オプティム(3694)の企業分析|MDM「OPTiM Biz」とドローン散布の2本柱

オプティム(3694)は、スマホやPCを一元管理するMDM「OPTiM Biz」を稼ぎ頭に、ドローンによる農薬散布などのスマート農業を伸ばしている、佐賀市に本店を置くIT企業です。2026年3月期の売上高は、法人向けのIT・AIサービス(AX事業)が77.5%、農業(アグリテック事業)が22.5%でした。
2026年3月期は売上高117.3億円(前期比+10.9%)、営業利益19.7億円(同+0.8%)で、会社は「創業来26期連続で過去最高売上高」と説明しています(2026年3月期 決算短信・決算説明会資料 p.5)。2027年3月期は売上高129.8億円(+10.6%)に対し営業利益19.8億円(+0.5%)と、増収でも利益はほぼ横ばいの計画です。
株価は2026年10月8日終値で469円、実績PERは23.2倍。2021年3月末(2,973円)から8割以上下がり、2026年3月末にはプライム市場の上場維持基準のうち流通株式時価総額(100億円以上)を満たせず、2027年3月末までの改善期間に入っています(上場維持基準への適合に向けた計画)。期限までに基準を満たせず、市場区分の変更審査を経てスタンダード市場へ移ることもなければ、東証の上場廃止になります。この記事では、2つの事業の稼ぎ方、業績と財務、競合、上場維持基準の見通しを整理します。
この記事の内容(目次)
会社概要 — 佐賀大学のキャンパスに本店を置くIT企業
オプティムは、菅谷俊二社長が2000年6月に設立した会社です。創業期の広告配信サービスに続き、パソコンの設定・診断の自動化や画面共有(Optimal Remote)のソフトを手がけ、2009年に始めた端末管理「Optimal Biz」(現OPTiM Biz)を稼ぐ基盤に育てました。その上で、AI・IoTの技術を農業・建設・医療などの産業に広げています(オプティム公式サイト「沿革」)。
証券コード・市場:3694(東証プライム)
設立:2000年6月
本店:佐賀県佐賀市(佐賀大学 本庄キャンパス内の「OPTiM SAGA」)。東京本社は東京都港区
代表者:代表取締役社長 菅谷俊二(1976年生まれ)
従業員:連結417名(2026年3月末。AX事業282名、アグリテック事業75名)
決算期:3月
主な株主:菅谷社長55.79%、NTT東日本5.87%、富士フイルムホールディングス1.08%(2026年3月末、自己株式を除く発行済株式に対する割合)
出典:オプティム 有価証券報告書(第26期) 沿革・従業員の状況・大株主の状況・役員の状況、2027年3月期 第1四半期決算短信 補足説明資料 p.33よりKabuGraph作成
沿革 — PCのサポートソフトから端末管理、農業へ
2000年6月:佐賀で設立
2008年3月:東日本電信電話(現NTT東日本)を割当先とする第三者割当増資
2009年10月:パソコン向け管理「Optimal Biz」(現OPTiM Biz)を提供開始。2011年5月にモバイル端末向けを追加
2014年10月:東証マザーズに上場。2015年10月に東証1部へ
2017年10月:本店を佐賀大学の本庄キャンパス内へ移転
2018年11月:AI・ドローンを使い農薬の使用量を抑えて育てた「スマート米」の販売を開始
2022年4月:東証の市場区分見直しでプライム市場へ。流通株式比率(基準35%)は26.1%で未達のまま、経過措置の下で移行した
2023年3月:農業法人「オプティム・ファーム」を設立
2025年10月:建設向けの子会社オプティム・デジタルコンストラクションを吸収合併
2026年3月期:報告セグメントを単一から「AX事業」「アグリテック事業」の2つに変更
2026年6月:プライム市場の上場維持基準(流通株式時価総額)の改善期間入りを開示
出典:有価証券報告書(第26期) p.4 沿革・オプティム公式サイト「沿革」・2026年3月期 決算短信・新市場区分「プライム市場」選択申請及び上場維持基準の適合に向けた計画書(2021年12月24日)よりKabuGraph作成
菅谷社長が議決権の55.82%を持つ支配株主
菅谷社長は議決権の55.82%を持つ支配株主です(2026年3月31日現在、支配株主等に関する事項について)。2008年に第三者割当増資を引き受けたNTT東日本は2026年3月末時点で2番目に多い株主で、両社などは国産ドローンの普及を進めるNTT e-Drone Technology(オプティムの持分法適用関連会社、議決権の所有割合34.0%)も設立しています(有価証券報告書 沿革・関係会社の状況)。
社長の持ち株が過半を占めるため、市場で売買される「流通株式」は少なめです。この点がプライム市場の上場維持基準の問題につながっています(後述)。
売上の8割弱がAX事業、利益はAX事業が稼ぐ
2026年3月期から、事業を「AX(AIトランスフォーメーション)事業」と「アグリテック事業」の2つに分けて開示しています。アグリテック事業が大きく伸び、重要性が増したためです(2026年3月期 決算短信 p.2)。
セグメント別売上構成比(2026年3月期)
AX事業:売上高90.9億円(前期比+2.7%)、セグメント利益50.0億円(同+7.4%)。セグメント利益率は54.9%
アグリテック事業:売上高26.4億円(同+52.7%)、セグメント損失4.6億円(前期は4.0億円の損失)
調整額:−25.7億円。各セグメントに配分していない自社開発ソフトウェアの減価償却費12.5億円と、全社費用13.2億円
出典:2026年3月期 決算短信 p.15〜16 セグメント情報よりKabuGraph作成
事業を理解する — 法人向けAIサービスと農業の2本柱
AX事業は、企業の情報システム部門・建設・医療・オフィス・自治体など相手ごとにサービスを分けています。どのサービスも、ID管理・端末管理・ライセンス管理などの共通機能を持つ自社基盤「OPTiM AIR」(旧OPTiM Cloud IoT OS)の上で作られ、会社は一から作るより開発の手間を抑えられると説明しています(有価証券報告書 p.5・13)。
「その他サービス」を除いたAXサービスの売上高86.6億円のうち、継続課金のストック売上は70.5億円で、ストック比率は81.4%でした(2026年3月期、2026年3月期 決算短信 p.3)。

