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株の需給とは|「需給が良い・悪い」の意味と、誰が買っているかの確かめ方

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株の需給とは、その株を買いたい量(需要)と売りたい量(供給)の釣り合いのことです。買いが多ければ株価は上がり、売りが多ければ下がるので、業績が変わらなくても、信用取引の返済や増資、株価指数の入替などで売り買いがまとまって出ると株価が動きます。

この記事では「需給が良い・悪い・重い」の意味、需給を動かす主な要因、それを確かめるデータの公表元と時刻を整理し、海外投資家の売買と株価の関係を2016年からのデータで確かめます。

株の需給とは——買いたい量と売りたい量の釣り合い

株価は、買い注文と売り注文が釣り合う値段で決まります。買いたい人が多ければ高い値段まで買い上がらないと約定せず、売りたい人が多ければ安い値段まで売り下がります(決まり方は板寄せの記事)。JPXの用語集も、日々の株価を決めるのは需要と供給の関係で、需要が多ければ株価は上がり、供給が多ければ下がると説明しています(JPX「用語集:需給」、2026年10月21日閲覧)。

株の話で「需給」と言うときは、この釣り合いを動かす「誰が・いつ・どれだけ売買するか」を指すことが多く、業績や金利のような「その株にいくらの価値があるか」の話と分けて使われます。

「需給が良い・悪い・重い・軽い」の意味

「重い・軽い」に決まった数値の基準はありません。信用倍率が何倍なら重い、という決まった目安も無く、2016〜2026年のデータでは倍率の高さだけでその後の株価に差は出ませんでした(よくある質問)。何の売りがどれだけ控えているかを、中身で確かめます(後半の手順)。

需給と業績(ファンダメンタルズ)は何が違う?

  • 何の話か

    • 業績:会社がいくら稼ぐか。株の価値そのものを変える

    • 需給:誰が・いつ・どれだけ売買するか。価値が同じでも値段を動かす

  • いつ分かるか

    • 業績:決算や業績予想の修正で分かる

    • 需給:制度信用の返済期限(最長6か月)、ロックアップの期限、株価指数の入替日、先物の清算日(SQ)のように、日付が前もって分かるものが多い

  • 効き方

    • 業績:変われば株価の水準が変わりうる

    • 需給:まとまった売買が一巡すれば、影響は薄れやすい(KabuGraphの見方)

制度信用取引の返済期限が最長6か月であることは、東証の資料で確かめられます(JPX「信用取引制度の概要」(2026年9月)p.9)。

実需と仮需——いずれ反対の売買が出る買い

配当や値上がりを狙った長期保有の買い・持ち合い・M&A目的の買いを実需、信用取引の買いを仮需と呼ぶことがあります(大和証券「金融・証券用語解説[実需]」・[仮需])。仮需の買いは、期限までに返済のための売りになって戻ってきます。いま株価を押し上げた信用の買いは、将来の売りの予約でもあります。

需給を動かす主な要因——買いが増えるとき、売りが増えるとき

需給を動かす要因は、大きく7つに分けられます。どれも「どこで分かるか」が決まっているので、要因と確かめ先を組にして押さえます。

出典:JPX「用語集」(需給・浮動株・公募増資・売出し・自己株式・裁定取引)、JPX「銘柄別信用取引残高」「投資部門別売買状況」「裁定取引」の公表ページ、JPX総研「東証指数算出要領(TOPIX編)」、日本銀行「当面の金融政策運営について」(2025年9月19日)よりKabuGraph作成

①信用取引——買い残は将来の売り、売り残は将来の買い

信用取引で買った人は、借りたお金を返すためにいずれ株を売り、信用で売った人は借りた株を返すために買い戻します。このため信用買い残は将来の売り、信用売り残は将来の買いとして読まれます。東証は銘柄ごとの残高を、毎営業日16時を目安に前営業日の分で公表しています(JPX「銘柄別信用取引残高」、2026年10月21日閲覧)。毎営業日になったのは2026年9月28日公表分(9月25日申込分)からで、それまでは毎週金曜時点の残高を翌週の第2営業日(通常は火曜)に公表していました(東証「信用取引残高の公表情報の変更日及び今後の公表スケジュールについて」(2026年7月6日))。

