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ホールディングス(持株会社)とは|社名の意味とつくり方、単体売上が9割減ったパナソニックHDの実例

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ホールディングス(Holdings)とは、子会社の株式を持つことでグループ全体を経営する「持株会社(holding company)」のことです。社名の「〇〇ホールディングス」は持株会社がよく使う呼び名にすぎず、名乗るための法律上の条件はありません。

独占禁止法は、公正取引委員会への報告義務を決める線引きとして、「子会社株式の取得価額の合計が総資産の50%を超える会社」を持株会社と定めています(独占禁止法 第9条(e-Gov法令検索))。日本では戦後長く禁止されていましたが、1997年の独禁法改正で解禁され、いまでは東証に上場する3,896社のうち496社が銘柄名に「ホールディングス」を含みます(2026年9月24日時点、KabuGraph調べ)。

この記事では、持株会社の定義と種類、社名の意味、メリット・デメリット、つくり方を整理し、持株会社になって単体の売上高が約9割減ったパナソニック ホールディングスの決算を例に、投資家が数字を見るときの注意点を解説します。1997年の解禁までの経緯は後半でまとめます。

この記事の内容(目次)

  1. ホールディングスとは|要点を一覧で
    1. 親会社・持株会社・ホールディングスの違い
  2. 持株会社の定義と2つの種類
    1. 独占禁止法の定義は「子会社株式が総資産の50%超」
    2. 純粋持株会社と事業持株会社
    3. 中間持株会社
  3. 社名の「ホールディングス」の意味|名乗らない持株会社もある
    1. 社名に付けるかどうかは会社の自由
    2. 上場企業の約8社に1社が「ホールディングス」
    3. 「グループ」との違い
    4. 「カンパニー制」との違い
  4. 持株会社にするメリットとデメリット
    1. メリット
    2. デメリット
  5. 持株会社のつくり方|株式移転・会社分割・株式交換
    1. 株式移転の例:ギフティ(2026年)
    2. 会社分割の例:パナソニック(2022年)
    3. 経営統合や子会社化にも使われる
  6. 投資家から見たホールディングス|決算は「連結」で見る
    1. パナソニックHDは単体の売上が約9割減った
    2. 持株会社の決算を見る4つのポイント
  7. 持株会社はなぜ増えた?|1947年の禁止から1997年の解禁まで
  8. ホールディングスについてよくある疑問
    1. ホールディングスに就職すると、どこで働くことになる?
    2. 持株会社の株を買うと、子会社の株主にもなる?
    3. 持株会社になるとき、株主は何か手続きが必要?
    4. 持株会社になると株価は上がる?
    5. 中小企業でもホールディングスにできる?
  9. まとめ

ホールディングスとは|要点を一覧で

典型的なホールディングス(純粋持株会社)は、自ら製品をつくったり売ったりしません。子会社の株式を持ち、グループの戦略と資金の配分を決める「司令塔」の役割を担います。実際の事業は傘下の事業会社が行います(自らも事業を営む「事業持株会社」もあります)。

出典:独占禁止法 第9条よりKabuGraph作成

要点は次のとおりです。

  • 意味:持株会社(holding company)。子会社の株式を保有してグループを経営する会社

  • 法律上の定義:子会社株式の取得価額の合計が総資産の50%を超える会社(独占禁止法 第9条第4項第1号。公正取引委員会への報告義務の線引き)

  • 種類:自ら事業を行わない「純粋持株会社」と、事業も行う「事業持株会社」

  • 主な収入:子会社からの配当金、グループ運営の対価として受け取る経営指導料など

  • 社名:「ホールディングス」「グループ」など自由。名乗る義務はない

  • 歴史:1947年の独占禁止法で禁止 → 1997年の改正で解禁

  • つくり方:株式移転・会社分割・株式交換

  • 投資家の注意点:業績は持株会社単体ではなく連結決算で見る

出典:独占禁止法、会社法、公正取引委員会の資料よりKabuGraph作成

親会社・持株会社・ホールディングスの違い

似た言葉が3つありますが、よりどころになる法律が違います。

  • 親会社(会社法 第2条第4号):子会社の議決権の過半数を持つなど、他の会社の経営を支配している会社

  • 持株会社(独占禁止法 第9条第4項第1号):子会社株式の取得価額の合計が総資産の50%を超える会社

  • ホールディングス(法律上の定義はない):持株会社が社名によく使う呼び名

出典:会社法、独占禁止法(e-Gov法令検索)よりKabuGraph作成

持株会社は親会社の一種ですが、親会社がすべて持株会社とは限りません。自社で大きな事業を営み、資産の大半が工場や在庫などで、子会社株式の割合が50%以下なら、子会社を持っていても独禁法上の持株会社には当たりません(独占禁止法 第9条第4項(e-Gov法令検索))。

