PER・PBRの覚え方と語呂合わせ|Eは益・Bは簿価、実在3社の計算問題で確認

PERは「株価÷1株あたり利益」、PBRは「株価÷1株あたり純資産」です。この2つは、名前の頭文字を分解するとそのまま式になります。PERのEは利益(Earnings)、PBRのBは純資産(Book-value)の頭文字で、先頭のP(Price=株価)はどちらも分子に来ます。
語呂合わせとしてよく使われるのは、真ん中の文字を同じ頭文字の日本語に当てはめる「E=益(えき)、B=簿価(ぼか)」です。PERは益(利益)で割り、PBRは簿価(帳簿上の純資産)で割る、と覚えます。この記事では、この語呂の意味、目安の数字、EPS・BPS・ROEと取り違えないコツを順に説明し、最後にNTT・デンソー・キーエンスの決算短信の数字で計算して確かめます。
この記事の内容(目次)
名前を分解すれば式が出てくる
PERとPBRは英語の略称です。日本取引所グループ(JPX)の用語集は、PERを「price earnings ratio」、PBRを「price book-value ratio」の略としています(JPX用語集「株価収益率」・「株価純資産倍率」)。4つの文字を日本語に置き換えると、次のようになります。
P=Price(株価):2つに共通する先頭の文字。式ではいつも分子(上)に来る
E=Earnings(利益):PERの真ん中。1株あたり利益(EPS)で割る
B=Book-value(帳簿上の価値=純資産):PBRの真ん中。1株あたり純資産(BPS)で割る
R=Ratio(比率):答えは「〇倍」で表す
名前の順に「前の文字÷後ろの文字」と読めば、式が出てきます。米国証券取引委員会(SEC)の投資家向けサイトは、PERを「P/E ratio」とスラッシュ入りで表記しています(Investor.gov「Price-earnings (P/E) Ratio」)。PがEの上に乗った分数の形そのものです。覚えにくいときは、PERを「P/E」、PBRを「P/B」とノートに書き直してみてください。
語呂合わせ:「E=益(えき)、B=簿価(ぼか)」
語呂合わせとしてよく使われるのは、PER・PBRの真ん中の文字を、同じ頭文字の日本語に当てはめる方法です。
E=益(えき):PERの真ん中。益は利益のことで、1株あたり利益(EPS)で割る
B=簿価(ぼか):PBRの真ん中。簿価は帳簿上の価値、つまり純資産のことで、1株あたり純資産(BPS)で割る
BをBalance sheet(貸借対照表)のBと覚えても、行き着く先は同じ純資産です(正式にはBook-valueの略)。ROEまで覚えるなら、O=己(おのれ、自己資本)も同じ要領で使えます(PER・PBR・ROEの覚え方)。
株価はいつも分子:だから「高いほど割高」
P(株価)は分数の上にあります。分子の株価が上がれば、PERもPBRも大きくなります。そのため「数字が大きい=利益や純資産に比べて株価が高い(割高)」「小さい=株価が安い(割安)」という読む向きも、式の形から思い出せます。
ただし、低ければ必ずお買い得というわけではありません。利益が減りそうだから株価が安い、ということもあるためです(PERは低い方がいい?高い方がいい?)。
益は損益計算書、簿価は貸借対照表の数字
E(利益)は損益計算書にある1年間の稼ぎ、B(純資産)は貸借対照表にあるこれまでの蓄えです。JPXの用語集も、PERは株価と利益(フロー)、PBRは株価と株主資本(ストック)の関係を表すと説明しています(JPX用語集「株価純資産倍率」)。
E(益):税金まで差し引いた最終的な利益(当期純利益)を使う
B(簿価):資産から負債を引いた残り(純資産)を使う
利益は年ごとに増えたり減ったりするので、PERの分母は決算のたびに大きく変わることがあります。純資産は毎年の利益が積み上がった残高なので、PBRの分母は比較的ゆっくり変わります。
「倍」の意味で覚える:PERは利益の何年分、PBRは純資産の何倍
答えの「倍」が何を表すかも一緒に覚えておくと、数字を見たときに迷いません。
PER 20倍:株価が1株あたり利益の20倍。利益が今のまま続けば、20年分の利益で株価の元が取れる計算
PBR 2倍:株価が1株あたり純資産の2倍。帳簿上の蓄えに、その2倍の値段が付いている
