増資のメリット・デメリット|企業は返済不要、株主は希薄化——大阪チタニウムの公募増資は株数21%増・翌日7%安

増資は、会社が新しく株式を発行してお金を払い込んでもらい、資本を増やすことです。企業にとっては返済も利息も要らない資金が入り、自己資本比率が上がります。その代わり、株主が期待するリターン(資本コスト)は借入の金利より高く、株主が増えるぶん議決権も分散します。
既存の株主にとっての最大のデメリットは、株数が増えて1株あたりの利益と持株比率が薄まる「希薄化」です。2026年8月に公募増資を発表した大阪チタニウムテクノロジーズは、追加発行を含めて株数が21.3%増え、発表翌日の株価は7.3%下がりました。ただし、集めたお金が株主の期待を上回って稼げば、1株の価値はむしろ上がります。
この記事では、増資の種類、企業と既存株主それぞれのメリット・デメリット、株価が下がる理由と希薄化が損にならない条件、中小企業の経営者が気にする手続きと税金、保有株が増資を発表したときの確認点を、実例と日本証券業協会の統計で解説します。株価は2026年9月30日の終値です。
この記事の内容(目次)
増資のメリット・デメリットを一覧で
増資の損得は、立場によって裏返しになります。会社にとっての利点(返さなくてよいお金が入る)は、既存株主から見れば「自分の取り分が薄まる」ことと表裏一体です。
企業のメリット:返済も利息も要らない/自己資本比率が上がる/大きな投資やM&A、提携の資金になる
企業のデメリット:資本コストが高い/ROEと1株利益が下がりやすい/議決権が分散する/発表で株価が下がりやすい
既存株主のメリット:資金が稼げば1株の価値が上がる/財務が安定する/株主割当・ライツなら持分を保てる
既存株主のデメリット:1株利益と持株比率が薄まる/発表直後に売りが出やすい/公募は時価より数%安く発行される
損か得かの分かれ目は、集めたお金が株主の期待するリターン(株主資本コスト)を上回って稼げるかどうかです。上回れば株数が増えても1株の価値は上がり、下回れば価値が目減りします。以下、企業側と株主側に分けて詳しく見ていきます。
増資とは——株式を発行して資本を集めること
増資は一般に、株式会社が新しい株式を発行してお金を払い込んでもらい、資本金などを増やすことを指します。会社法では「募集株式の発行」と呼び、株数・払込金額・払込期日・増える資本金の額などをその都度決めて行います(会社法第199条(e-Gov法令検索))。上場企業のような公開会社は、原則として取締役会の決議で決められます(同第201条)。
増資の種類——有償増資と無償増資
誰が新しい株を引き受けるかで、既存株主の持株比率が薄まるかどうかが決まります。お金を払い込む「有償増資」が3種類、払い込みのない「無償増資」が2種類あります。
公募増資:広く一般の投資家に新株を買ってもらう。証券会社が引き受けて販売し、上場企業が大きな額を集めるときに使う
第三者割当増資:特定の相手に新株を割り当てる。資本業務提携、親会社からの支援、経営再建などで使われる
株主割当増資:既存株主に、持株数に応じて新株を引き受ける権利を与える(会社法第202条)。上場企業では、この権利を新株予約権として全株主に無償で配り、市場で売買できるようにしたライツ・オファリング(新株予約権無償割当て、同第277条)を使うこともある
無償増資:お金の払い込みがない。準備金や剰余金を資本金に振り替える方法(同第448条・第450条)と、株主に株を無償で配る株式無償割当て(同第185条)がある。どちらも会社の中身は変わらない
借入との違い
同じ資金調達でも、借入(銀行融資・社債)と増資では性格が正反対です。観点ごとに並べると次のとおりです。
返済
借入:期日までに元本を返す
増資:返さなくてよい
コスト
借入:利息。税務上の損金になるので実質の負担は軽くなる
増資:配当と株価の上昇への期待に応える必要がある。配当は損金にならない
自己資本比率
借入:負債が増えるので下がる
増資:自己資本が増えるので上がる
既存株主への影響
借入:株数は変わらない(利息の分だけ利益は減る)
増資:株数が増え、1株利益と持株比率が薄まる
経営への口出し
借入:議決権は動かない。ただし財務制限条項(コベナンツ)が付くことがある
