板寄せとは|始値・終値が決まる仕組みと計算例

板寄せ(いたよせ)とは、寄付(始値)や引け(終値)を決めるときに、それまでに集まった売りと買いの注文を突き合わせ、1つの値段でまとめて約定させる東京証券取引所の売買方式です。値段は次の3つの条件をすべて満たすところに決まります(東京証券取引所『東証公式株式サポーター 株式取引編[第8版]』(2024年9月)Q.12、2026年10月時点)。
成行の売り注文と買い注文がすべて約定する
約定値段より高い買い注文と、約定値段より安い売り注文がすべて約定する
約定値段では、売りか買いのどちらか一方がすべて約定する
約定した注文はすべて同じ値段になるので、1,204円の買い指値を出していても、始値が1,202円なら1,202円で買えます。反対に、成行の注文が片側に偏って3つの条件を満たせないと値段が付かず(寄らない)、特別気配が3分ごとに切り上がって(切り下がって)反対の注文を呼び込みます。
この記事では、なぜ板寄せが必要なのかから始め、板を使った計算例で始値が何円・何株になるかを1段ずつ追い、板寄せが行われる場面、寄らないときの特別気配、ストップ高・安のまま引けたときのストップ配分、寄付前の気配の読み方までを、東証の資料に沿って整理します。
この記事の内容(目次)
板寄せとは——注文をためて1つの値段でまとめて約定させる方式
東証の売買には、板寄せ方式とザラバ方式の2つがあります(日本取引所グループ「売買成立の方法」)。板寄せは、一定の時間に集まった注文を1回でまとめて突き合わせ、売りと買いの数量が釣り合う1つの値段(単一の約定値段)で約定させます。ザラバは、寄付から引けまでの間に、注文が入るたびに値段の合う相手と個別に約定させます。
名前は、人の手で値決めをしていた頃に、中央に値段、左側に売り注文、右側に買い注文を書いた紙の「板」を使っていたことに由来します(東京証券取引所『東証公式株式サポーター 株式取引編[第8版]』 Q.12)。東証の立会場は1999年4月30日に廃止され、今は売買システム「arrowhead」(2010年1月4日稼働)が同じルールで値段を決めています(日本取引所グループ「内国株の売買制度 概要」)。
板寄せとザラバの違い
使う場面
板寄せ:寄付・引け、売買停止からの再開、特別気配・連続約定気配の表示中
ザラバ:それ以外(寄付と引けの間)
約定値段
板寄せ:集めた注文を1つの値段でまとめて約定させる
ザラバ:値段が合致した注文から順に約定させる。1件ごとに値段が変わりうる
注文の順番
板寄せ:寄付と売買停止からの再開では、それまでの注文をすべて同時に出したものとみなす(時間優先なし)。大引けは3段階の優先順位(後述)
ザラバ:同じ値段なら先に出した注文が先(時間優先)
板の状態
板寄せ:売りと買いの値段が重なり合った(交錯した)状態から値段を決める
ザラバ:売りの一番安い値段が買いの一番高い値段より上にあり、次の注文を待つ
出典:日本取引所グループ「売買成立の方法」、東京証券取引所『東証公式株式サポーター 株式取引編[第8版]』 Q.11・Q.15よりKabuGraph作成
ザラバ方式の約定ルールや、ザラ場中の板の読み方はこちらで説明しています。

ザラ場(ザラバ)とは|前場9:00〜11:30・後場12:30〜15:25の約定ルールと板の見方、ザラ場高値と終値ベースの違い
ザラ場(ザラバ)は寄付と引けの間に、注文が入るたびに約定させる時間帯と売買方式。東証では前場9:00〜11:30・後場12:30〜15:25で、価格優先・時間優先で約定する。板の見方、ザラ場高値と終値ベースの違い、PTS、売買停止も解説。
なぜ板寄せが必要?——たまった注文を1つの公平な値段で約定させるため
板寄せが必要なのは、注文がたまって売りと買いの値段が重なり合った(交錯した)状態から売買を成立させるためです。東証は、株価の決まり方が2つある理由を「株価を決定するときの注文の状態が、板寄せ方式のときとザラバ方式のときとでは異なっているため」と説明しています(東京証券取引所『東証公式株式サポーター 株式取引編[第8版]』(2024年9月)Q.11)。
前場の寄付を例にとると、東証は8時から9時までは注文を受け付けるだけで、売買はしません(同Q.11)。そのため9時の時点では、「1,204円までなら買う」注文と「1,199円でも売る」注文のように、売りと買いの値段が重なった注文が板にたまっています。ザラバは、売りの一番安い値段が買いの一番高い値段より上にある(重なっていない)板で、注文が入るたびに付け合わせる方式です。
