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株式益回りとは?配当利回りとの違いと計算式|国債との差は2013年以降で最小(2026年8月)

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株式益回り(えきまわり、益利回りとも)は「1株当たり利益(EPS)÷株価×100」で求める、PERの逆数です。PER20倍の株なら益回りは5%。株価に対して会社が1年にどれだけ稼いでいるかを「%」で表します。

「利回り」との違いは、分子が投資家の受け取るお金かどうかです。配当利回りや債券の利回りは、実際に受け取る配当・利息の割合です。益回りは会社の利益全体の割合で、投資家に現金で渡るのは配当に回った部分だけです。

いまの日本株に当てはめると、東証プライム全体で益回り4.81%、配当利回り1.91%、10年国債利回り2.94%です(2026年8月、日本取引所グループ・財務省の公表値よりKabuGraph算出)。益回りと国債利回りの差は1.87ポイントで、2013年以降でもっとも小さくなっています。

以下、計算式、配当利回りとの違い、国債との比べ方とその注意点を順に解説します。

株式益回りとは?計算式とPERとの関係

株式益回りは、株価に対する1株当たり当期純利益(EPS)の割合です。「益利回り(えきりまわり)」「株式益利回り」とも呼ばれ、英語では Earnings Yield といいます。

株価2,000円、EPS100円の会社なら、益回りは100÷2,000×100=5%です。同じ会社のPERは2,000÷100=20倍なので、益回りはPERの分子と分母をひっくり返しただけの数字です(1÷20=5%)。

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PERを益回りに直すと何が分かるか

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  • 債券や預金と同じ「%」で比べられる。PER20倍と言われても国債と比べようがありませんが、益回り5%なら国債利回りや預金金利と並べられます。益回りを使ういちばんの理由です。

  • 高いほど割安、低いほど割高。PERとは向きが逆です。株価が利益に比べて高くなる(PERが上がる)ほど、益回りは下がります。

  • 赤字でも計算できる。EPSがマイナスだとPERは数字として扱いにくくなりますが(PERがマイナスのとき)、益回りはマイナスの値としてそのまま計算できます。赤字の会社も含めて分布を見られるので、市場全体を集計するときに扱いやすい指標です。

益回りの目安はどのくらい?

市場全体の益回りは、日本取引所グループ(JPX)が毎月公表する「規模別・業種別PER・PBR」のPERから逆算できます(市場別・業種別の推移は東証の業種別PER・PBRのページで見られます)。2026年8月末の東証プライム市場は次のとおりです。

  • 加重平均:PER20.8倍 → 益回り4.81%。JPXの加重平均PERは「時価総額合計÷当期純利益合計」なので(JPX「PER・PBR計算要領」)、その逆数はプライム市場全体をひとつの会社とみなしたときの益回りです

  • 単純平均:PER19.3倍 → 益回り5.18%

  • 個別銘柄の中央値:6.1%。東証プライム上場1,540社の益回り(直近通期の実績EPS÷2026年9月28日終値、赤字を含む)の真ん中の値です(KabuGraph算出)

加重平均は時価総額の大きい会社の影響を強く受けるため、個別銘柄の中央値とは差が出ます。個別株の益回りを評価するなら、同業他社の数字と並べるのが基本です。PERの目安とされる15倍は、益回りにすると6.7%に当たります。

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「利回り」と「益回り」の違い

「利回り」は、投資した金額に対して得られる収益の割合を指します。債券なら利息と償還差益(または売却益)を合わせた収益の割合です(日本証券業協会「利率と利回りの違いって何?」)。株式でよく使う利回りは、1株配当÷株価で求める配当利回りです。

益回りとの違いを観点ごとに並べます。

  • 分子になるお金

    • 配当利回り:1株当たり配当金

    • 債券の利回り:利息+償還差益(売却益)

    • 益回り:1株当たり利益(EPS)

  • 投資家が受け取るか

    • 配当利回り・債券の利回り:現金で受け取る

    • 益回り:受け取るのは配当に回った部分だけ。残りは会社に内部留保される

  • 確実さ

    • 債券の利回り:発行体が破綻しなければ、満期まで持つ前提で購入時に利回りが決まる

    • 配当利回り・益回り:業績や配当方針で毎年変わる。株価(元本)の保証もない

  • 主な使い道

    • 配当利回り:インカムゲインの大きさを見る

    • 益回り:株価の割安・割高を、金利などほかの資産の利回りと比べる

つまり「益回り5%」は「毎年5%を受け取れる」という意味ではありません。5%のうち、手元に届くのは配当の部分だけです。

益回り=配当利回り+内部留保の利回り

会社は利益の一部を配当として払い、残りを内部留保として事業に再投資します。益回りをこの使い道で分けると、配当利回りとの関係が見えます。

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  • 配当利回り÷益回り=配当性向(利益のうち配当に回した割合)。配当性向は決算短信にも載っていますが、益回りと配当利回りが分かれば自分で出せます

