KabuGraph

PER・PBR・ROEの覚え方|PBR=PER×ROEはしりとり、目安は「15・1・8」

Cover Photo

PER・PBR・ROEは、「株価・利益・純資産」の3つから2つを選んで割り算した指標です。3つを別々に暗記するより、この3つの材料とPBR=PER×ROEという1本の式でまとめて覚えると、分母と分子を取り違えなくなります。

覚えるポイントは次の3つです。

  • 分母と分子は英語名で決まる:Price Earnings Ratio=株価÷利益。前の語が分子、後ろの語が分母

  • PBR=PER×ROEは「しりとり」:株価÷利益、利益÷純資産とつなぐと、真ん中の利益が消えて株価÷純資産(PBR)になる

  • 目安は「15・1・8」:PER15倍・PBR1倍・ROE8%。15倍×8%=1.2倍と、目安どうしも同じ式でほぼつながる

この記事では3つをまとめて覚えるコツと、2つの値から残り1つを出す練習問題を紹介します。3つの指標の意味そのものはPER・PBR・ROEをわかりやすくで解説しています。

3つは「株価・利益・純資産」の割り算

3つの指標に出てくる材料は、株価(Price)・利益(Earnings)・純資産(Book value)の3つだけです。3つから2つを選ぶ組み合わせはちょうど3通りで、それぞれが1つの指標になっています。

  • 株価と利益 → PER(株価 ÷ 1株あたり利益)

  • 株価と純資産 → PBR(株価 ÷ 1株あたり純資産)

  • 利益と純資産 → ROE(利益 ÷ 自己資本)

「材料は3つ、組み合わせも3つ」と押さえておけば、どの2つを割るのかで迷いません。

英語名の「前」が分子、「後ろ」が分母

分母と分子を取り違えないいちばん確実な方法は、英語名を読むことです。英語名は、前の語が分子、後ろの語が分母という並びで3つとも揃っています。

KabuGraph作成
  • PER=Price Earnings Ratio:Price(株価)÷ Earnings(利益)

  • PBR=Price Book-value Ratio:Price(株価)÷ Book-value(帳簿上の純資産)

  • ROE=Return on Equity:Return(利益)÷ Equity(自己資本)。「on」は「〜に対する」

英語名は、日本取引所グループの用語集(株価収益率・株価純資産倍率・自己資本当期純利益率)に載っている略称です。

和名で覚えるとROEだけ順番が逆になる

日本語の名前で分母と分子を覚えようとすると、ROEでつまずきます。株価収益率は「株価÷収益」、株価純資産倍率は「株価÷純資産」と前の語が分子ですが、自己資本利益率は「利益÷自己資本」で、前の語が分母です。

和名は並びのルールが揃っていません。分母と分子は英語名で決め、和名は意味を思い出す手がかりに使うのが安全です。

ROEの「E」はPERの「E」とは別物

もう1つの落とし穴が「E」です。PERのEはEarnings(利益)、ROEのEはEquity(自己資本)で、同じ文字でも指すものが違います。ROE(自己資本利益率)で利益にあたるのは、先頭のR(Return)です。

ROE(自己資本利益率)とは|8%基準の根拠とデュポン3分解の読み方
あわせて読みたいRELATED POST

ROE(自己資本利益率)とは|8%基準の根拠とデュポン3分解の読み方

ROE(自己資本利益率)の計算式・8%の目安(伊藤レポート)・デュポン分析による3要素分解を解説。ROAとの違い、レバレッジによる嵩上げの見抜き方がわかります。

ROEをPER・PBRと同じ材料で書き直すと、「利益÷純資産」になります。ROEの分母の自己資本は、純資産から新株予約権や非支配株主持分などを除いたものです(東京証券取引所の決算短信作成要領)。PBRで使うBPS(1株あたり純資産)も、決算短信では同じくこれらを除いた額、つまり自己資本を株数で割って出します。そのため1株あたりで書けばROE≒EPS÷BPSで、EPS(1株あたり利益)とBPSの割り算になります。

PERとPBRの頭文字や、EPS・BPSとの見分け方は、PERとPBRの覚え方の記事で詳しく紹介しています。

PER・PBRの覚え方と語呂合わせ|Eは益・Bは簿価、実在3社の計算問題で確認
あわせて読みたいRELATED POST

PER・PBRの覚え方と語呂合わせ|Eは益・Bは簿価、実在3社の計算問題で確認

PER・PBRの覚え方と語呂合わせ。定番は真ん中の文字を「E=益(えき)」「B=簿価(ぼか)」と読む方法で、PERは株価÷1株あたり利益、PBRは株価÷1株あたり純資産。目安の覚え方やEPS・ROEとの見分け方を、NTT・デンソー・キーエンスの計算問題で確かめます。