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情シスAX:MDM「OPTiM Biz」が利益の源泉

「OPTiM Biz」は、会社が配るスマートフォン・タブレット・パソコンの設定や操作、セキュリティ対策を、クラウドから一括で行うサービスです(有価証券報告書 p.5)。
シェア:デロイト トーマツ ミック経済研究所の調査で15年連続の国内シェアNo.1。2024年度のMDM出荷ID数(SaaS・ASPを含む)のシェアは52.3%(2026年3月期 決算説明会資料 p.11)
導入企業:18万社以上(2019年6月25日時点、会社調べ。2026年3月期 決算短信 p.2・5)
売り方:自社販売に加え、OEM提供と販売パートナー経由の売上が大きい。主要なOEM提供先はKDDI(有価証券報告書 p.15)

2025年10月には、MDMにSaaS管理・ID管理・物品管理・社内ITサポートのAIエージェント・リモートサポートをまとめた「OPTiM Biz Premium」の提供を始めました(提供開始のお知らせ・有価証券報告書 p.5)。会社は既存のOPTiM Bizの販売パートナーが上位版として売りやすい商品と位置づけ、パートナー経由の拡販を進めています(2026年3月期 決算短信 p.2)。

建設・土木AX:スマホで測量する「OPTiM Geo Scan」

「OPTiM Geo Scan」は、スマートフォンで調査・測量・設計から施工管理、検査までを1人で行えるサービスです。ミリ単位の測位と3Dデータの作成ができ、複数の作業員と高価な専用機器で行っていた測量をスマホに置き換えることを狙います(有価証券報告書 p.5、2026年3月期 決算短信 p.2)。
2027年3月期の第1四半期には、準天頂衛星「みちびき」のセンチメートル級測位補強サービス(CLAS)と、スマホが衛星に直接つながるStarlink Directへの対応を終え、電波の届きにくい山間部でも測量できるようにしました(2027年3月期 第1四半期決算短信 p.2)。公式サイトでは、ライセンス契約数が累計2,600件を超えたと案内しています(2026年6月時点)。
医療AX:生成AIで文書作成を減らす「OPTiM AI ホスピタル」

「OPTiM AI ホスピタル」は、病院内に置くサーバー(オンプレミス)で動く大規模言語モデルを使い、電子カルテと連携して医師・看護師の文書作成を支援するサービスです(有価証券報告書 p.5)。看護サマリー(公式サイト「OPTiM AI ホスピタル」)や、日本内科学会の専門研修で作る病歴要約(J-OSLER)の作成もAIが支援します(第1四半期決算短信 p.2)。
会社は、令和8年度の診療報酬改定で生成AIが要件に含まれたことなどを追い風に挙げ、複数の病院でPoC(試験導入)を行っていると説明しています(2026年3月期 決算短信 p.2)。2026年9月には、病院内のスマホとAIを組み合わせた「OPTiM AI ホスピタルフォン」(2027年1月提供予定)も発表しました。
医療ではほかに、MRTが提供するオンライン診療「ポケットドクター」が、オプティムのオンライン診療プラットフォームの機能を使っています(オプティム公式サイト「オンライン診療プラットフォーム」。MRTについてはMRTの企業分析)。

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オフィス・自治体向け:AI文書管理と「自治体公式スーパーアプリ」

オフィスAX:「OPTiM 文書管理」「OPTiM Contract」「OPTiM 電子帳簿保存」は、請求書・契約書・申請書などからAIが取引先や金額、契約期間などを読み取り、台帳を作って管理する(有価証券報告書 p.5)
コミュニケーションAX:「自治体公式スーパーアプリ」は、自治体の情報や手続き、災害情報、学校の欠席連絡、マイナンバーカードを使ったデジタル市民証などを1つのアプリにまとめる。青森県階上町・佐賀県神埼市などが採用し、デジタル庁のデジタル地方創生サービスカタログに掲載された(2026年3月期 決算短信 p.3)
その他サービス:個人向けの「パソコンソフト使い放題」や電子雑誌の「タブホ」、単年度のスポット案件。注力から外れて減っており、2027年3月期は2.5億円(前期比−43.4%)に減る計画(2027年3月期 第1四半期決算短信 補足説明資料 p.22)

アグリテック:ドローン散布を請け負う「Agri Buddy」

アグリテック事業の中心は、生産者やJAから農作業の依頼を受け、ドローンでの農薬散布などを代わりに行うサービスです。オプティムがAIで散布計画を立て、全国の契約パイロットを手配し、作業実績に応じて支払います。生産者はドローンを買って操縦を覚えなくても、散布を頼めます(2026年3月期 決算説明会資料 p.16)。

規模:2025年のドローン農薬散布の提供面積は32,000ha(前年26,000ha)、散布した圃場は133,078、稼働したパイロットは266チーム、提供先は25府県134市町村
継続率:2025年に利用した顧客の98%が2026年も継続を希望
位置づけ:会社は「国内最大」(ドローンでの散布において、2026年2月8日時点の会社調べ)と説明。主な対象はコメ・麦・大豆で、ネギ・みかんなど他の作物にも広げている
出典:2026年3月期 決算説明会資料 p.15・2026年3月期 決算短信 p.3よりKabuGraph作成