たまった注文を仮に届いた順に1件ずつ約定させると、同じ朝に出した注文なのに値段が1,199〜1,204円の間で1件ごとに変わり、どの注文が先に届いたかで損得が分かれます。板寄せでは、始値が決まるまでに受け付けた注文をすべて同時に出したものとみなし(同Q.15)、全員を1つの値段で約定させます。8時ちょうどに出した注文も8時59分に出した注文も、扱いは同じです。
寄付のほかにも、注文を集めてから値段を決める場面がある
引け(終値):終値は株価指数や投資信託の基準価額の計算に使われます。東証は2024年11月5日から大引けを、15時25分から5分間注文を集めて15時30分に板寄せする「クロージング・オークション」にし、目的を終値の決まり方の透明性を高めるためとしています(東京証券取引所「次期売買システム稼働に伴う売買制度の見直しについて」 p.12)。大引けの5分間に何が起きるかは大引けの記事で説明しています
値段が大きく飛びそうなとき(特別気配):直前の値段から一定の幅(更新値幅)を超えて約定しそうなときは、すぐに約定させず特別気配を出して反対の注文を呼び込み、板寄せで値段を決めます。東証は、これで「一瞬のうちに株価が大きく動くことがなくなるため、投資者の方は注文発注のタイミングを得ることができ」るとしています(同サポーター Q.19)
売買停止からの再開:重要な情報の開示などで売買を止めた後は、再開までに受け付けた注文を同時に出したものとみなし、板寄せで最初の値段を決めます(同サポーター Q.11・Q.15)
板寄せで値段が決まる3つの条件
東証は、板寄せで値段を決める条件を次の3つとしています(東京証券取引所『東証公式株式サポーター 株式取引編[第8版]』 Q.12)。
①成行の売り注文と買い注文すべてについて約定すること
②約定値段より高い買い注文と、約定値段より低い売り注文がすべて約定すること
③約定値段において、売り注文または買い注文のいずれか一方すべてについて約定すること
言い換えると、「その値段なら買う(売る)」と言っている注文を、成行も含めて取り残さない値段です。成行は「いくらでもよい」注文なので最優先で、約定値段より有利な指値(高い買い・安い売り)も全部約定させます。約定値段ちょうどの指値は、売りか買いのどちらか一方(その値段までの累計が少ない側)が全部約定し、もう一方は一部だけ約定します。その値段に並んだ注文の数が少ない側とは限りません。
見つけ方は「累計数量の大小が入れ替わる値段」
3つの条件を満たす値段は、売りの累計数量と買いの累計数量の大小が入れ替わるところにあります。
売りの累計:成行の売りに、安い値段から順に指値の売りを足していく(その値段以下で売ってよい株数)
買いの累計:成行の買いに、高い値段から順に指値の買いを足していく(その値段以上で買ってよい株数)
安い値段ほど買いの累計が多く、高い値段ほど売りの累計が多くなるので、どこかで大小が入れ替わります。入れ替わる前後の2つの値段が候補で、3つの条件を当てはめて1つに絞ります(東京証券取引所『東証公式株式サポーター 株式取引編[第8版]』 Q.12)。
板を使った計算例——始値は何円で何株か
前日の終値が1,200円、呼値(値段の刻み)が1円の銘柄で、9:00の寄付の直前に次の注文が集まっていたとします。株数は説明用の例です(呼値1円は、TOPIX500構成銘柄以外の3,000円以下の銘柄など。日本取引所グループ「呼値の単位」、2026年10月時点)。2027年3月1日からは、TOPIX500かどうかではなく銘柄ごとの流動性に応じて呼値が決まる制度に変わります(東京証券取引所「現物市場の更なる機能強化に向けた売買制度の見直しに係る業務規程等の一部改正について(概要)」、2026年8月6日公表)。
手順を1段ずつ追う
累計の大小が入れ替わる値段を探す:売りの累計は1,201円で900株、1,202円で1,500株。買いの累計は1,201円で1,500株、1,202円で1,000株。1,201円では買いが多く、1,202円では売りが多いので、候補は1,201円か1,202円