PER・PBRは「値札」、ROEは「成績表」

3つを並べたときにいちばん大きな違いは、株価が入っているかどうかです。PERとPBRは分子が株価、ROEは株価を使いません。ここから、数字の読み方と単位がまとめて決まります。

  • PER・PBRは「値札」:株価が利益や純資産の何倍かを表し、単位は「倍」。低いほど利益や純資産に比べて株価が安い(割安)。株価とともに毎日動く

  • ROEは「成績表」:元手(自己資本)に対して1年で何%の利益を上げたかを表し、単位は「%」。高いほど効率よく稼いでいる。変わるのは決算が出たとき

単位は略称の形でも見分けられます。R(Ratio=倍率)で終わるPER・PBRは「倍」、R(Return=利益)で始まるROEは「%」です。

PBR=PER×ROEは「しりとり」で覚える

3つの関係は、PBR=PER×ROEの1本の式にまとまります。どれとどれを掛けるのかを覚えるのに、KabuGraphでは「しりとり」をすすめています。

  1. PERは「株価÷利益」で、最後が利益

  2. ROEは「利益÷純資産」で、最初が利益。PERの最後としりとりでつながる

  3. 2つを掛けると、つなぎ目の利益が分母と分子で約分されて消え、「株価÷純資産」=PBRが残る

KabuGraph作成。ROEの分母の自己資本は、ここでは純資産とみなして並べている

文字だけで書けば「P/E × E/B = P/B」です。株価→利益→純資産の順に並べて、真ん中のEを消すと覚えれば、掛ける組み合わせを迷いません。

三角形にすると「2つ分かれば残り1つ」が出る

この式を変形した3つの形は、算数で速さ・時間・距離を覚えた「はじき」と同じ三角形にまとめられます。PBRを上、PERとROEを下に置きます。

KabuGraph作成
  • 上(PBR)を出す:下どうしを掛ける。PBR=PER×ROE

  • 下(PERかROE)を出す:上をもう一方の下で割る。ROE=PBR÷PER、PER=PBR÷ROE

銘柄ページでPERとPBRを見れば、ROEはPBR÷PERで暗算できます。FP技能検定3級の試験範囲にも「投資指標(PER、PBR等)」が入っており、試験勉強でもこの三角形がそのまま使えます。

三角形の3つは、略称の真ん中の文字でも確かめられます。真ん中の文字を日本語に当てはめると、3つとも分母になります。

  • 上のPBRのB=簿価:Book value(帳簿上の純資産)

  • 下のPERのE=益:Earnings(利益)

  • 下のROEのO=己:自己資本。英語のonは「〜に対する」の意味なので、日本語だけの当てはめ

E=益・B=簿価の当てはめ方はPER・PBRの覚え方でも紹介しています。O=己は日本語の語呂なので、分母と分子の決め手は英語名のルール(前の語が分子、後ろの語が分母)に置いておくのが確実です。

%は小数に直して掛ける

三角形で計算するときの典型的な間違いが、ROEの%をそのまま掛けることです。

  • 正しい計算:PER15倍 × ROE8% = 15 × 0.08 = PBR1.2倍

  • よくある間違い:15 × 8 = 120(PBRが120倍になってしまう)

  • ROEを出すとき:PBR÷PERの答えは小数なので、100を掛けて%に戻す(1.2 ÷ 15 = 0.08 → 8%)

PER・PBR・ROEを図解|決算書の出どころ、4象限マップと大型株10社の実数
あわせて読みたいRELATED POST

PER・PBR・ROEを図解|決算書の出どころ、4象限マップと大型株10社の実数

PER・PBR・ROEを6枚の図解で整理。3つは株価・純利益・純資産の割り算で、PBR=PER×ROEは約分で成り立ちます。PER×PBRの4象限マップと、中外製薬(PBR5.17倍)・日本郵政(0.75倍)など大型株10社の実数(2026年9月28日時点)で読み方を確かめます。

目安は「15・1・8」、同じ式でつながっている

3つの目安は、PER15倍・PBR1倍・ROE8%の「15・1・8」で覚えます。3つは出どころも、数字の意味(長く平均的だった水準・分かれ目・最低ライン)も違います。

東京証券取引所も2023年3月、上場会社に資本コストや株価を意識した経営を求めた際、「プライム市場の約半数、スタンダード市場の約6割の上場会社がROE8%未満、PBR1倍割れ」であることを課題に挙げています(東京証券取引所「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」p.2)。

この3つの目安は、PBR=PER×ROEの式でほぼつながっています。15倍×8%=1.2倍で、PBR1倍に近い値です。

いまの市場平均は目安とどう違う?