持株会社の定義と2つの種類

独占禁止法の定義は「子会社株式が総資産の50%超」

持株会社を条文で定義しているのは、独占禁止法 第9条第4項第1号(e-Gov法令検索)です。

子会社の株式の取得価額(最終の貸借対照表において別に付した価額があるときは、その価額)の合計額の当該会社の総資産の額に対する割合が百分の五十を超える会社

ここでいう子会社は、その会社が議決権の過半数を持つ国内の会社です(同条第5項)。この定義は、大きな持株会社グループに公正取引委員会への報告を求めるための基準として置かれています。持株会社とその子会社の総資産の合計が6,000億円を超えると、毎事業年度の終了後3か月以内に「事業に関する報告書」を公正取引委員会に出さなければなりません(他の会社の子会社である中間持株会社などは除く。独占禁止法施行令 第15条(e-Gov法令検索)、公正取引委員会「法第9条に基づく事業に関する報告制度」)。

純粋持株会社と事業持株会社

持株会社は、自ら事業を営むかどうかで「純粋持株会社」と「事業持株会社」に分けられます(ブリタニカ国際大百科事典「持株会社」(コトバンク))。投資家から見た違いは、持株会社単体の決算に事業の売上が残るかどうかです。

主な違いは次のとおりです。

  • 自ら事業を行うか

    • 純粋持株会社:行わない(グループ経営に専念)

    • 事業持株会社:行う

  • 主な収入

    • 純粋持株会社:子会社からの配当金・経営指導料など

    • 事業持株会社:自社事業の売上+子会社からの配当金

  • 例

    • 純粋持株会社:パナソニック ホールディングス(2022年4月以降。「子会社の経営管理を行うことを、主たる業務」と説明)

    • 事業持株会社:自社で製造・販売を続けながら、販売会社や海外子会社を持つメーカーなど

出典:経済産業省「純粋持株会社実態調査 調査の概要」(e-Stat)、パナソニック ホールディングス 第119期有価証券報告書よりKabuGraph作成

中間持株会社

グループの中で、特定の事業分野の子会社を束ねる持株会社を中間持株会社と呼びます。たとえばソニー(現ソニーグループ)は2020年4月、エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション事業を束ねる中間持株会社としてソニーエレクトロニクスを設立しました(翌2021年4月に他の子会社と統合し、ソニー株式会社として営業を開始。ソニーグループ 2025年度 有価証券報告書(EDINET))。持株会社の下にさらに持株会社がある、入れ子の構造です。

社名の「ホールディングス」の意味|名乗らない持株会社もある

「ホールディングス」は英語の holding company(持株会社)から来た言葉で、社名では複数形の Holdings が使われます。銘柄名などでは「HD」と略されることもあります。

社名に付けるかどうかは会社の自由

会社法が商号(社名)について求めているのは、「株式会社」などの会社の種類を入れること、他の種類の会社と誤認されるおそれのある文字を使わないこと(第6条)、不正の目的で他の会社と誤認されるおそれのある名称を使わないこと(第8条)などです(会社法 第6条〜第8条(e-Gov法令検索))。「ホールディングス」を名乗るための条件は定められていません。

持株会社でも「ホールディングス」を名乗らない会社は珍しくありません。

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ソ
6758電機・精密

ソニーグループ

エンタテインメントとテクノロジーを融合させた総合企業。PlayStation等のゲーム事業、ソニー・ミュージックによる音楽制作・出版、ソニー・ピクチャーズによる映画・テレビ番組制作、カメラ・テレビ・ヘッドホン等のエレクトロニクス製品、スマー…