増資:新しい株主が議決権を持つ

自己資本比率とは|上場企業の中央値56.8%(金融除く)、キーエンス94.6%・トヨタ37.8%・三菱UFJ5.2%の違い
自己資本比率は自己資本÷総資産×100で、返済不要のお金で資産の何割をまかなっているかを示します。金融業を除く上場3,500社の中央値は56.8%。計算式、キーエンス・トヨタの読み方、業種差、ROEとの関係、銀行の規制上の比率との違いを解説。
企業から見た増資のメリット・デメリット
企業のメリット
返済も利息も要らない:借入や社債と違って期日に返す必要がなく、業績が悪い年に配当を減らしても債務不履行にはならない
自己資本比率が上がり、財務が安定する:自己資本が厚くなると不況時の耐久力が増し、追加の借入もしやすくなる。債務超過の解消にも使われる
大きな投資・M&A・提携の資金になる:借入だけでは賄いにくい規模の資金を一度に集められる。第三者割当なら、提携相手に株を持ってもらうことで関係を深められる
株主が増え、市場で売買される株が増える(公募):株主の層が広がり、売買が成立しやすくなる

自己資本比率がマイナスとは?|債務超過の上場企業は12社、1年で解消できなければ上場廃止
自己資本比率がマイナスなのは純資産がマイナスの債務超過のとき。すぐ倒産はしませんが、上場企業は期末に債務超過だと原則1年で解消しないと上場廃止です。債務超過の12社、改善期間の5社、増資・DES・減資の違い、決算短信での見つけ方まで解説します。
企業のデメリット
資本コストが高い:株主は、倒産時に最後に回るリスクを負う代わりに、借入の金利より高いリターンを期待する。借入の利息は損金になるが配当はならないので、税引き後で比べても差は開く。返済が要らなくても「タダのお金」ではない
ROEと1株利益が下がりやすい:自己資本と株数は払込みの日に増えるが、利益が増えるのは投資の成果が出てから。その間はROE(利益÷自己資本)と1株利益が下がる
議決権が分散する:創業者や大株主の持株比率が下がる。第三者割当で大株主が入れば、経営への影響力の配分も変わる
株価が下がりやすい:「他に資金の当てがないのでは」「株価が高いうちに株を売っておきたいのでは」と受け止められると、発表で株価が下がる
費用がかかる:公募なら引受証券会社の取り分(大阪チタニウムは発行価格の約4.2%にあたる1株108円)、登記の登録免許税(増えた資本金の0.7%)など
資本コストの考え方と、借入と株式の組み合わせで平均の調達コストがどう変わるかは、WACC(加重平均資本コスト)の記事で詳しく扱っています。

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既存株主から見た増資のメリット・デメリット
デメリット①:1株利益と持株比率が薄まる(希薄化)
株数が増えると、会社の利益や議決権を分け合う人が増えます。自分の持株比率は次の式で下がります。
大阪チタニウムテクノロジーズの場合、発行済株式は3,680万株から4,465.4万株に増えました(追加発行を含む)。
持株比率:1%(36.8万株)持っていた株主は約0.82%に。増資に応じなければ、持分は増資前の82.4%に薄まる
1株利益:利益が同じなら、1株利益は約18%薄まる(3,680万÷4,465.4万=0.824)

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デメリット②:発表直後は売りが出やすい
公募増資を発表すると、発行価格が決まるまでの数日間に株価が下がりやすくなります。理由は主に3つです。
希薄化の織り込み:1株利益が薄まる分を、市場が先に株価に反映させる
需給の悪化:新しい株が一度に市場に出るので、買い手が吸収しきれるかが意識される
発行価格の割引:公募の発行価格は、決定日の終値から割り引いて決める。大阪チタニウムは仮条件を「終値×0.90〜1.00」とし、4.00%割り引いた
発表から発行価格の決定までの間に空売りをして、公募で安く買った株で返す取引は禁止されています(金融商品取引法施行令第26条の6(e-Gov法令検索))。それでも、希薄化と需給を嫌った売りが出ること自体は止められません。
メリット:集めたお金が稼げば、1株の価値は上がる