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ただし、残高が多いだけで株価の向きは決まりません。2016〜2026年の東証のデータでは、売買代金が1日1億円以上で買い残が出来高の5〜10日分ある銘柄は26週後の株価が市場の中央値を6.0%下回った一方、全銘柄で見ると買い残の多さによる差はほとんどありませんでした。売り残が買い残より多い「売り長」の銘柄が、その後上がりやすい傾向も見られません(いずれもKabuGraph算出)。

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優待・配当の権利取りで膨らんだ一般信用の売り残は、権利落ちの後に手持ちの現物を渡して返される(現渡し)ので、市場での買いにはなりません。仕組みは優待クロス(クロス取引)の記事で扱っています。

②空売りと買い戻し——信用取引以外の空売りは信用残に入らない

空売りには、信用取引による売りのほか、株主から株を借りて市場で売る「信用取引以外の空売り」があります(JPX「空売り規制」、2026年10月21日閲覧)。後者は信用売り残に載らないので、機関投資家が株主から借りて売るような大口の空売りは、東証が別に公表する空売り残高で見ます。発行済株式の0.5%以上の空売り残高は、売り手の名前とともに毎営業日17時を目処に掲載されます(JPX「空売り残高に関する情報」、2026年10月21日閲覧)。

空売りは株価が下がると見た売りです。株価が上がり始めると損失を抑えるための買い戻しが重なって上昇が速まることがある一方(踏み上げ)、見立てどおりに下がり続けることもあります。

③先物と裁定取引——SQに向けて現物の売り買いが出る

株価指数の先物と、指数を構成する現物株の価格差を取る裁定取引は、先物の売り買いを現物株の売り買いに変えます。JPXは裁定取引を「同一の性格を持つ2つの商品の間で、割高な方を売り、割安な方を買う」取引と説明しています(JPX「用語集:裁定取引」)。

出典:JPX「用語集:裁定取引」「用語集:特別清算数値(SQ値)」「日経225先物 制度概要」、東証「裁定取引に係る現物株式の売買及び現物ポジション」(2026年10月20日公表)、大和証券「金融・証券用語解説[裁定買い]」よりKabuGraph作成

先物が割高なときは先物を売って現物を買い、価格差が解消すれば手じまい、解消しなければ次の限月へ繰り越します(大和証券「金融・証券用語解説[裁定買い]」)。日経225先物の限月は3・6・9・12月で、最終決済に使うSQ値は、限月の第2金曜日の構成銘柄の始値から算出されます(JPX「日経225先物 制度概要」、JPX「用語集:特別清算数値(SQ値)」、いずれも2026年10月21日閲覧)。

東証は、裁定取引に係る現物の買いポジション(裁定買い残)と売りポジションを、毎営業日16時を目処に前々営業日の分で公表しています。2026年10月16日現在の買いポジションは8億9,325万株、売りポジションは1,219万株でした(東証「裁定取引に係る現物株式の売買及び現物ポジション」2026年10月20日公表、一覧)。買いポジションは、いずれ解消の売りに変わりうる量です。

④投資家ごとの売買——海外投資家・個人・事業法人・日銀

東証は、資本金30億円以上の総合取引参加者からの報告をもとに、海外投資家・個人・事業法人・信託銀行などの部門ごとの売り買いを毎週集計しています(東証「投資部門別売買状況 資料の構成及び見方について」(2026年9月))。2025年の東証プライムでは、委託売買代金(売り買い合計)の66.2%を海外投資家、26.7%を個人が占めました(JPX「投資部門別売買状況」年間、2025年・金額)。

⑤株価指数の入替——採用は買い、除外は売り

TOPIXや日経平均に連動する運用(インデックスファンド・ETF)は、構成銘柄が変わるとそれに合わせて売り買いします。JPX総研が2026年10月7日に公表したTOPIXの初回の定期入替(10月30日実施)の選定結果は、新規追加が35銘柄、「移行措置銘柄」が683銘柄で、移行措置銘柄は2028年7月まで四半期ごとに8段階でウエイトを下げ、最後に除外されます(JPX総研「TOPIX初回定期入替における選定結果(2026年10月30日実施)及び構成銘柄一覧」(2026年10月7日公表)、JPX総研「東証指数算出要領(TOPIX編)」2026年10月1日版 p.6)。移行措置銘柄は、2027年8月の再評価で基準を満たせば、ウエイトの低減が途中(元の半分)で止まります(同p.6)。