上場企業の約8社に1社が「ホールディングス」

東証に上場する会社の銘柄名を調べると、「ホールディングス」(HD・Holdingsなどの表記を含む)が入る会社は3,896社中496社、約8社に1社でした。市場別ではプライム市場の比率が最も高く、約6社に1社です。

市場

上場社数

うちホールディングス

比率

プライム

1,548社

245社

15.8%

スタンダード

1,562社

180社

11.5%

グロース

598社

50社

8.4%

TOKYO PRO MARKET

188社

21社

11.2%

合計

3,896社

496社

12.7%

出典:J-Quants(日本取引所グループ)の上場銘柄一覧よりKabuGraph算出(2026年9月24日時点)。REIT・ETF・優先株式を除く。銘柄名に「ホールディング」「HD」「Holdings」(大文字・小文字を問わない)を含む会社を数えた

一方、大和総研の集計では、持株会社体制をとる上場企業は2023年9月末時点で670社以上(上場企業の15%以上)とされています(大和総研「持株会社化の近時動向」)。時点も数え方も違うので単純には比べられませんが、「社名にホールディングスが付く会社」と「持株会社」は同じ集合ではないと覚えておくとよいでしょう。

持株会社かどうかは、社名ではなく決算書で確かめます。純粋持株会社なら、単体の損益計算書の収入は子会社からの配当金や経営指導料などが中心です(後述のパナソニック ホールディングスの例を参照)。

「グループ」との違い

「〇〇グループ」は、親会社と子会社・関連会社を合わせた企業集団全体を指す言葉です。一方、「〇〇ホールディングス」はその頂点にある1社(持株会社)の名前です。パナソニックグループの頂点にいるのがパナソニック ホールディングス株式会社、という関係になります。ただし、ソニーグループ株式会社のように、持株会社自身が「グループ」を社名に使う例もあります。

「カンパニー制」との違い

カンパニー制は、会社は1つのまま、社内の事業部門を独立した会社のように扱う「疑似的な社内分社」です(日本大百科全書「カンパニー制」(コトバンク))。持株会社のように事業ごとに別の法人(子会社)をつくるわけではありません。投資家から見ると、法人が1つなので単体の決算にも事業の売上が残る点が持株会社と違います。

持株会社が禁じられていた時代に、それに近い制度として1994年にソニーが導入したとされます。解禁後は、カンパニー制から持株会社制へ移る企業も多いとされています(同)。

持株会社にするメリットとデメリット

各社の開示資料を見ると、持株会社に移る理由はよく似ています。2026年7月に持株会社体制へ移ったギフティは、目的を「経営管理機能と事業執行機能を分離し、持株会社を中心としたグループ経営体制へ移行する」と説明しています(ギフティグループ 有価証券届出書(EDINET))。

メリット

  • 経営と事業を分けられる:持株会社はグループ全体の戦略・投資の配分・M&Aに、事業会社は自社の事業運営に集中できる

  • 権限と責任がはっきりする:事業ごとに会社が分かれ、損益も会社単位で見えるため、各社の経営陣が結果に責任を持つ「自主責任経営」を進めやすい(パナソニック ホールディングスも持株会社の役割を「子会社が自主責任経営を推進するために必要とする」役務の提供と説明。第119期 有価証券報告書(EDINET))

  • M&Aや事業の売却がしやすい:買収した会社を子会社のまま傘下に置け、事業を手放すときも子会社の株式を譲渡すれば済む。パナソニック ホールディングスは2024年12月、事業会社の一つだったパナソニック オートモーティブシステムズの全株式を譲渡しました(同時に譲渡先の親会社の株式20%を取得。同 有価証券報告書)

  • リスクを切り分けやすい:子会社は別の法人なので、ある事業の損失や訴訟の影響を会社単位で区切りやすい(親会社が債務を保証している場合などは別)

  • 事業承継に使われることもある:非上場の中小企業では、後継者が株主となる持株会社が現経営者から事業会社の株式を買い取る、といった形で使われる(中小企業庁「事業承継ガイドライン(第3版)」。後述の「よくある疑問」も参照)