1,202円で条件①②を当てる:成行(売り300株・買い400株)と、1,202円より有利な指値(1,199〜1,201円の売り計600株、1,203・1,204円の買い計300株)は全部約定させる。ここまでで売り900株・買い700株
条件③で数をそろえる:1,202円の買い300株を全部約定させると買いは計1,000株。売りは1,202円の600株のうち100株を足して計1,000株。買いが全部約定したので条件③を満たす
始値は1,202円、出来高は1,000株。1,202円の売りが500株残り、寄付後の板は売りの一番安い値段が1,202円(500株)、買いの一番高い値段が1,201円(500株)から始まる
1,201円ではなぜ成立しないのか。1,201円で決めるなら、成行の買い400株と、1,201円より高い買い600株(1,202〜1,204円)の計1,000株を全部約定させる必要があります(条件①②)。ところが1,201円以下の売りは成行を含めても900株しかなく、100株が取り残されて条件②を満たせません。1,203円も、1,203円より安い売りが成行を含めて1,500株あるのに、1,203円以上の買いは700株しかなく、成立しません。
1,202円は前日終値から2円高く、この値段帯の更新値幅(30円)の範囲内なので、9:00にそのまま始値が付きます。範囲を超える場合は、後で説明する特別気配になります。
1,202円の売り600株のうち、誰の100株が約定するか
寄付前に出された注文には時間優先の原則が使われず、すべて同時に出したもの(同時注文)とみなされます。そのため、条件③で一部だけ約定する値段(この例では1,202円の売り)は、注文ごとではなく証券会社ごとに配られます。値段ごとに証券会社ごとの注文を合計し、数量の多い証券会社から順に1単元(売買単位)ずつ割り当てます。数量が同じなら、最初の注文が早かった証券会社からです(東京証券取引所『東証公式株式サポーター 株式取引編[第8版]』 Q.15〜Q.17)。
証券会社に割り当てられた株を、どの顧客の注文に回すかは各証券会社のルールで決まります。
板寄せが行われる場面——寄付・引けのほかにも
板寄せが使われるのは、注文が一度に集まる場面と、値段が大きく飛びそうで即座には約定させない場面です(日本取引所グループ「売買成立の方法」、東京証券取引所『東証公式株式サポーター 株式取引編[第8版]』 Q.11)。時刻は2024年11月5日の取引時間延伸後のもので、2026年10月時点の東証のルールです(日本取引所グループ「売買立会時(立会時間)」)。
場面 | 時刻 | 板寄せで決まるもの・注意点 |
|---|---|---|
前場の寄付 | 9:00 | 始値。8:00からの注文はすべて同時注文 |
前引け | 11:30 | 前場の終値 |
後場の寄付 | 12:30 | 後場の始値。12:05から受付、前場の注文も含めて同時注文 |
大引け | 15:30 | 終値(クロージング・オークション)。15:25〜15:30は受付のみ |
特別気配・連続約定気配の表示中 | 取引時間中 | 気配の近くに反対の注文が来たときの値段 |
売買停止からの再開 | 発表の確認から15分後 | 再開後の最初の値段。再開までの注文は同時注文 |
新規上場の初値 | 上場日(付かなければ翌日以降) | 初値。付くまで成行は出せない。気配の動かし方は銘柄ごとに東証が公表 |
新規上場銘柄(他の取引所に上場していない銘柄)の初値は、決まるまで制限値幅を使わず、公開価格の2.3倍から0.75倍の範囲で気配を動かします(東京証券取引所『東証公式株式サポーター 株式取引編[第8版]』 Q.29)。気配を動かす幅と間隔は銘柄ごとに東証が知らせます。2025年12月25日に上場したリブ・コンサルティングでは、上方向が50円(公開価格1,000円の5%)ずつ10分ごと、下方向が通常の更新値幅で3分ごとでした。初値が付くまでは成行注文を出せず、上場日に付かなければ翌日以降も同じです(東京証券取引所「新規上場日の初値決定前の気配運用について:(株)リブ・コンサルティング」、2025年12月24日公表)。
売買停止は、東証が必要と認めた時から、会社などの発表を東証が確認して15分たつまで続くのが原則で、東証が必要と認めれば延長されます(東京証券取引所「業務規程施行規則の一部改正新旧対照表」、2011年5月9日施行で30分から15分に短縮。同サポーターQ.30)。停止が発表より後に始まれば、止まっている時間は15分より短くなります。日本取引所グループ「売買停止情報」(2026年10月6日閲覧)には、9:05に止まり9:10に終わった例(2026年8月28日)もあります。