1株あたりで計算しても、会社全体で計算しても、結果はほぼ同じです(株数に自己株式を含めるかどうかなどで少しずれます)。PERは「時価総額÷純利益」、PBRは「時価総額÷純資産」と考え、会社を丸ごと買う値段を、1年の稼ぎ・これまでの蓄えと比べるとイメージしやすくなります。お店を1軒買うたとえはPER・PBR・ROEをわかりやすくで扱っています。
目安の覚え方:PBRは1倍が分かれ目、PERはいまの平均が約20倍
目安は2つの数字で覚えます。PBRは「1倍」が分かれ目、PERはいまの市場平均の「約20倍」が物差しです。
PBRは1倍が分かれ目:1倍なら株価と1株あたり純資産が同じ。1倍を割ると、帳簿上の蓄えより安い値段が付いている状態です。「1倍」という線に意味があるのはPBRだけで、PERの1倍(利益1年分で買える値段)は目安になりません
PERはいま20倍前後が平均:東証プライム市場の実績PERは、2026年8月末で単純平均19.3倍、加重平均20.8倍です(日本取引所グループ「規模別・業種別PER・PBR」)
ただし、平均は市場によって大きく違います。同じ月の3市場を並べると次のとおりです。
市場 | PER(単純平均) | PBR(単純平均) |
|---|---|---|
プライム | 19.3倍 | 1.6倍 |
スタンダード | 14.5倍 | 0.9倍 |
グロース | 32.7倍 | 2.9倍 |
スタンダード市場は、単純平均でPBRが1倍を割っています(時価総額で重みづけした加重平均では1.2倍)。成長への期待が大きい会社の多いグロース市場は、PERもPBRも高めです。
「PER15倍が目安」はいまも使える? 15倍は、いまのプライム市場の平均(約20倍)より低い位置にあります。15倍を下回っていれば「いまの平均より低め」と読む物差しにはなりますが、平均そのものではありません。
15倍という数字の成り立ちと業種別の水準はPERの目安で、PBRの業種別の水準はPBRの目安で解説しています。毎月の最新値は業種別PER・PBRのページで確かめられます。

PERの目安|16倍は割高?業種平均9〜30倍のデータで読む適正ライン
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EPS・BPS・ROEと混同しないコツ:名前の形で単位がわかる
PER・PBRのそばには、EPS・BPS・ROEといった似た略称が並びます。取り違えを防ぐには、文字の並び方で単位を見分けるのが近道です。
P○R(Price ○ Ratio)→ 倍:株価を○で割った倍率。PER・PBR・PSR(株価売上高倍率)
○PS(○ Per Share)→ 円:1株あたりの○。EPS(1株あたり利益)・BPS(1株あたり純資産)・DPS(1株あたり配当)
RO○(Return On ○)→ %:○に対してどれだけ利益を上げたか。ROE(自己資本利益率)・ROA(総資産利益率)。株価は使わない
P○Rと○PSは、○に同じ文字が入る2つがセットです。PERのEとEPSのEは同じ利益、PBRのBとBPSのBは同じ純資産なので、PER=株価÷EPS、PBR=株価÷BPSとつながります。JPXの用語集も、EPSを「Earning Per Share」、BPSを「Book-value Per Share」の略としています(「1株当たり当期純利益」・「1株当たり純資産」)。
ただし、ROEのEはEquity(自己資本)で、PERやEPSのE(Earnings=利益)とは別の単語です。RO○の○は分母に来る数字なので、ROEは「利益÷自己資本」、ROAは「利益÷総資産(Assets)」と読みます。「○が同じならセット」は、P○Rと○PSの間だけで使います。
ROEは株価を使いませんが、PER・PBRと「PBR=PER×ROE」という式でつながっています。3つをまとめて覚える方法はPER・PBR・ROEの覚え方で扱います。

PER・PBR・ROEの覚え方|PBR=PER×ROEはしりとり、目安は「15・1・8」
PER・PBR・ROEの覚え方を解説。3つは株価・利益・純資産の割り算で、英語名の前が分子。PER(株価÷利益)とROE(利益÷純資産)をしりとりでつなぐとPBRに。目安「15倍・1倍・8%」とダイキン工業の実数で解く練習問題つき。
練習問題:実在の3社でPERとPBRを計算する