構成銘柄の追加・除外は、修正日の前営業日の株価で指数に反映されます(JPX総研「指数計算に係る算出要領」 p.7)。このため、連動する運用の売買は修正日の前営業日の大引けに集まりやすくなります。2026年10月30日実施分では、10月29日(木)の大引けがその日に当たります。東証も、パッシブ運用の広がりで大引けの売買代金が長期的に増えているとしています(東京証券取引所「売買制度ワーキング・グループ報告(参考資料編)」(2026年4月22日、8月6日更新) p.3)。大引けの仕組みは大引けの記事で扱っています。日経平均も2026年10月1日に3銘柄を入れ替えました(日本経済新聞社「日経平均株価の銘柄定期入れ替え等について」(2026年9月4日))。

⑥会社の資本政策——増資・売出し・自社株買い・持ち合い解消・ロックアップ

  • 公募増資・売出し:公募増資は新しく株を発行して広く投資家を募る方法、売出しは大株主などが持つ既存の株をまとめて売る方法です(JPX「用語集:公募増資」・「売出し」)。どちらも短期間に多くの株が市場に出ます。公募増資では、発表から発行価格が決まるまでの数日間に、希薄化や需給を嫌った売りが出やすくなります(増資のメリット・デメリットの記事で実例とともに説明)

  • 第三者割当増資・転換社債(CB):行使価額が修正されるMS型の割当や、CBの発行に伴うヘッジの売りが株価の重しになることがあります(第三者割当増資の記事・転換社債の記事)

  • 自社株買い:会社が自社の株を買う。取得の決定は適時開示の対象です(JPX「用語集:自己株式」)

  • 持ち合い解消:政策保有株の売りは、会社が買い戻すか、市場で少しずつ売るか、売出しでまとめて売るかで需給への響き方が変わります(株式の持ち合いの記事)

  • ロックアップの期限:上場前からの大株主が「一定期間売らない」約束で、期限が来ると売れる株が増えます。期限の日付と解除の条件は目論見書で前もって分かります(ロックアップの記事で目論見書の読み方を説明)

自社株買い・増資・ロックアップがそれぞれ株価にどう効くか、発表を見たときに確かめる点は次の3本の記事で扱っています。

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⑦配当・優待の権利取りと権利落ち

配当や優待の権利を受ける株主は権利確定日で決まり、その1営業日前から「権利落」として売買され、権利落日の株価は権利の分だけ下がります(JPX「用語集:権利落」)。権利付最終日に向けた権利取りの買い、権利落ちの後の売り、配当落ちに合わせたETFの指数先物の買い(受け取る前の配当の分を先物で買い、指数とのずれを防ぐ。松井証券「「配当込み」の株価指数はナニモノ?」(2026年3月31日))と、3月末・9月末の前後には需給の動きがいくつも重なります。

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需給を確かめるデータと公表のタイミング

需給のデータは、ほとんどが取引の後に出ます。何がいつ分かるかを並べると次のとおりです(2026年10月21日時点)。

データ(公表元)

公表のタイミング

分かること

投資部門別売買状況
(東証)

毎週第4営業日(通常は木曜)15:30に前週分

海外投資家・個人・事業法人などの買い越し・売り越し(現物株)

投資部門別取引状況
(JPX、先物・オプション)

毎週第4営業日(通常は木曜)15:30

先物・オプションの部門ごとの売り買い

銘柄別信用取引残高
(東証)

毎営業日16:00目安に前営業日分

銘柄ごとの買い残・売り残(制度信用・一般信用)

信用取引現在高
(東証)

毎週第2営業日(通常は火曜)16:00目安

市場全体の信用残

貸借取引残高
(日証金)

当日18時半過ぎに速報、翌営業日11時頃に確報

制度信用のうち日証金を通した分の残高

空売り集計
(東証)

毎営業日、その日の分

売買代金に占める空売りの比率(市場全体・業種別)

空売り残高
(東証)

毎営業日17:00目処
多くは2営業日前の残高

発行済株式の0.5%以上の大口の空売り

裁定取引の現物ポジション
(東証)