目安は出発点で、実際の市場平均は時期によって動きます。東証プライム市場全体(2026年8月末、加重平均)の数字は次のとおりです(日本取引所グループ「規模別・業種別PER・PBR」よりKabuGraph算出)。

  • PER 20.8倍(目安の15倍より高い)

  • ROE 8.7%(目安の8%をやや上回る。当期純利益の合計÷純資産の合計)

  • PBR 1.8倍(1倍を大きく上回る)

式で確かめると、20.8倍×8.7%≒1.8倍です。PBRが1倍を大きく上回っているのは、ROEが8%を少し超えたことより、PERの高さが効いていると読めます。

なお、JPXのPERは直近の本決算の利益で割った実績PERで、利益が増える局面では会社予想で割る予想PERより高く出ます。15倍は「いまの平均」ではなく、長く使われてきた物差しとして覚えておきます。

業種ごとの最新のPER・PBRは、東証の業種別PER・PBRで毎月更新しています。

練習問題:2つの値から残り1つを出す

最後に、三角形を使って解いてみます。答えは各問のすぐ下にあります。

問1 PER15倍、ROE8%の会社のPBRは?

答え:1.2倍。上のPBRを出すので、下どうしを掛けます。PBR=PER×ROE=15×0.08=1.2。

問2 PBR1.5倍、ROE10%の会社のPERは?

答え:15倍。下のPERを出すので、上をもう一方の下で割ります。PER=PBR÷ROE=1.5÷0.10=15。

問3 ダイキン工業のPERとPBRからROEを出すと?

実在の会社で確かめます。ダイキン工業の2026年9月28日終値時点の指標は、PER22.3倍、PBR1.89倍です(株価20,920円、2026年3月期のEPS・BPSで計算)。

答え:約8.5%。ROE=PBR÷PER=1.89÷22.3≒0.085。ROEは目安の8%並みですが、PERが15倍を大きく超えているため、PBRは1.9倍近くになっています。

項目

ダイキン工業

株価(9月28日終値)

20,920円

EPS(2026年3月期)

939.92円

BPS(2026年3月期末)

11,097.60円

PER(株価÷EPS)

22.3倍

PBR(株価÷BPS)

1.89倍

ROE(PBR÷PER)

8.5%

ROE(決算短信)

9.1%

出典:東証株価・ダイキン工業 2026年3月期決算短信よりKabuGraph算出(2026年9月28日終値時点)

ダイキン工業 2026年3月期決算短信のp.1に載っているROE(自己資本当期純利益率)は9.1%で、PBR÷PERの8.5%とは少しずれます。どちらかが間違っているわけではなく、分母の取り方が違います。

  • 決算短信のROE:分母を期首と期末の自己資本の平均で取る(東京証券取引所の決算短信作成要領)

  • PBR÷PERのROE:期末の1株あたり純資産(BPS)で割ったのと同じになる。ダイキン工業は自己資本が1年で約16%増えたため、期末で割る方が低く出る

  • KabuGraphの銘柄ページのROE(8.3%):非支配株主持分を含む期末の純資産で割るため、さらに少し低く出る

PBR=PER×ROEをぴったり成り立たせたいときは、PBR÷PER(=EPS÷BPS)で出したROEを使います。ほかのROEと比べるときは、この分母の違いを頭に置いておきます。ROEの正式な計算手順はROEの計算方法で解説しています。

PER・PBR・ROEをわかりやすく|PBR約1倍のトヨタと約3倍の任天堂は何が違う?
あわせて読みたいRELATED POST

PER・PBR・ROEをわかりやすく|PBR約1倍のトヨタと約3倍の任天堂は何が違う?

PER・PBR・ROEをわかりやすく解説。PERは利益の何年分、PBRは純資産の何倍、ROEは元手で年何%稼ぐか。お店のたとえでつかみ、トヨタ(PBR0.98倍)と任天堂(3.12倍)の実数でPBR=PER×ROEを確かめます。

まとめ

KabuGraph作成。ROEの式は1株あたりで書いた形(正式には利益÷自己資本)。目安は出発点で、業種や時期で水準は変わる
  • 3つは株価・利益・純資産から2つを選んだ割り算。英語名の前の語が分子、後ろの語が分母

  • ROEのEはEquity(自己資本)。和名で覚えるとROEだけ前の語が分母になるので注意

  • PER・PBRは「値札」(倍・低いほど割安)、ROEは「成績表」(%・高いほど効率よく稼いでいる)

  • PBR=PER×ROEはしりとり(株価÷利益×利益÷純資産)。三角形にすれば2つから残り1つが出る。%は小数に直す

  • 目安は15・1・8。15倍×8%=1.2倍と、目安どうしも同じ式でほぼつながる。いまの東証プライムはPER20.8倍・ROE8.7%・PBR1.8倍(2026年8月末、加重平均)

銘柄ごとのPER・PBR・ROEは各銘柄のページで、業種ごとの平均は東証の業種別PER・PBRで確かめられます。

コラム著者・編集者

K

KabuGraph編集部

KabuGraph編集部は、投資情報の発信と株式分析ツールの開発に携わるチームです。日本株・米国株の事業分析から、投資に役立つ情報をわかりやすくお届けします。

関連記事