2026年5月には、耕起・田植え(ドローン播種)・除草・施肥・防除・収穫・販売までの各工程を専門の担い手に委託できるプラットフォーム「Agri Buddy」を発表しました。生産者が農機や資材を個別に持つ「垂直統合」から、工程ごとに専門人材へ任せる「水平分業」への転換を掲げ、散布で束ねた約32,000haを仮想的な大規模農場(スーパーファーム)とみなしてコストを下げると説明しています(Agri Buddyの提供開始のお知らせ)。
2026年2月:夏の暑さ対策として、農業用温室・畜舎・工場の屋根にドローンで遮光・遮熱剤を塗るサービスを全国で開始(提供開始のお知らせ)
2026年3月:子会社オプティム・ファームが、無人ヘリでの防除などを請け負う栃木県の農業法人アドバンスの株式を取得し、4月1日に事業を承継(株式取得のお知らせ)
2027年3月期 第1四半期:和歌山県有田川町に拠点を開設し、みかん・梅などへの展開を進める(第1四半期決算短信 p.3)
2026年10月:貸農園「シェア畑」などを運営するアグリメディアと資本業務提携し、同社の株式の一部を取得(資本業務提携のお知らせ)

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国内ドローン市場5,000億円→2030年1兆円の成長見通し、レベル4飛行解禁・経済安保指定・防衛需要の追い風、ACSL・Terra Drone等の関連銘柄を投資家向けに解説します。
スマートアグリフード:スマート米を作って売る