毎営業日16:00目処に前々営業日分

裁定買い残・売り残

出典:JPX「投資部門別売買状況」「投資部門別取引状況」「銘柄別信用取引残高」「信用取引現在高」「空売り集計」「空売り残高に関する情報」「裁定取引」の各ページ、日本証券金融「銘柄別融資・貸株残高(速報、確報)について」よりKabuGraph作成(2026年10月21日閲覧)

投資部門別売買状況の「月間」は週次を合計した「みなし月間」で、月初・月末の数日が暦月とずれます。月間の数字は、その月の最終週の週次と同じ日に公表されます(東証「投資部門別売買状況 資料の構成及び見方について」)。直近では、2026年10月16日公表の10月第1週(10月5〜9日)に海外投資家が1兆4,318億円の買い越しでした(東京・名古屋の二市場、金額。JPX「投資部門別売買状況」)。

信用残まわりのデータが何時に出るか、取引時間中に何が分かるかは次の記事で詳しく整理しています。

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信用残は取引時間中には公表されず、リアルタイムでは見られない。最速は取引日18時半過ぎの日証金の速報だが、映すのは制度信用の一部(2026年10月16日申込現在で信用買い残の6.6%)。全銘柄の残高は東証が翌営業日16時を目安に公表(2026年9月28日から毎営業日)。

データで確かめる:海外投資家が買い越した月は、株価が上がったか

2016年1月〜2026年9月の129か月では、海外投資家が買い越した月の83.9%でTOPIXが上がり、売り越した月(50.7%)を大きく上回りました。ただし翌月で比べると差は縮み、買い越しの金額と翌月の騰落率にはほぼ関係がありません。個人はその逆で、TOPIXが上がった月に売り越すことが多くありました。

海外投資家・個人の売買差額とTOPIXの騰落率(月間)

出典:JPX「投資部門別売買状況」(株式・月間、二市場、金額)・「統計月報」(TOPIXの月末値)よりKabuGraph算出(2025年1月〜2026年9月)。売買差額は買い−売りで、プラスが買い越し。月間は週次を合計した「みなし月間」で暦月と数日ずれる。資本金30億円以上の総合取引参加者の集計で、ToSTNeT取引を含む。TOPIXの騰落率は前月末比

2026年3月は海外投資家が2.28兆円の売り越しで、TOPIXは11.2%の下落。4月は5.70兆円の買い越しで、TOPIXは6.6%の上昇でした。ただし3月のみなし月間は3月2〜27日、4月は3月30日〜5月1日の売買で、TOPIXの月末比(3月なら2月末から3月末)とは数日ずれます。同じ3月に個人は1.58兆円の買い越し、4月は0.43兆円の売り越しで、海外投資家と逆向きでした。

売買には必ず相手がいるので、全部門の差引きを足すとほぼゼロになります(2026年3月は売り・買いとも約178兆円で、差引きは−0.04兆円)。海外投資家が買い越した月は、ほかの誰かが売り越しています。個人が逆向きに動くのは、その相手方になっている面もあります(KabuGraphの見方)。

区分

月数

その月にTOPIXが上昇

翌月にTOPIXが上昇

海外投資家が買い越した月

56

83.9%

76.4%

海外投資家が売り越した月

73

50.7%

57.5%

個人が買い越した月

51

39.2%

60.0%

個人が売り越した月

78

82.1%

69.2%

全期間

129

65.1%

65.6%

出典:JPX「投資部門別売買状況」(株式・月間、二市場、金額)・「統計月報」(TOPIXの月末値)よりKabuGraph算出(2016年1月〜2026年9月の129か月)。TOPIXの騰落率は前月末比で配当を含まない。「翌月」は翌月のデータが無い2026年9月を除く

同じ月の連動は強く、売買差額とTOPIXの騰落率の相関係数は海外投資家が0.51、個人が−0.68でした。一方、翌月の騰落率との相関係数は海外投資家0.09、個人−0.03で、ほぼ無関係です。翌月にTOPIXが上がった割合は、海外投資家の買い越し月の後が76.4%、売り越し月の後が57.5%と差がありますが、翌月の騰落率の中央値は1.34%と0.90%で、差は0.4ポイントほどでした。