デメリット

  • 管理コストが増える:会社の数だけ取締役会・経理・監査などが要り、間接部門が重なりやすい

  • グループの一体感が薄れる:事業会社が自社の利益を優先する縦割りになり、事業どうしの連携(シナジー)が生まれにくくなる

  • 持株会社の収入は子会社次第:純粋持株会社の収入は子会社からの配当金や経営指導料が中心で、子会社の業績が落ちれば株主への配当の原資も細る

  • 外から中身が見えにくくなる:事業が子会社に分かれ、持株会社単体の決算からは事業の実態がわからなくなる(後の章で詳しく解説)

持株会社のつくり方|株式移転・会社分割・株式交換

既存の会社が持株会社体制に移るには、主に3つの方法があります。株主から見て何が変わるかは、方法によって違います。

出典:会社法 第2条、各社の有価証券報告書・有価証券届出書よりKabuGraph作成

3つの方法の違いは次のとおりです。

  • しくみ(会社法の定義)

    • 株式移転:既存の会社が、新しく設立する会社に発行済株式の全部を取得させる(第2条第32号)

    • 会社分割:事業に関する権利義務を他の会社に承継させる(吸収分割は第2条第29号、新設分割は第30号)。事業を移した元の会社が持株会社になる

    • 株式交換:既存の会社が、発行済株式の全部を他の会社に取得させる(第2条第31号)

  • 株主から見ると

    • 株式移転:持ち株が新会社の株式に替わる。元の会社は上場廃止、新会社がテクニカル上場し、通常は証券コードが変わる

    • 会社分割:持ち株も証券コードもそのまま。社名を「〇〇ホールディングス」などに変えることが多い(変えなくてもよい)

    • 株式交換:子会社になる側の株主が、親会社の株式を受け取る

  • 例

    • 株式移転:ギフティ → ギフティグループ(2026年)

    • 会社分割:パナソニック → パナソニック ホールディングス(2022年)

    • 株式交換:セブン&アイ・ホールディングスによるミレニアムリテイリングの完全子会社化(2006年)

出典:会社法 第2条(e-Gov法令検索)、各社の有価証券報告書・有価証券届出書よりKabuGraph作成

事業を子会社に移して元の会社が持株会社になるやり方は、「抜け殻方式」とも呼ばれます(大和総研「持株会社化の近時動向」)。

株式移転の例:ギフティ(2026年)

ギフティは2026年7月1日、単独株式移転で持株会社のギフティグループを設立しました。株主にはギフティ株1株につきギフティグループ株1株が割り当てられました。ギフティ(証券コード4449)は6月29日に上場廃止となり、ギフティグループが新しい証券コード590Aで東証プライム市場にテクニカル上場しています(ギフティグループ 有価証券届出書(EDINET)、ギフティグループ プレスリリース(PR TIMES))。株主が手続きをしなくても持ち株は新会社の株式に替わりますが、証券コードが変わる点には注意が必要です。

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ギ
590A情報通信・サービスその他

ギフティグループ

ギフティグループは、eギフトの発券から流通・販売まで一気通貫で提供するeギフトプラットフォーム事業を展開。個人向けカジュアルギフトサービス「giftee」、店舗引換型eGift生成システム「eGift System」、法人向けキャンペーン・…

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会社分割の例:パナソニック(2022年)

パナソニックは2022年4月1日、各事業を吸収分割で事業会社を含む9社に承継させて自らは持株会社となり、社名をパナソニック株式会社からパナソニック ホールディングス株式会社に変えました(パナソニック ホールディングス 第119期 有価証券報告書(EDINET))。上場している会社そのものは変わらないので、証券コード6752も株主の持ち株もそのままです。

経営統合や子会社化にも使われる

株式移転は、複数の会社が共同で行うこともできます。セブン&アイ・ホールディングスは、セブン‐イレブン・ジャパン、イトーヨーカ堂、デニーズジャパンの3社が共同で株式移転を行い、2005年9月に設立されました(セブン&アイ・ホールディングス 第21期 有価証券報告書(EDINET))。

その後2006年には、株式を追加取得したうえで株式交換を行い、そごう・西武百貨店などを傘下に持つミレニアムリテイリングを完全子会社にしています(同)。株式交換は、このように持株会社が別の会社を100%子会社として傘下に加えるときに使われます。しくみの詳細は「株式交換とは」で解説しています。

投資家から見たホールディングス|決算は「連結」で見る

持株会社に投資するときに最も気をつけたいのは、持株会社単体の決算は事業の実力を表さないという点です。売上や利益は子会社で生まれ、持株会社単体に入るのは子会社からの配当金や経営指導料などだからです。