もう1つの柱が、AIとドローンを使って育てた「スマート米」などの農作物の生産・流通・販売です(有価証券報告書 p.6)。直営サイト「SMART AGRI FOOD SUMA-CHOKU」で売るほか、子会社のオプティム・ファームが2023年から栃木県・茨城県で水稲の生産・販売を行っています(アドバンスの株式取得のお知らせ)。
2027年3月期 第1四半期(4〜6月の3か月)のアグリテック事業の売上高は11.8億円で、前年同期の0.7億円から大きく増えました。会社は、Agri Buddyの対応作物の拡大と、スマート米をはじめとした農作物の流通・販売が売上をけん引したと説明しています(2027年3月期 第1四半期決算短信 p.3)。
業績推移と財務分析
通期業績 — 売上は伸び続け、営業利益は20億円手前で足踏み
売上高は2017年3月期の33.1億円から2026年3月期の117.3億円へ約3.5倍になりました。一方で営業利益は2024年3月期の19.4億円から3期続けて19億円台にとどまり、営業利益率は2021年3月期の24.1%から2026年3月期は16.8%、今期計画は15.3%に下がっています。
通期業績推移(売上高・営業利益・純利益・営業利益率・売上高成長率)
2019年3月期の落ち込み:AI・IoT・ロボティクスの研究開発に積極投資し、営業利益は1.0億円に減った(2019年3月期 決算短信)
2021年3月期の回復:会社は過去3年の研究開発投資を「利益回収の期」と位置づけた。テレワークの広がりで管理する端末が増え、Optimal Biz(現OPTiM Biz)などのライセンスが伸びた。なお、受託研究・補助金の収益認識を見直した会計上の見積りの変更で、営業利益が0.9億円増えている(2021年3月期 決算短信)
2026年3月期の上振れ:期初は営業利益15.7億円(減益)の予想だったが、2026年2月に18.0億円へ上方修正し、実績は19.7億円。理由は、全エンジニアに導入したAIコーディングアシスタントによる開発の効率化と、解約率の低いストック収益の増加(通期連結業績予想の修正に関するお知らせ)
2026年3月期の純利益の減少:純利益は11.1億円(−5.4%)。第3四半期に投資有価証券評価損1.7億円を特別損失に計上したため(2026年3月期 決算短信 p.4)
2027年3月期の計画 — 農業は+44%、AX事業の利益は横ばい
会社はセグメントごとの予想も出しています。売上の伸びの大半はアグリテック事業で、AX事業は売上+1.0%・利益−0.3%の計画です。
セグメント別の売上高と利益
AX事業:売上高91.8億円(+1.0%)。OPTiM Bizなどの「AXサービス」は89.3億円(+3.2%)に伸びるが、「その他サービス」が2.5億円(−43.4%)に減る。セグメント利益は49.8億円(−0.3%)
アグリテック事業:売上高38.0億円(+44.0%)、セグメント損失は3.5億円(前期は4.6億円)に縮小。会社は2027年3月期も高い気温で病害虫防除の需要が続くことと、ヘリからドローンへの散布の移行を見込む
全社共通費:26.5億円で前期より0.8億円増える
出典:2027年3月期 第1四半期決算短信 補足説明資料 p.21〜23よりKabuGraph作成
会社は今期も、AIを使った開発の予算の大幅な増額、地方拠点の拡充、賃上げを続けるとしています(2027年3月期 第1四半期決算短信 p.3)。なお、経常利益と純利益の予想は5月の通期決算では開示せず、8月14日に公表しました。支配していない関連会社の損益が見積もれなかったためで、見通しに必要な情報が把握できたとしています(通期連結業績予想の公表に関するお知らせ)。