年間で見ると:事業法人は10年続けて買い越し

海外投資家・個人・事業法人の売買差額とTOPIXの騰落率(年間)

出典:JPX「投資部門別売買状況」(株式・年間と月間、二市場、金額)・「統計月報」・JPX総研「TOPIXの過去の推移」よりKabuGraph算出(2016年〜2026年9月)。2026年は1〜9月の月間の合計で、TOPIXは2025年末比。売買差額は買い−売りで、資本金30億円以上の総合取引参加者の集計

海外投資家が買い越した年(2017・2021・2023・2024・2025年と2026年1〜9月)は、TOPIXがすべて上昇しました。ただし年数は6つだけで、2024年の買い越しは0.15兆円とほぼ均衡でした。売り越した5年は、2016・2018・2022年が下落、2019・2020年は上昇です。2026年1〜9月の海外投資家は10.0兆円の買い越しで、TOPIXは2025年末から20.5%上がりました。

事業法人は2016〜2025年の10年すべてで買い越し、2025年は10.5兆円と、海外投資家(5.4兆円)の約2倍でした。個人は10年中8年で売り越しています。

集計の方法

  • データ:JPX「投資部門別売買状況」の株式・月間(2016年1月〜2026年9月)と年間(2016〜2025年)。東京・名古屋の二市場、金額ベースの差引き(買い−売り)。2026年9月分は新しい書式のファイルで、海外投資家は法人と個人、個人は現金取引と信用取引を合算

  • 対象:資本金30億円以上の総合取引参加者の報告で、内国株券の現物の売買(ToSTNeT取引を含む)。先物は含まない(JPX「調査要綱及び投資部門の定義」)

  • TOPIX:JPX「統計月報」の月末値。年末値はJPX総研「TOPIXの過去の推移」と一致することを確認。騰落率は前月末比・前年末比で、配当を含まない

  • 注意:月間は週次の合計(みなし月間)なので、TOPIXの月末とは数日ずれる

需給だけで売買を決めない方がいい理由

需給は株価を動かす力ですが、データで追うときには次の限界があります。

  • データは後から出る:投資部門別の週次は翌週の木曜、月間は翌月に入ってから公表されます。信用残も翌営業日の16時です。空売り残高は、報告の期限が空売りをした日から2営業日が経過する日の午前10時なので(有価証券の取引等の規制に関する内閣府令 第15条の2、e-Gov、2026年10月21日時点)、17時に載るのは多くが2営業日前の残高です。取引時間中に需給を映すのは主に板・歩み値・出来高です(信用残はリアルタイムで見られる?)

  • 一部しか映さない:投資部門別は資本金30億円以上の取引参加者の報告で、先物は別の統計です。信用売り残には信用取引以外の空売りが入らず、日証金の残高は制度信用のうち日証金を通した分だけです

  • 同じ数字でも中身が違う:権利取りの売り残は現渡しで返され、買い戻しになりません。海外投資家の買い越しも、長く持つ買いか短期の売買かは分かりません

  • 日付が分かっていても、どう動くかは決まらない:ロックアップの期限や指数の入替日は前もって公表されるので、前もって織り込まれることも、期限の前後に売りが出ることもあります。ロックアップの期限の前後に株価が平均で小さく下がるという米国の研究がある一方、日本の研究は結果が分かれています(ロックアップの記事)

  • 業績が変われば需給も変わる:好決算で買いが集まる、業績の悪化で信用買いの投げ売りが出る、というように、需給の動きは業績や金利の変化の結果でもあります(KabuGraphの見方)

需給は「いつ、どれだけの売りや買いが出そうか」を見積もる材料として、業績や株価の水準と合わせて使います。

持ち株・買いたい株の需給を確かめる手順

個別の銘柄なら、次の順に確かめると「控えている売り・買い」の見落としが減ります。

  1. 信用残を出来高と比べる:買い残・売り残が1日の出来高の何日分か、信用倍率、増え方を見る(東証「銘柄別信用取引残高」、毎営業日16時目安)

  2. 規制と逆日歩を確かめる:日証金の注意喚起・申込停止や東証の日々公表銘柄の指定は、新規の信用取引に響きます(売り禁の記事)。制度信用の売りが株不足になると逆日歩もかかります(逆日歩の記事)