  • 益回り−配当利回り=会社が株主の代わりに再投資している利益。再投資がうまくいけば将来の利益と株価が伸び、投資家は値上がり益として受け取ります

市場全体では、東証プライムの益回り4.81%に対し、加重平均の配当利回りは1.91%です(2026年8月、JPX「株価平均・株式平均利回り」)。利益のおよそ4割が配当に回り、6割が会社に残っている計算です。

実例:配当利回りが同じでも益回りは2倍以上違う

よく知られた3社で比べます。いずれも直近の通期実績と2026年9月28日の終値で計算しました。

銘柄

益回り

配当利回り

配当性向

9.9%

3.2%

32%

4.2%

3.4%

81%

2.1%

0.7%

35%

出典:東証株価・各社決算短信よりKabuGraph算出(2026年9月28日終値時点)。EPS・1株配当はトヨタ自動車2026年3月期、日本たばこ産業2025年12月期、ファーストリテイリング2025年8月期の実績。配当性向=1株配当÷EPS
  • トヨタとJTは配当利回りがほぼ同じでも、益回りは9.9%と4.2%で2倍以上違います。トヨタは利益の3割強を配当に回して残りを社内に残し、JTは利益の8割を配当で払っています

  • 益回りと配当利回りの差が大きいほど、配当を増やす余地や、減益でも配当を保つ余裕が大きいと読めます。配当性向が高い会社は、利益が伸びなければ増配の余地は小さくなります

  • ファーストリテイリングは益回り2.1%、配当利回り0.7%とどちらも低めです。株価が利益の約48倍(PER48.1倍)まで買われているのは、今後の利益成長への期待を映していると考えられます(PERは低い方がいい?高い方がいい?)

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益回りと国債利回りを比べる「イールドスプレッド」

株式は元本の保証がないぶん、安全資産とされる国債より高い利回りが求められます。そこで、益回りから長期金利(10年国債利回り)を引いた差で、株式が債券に比べて割安か割高かを測る方法があります。この差をイールドスプレッドと呼びます。

  • 差が大きい:株式の利回りが国債を大きく上回る → 株式が相対的に割安

  • 差が小さい・マイナス:株式の上乗せが薄い → 株式が相対的に割高

差ではなく比で見るのがイールドレシオ(10年国債利回り÷益回り)です。小さいほど株式が割安で、1を下回れば益回りが国債利回りより高い状態です。2026年8月末の東証プライムは2.94÷4.81≒0.61でした。

日本:差は1.87ポイントと2013年以降で最小

東証(一部→プライム)の益回り・配当利回りと10年国債利回り

出典:日本取引所グループ「規模別・業種別PER・PBR」(連結・加重平均。2022年3月までは東証一部、4月以降はプライム市場)・「株価平均・株式平均利回り」(加重平均利回り、月中平均)、財務省「国債金利情報」(10年、月末)よりKabuGraph算出。各年12月末、2026年は8月末。益回り=1÷PER

2013年以降を見ると、益回りは月末値で3.5〜7.6%の範囲を上下しており、2026年8月末の4.81%はこの期間の平均5.57%をやや下回る水準です。大きく動いたのは国債利回りの方です。2016〜2021年の年末には−0.01〜0.09%だった10年国債利回りが、2026年8月末には2.94%まで上がりました(9月28日は3.08%、財務省「国債金利情報」)。

その結果、差は2013年1月〜2026年8月の平均5.08ポイントに対し、2026年8月末は1.87ポイントと、月末値で見て2013年以降もっとも小さくなりました。株式の利回りの上乗せが、金利上昇で薄くなっている状態です。金利が株価に効く仕組みは利上げとはで解説しています。

比較の起点を2013年にしているのは、JPXの加重平均PERがそろうのが2013年1月以降だからです。それより前は単純平均PERで見るしかありませんが、単純平均では1999〜2003年ごろの差がほぼゼロかマイナスで、2026年8月末(同じ単純平均で2.24ポイント)より小さい時期もありました。「最小」は、この13年あまりの中での話です。

米国:S&P500は益回りが国債利回りを下回る

米国は、S&P500の益回りが3.96%、米10年国債利回りが4.47%で、差は−0.51ポイントと国債の方が高い状態です(2026年6月、Robert Shiller教授のデータよりKabuGraph算出)。差は2024年1月から2026年6月まで30か月続けてマイナスです。

出典:日本取引所グループ「規模別・業種別PER・PBR」(加重平均、連結)、財務省「国債金利情報」(月末)、Robert J. Shiller「U.S. Stock Markets 1871-Present and CAPE Ratio」(株価・10年国債利回りは月平均、利益は直近12か月)よりKabuGraph算出

この物差しでは、日本株は国債に対してまだ上乗せが残り、米国株は上乗せがないと読めます。S&P500の益回り・配当利回り・10年国債利回りの1871年からの推移は米国株のPER・CAPE(S&P500)のページで確認できます。

イールドスプレッドだけで割高・割安を決められない理由

差が大きくマイナスになったあとに株価が大きく下がった例はあります。

  • 1989年12月末の日本:東証一部のPERは70.6倍(単体・単純平均)で益回り1.4%、10年国債利回りは5.62%で、差は約−4.2ポイントでした。日経平均がこの年末の最高値を上回ったのは、34年後の2024年2月です