2027年3月期 第1四半期 — 売上高+58%、営業利益+38%
項目 | 1Q実績(億円) | 通期予想(億円) | 進捗率 |
|---|---|---|---|
売上高 | 33.5 | 129.8 | 25.8% |
営業利益 | 3.7 | 19.8 | 18.9% |
経常利益 | 3.0 | 19.9 | 15.3% |
純利益 | 1.6 | 11.4 | 14.0% |
AX事業:売上高21.7億円(前年同期比+5.9%)、セグメント利益12.1億円(同+15.0%)。AXサービスのストック比率は86.4%
アグリテック事業:売上高11.8億円(前年同期は0.7億円)、セグメント損失1.7億円(同1.4億円の損失)。会社は売上・利益とも計画どおりで通期予想に影響はないとしている
出典:2027年3月期 第1四半期決算短信 p.2〜3・9〜10よりKabuGraph作成
財務 — 自己資本比率75%、開発費をソフトウェアとして資産に積む
自己資本比率:74.7%(2026年3月末)、75.2%(2026年6月末)
現預金と借入:2026年3月末は現預金30.1億円、短期借入金12.5億円(前期末はゼロ)。6月末は現預金43.6億円、短期借入金8.7億円・長期借入金0.6億円
ソフトウェア:自社開発のソフトウェアを資産に計上しており、2026年3月末の残高は仮勘定を含め38.2億円。2026年3月期の無形固定資産の取得は15.4億円で、減価償却費13.6億円を上回った
キャッシュフロー:2026年3月期の営業キャッシュフローは15.9億円(前期21.1億円)。棚卸資産の増加で17.4億円減った。投資キャッシュフロー−12.9億円を引いたフリーキャッシュフローは3.0億円
出典:2026年3月期 決算短信 p.5・8〜9・14、2027年3月期 第1四半期決算短信 p.6よりKabuGraph作成
株主還元 — 無配、自社株買いを優先
オプティムは設立以来、配当を出していません。成長途中で内部留保が必要として、配当の可能性と時期は「未定」としています(有価証券報告書 p.35 配当政策)。2027年3月期の配当予想も未定です(2026年3月期 決算短信)。
優先順位:株主還元は「自己株式取得」を第一、次いで「配当」とする方針(上場維持基準への適合に向けた計画)
自社株買い:2026年2月16日、菅谷社長が売却した60万株(自己株式を除く発行済株式の1.09%)をToSTNeT-3で2.82億円(1株470円)で取得し、3月13日に全株を消却。目的は1株当たり価値と資本効率の向上、流通株式比率の引き上げ(自己株式の取得結果に関するお知らせ)
株主優待:3月末に100株以上を持つ株主に、直営サイトでスマート米5kgを買う際の割引券を贈る(2025年8月新設)。割引額は定価の約25%相当で米価に合わせて変わり、2026年3月末を基準日とする券は、新米に切り替えた10月1日以降の注文で1,595円から1,217円に下がった。100株(2026年10月8日終値で約4.7万円)に対する割引額の比率は約2.6%(KabuGraph算出)だが、使えるのはスマート米の購入時だけ(株主優待制度の新設・一部変更(2025年11月)・対象商品の新米への入れ替えおよび価格改定(2026年9月30日)・同 一部訂正(10月2日))