覚えた式で、実際の会社の数字を計算してみます。株価は2026年9月28日の終値、EPSとBPSは各社の2026年3月期の決算短信(1ページ目のサマリー)の値です。直近の決算の利益で割るので、実績PERになります。
会社と株価 | EPS(円) | BPS(円) |
|---|---|---|
NTT | 12.61 | 119.47 |
デンソー | 162.96 | 2,040.42 |
キーエンス | 1,835.63 | 14,313.86 |
問題:3社のPERとPBRは、それぞれ何倍でしょうか。どちらも株価(P)を分子に置きます。
答え
NTT:PER=174.7÷12.61=13.9倍、PBR=174.7÷119.47=1.46倍
デンソー:PER=1,919.5÷162.96=11.8倍、PBR=1,919.5÷2,040.42=0.94倍
キーエンス:PER=78,500÷1,835.63=42.8倍、PBR=78,500÷14,313.86=5.48倍
目安に当てはめると、デンソーはPBRが1倍を割り、キーエンスはPERがプライム市場の平均(約20倍)の2倍を超えています。NTTはPER・PBRともプライム市場の平均(単純平均19.3倍・1.6倍)より低い水準です。
どの数字も、それだけで「割安だから買い」「割高だから売り」と決めるものではありません。なぜその倍率なのかを調べる入り口として使います。どちらの指標を重く見るかはPERとPBRはどちらが重要?で扱っています。
最新の数字は銘柄ページ(NTT・デンソー・キーエンス)で確かめられます。
もう1問:会社全体の数字から計算する
資格試験などでは、1株あたりの数字ではなく会社全体の数字が与えられることがあります。その場合は、先に1株あたりに直してから、株価を分子に置きます。
問題:株価1,000円、当期純利益50億円、純資産500億円、発行済株式数1億株の会社(架空)のPERとPBRは?
手順1:1株あたりに直す:EPS=50億円÷1億株=50円、BPS=500億円÷1億株=500円
手順2:株価を分子に置く:PER=1,000÷50=20倍、PBR=1,000÷500=2倍
検算:会社全体同士で割る:時価総額は1,000円×1億株=1,000億円。1,000億円÷50億円=20倍、1,000億円÷500億円=2倍で、同じ答えになる
計算でよくある間違い
式を覚えても、分母に入れる数字を取り違えると答えが大きくずれます。つまずきやすいのは次の5つです。
PBRを総資産で割る:割るのは純資産(資産−負債)。総資産で割ると、借入金の多い会社ほどPBRが小さく出てしまう
PERに売上高や営業利益を使う:Eは税金まで引いた最終的な利益。売上高で割るのはPSRという別の指標
株価と会社全体の数字を混ぜる:株価÷EPS(1株あたり同士)か、時価総額÷純利益(会社全体同士)でそろえる
連結決算の会社で「当期利益」「資本合計」を使う:使うのは親会社の株主の分。純利益は「親会社株主に帰属する当期純利益」、純資産は子会社の他の株主の持分(非支配株主持分)などを除いた自己資本(中身はROEの計算方法)。デンソーの2026年3月期で「当期利益」「資本合計」を使うと、PERは11.8倍が約10.7倍に、PBRは0.94倍が約0.90倍にずれる
赤字の会社のPERを読もうとする:Eがマイナスだと、PERは意味のある倍率になりません。KabuGraphの銘柄ページでは数字の代わりに「赤字」と表示します(PERがマイナスのとき)
まとめ
PER=Price Earnings Ratio=株価÷1株あたり利益(EPS)、PBR=Price Book-value Ratio=株価÷1株あたり純資産(BPS)
語呂合わせはE=益(えき)、B=簿価(ぼか)。株価はいつも分子、Eは損益計算書の1年の利益、Bは貸借対照表の純資産
目安はPBRは1倍が分かれ目、PERはいまの平均が約20倍。東証プライムの実績PERは2026年8月末で単純平均19.3倍・加重平均20.8倍
単位は名前の形で見分ける。P○Rは倍、○PSは円、RO○は%。ROEのEはEquity(自己資本)で、PERのE(利益)とは別物
PER・PBR・ROEの意味をたとえ話と実例で確かめたい場合は、次の記事が参考になります。

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