

500円

1,000円

1,500円

500〜999株

2,000円

3,000円

5,000円

1,000〜9,999株

5,000円

5,000円

10,000円

出典:ヤマダホールディングス公式サイト「株主優待制度」よりKabuGraph作成(2026年11月6日閲覧)。10,000株以上は3月末・9月末とも25,000円。ヤマダデンキの国内店舗(一部のFC店を除く)とIDC OTSUKAの店舗で使える

株主優待は500円の買物券で、100株なら年1,500円分です。税込1,000円の買い物ごとに1枚使えます。配当1,700円と合わせると年3,200円相当で、2026年11月6日終値の投資額7万3,520円の約4.35%です(KabuGraph算出)。統合後の優待の扱いは、基本合意の開示には書かれていません。

株価指標(2026年11月6日終値)

指標

値

株価

735.2円

実績PER
(2026年3月期の1株利益 21.95円)

33.5倍

予想PER
(会社予想の1株利益 49.33円)

14.9倍

PBR
(2026年3月末の1株純資産 953.69円)

0.77倍

配当利回り
(年17円)

2.31%

時価総額
(自己株式を除く)

約4,889億円

出典:東証株価・決算短信よりKabuGraph算出(2026年11月6日終値)。自己株式を除く時価総額は、自己株式の消却の開示にある消却後の発行済株式数6億6,501万株で計算。PBRは2026年9月末の1株純資産965.36円なら0.76倍

実績PER33.5倍は在庫処分で利益が細った年の数字なので、割高かどうかの目安になりません。予想PER14.9倍は今期の回復を織り込んだ数字ですが、予想の純利益には税負担の軽さも入っています。修正前の予想1株利益41.81円なら17.6倍です(KabuGraph算出)。

時価総額は自己株式の扱いで大きく変わります。発行済株式数で計算すると7,108億円ですが、その31%は自己株式で、除くと約4,889億円です。11月30日の消却後は、同じ株価なら発行済株式数で計算しても約4,889億円です。

PBRは1倍を割っており、会社はその解消を経営の課題に掲げています。2026年3月期のROE(自己資本利益率)は2.3%です(有価証券報告書 p.1)。中期経営計画 p.20では2030年3月期にROE8.5%・PBR1倍超を目標にしています。

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なお、11月6日の終値は前日比4.35%安で、同日はビックカメラ(4.21%安)やケーズHD(4.23%安)も下げました。

これからの2大テーマ:エディオンとの統合と資産売却

エディオンとの経営統合:実現すれば売上高約2.5兆円

2026年6月5日、ヤマダHDとエディオン(2730)は持株会社方式の経営統合の協議を進める基本合意書を結びました。対等統合を基本方針としますが、まだ最終契約の前で、統合比率は決まっていません。両社の株主総会の承認と関係当局の許認可が前提で、検討を中止する場合は公表するとしています(2026年6月5日の開示)。

経営統合に関する基本合意の資料。単純合算で店舗数9,954店舗(FC含む)、売上高約2.5兆円、従業員数35,895人、会員数3,608万人超
出典:ヤマダホールディングス・エディオン「経営統合に関する基本合意について」p.2(2026年6月5日、開示資料のPDFでは8ページ目)。数値は2026年3月末時点の速報値の単純合算
  • 方式:共同株式移転で持株会社を作る形が基本方針です。新会社が東証プライムに上場し、ヤマダHD株とエディオン株は上場廃止になる予定で、株主は新会社の株式を受け取ります

  • 日程(予定):2027年5〜6月に最終契約と統合比率の決定、6月に両社の株主総会、10月1日に効力発生と新会社の上場

  • 体制(予定):会長にヤマダHDの山田昇氏、社長にエディオンの久保允誉氏。取締役は両社が同数ずつ指名します。社名は新しいものにし、本社は東京を予定、ブランドは当面併用します

  • 狙い:共同仕入れなどによる調達コストの低減、会員データの相互活用、リフォームの量販化、配送網の強化を挙げています

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ホールディングス(持株会社)とは、子会社の株式を持ってグループを経営する会社のこと。独占禁止法の定義、純粋・事業持株会社の違い、社名の意味、1997年解禁の経緯とつくり方を整理し、単体売上が9割減ったパナソニックHDの決算で投資家の注意点を解説。