自社株買いとは|EPS・ROE改善の仕組みと株価への影響
自社株買いの仕組み・目的・株価への影響をわかりやすく解説。EPS・ROE・PERなど財務指標への効果、メリット・デメリット、発表時の投資判断ポイントがわかります。
株価指標(2026年10月8日終値)
株価:469円
時価総額:256億円(発行済株式数54,598,528株で計算)
PER:実績23.2倍(2026年3月期EPS 20.25円)/予想22.5倍(会社予想EPS 20.85円)
PBR:2.75倍(2026年3月末BPS 170.37円)
ROE:12.6%(2026年3月期、決算短信の自己資本当期純利益率)
配当利回り:0%(無配)
出典:東証株価・オプティム 2026年3月期 決算短信・通期連結業績予想の公表よりKabuGraph算出(2026年10月8日終値)
実績PER23.2倍は、東証プライムの情報・通信業の単純平均(PER18.4倍・PBR2.1倍、2026年9月末、東証「規模別・業種別PER・PBR」、KabuGraphの業種別PER・PBR)をやや上回る水準です。
株価の下落は、利益の減少ではなく評価倍率(PER)の低下によるものです。2021年3月末の株価は2,973円で、その期(2021年3月期)のEPS 22.49円で割ったPERは132倍、時価総額は約1,639億円(発行済株式数ベース)でした。EPSは5年後の2026年3月期も20.25円とほぼ同じ水準で、PERが23倍台まで下がったぶん株価が下がった形です(株価はいずれも当時の終値、2020年4月1日の株式分割(1株→2株)より後のため分割調整は不要。KabuGraph算出)。