  3. 大口の空売りを見る:発行済株式の0.5%以上の空売り残高(東証、毎営業日17時目処)

  4. 会社の開示を見る:増資・売出し・CB・第三者割当の決定、自社株買いの決定と取得状況、大株主の異動

  5. ロックアップの期限を確かめる:上場から日が浅い銘柄は、目論見書で期限と解除の条件を見る

  6. 指数の入替の予定を見る:TOPIXはJPX総研、日経平均は日本経済新聞社が公表する

  7. 権利確定日の前後かを確かめる:権利付最終日の前は権利取りの売買で、信用残や株価が動きやすい

  8. 市場全体の流れを見る:投資部門別売買状況(週次)と裁定買い残

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信用買い残・売り残は東証の「銘柄別信用取引残高」(毎営業日16時目安・前営業日分)で全銘柄を調べられる。日証金の残高は制度信用の一部で、トヨタの2026年10月19日分は信用倍率6.44倍・貸借倍率46.0倍と大差。機関の空売りは空売り残高で別に見る。

よくある質問

需給が良い株は上がる?

上がりやすい材料にはなりますが、それだけでは決まりません。買いたい人が多い状態でも、業績の悪化や大口の売りが出れば下がります。信用残のデータでも、売り長(売り残が買い残より多い)の銘柄がその後上がりやすい傾向は、2016〜2026年には見られませんでした。

海外投資家が買い越すと株価は上がる?

同じ月には一緒に動くことが多いものの、翌月を当てる材料にはなりにくいです。2016年1月〜2026年9月では、海外投資家が買い越した月の83.9%でTOPIXが上がりましたが、買い越しの金額と翌月の騰落率の相関係数は0.09でした。数字が公表される頃には、その週・その月の値動きは終わっています。

信用倍率が高いと需給が悪い?

倍率の高さだけでは判断できません。2016〜2026年のデータでは、信用倍率の高さではその後の株価に差が出ず、売買の多い銘柄で買い残が出来高の3日分を超えると、その後の株価が市場の中央値を下回る傾向がありました(信用買い残が多いとどうなる?)。倍率より、買い残を出来高と比べる方が手がかりになります。

需給相場とは?

業績や材料より、売り買いの量で株価が決まっている相場のことです。大和証券の用語解説は「外部材料や人気に左右されず、もっぱら需給関係で相場が決まっているような状態」としています(大和証券「金融・証券用語解説[需給相場]」)。業績の発表が無いのに、信用の買い戻しや指数の入替で値段が動く局面がこれに当たります。

需給はどこで見られる?

銘柄ごとなら、東証の銘柄別信用取引残高(毎営業日16時目安)と空売り残高(毎営業日17時目処)、日証金の貸借取引残高(当日18時半過ぎに速報)です。市場全体なら、投資部門別売買状況(通常は毎週木曜15時30分)と裁定取引の現物ポジション(毎営業日16時目処)を見ます。証券会社のツールにも信用残は載りますが、日次か週次か、どの数字を出しているかは会社と画面ごとに違います(信用残の調べ方の記事で、三菱UFJ eスマート証券・松井証券の例を紹介)。

まとめ

  • 株の需給=買いたい量と売りたい量の釣り合い。業績が同じでも、まとまった売買で株価は動く

  • 「需給が良い」は買いが多い、「悪い・重い」は売りが多い・控えている状態。重い・軽いに数値の基準は無い

  • 需給を動かすのは、信用取引(制度信用の返済期限は最長6か月)、空売り、先物と裁定(SQ)、投資家ごとの売買、株価指数の入替、会社の資本政策、権利取り

  • データは後から出る。投資部門別は翌週の木曜、信用残は翌営業日の16時が目安

  • 2016年1月〜2026年9月では、海外投資家が買い越した月の83.9%でTOPIXが上昇。ただし翌月の騰落率との相関はほぼ無い。事業法人は2016〜2025年の10年すべてで買い越し

  • 需給は「いつ、どれだけ売り買いが出そうか」の見積もりに使い、業績・株価の水準と合わせて判断する

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。

コラム著者・編集者

K

KabuGraph編集部

KabuGraph編集部は、投資情報の発信と株式分析ツールの開発に携わるチームです。日本株・米国株の事業分析から、投資に役立つ情報をわかりやすくお届けします。

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