希薄化は必ずしも損ではありません。調達したお金が新しい利益を生めば、増えた株数を上回って利益が伸びるからです。増資後の1株利益は次の式で決まります。
たとえば、株数1億株・株価1,000円・純利益80億円(1株利益80円、PER12.5倍)の会社が、1,000円で1,000万株(100億円)を発行する場合です。
資金がまだ利益を生まない:1株利益は80円→72.7円(−9.1%)
資金が年5%(5億円)稼ぐ:77.3円。まだ薄まっている
資金が年8%(8億円)稼ぐ:80.0円。元に戻る
資金が年12%(12億円)稼ぐ:83.6円。増資前より増える
時価で発行した場合、資金の利回りが益回り(1÷PER)を上回れば、1株利益はむしろ増えます。裏返すと、PERが低い(益回りが高い)会社ほど、増資で1株利益を取り戻すハードルが高くなります。株価で見れば、さらに「株主資本コストを上回って稼げるか」が問われます。
発行価格の割引も効きます。同じ100億円を1割安い900円で集めると、発行する株は約1,111万株に増えます。割引の分だけ、既存株主の取り分が新しい株主に移ることになります。
そのほか、既存株主にとっては次のようなメリットもあります。
財務が安定する:借入の返済や赤字の穴埋めで倒産・減配のリスクが下がれば、株価の下支えになる
持分を守る手段がある:株主割当やライツ・オファリングなら、応じれば持株比率を保てる(後述)
実例:大阪チタニウムの公募増資で何が起きたか
大阪チタニウムテクノロジーズ(東証プライム、5726)は航空機エンジンなどに使うスポンジチタンのメーカーです。2026年8月25日、生産能力を増やす設備投資の資金として公募増資を決議しました(同社「新株式発行及び株式売出しに関するお知らせ」2026年8月25日)。発表文によると、過去3年間に増資などのエクイティ・ファイナンスはしていません。
2026年8月25日:取締役会で公募700万株と、需要に応じた追加の売出し(オーバーアロットメント、最大105万株)を決議・発表
9月1日:発行価格2,592円(当日終値2,700円から4.00%割引)、会社への払込金額2,484円に決定(発行価格等の決定に関するお知らせ)
9月9日:公募の払込み。173.88億円が入り、発行済株式は4,380万株に
9月24日:追加の売出しに対応する野村證券への第三者割当が85.4万株(予定は105万株)に確定(発行株式数の確定に関するお知らせ)
9月29日:同払込み(21.21億円)。発行済株式は4,465.4万株に
追加の売出し(オーバーアロットメント)は、需要が多いときに引受証券会社が既存株主から株を借りて上乗せで売る仕組みです。借りた株は市場での買い戻しか、会社が証券会社に割り当てる新株で返します。今回は105万株のうち85.4万株が新株で返されました。
株価:発表翌日に7.3%安、1か月後も発行価格を下回る
株価は、発表日(8月25日)の終値2,851円から翌営業日は2,643円と7.3%下落しました。同じ日のTOPIX連動ETFは0.4%上昇しており、相場全体の動きでは説明できない下げです。発表は取引終了(15時30分)の後だったので、翌営業日が最初の反応です(発表日の前日比4.6%安は発表前の値動き)。
大阪チタニウムテクノロジーズの株価とTOPIX連動ETF(発表日の終値=100)
発行価格が決まった後も下げは続きました。オーバーアロットメントによる売出しの受渡期日にあたる9月10日には、前日の2,665円から2,545円へ4.5%下げています(同じ日のTOPIX連動ETFは0.3%高)。
その後も戻らず、9月30日の終値は2,446円で、発表日から14.2%安、公募の発行価格2,592円も5.6%下回っています。同じ期間のTOPIX連動ETFは1.1%上昇でした。株価は業績の見通しや市況にも左右されるので下落のすべてを増資のせいとは言えませんが、公募に応じた投資家も1か月で含み損を抱えた計算です。
会社と株主にとって何が変わったか
2026年6月末の貸借対照表に払込額を足した試算で増資前後を並べると、企業のメリットと株主のデメリットが同時に起きていることが分かります(7〜9月の損益・配当や発行費用は含めていません)。
項目 | 増資前 | 増資後 |
|---|---|---|