大引けの板寄せ(クロージング・オークション)は優先順位が3段階
2024年11月5日から、15:25でザラバを終え、15:30までの5分間(プレ・クロージング)は注文を受け付けるだけにして、15:30に板寄せで終値を決めています(日本取引所グループ「現物市場の機能強化に向けた取組み(取引時間の延伸等)」)。同じ値段の注文は次の順に約定します(日本取引所グループ「売買成立の方法」)。
後場の始値が決まるまでに受け付けた注文(同時注文)
後場の始値が決まった後、ザラバ中に受け付けた注文(時間優先)
引けで執行する条件付きの注文(引成・引指)と不成注文、プレ・クロージング中に受け付けた注文(1とは別の同時注文)
つまり、引指やプレ・クロージングで出した指値は、同じ値段に早くから並んでいる指値より後回しです。成行(引成を含む)は条件①で全部約定させるので順番の影響を受けませんが、終値ちょうどの指値は約定しないことがあります。
また、大引けで約定できる値幅はザラバの最終値段の更新値幅の2倍までです。その範囲で条件を満たせなくても、範囲の上限(下限)の値段に買いと売りの累計がそれぞれ1単位以上あれば、その値段で発注時刻の順に約定させます(特別約定)。それも満たさなければ、板寄せをせずに取引を終えます(東京証券取引所『東証公式株式サポーター 株式取引編[第8版]』 Q.18・Q.28)。
2027年10月12日(予定)からは、大引けの板寄せの時刻を15時29分30秒〜15時30分の間で毎営業日ランダムに決める「ランダムクローズ」が始まります(東京証券取引所「現物市場の更なる機能強化に向けた売買制度の見直しに係る業務規程等の一部改正について(概要)」、2026年8月6日公表)。大引けの仕組みやランダムクローズで変わること、終値が何に使われるかはこちらで説明しています。

株の大引けとは|15時30分に終値が決まる仕組み
大引けは後場の最後の売買で、東証は15時30分。15時25分から5分間注文を集め、板寄せで終値を決める。大引けには売買代金の13〜17%が集まり、終値は指数・投信・翌日のストップ高の基準に。2027年10月12日(予定)からランダムクローズ。
寄付や引けだけで約定させる注文(寄成・引成・不成など)の使い分けは、こちらにまとめています。

逆指値・寄成・寄指・引指・不成注文とは|9つの注文方法と東証の取引時間を図解
株式投資の注文方法を網羅的に解説。指値・成行の基本から、東証の執行条件(寄成・寄指・引成・引指・不成・IOC)、証券会社のサービスである逆指値まで、東証の取引時間とあわせて使い分けを整理します。
寄らないとき——特別気配・連続約定気配と更新値幅
板寄せは、成行を全部約定させられないと値段を付けません。値段が直前の値段から大きく離れる場合も、すぐには約定させません。このとき表示されるのが特別気配です(日本取引所グループ「売買成立の方法」、2026年10月時点)。
更新値幅を超えると特別気配になる
東証は、直前の値段(寄付なら前日の終値など)から一定の幅の中でだけ、即座に次の売買を成立させます。この幅が気配の更新値幅です。これを超える値段で成立しそうなとき、または売りか買いが足りず成立しないときは、更新値幅だけ離れた値段に「買(売)特別気配」を表示して反対の注文を呼び込みます。反対の注文が来なければ、3分間隔で更新値幅ずつ気配を動かし、売買が成立する値段に近づけます(日本取引所グループ「売買成立の方法」、東京証券取引所『東証公式株式サポーター 株式取引編[第8版]』 Q.19・Q.21)。
株価の水準 | 更新値幅(上下) | 制限値幅(上下) |
|---|---|---|
200円以上500円未満 | 8円 | 80円 |
500円以上700円未満 | 10円 | 100円 |
700円以上1,000円未満 | 15円 | 150円 |
1,000円以上1,500円未満 | 30円 | 300円 |
1,500円以上2,000円未満 | 40円 | 400円 |
2,000円以上3,000円未満 | 50円 | 500円 |