PER(株価収益率)とは|計算式・15倍の目安と東証プライム業種別データで読む割安判断
PER(Price Earnings Ratio・株価収益率)の計算式・15倍の目安・業種別の水準差を解説。JPXの東証プライムPER・PBR推移データと業種別比較チャートで、割安・割高の判断方法がわかります。
プライム上場維持基準 — 流通株式時価総額が100億円に届かず
2026年3月末の流通株式時価総額は92.1億円で、プライム市場の基準(100億円以上)に届きませんでした。株主数・流通株式数・流通株式比率の基準は満たしています(上場維持基準への適合に向けた計画(改善期間入り))。
2026年3月末の状況:流通株式時価総額92.1億円(基準100億円)、流通株式比率35.8%(基準35%)、株主数13,881人、流通株式数195,836単位
改善期間:2027年3月31日まで。基準を満たせなければ監理銘柄(確認中)に指定され、2027年3月末の株券等の分布状況による審査で不適合とされると、整理銘柄を経て2027年10月1日に上場廃止となる(会社開示)。プライムの基準を満たせなかった場合にスタンダード市場へ自動的に移る制度は無く、移るには会社が市場区分の変更を申請し、東証の審査に適合する必要がある。申請中は監理銘柄(審査中)に指定され、審査に適合しなければ上場廃止が決まる(東証「経過措置終了に関するFAQ」Q3・Q4)
会社の方針:プライムの維持をめざしつつ、スタンダード市場への移行も含めたあらゆる選択肢を視野に入れる。2026年10月9日時点で、市場区分の変更を申請したという開示は無い(会社IRの開示一覧で確認)
取り組み:OPTiM Biz Premiumとアグリテック事業の拡大(アグリテックは早期の黒字化)、IRの拡充、初の女性役員の選任、自己株式取得を中心とした株主還元
出典:東証プライム市場の上場維持基準への適合に向けた計画(改善期間入り)について(2026年6月26日)よりKabuGraph作成
100億円に届く株価の目安は約511円
流通株式時価総額は、事業年度末の流通株式数に、事業年度末以前3か月間の毎日の終値の平均を掛けて計算します(JPX 上場会社向けナビゲーションシステム FAQ)。2026年3月末の流通株式数(19,583,600株)から逆算すると、2026年1〜3月の終値平均は約470円でした。
流通株式数が変わらなければ、2027年1〜3月の終値平均が約511円以上で100億円に届く計算です。2026年10月8日終値469円より約9%高い水準です(KabuGraph算出)。流通株式数が増えれば必要な株価は下がり、市場からの自社株買いで流通株式が減れば上がります。
競合との比較
オプティムは事業ごとに競合が異なります。利益の柱であるMDMでは、上場企業のアイキューブドシステムズ(4495)が最も近い相手で、Microsoftなど海外の大手も同じ領域に製品を持ちます。農業では、ドローンの機体メーカーや無人ヘリコプターでの散布と比べた立ち位置が問われます。
項目 | オプティム | アイキューブド |
|---|---|---|
市場 | プライム | グロース |
決算期 | 2026年3月期 | 2026年6月期 |
売上高 | 117.3億円 | 44.4億円 |
営業利益率 | 16.8% | 26.4% |
時価総額 | 256億円 | 110億円 |
実績PER | 23.2倍 | 13.8倍 |
MDM
アイキューブドシステムズ:2010年から「CLOMO MDM」を提供。デロイト トーマツ ミック経済研究所の「MDM自社ブランド市場」(出荷金額)で2011年度から15年連続シェアNo.1と開示し、NTTドコモの「あんしんマネージャーNEXT」にOEM提供している。2026年6月期は売上高+18.4%、営業利益+29.3%
オプティム:同じ調査会社のMDM出荷ID数(SaaS・ASPを含む)で首位を掲げる。数える指標が違うため、両社の「No.1」は並び立つ。どちらも携帯電話会社にOEM提供している(オプティムはKDDI、アイキューブドシステムズはNTTドコモ)
Microsoft Intune:Microsoftのクラウド型エンドポイント管理サービス。オプティム自身も、クラウドサービス事業者や統合型のIT管理サービスによる代替手段の拡大を事業等のリスクに挙げている(有価証券報告書 p.13)
農業の防除
DJIなどの農業用ドローンメーカーは、散布用の機体や関連システムを販売している
ヤマハ発動機(7272)は産業用無人ヘリコプターを手がける。オプティムが2026年4月に事業を承継したアドバンスも無人ヘリでの防除を請け負ってきた
オプティム:機体ではなく散布作業そのものを請け負い、AIで計画とパイロットの手配を行う。会社はヘリからドローンへの移行の流れを成長の背景に挙げる(2026年3月期 決算短信 p.3)
建設・医療・自治体