発行済株式数 | 3,680万株 | 4,465.4万株 |
純資産 | 446億円 | 641億円 |
自己資本比率 | 41.3% | 50.3% |
既存株主の持分(増資前=100) | 100 | 82.4 |
企業のメリット:返済不要の資金が約195億円入り、自己資本比率は単純計算で41.3%から50.3%に上がる
株主のデメリット:同じ利益なら1株利益は約18%薄まり、純資産が約4割増えるのでROEは約3割低くなる
判断の分かれ目は資金の使い道
資金は本社・尼崎工場のスポンジチタン製造設備(投資総額約390億円)に充てる計画で、完成すると生産能力は25%増えて年5万トンになる見通しです(2027年度末に完成予定)。ロシア製の代替需要や航空機の増産で需要が伸びるとみており、経済安全保障推進法に基づく認定で最大約80億円の助成も見込んでいます(同社 8月25日の発表文 p.1〜2)。
先ほどの益回りの目安を当てはめると、発行価格2,592円は今期の会社予想1株利益46.2円の約56倍で、益回りは約1.8%です。高いPERで発行したので、1株利益を取り戻すだけなら、集めた資金が年2%弱の利益を生めば足ります。
一方で、同社のROEは2024年3月期の28.1%から2026年3月期には5.9%まで下がっており(同発表文 p.6)、2027年3月期の会社予想の純利益は17億円です(2027年3月期第1四半期決算短信)。約4割増えた自己資本に見合う利益を、設備が完成した後に出せるかが、今回の希薄化を取り戻せるかどうかの分かれ目です。
大阪チタニウムテクノロジーズ
金属チタン(スポンジチタン・チタンインゴット)を主製品とするチタン事業と、四塩化チタン・四塩化ジルコニウムなどの化学品を扱う高機能材料事業で展開。
増資の種類で既存株主への影響はどう違うか
同じ増資でも、誰に・いくらで新株を渡すかで既存株主の損得は大きく変わります。
公募増資
誰でも買えるが、既存株主が持分を保つには市場か公募で買い増すしかない
発行価格は決定日の終値から数%割引。割引の分だけ、既存株主の取り分が新しい株主に移る
第三者割当増資
割当先と価格しだい。有力な提携先や親会社の支援なら評価されることもある
特に有利な価格での発行には株主総会の特別決議が必要。東証は、希薄化率が25%以上になる場合や支配株主が代わる場合に、経営者から独立した者の意見か株主総会などでの確認を求めている(東京証券取引所「第三者割当に係る上場制度の概要及び実務上の留意事項」)
株主割当・ライツ・オファリング
全株主に同じ条件で権利が配られる。応じれば持分を保てる
応じない場合も、上場した新株予約権を市場で売れば「経済的損失の全部又は一部を回避することができます」(日本取引所グループ用語集「ライツ・オファリング」)。ただし応じるには払い込みの資金が要る
無償増資:資本組入れも株式無償割当ても、持株比率と持っている株の価値の合計は変わらない(株式無償割当ては株式分割とほぼ同じ)
行使価額修正条項付きの新株予約権・MSCB
株価が下がるほど発行される株が増え、希薄化が膨らみやすい。成長企業の資金調達で使われていたら特に注意
第三者割当の手続き(有利発行・25%ルール)と事例は、第三者割当増資の記事で詳しく扱っています。

第三者割当増資とは|時価90%・希薄化25%のルールと株価への影響、2026年9月の26件で見る提携型とMS型の違い
第三者割当増資は特定の相手に新株を割り当てる増資。払込金額の目安は前日終値の90%以上で、希薄化率25%以上なら独立者の意見か株主の意思確認が必要。2026年9月の実例では提携型は上昇が多く、MS型7社は翌日すべて下落した。開示の読み方も解説。
MSCBや転換社債(CB)のように、あとから株に換わる形の資金調達による希薄化と株価への影響は、転換社債の記事で扱っています。

転換社債(CB)とは|仕組みと株価への影響、2026年に1兆円超へ急増した発行の実例
転換社債(CB)は株式に転換できる権利付きの社債。転換価額・パリティ等の仕組み、普通社債との違い、メリット・デメリット、発行時の希薄化とヘッジ売りによる株価への影響、MSCB、個人が買えるかを、丸井グループ等2026年の事例と日証協の統計で解説。
上場企業の増資はどれくらいある?