  • 1999年12月の米国:S&P500の益回り3.37%に対し10年国債利回り6.28%で、差は−2.91ポイント。S&P500は2003年2月までに約4割下落しました(月平均の株価、1,429→837)

一方で、この物差しが逆のサインを出した局面もあります。理由は3つです。

① 益回りは実質、国債利回りは名目の数字

国債の利息は額面に対して固定なので、物価の上昇が見込まれると、そのぶん高い利回りが求められます。一方、企業の利益は物価が上がれば名目で増えていくので、益回りは物価に合わせて上がる必要がありません。

米資産運用会社AQRキャピタル・マネジメントのクリフォード・アスネスは、益回りと国債利回りを比べるのは「実質の数字と名目の数字を比べている」と指摘し、長期のリターンを予測するならPERそのものの方が役に立つと結論づけました(Asness「Fight the Fed Model」Journal of Portfolio Management 2003年秋号)。この比較は1997年の米連邦準備制度理事会(FRB)の議会報告に由来するとされ、米国では「Fedモデル」と呼ばれています。

実例が1981年の米国です。1981年9月のS&P500はPER7.7倍(益回り12.91%)と歴史的に低い水準でしたが、高インフレで10年国債利回りが15.32%とそれ以上に高く、差は−2.41ポイントでした。しかしS&P500はその後10年で約3.3倍になっています(月平均の株価、118→387)。物価と金利が上がる局面では、金利上昇のぶんをそのまま「株式の割高」と読むと、企業の名目利益が増える効果を見落とします。

② 分母の利益が一時的に落ちると「割高」に見える

景気後退で利益が急減すると、株価が下がっていても益回りは下がります。S&P500の2009年3月は、金融危機の損失で直近12か月の利益が急減し、益回りは0.91%(PER110倍)、差は−1.91ポイントでした。ところがここは株価の大底で、S&P500はその後1年で約5割上がりました(月平均の株価、757→1,152)。

同じ月でも、10年平均の利益で割るCAPE(シラーPER)は13.3倍、益回りに直すと約7.5%でした。一時的に落ちた利益で割ると、益回りは実態より低く出ます。

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③ どのPER・どの金利を使うかで数値が変わる

  • 実績か予想か:JPXの統計は各社の決算期末の実績利益で計算しています(JPX「PER・PBR計算要領」)。利益が増えている局面では予想利益の益回りより低く出るので、予想PERから計算した益回りと直接比べないこと。FRBの1997年の報告は12か月先の予想利益、本記事の米国の数値は直近12か月の実績利益です

  • 加重平均か単純平均か:同じ2026年8月末の東証プライムでも、加重平均4.81%、単純平均5.18%です

  • 金利の時点:10年国債利回りは日々動きます(2026年8月末2.94%、9月28日3.08%)。PERと同じ時点で揃えます

個別株で益回りを使うときのチェックポイント

  1. 同業他社や自社の過去と比べる。益回りの適正な水準は業種や成長性で違います。業種ごとのPERは東証の業種別PER・PBRで確認でき、1÷PERで益回りに直せます

  2. 益回りと配当利回りの差を見る。差が大きいほど内部留保が多い会社です。その利益が生かされているかはROEで確かめます

  3. 一時的な利益で益回りが高く出ていないか確かめる。土地の売却益などの特別利益で純利益が膨らんだ年は、益回りが実力以上に高く出ます。決算短信で特別損益を確認します(PERが当てにならない場面)

  4. 会社予想のEPSでも計算する。KabuGraphの銘柄ページのPERは直近通期の実績ベースです。今期の会社予想EPSで割った益回りも並べると、利益の増減を織り込んだ水準が分かります

益回りはROEとPBRに分解できる

ROEをEPS÷BPS(1株当たり純資産)とすると、益回りは次のように分解できます。

ROE10%の会社でも、PBR2倍で買えば益回りは5%、PBR1倍なら10%です。会社の稼ぐ力が同じでも、高い値段で買えば投資家にとっての利回りは下がります。3つの指標の関係はPER・PBR・ROEをわかりやすくで解説しています。

まとめ

  • 株式益回り=EPS÷株価×100=1÷PER。高いほど割安、低いほど割高

  • 配当利回り・債券の利回りは受け取る現金の割合、益回りは利益全体の割合。益回り=配当利回り+内部留保の利回りで、配当利回り÷益回り=配当性向

  • 益回り−10年国債利回り(イールドスプレッド)で株式と債券を比べられる。東証プライムは1.87ポイントと2013年以降で最小(2026年8月末)、S&P500は−0.51ポイント(2026年6月)

  • ただし物価・一時的な減益・計算の基準で読み方が変わる。PER、シラーPER、企業の業績見通しと合わせて判断する

コラム著者・編集者

K

KabuGraph編集部

KabuGraph編集部は、投資情報の発信と株式分析ツールの開発に携わるチームです。日本株・米国株の事業分析から、投資に役立つ情報をわかりやすくお届けします。

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