パナソニックHDは単体の売上が約9割減った

持株会社になる前後で、パナソニック ホールディングス単体の数字は大きく変わりました。移行前の2022年3月期に2兆7,560億円あった単体の売上高は、移行後の2023年3月期には営業収益2,475億円と約9割減りました。単体の従業員数も5万5,088人から1,347人になっています。一方、グループ全体の連結売上高は7兆〜8兆円台で推移しています(パナソニック ホールディングス 第119期 有価証券報告書(EDINET))。

パナソニック ホールディングスの連結売上高と、単体(提出会社)の売上高・営業収益

出典:パナソニック ホールディングス 第119期有価証券報告書よりKabuGraph作成。2022年4月1日に持株会社制へ移行。単体(提出会社)は、持株会社になる前の2022年3月期が売上高、2023年3月期以降が営業収益

2026年3月期の単体の営業収益の内訳を見ると、持株会社の収入源がよくわかります。連結売上高8兆487億円に対して、単体の営業収益は3%ほどにすぎません。

内訳(2026年3月期)

金額

グループ経営運営収入

1,117.6億円

関係会社受取配当金

846.1億円

その他

642.8億円

合計

2,606.5億円

出典:パナソニック ホールディングス 第119期有価証券報告書(損益計算書)よりKabuGraph作成
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パ
6752電機・精密

パナソニック ホールディングス

パナソニック ホールディングスは、家電・住宅設備・車載機器・電池・電子部品から業務用ソリューションまで幅広い事業を展開する日本を代表する総合電機メーカー。2022年に持株会社体制へ移行し、傘下の事業会社がそれぞれの領域で自律経営を行う。車載…

持株会社の決算を見る4つのポイント

  1. 業績は連結で見る:売上高・利益・EPS・PERなどは、グループ全体の連結ベース(親会社株主に帰属する当期純利益など)で判断します。決算短信の1ページ目に大きく載るのも連結の数字です

  2. 事業の中身はセグメント情報で見る:どの事業でどれだけ稼いでいるかは、連結決算のセグメント情報で確認します

  3. 配当の上限は単体の数字で決まる:株主への配当は、会社単体の剰余金をもとに計算する分配可能額を超えられません(会社法 第461条(e-Gov法令検索))。純粋持株会社の配当の原資は、主に子会社から受け取る配当金や経営指導料です

  4. 上場子会社があれば外部株主の取り分に注意:子会社も上場していると、子会社の利益の一部は外部の株主のもの(非支配株主持分)になります。親会社と子会社がともに上場する問題は「親子上場とは」、事業を多く抱えるグループの株価が事業ごとの価値の合計より低く評価されやすい問題は「コングロマリット・ディスカウントとは」で解説しています

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持株会社はなぜ増えた?|1947年の禁止から1997年の解禁まで

いまでは珍しくない持株会社ですが、日本では戦後50年にわたって禁止されていました。主な出来事は次のとおりです。

  • 戦前:三井合名会社・三菱合資会社などの財閥本社が持株会社として傘下企業を支配

  • 1947年:独占禁止法の制定。第9条で持株会社の設立・転化を全面的に禁止

  • 1997年6月:改正独占禁止法が成立(平成9年法律第87号)。12月17日施行。事業支配力が過度に集中することとなる持株会社だけを禁止する形に

  • 1998年3月:銀行法などの改正により、銀行・保険会社・証券会社も持株会社を設立できるように

  • 1999年:商法改正(平成11年法律第125号)で株式交換・株式移転の制度ができる

  • 2000年:商法改正(平成12年法律第90号)で会社分割の制度ができる

  • 2002年11月:独占禁止法第9条の改正法が施行。規制の対象を持株会社に限らず全ての会社に広げる

出典:三井広報委員会「持株会社『三井合名』設立」、三菱グループ「沿革」、公正取引委員会 平成8年度年次報告・平成9年度年次報告、同「金融機関の業態区分の緩和及び業務範囲の拡大に伴う不公正な取引方法について」、同「事業支配力が過度に集中することとなる会社の考え方」、衆議院 制定法律情報(平成11年法律第125号・平成12年法律第90号)よりKabuGraph作成