日本証券業協会の「全国上場会社のエクイティファイナンスの状況」によると、2026年1〜8月の上場企業の増資は、公募増資が16件・5,564億円、第三者割当増資が313件・1兆7,080億円、株主割当増資は0件でした。
上場企業の公募増資と第三者割当増資の調達額
件数では第三者割当が毎年250〜450件あり、公募(年17〜64件)を大きく上回ります(2017〜2025年)。日証協の集計単位(決議・条件ごとに1件)で2026年1〜8月を平均すると、公募は約348億円、第三者割当は約55億円でした。第三者割当の総額は大型案件がある年に跳ね、2026年は8か月で2021年に次ぐ規模です。株主割当はほとんど使われず、コミットメント型のライツ・オファリングも2017年以降で4件(2018年2件、2023年・2024年各1件)にとどまります。
中小企業が増資するときの手続きと税金
ここからは、非上場の中小企業の経営者向けです。中小企業にとっては、財務の安定に加えて対外的な信用も増資のメリットです。資本金の額は登記事項で(会社法第911条第3項第5号)、誰でも登記事項証明書で確かめられるので(商業登記法第10条(e-Gov法令検索))、取引先や金融機関が会社の規模を見る目安の一つになります。
手続きは次の流れです。
募集事項を決める:株数・払込金額・払込期日など。すべての株式に譲渡制限がある非公開会社では、原則として株主総会の特別決議が必要(会社法第199条第2項・第309条第2項第5号)。取締役会で決められるのは公開会社
申込み・割当て:引き受ける人が申し込み、会社が誰に何株を渡すかを決める
払込み:払込期日(または期間内)に出資金を払い込む
変更登記:資本金の額や発行済株式の総数が変わるので、2週間以内に登記する(会社法第915条)
法人税や地方税の一部は資本金の額で区分されているため、増資で資本金が一定額を超えると負担が変わります。主な区分は次のとおりです。
資本金の額 | 主に変わること |
|---|---|
増資のたび | 登録免許税:増えた資本金の0.7%(最低3万円) |
1,000万円以上 | 消費税:設立1・2期目は期首の資本金1,000万円以上だと免税事業者になれない |
1,000万円超 | 法人住民税の均等割:年7万円→年18万円 |
1億円超 | 中小法人の軽減税率(所得800万円以下に15%)と交際費の定額控除(年800万円)が使えない。法人事業税の外形標準課税の対象に |
それぞれの根拠は、国税庁 No.7191 登録免許税の税額表、No.6503 基準期間がない法人の納税義務の免除の特例、No.5759 法人税の税率、No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算、総務省「法人住民税」、地方税法第72条の2(e-Gov法令検索)です。
資本金を増やしすぎた場合に資本金を減らす「減資」の仕組みと注意点は、減資の記事で扱っています。

減資のメリット・デメリット|株数も純資産も変わらない無償減資、資本金1億円の税優遇とJALの100%減資の違い
減資は資本金を減らす手続きで、上場企業の多くは株数も純資産も変わらない無償減資です。欠損を埋めて配当の余地をつくる、資本金1億円以下で税を軽くするといったメリットと、2025年からの外形標準課税の見直し、手続き、株主への影響、JALの100%減資まで実例で解説。
保有株が増資を発表したら確認したい6つのポイント
増資の発表文(適時開示)には、判断に必要な情報がほぼ載っています。発表翌日の値動きだけで判断せず、次の6点を確かめましょう。
資金の使い道:成長投資か、借入の返済か、赤字の穴埋めか。投資の中身・金額・完成時期まで書かれているか
株数がどれだけ増えるか:新株の数÷今の発行済株式数。追加の売出しに伴う新株や、新株予約権の分も含めて計算する
発行価格と割引率:公募なら決定日の終値から何%割り引いたか。第三者割当なら時価との差(有利発行ではないか)
誰が引き受けるか:第三者割当なら割当先の素性と、長く持つつもりか(保有方針)。大株主のロックアップの有無
会社の財務状況:成長のための増資か、資金繰りのための増資か。自己資本比率や手元資金、決算短信の「継続企業の前提に関する注記」
過去の増資の実績:前回集めたお金を計画どおりに使ったか。発表文の「過去のエクイティ・ファイナンスの状況」「前回調達資金の使途の変更」を見る
まとめ
増資は、新しい株式を発行してお金を集め、資本を増やすこと。有償増資(公募・第三者割当・株主割当/ライツ)と無償増資(資本組入れ・株式無償割当て)がある
企業のメリットは返済も利息も要らないことと自己資本比率の上昇、デメリットは資本コストの高さ、ROE・1株利益の低下、議決権の分散
既存株主のデメリットは希薄化と発表直後の売り。大阪チタニウムは株数が21.3%増え、発表翌日に7.3%、9月30日までに14.2%下落した
希薄化は損とは限らない。時価発行なら、資金の利回りが益回り(1÷PER)を上回れば1株利益は増える。株価で見れば株主資本コストを上回るかが問われる
株主割当・ライツなら持分を保てる。第三者割当は割当先と価格しだいで、25%以上の希薄化には東証の手続きがある
中小企業は資本金1,000万円と1億円が税金の区切り。払込額の半分までは資本準備金に回せる
保有株が増資を発表したら、資金の使い道、株数の増加率、発行価格、引受先、財務状況、過去の実績を発表文で確かめ、「増えた株数を上回る利益を生むか」で判断しましょう。