投資家にとっての論点は、統合比率と統合効果の大きさです。比率は企業調査と第三者の算定、市場株価を踏まえて決まります。統合効果の金額は2026年11月6日時点で開示されておらず、両社の会長を共同委員長とする統合準備委員会で協議中です(第2四半期 決算短信 添付資料 p.4)。

独占禁止法などの手続きで日程が変わる可能性もあります。ヤマダ電機は2012年のベスト電器の買収でも公正取引委員会の審査を受け、競合する253地域のうち10地域で問題ありとされ、8店舗の譲渡を前提に認められました(公正取引委員会 平成24年度の企業結合事例9)。

資産売却:PBR1倍に向けて約1,300億円

会社は2026年5月、約1,300億円規模(取得額ベース)の資産を2年以内をめどに売る方針を打ち出しました。対象は主にデンキセグメントの本業の中心ではない資産、効率の低い事業用の資産、保有株式などです。資金は大型店の出店、M&A、借入金の削減、株主還元に回します(2026年3月期 決算短信 添付資料 p.5-6)。

今期分は入札で売却先を決め、2026年12月24日に入札を締め切り、2027年3月末に代金を受け取る予定です(第2四半期 決算短信 添付資料 p.4)。

財務には余力があります。2026年9月末の自己資本比率は48.9%で、有利子負債は半年で191億円減って2,905億円です(決算説明会資料 p.9)。

競合との比較

家電量販店が取り合っているのは、買い替えのお客さん、店を出す立地、そしてネット通販に流れる需要です。会社は有価証券報告書で、大型家電量販店のほか総合スーパー、ホームセンター、ECプラットフォーマー、家具・インテリア事業者まで競合に挙げています(有価証券報告書 2026年3月期 p.28)。

会社

売上高
(億円)

営業利益率

PBR

ヤマダHD(9831)

16,918.1

1.0%

0.77倍

ビックカメラ(3048)

10,411.7

3.6%

1.65倍

ノジマ(7419)

9,828.0

5.9%

1.58倍

エディオン(2730)

7,937.5

3.2%

1.12倍

ケーズHD(8282)

7,597.1

3.5%

1.08倍

Joshin(8173)

4,366.5

1.2%

1.01倍

出典:各社の決算短信(ヤマダHD・ビックカメラ・ノジマ・ケーズHD)、エディオンは2026年6月5日の開示、Joshinは業績ハイライトよりKabuGraph算出。ビックカメラのみ2026年8月期、他は2026年3月期。営業利益率は営業利益÷売上高。PBRは2026年11月6日終値÷直近の通期末(ビックカメラは2026年8月末、他は2026年3月末)の1株純資産

規模は1位ですが、利益率は同業の中で低い側です。在庫処分の約240億円を除いても2.4%程度(KabuGraph算出)で、今期予想の2.9%でも、エディオン(今期予想4.3%)やケーズHD(同3.9%)を下回ります(2026年11月5日時点の会社予想からKabuGraph算出)。PBRも6社で最も低い水準です。

  • エディオン(2730):統合の相手です。広島市に本店を置き、2026年3月末の店舗は直営453店・FC727店。大株主の1位はニトリHD(9.67%、同日時点)です(2026年6月5日の開示)

  • ビックカメラ(3048):グループにコジマを持ち、決算期は8月です(2026年8月期 決算短信)

  • ノジマ(7419):稼ぎ方が違います。売上の最大は携帯ショップのキャリアショップ事業(3,970億円)で、デジタル家電(3,399億円)を上回ります(2026年3月期 決算短信)

  • ケーズHD(8282):家電量販店に絞った会社で、2026年3月末の店舗は556店です(2026年3月期 決算短信)

  • ヨドバシカメラ(非上場)・ネット通販:非上場のヨドバシカメラや、Amazon・楽天市場のようなECプラットフォームも需要を取り合う相手です。統合の開示も通信販売業者の台頭を環境の変化に挙げています