測量機器、医療文書の生成AI、自治体アプリはいずれも専業や大手が多い分野。オプティムは共通基盤OPTiM AIRで各産業向けサービスを低コストで立ち上げられる点を強みとする一方、競合との競争が激しくなれば先行投資の回収が遅れるとしている(有価証券報告書 p.13)
アイキューブドシステムズ
アイキューブドシステムズは、法人向けモバイル端末管理サービスを提供するCLOMO事業と、スタートアップへの投資を行う投資事業を展開しています。CLOMO MDMでiPhone、Android、Windows、Chromebook等を一元管理…
投資家が注目すべきポイント
強み
1. MDMの継続課金が生む安定収益
OPTiM Bizはデロイト トーマツ ミック経済研究所の調査で15年連続の国内シェアNo.1(会社開示。2024年度のMDM出荷ID数シェアは52.3%)。AXサービスのストック比率は81.4%(2026年3月期)で、AX事業のセグメント利益率は54.9%です。
2. 国内最大級のドローン散布網
2025年のドローン農薬散布は32,000ha・25府県134市町村で、利用者の98%が継続を希望しました。アグリテック事業の売上高は2026年3月期に+52.7%、今期は+44.0%の計画です。
3. 途切れない増収と厚い自己資本
会社は26期連続の過去最高売上高を掲げ、今期の計画どおりなら27期目になります。自己資本比率は74.7%(2026年3月末)です。
4. 共通基盤で広げる産業別AIサービス
測量のOPTiM Geo Scan、病院向けのOPTiM AI ホスピタル、自治体公式スーパーアプリなどを、共通基盤OPTiM AIRの上で展開しています。
リスク
1. 営業利益の伸び悩み
営業利益は2024年3月期から19億円台が続き、今期も+0.5%の計画です。営業利益率は2026年3月期の16.8%から15.3%に下がる見通しで、AX事業の利益も横ばいの計画です。
2. KDDIへの依存
売上高の28.5%がKDDI向けです。会社はOEM提供先や販売パートナーが競合製品に乗り換えた場合の影響をリスクに挙げています。
3. プライム上場維持基準
2026年3月末の流通株式時価総額は92.1億円で、2027年3月末までに100億円以上に戻す必要があります。会社はスタンダード市場への移行(申請と東証の審査が必要)も選択肢に入れています。基準を満たさず、移行もしなければ上場廃止です。
4. 農業事業の赤字と天候・在庫
アグリテック事業は今期も3.5億円の損失の計画です。農作物の仕入・販売を伴い、仕入価格や生産量は気象に左右されます。ドローンや農機の事故も会社がリスクに挙げています。
5. 支配株主と競争環境の変化
菅谷社長が議決権の55.82%を持ち、株主総会の普通決議は社長の賛否だけで決まる構造です。端末管理では競合の機能拡充・値下げや、クラウドサービス事業者・統合型IT管理サービスによる代替が進んでいると会社自身が説明しています。
まとめ
オプティム(3694)は、MDM「OPTiM Biz」の継続課金で稼ぎ、その利益をドローン散布などの農業と産業別AIサービスに投じている会社です。
事業:売上の77.5%がAX事業、22.5%がアグリテック事業(2026年3月期)。AX事業はストック比率81.4%、売上の28.5%はKDDI向け
業績:2026年3月期は売上高117.3億円・営業利益19.7億円。2027年3月期は売上高129.8億円・営業利益19.8億円の計画で、第1四半期(3か月)の営業利益の進捗率は18.9%
財務・還元:自己資本比率74.7%。設立以来無配で、自社株買いと株主優待で還元する
株価:469円、実績PER23.2倍・PBR2.75倍(2026年10月8日終値)。流通株式時価総額は2026年3月末で92.1億円とプライムの基準に届いていない
見るべき点:OPTiM Biz Premiumで情シス領域の単価を上げられるか、アグリテック事業が黒字化に近づくか、2027年1〜3月の株価と流通株式数が上場維持基準を満たすか
売上は伸び続けていますが、営業利益は投資を続ける間は横ばいの計画です。株価は2021年3月末から8割以上下がり、その期のEPSで割ったPERは132倍から23倍台になりました。農業事業の損益改善と、上場維持基準への対応(期限までに基準を満たすか、審査を経てスタンダード市場へ移るか)が、次の評価の分かれ目になりそうです(KabuGraphの見方)。
オプティム
オプティムは「ネットを空気に変える」というコンセプトのもと、AIを活用して様々な産業の未来を創造する企業です。AX事業ではOPTiM AIRプラットフォームを基盤に、OPTiM Biz、OPTiM Geo Scan、OPTiM AI ホスピ…
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。記事中の株価指標は2026年10月8日終値、その他の数値は2026年10月9日時点で確認できた開示に基づいています。