解禁の背景は、1990年代の企業活動のグローバル化と、産業の空洞化への懸念です。持株会社は1947年の独占禁止法の制定以来、事業支配力の過度の集中を防ぐため全面的に禁止されてきましたが、こうした情勢の変化から規制を見直すべきだという主張が強まりました(公正取引委員会 平成8年度年次報告)。

現在も、株式の保有によって「事業支配力が過度に集中することとなる会社」をつくることは禁じられています(独占禁止法 第9条第1項・第2項(e-Gov法令検索))。

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ホールディングスについてよくある疑問

ホールディングスに就職すると、どこで働くことになる?

持株会社本体の社員は、グループ全体から見ればごく一部です。パナソニック ホールディングス単体の従業員数は1,431人で、連結の18万3,685人の1%に届きません(2026年3月末、第119期 有価証券報告書(EDINET))。実際の仕事の多くは事業会社で行われるため、就職・転職では持株会社だけでなく、どの事業会社で何をするのかを確かめることが大切です。

持株会社の株を買うと、子会社の株主にもなる?

なりません。株主が持つのは持株会社の株式で、子会社の株式を持っているのは持株会社です。子会社の業績は、連結決算と配当を通じて間接的に株主の取り分に反映されます。

持株会社になるとき、株主は何か手続きが必要?

基本的には不要です。株式移転なら持ち株は新会社の株式に替わり、会社分割なら持ち株はそのままです。ただし持株会社化には原則として株主総会の承認が必要なので、議決権を行使する機会はあります(ギフティは2026年3月30日の定時株主総会で株式移転計画の承認を求めました。ギフティグループ 有価証券届出書(EDINET))。

持株会社になると株価は上がる?

持株会社化そのもので株価が上がる、下がると決まっているわけではありません。持株会社化は組織の形を変える手続きで、それだけでグループ全体の連結の売上や利益が増えるわけではないからです。パナソニック ホールディングスの連結売上高も、移行の前後を通じて7兆〜8兆円台で推移しています(上のグラフ)。

見るべきは、会社が説明する移行の目的と、その後に事業の売却・買収や資金の配分が実際に動くかどうかです。パナソニック ホールディングスが移行後の2024年12月にパナソニック オートモーティブシステムズの全株式を譲渡したように(第119期 有価証券報告書(EDINET))、持株会社の形は事業の入れ替えを進める手段として使われます。

中小企業でもホールディングスにできる?

できます。株式移転・会社分割・株式交換は会社法の制度で、上場しているかどうかに関係なく使えます。中小企業庁の事業承継ガイドラインも、事業承継で持株会社を使うスキームや、M&Aで複数の中小企業を持株会社の傘下に集める例を紹介しています(中小企業庁「事業承継ガイドライン(第3版)」)。

ただし同ガイドラインは、株式を持株会社に売った現経営者に譲渡所得税などがかかる可能性や、事業会社の業績が落ちて借入金の返済に充てる配当を出せなくなるリスクを挙げています。弁護士・税理士などの専門家に相談したうえで、自社に合う方法を選ぶよう求めています。

まとめ

  • ホールディングスは持株会社のこと。独占禁止法は、公正取引委員会への報告義務の線引きとして、子会社株式の取得価額が総資産の50%を超える会社を持株会社と定義している

  • 社名に付けるかは自由。イオンやファーストリテイリングのように、名乗らない持株会社も多い

  • つくり方は株式移転・会社分割・株式交換。株式移転では新会社が上場し、通常は証券コードが変わる

  • 投資家は単体ではなく連結で見る。パナソニック ホールディングスの単体の営業収益は連結売上高の3%ほどにすぎない

  • 1947年に禁止、1997年に解禁。現在は「事業支配力が過度に集中することとなる」場合だけが禁止されている

持株会社を頂点に、株式の保有でグループを束ねるしくみは、戦前の財閥(コンツェルン)にも見られました。コンツェルンの意味や歴史は、次の記事で解説しています。

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コラム著者・編集者

K

KabuGraph編集部

KabuGraph編集部は、投資情報の発信と株式分析ツールの開発に携わるチームです。日本株・米国株の事業分析から、投資に役立つ情報をわかりやすくお届けします。

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