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Joshin(8173、旧上新電機)は関西が地盤の家電量販店。2027年3月期はエアコンの前倒し需要で営業利益予想を60億円から110億円へ上方修正した一方、不正アクセスの影響は未反映。配当100円、予想PER21.4倍(11月6日終値)、ヤマダ・エディオンとの違いも解説。

家電の外には別の競合がいます。住宅では積水ハウス(1928)や大和ハウス工業(1925)、キッチン・バスではLIXIL(5938)やTOTO(5332)、家具ではニトリHD(9843)などの専業大手です。ヤマダの差別化は、家電店から住宅やリフォームへお客さんをつなぐことにあります。

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LIXIL(5938)はINAX・TOSTEM・GROHEを持つ住宅設備大手。売上収益1.5兆円に対し営業利益率は1.9%(2026年3月期)。上期は最終赤字でも通期予想と年90円配当は据え置き。事業・業績・配当・TOTOとの違いを解説。

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ニトリHD(9843)のSPAモデル、ニトリ事業・島忠事業のセグメント別業績、海外展開、グローバル成長戦略と投資リスクを個人投資家向けに解説します。

投資家が注目すべきポイント

強み

  • 業界首位の規模:上場の家電量販で売上高が最大で、統合が実現すれば約2.5兆円になります

  • 家電の外の柱:住建は2026年3月期に102.5億円の営業利益を稼ぎました

  • 利益の回復:上期の営業利益は前年同期比32.1%増、デンキの営業利益率は3.4%です(決算説明会資料 p.13)

  • 厚い資産:自己資本比率48.9%に加え、約1,300億円規模(取得額ベース)の売却対象があります

リスク

  • 統合の条件と実現性:統合比率は2027年5〜6月まで決まらず、独占禁止法の手続き次第で日程が変わる可能性があります

  • 特需の反動:エアコンの買い替え需要はいずれ一巡するとみられます(KabuGraphの見方)。パソコンはすでに反動が出ています

  • 住宅の受注:金利と物価の上昇で戸建ての受注環境が厳しくなっています

  • 一時的な利益への依存:資産売却の価額と時期は想定とずれる可能性があります(有価証券報告書 p.28)

  • 大株主の動き:シティインデックスイレブンスなどの保有は9.39%で、提案には非公開化も含まれます

  • 情報管理:2026年11月5日に委託先への不正アクセスによる情報流出を2件公表しました(ヤマダデンキ・ヤマダファイナンスサービス)

これからのチェックポイント

  • 2026年11月30日:自己株式の消却

  • 2026年12月〜2027年3月:資産売却の入札結果と業績予想の修正、期末配当の決定

  • 2027年5〜6月:エディオンとの最終契約と統合比率、6月の株主総会

  • 2027年10月1日:統合の効力発生と新会社の上場(予定)

まとめ

ヤマダHDは、売上高1兆6,918億円の家電量販最大手で、家電店を入口に住宅・金融・リユースまで広げてきた会社です。2026年3月期は在庫処分で営業利益が161.7億円に落ちましたが、今期は515億円への回復を予想し、上期は計画を上回りました。

今後の焦点は、特需の反動を越えて本業の利益率が上がるか、資産売却でどれだけ資金と利益が出るか、そしてエディオンとの統合がどんな比率で実現するかの3つです。


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9831小売

ヤマダホールディングス

ヤマダホールディングスは、テレビ・冷蔵庫・洗濯機などの家電、パソコン・携帯電話などの情報家電販売(ヤマダデンキ)、戸建住宅・住宅設備機器製造(ヤマダホームズ・トクラス・ハウステック)、金融サービス・保険(ヤマダファイナンス・ヤマダLABIカ…

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。記事中の業績は2026年11月6日公表の決算短信まで、株価指標は2026年11月6日終値に基づいています。

コラム著者・編集者

K

KabuGraph編集部

KabuGraph編集部は、投資情報の発信と株式分析ツールの開発に携わるチームです。日本株・米国株の事業分析から、投資に役立つ情報をわかりやすくお届けします。

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