3,000円以上5,000円未満 | 70円 | 700円 |
5,000円以上7,000円未満 | 100円 | 1,000円 |
全ての値段帯は日本取引所グループ「特別気配の更新値幅」と「制限値幅」にあります。前の計算例と同じ前日終値1,200円の銘柄に、好材料で成行の買いが殺到した朝を考えます。
この例では、成行の買い20,000株に対し、ストップ高の1,500円以下の売りは全部で9,000株しかありません。どこまで気配を上げても成行の買いを全部約定させられないので、9:27にストップ高の1,500円に達した後も値段が付かず、ストップ高気配のままになります。好材料が出た翌朝に、証券会社の画面で「特」の付いた気配が切り上がっていくのはこの状態です(気配欄の「特○○○円」は特別気配の表示。東京証券取引所『東証公式株式サポーター 株式取引編[第8版]』 Q.19・Q.35)。
買いが指値なら、気配はその値段で止まる
特別気配は、それを出させている注文の値段を超えては動きません。一番高い買いが995円の指値なら、買特別気配は995円まで上がったところで止まります(東京証券取引所『東証公式株式サポーター 株式取引編[第8版]』 Q.22)。ストップ高の手前で気配が止まっているときは、一番上の買いが指値で、それより高くは買わない注文だということです。
連続約定気配——小刻みな値上がりが続いたとき
ザラバ中に、更新値幅の範囲内の約定が立て続けに起き、基点の値段から更新値幅の2倍を超えて値段が動きそうなときは、2倍の値段まで約定させたところで止め、連続約定気配を1分間表示します。表示中の売買は板寄せで行います(日本取引所グループ「売買成立の方法」)。1つの大口注文が板を次々に食っていく場面や、ニュースを受けて1分以内に買い上がり(売り下がり)が続く場面で出ます。
決算発表の翌朝に気配が大きく動くときは、まず決算短信の1ページ目で何が起きたかを確かめましょう。

決算短信とは|1ページ目の読み方と投資判断に使う5つの数字
決算短信の定義・有価証券報告書との違い・サマリー情報の読み方を初心者向けに解説。投資家がまず見るべき売上高・営業利益・EPS・配当・業績予想の5項目と、TDnetなどでの探し方まで。
ストップ高・安のまま引けたら——ストップ配分
気配がストップ高(安)まで行っても成行の注文が残り、通常の板寄せの条件を満たせないまま大引けを迎えたときは、ストップ配分(比例配分とも呼ばれます)で終値を決めます。2026年10月時点の東証のルールは次のとおりです(日本取引所グループ「売買成立の方法」、東京証券取引所『東証公式株式サポーター 株式取引編[第8版]』 Q.25・Q.26)。
成行注文を、制限値段(ストップ高・安の値段)の指値注文とみなす
ストップ高なら制限値段に売りが1単位以上、ストップ安なら買いが1単位以上あれば売買を成立させる
制限値段の注文はすべて同時注文とし、証券会社ごとに合計して、数量の多い会社から1単位ずつ配る
使うのは大引けだけ。前引けや取引時間中にストップ高(安)の値段で約定するときや、大引けでも通常の板寄せの条件を満たすときは使わない
同じ単位ずつ順番に配るので、注文の多い証券会社ほど、注文に対して配られる割合は小さくなります(例ではD社が全量、A社は3割)。東証は1単位でも配れればストップ配分を成立させるため、配分を受けられない証券会社が出ることもあり、各社が顧客にどう配るかは社内のルール次第です(日本取引所グループ「売買成立の方法」)。ストップ高の銘柄に成行の買いを出しても、約定する保証はありません。証券会社による注文の扱いの違いは注文方法の記事でも触れています。
ストップ高(安)の張り付きが2営業日続くと、値幅が広がる
東証は、内国株が2営業日続けて次のどちらかに当たると、翌営業日から制限値幅を広げます(日本取引所グループ「制限値幅」、2026年10月6日閲覧)。
ストップ高(安)になり、ストップ配分も行われず売買高が0株
売買高0株のまま大引けを迎え、大引けだけストップ高(安)で売買が成立し、ストップ高(安)に買い(売り)の注文が残っている
値段が付かない日が続くと、売りと買いが釣り合う値段に届くまで、制限値幅のせいで何日もかかることがあるためです(東京証券取引所『東証公式株式サポーター 株式取引編[第8版]』 Q.32)。拡大する銘柄はJPXのマーケットニュースで知らされます。
広がるのは張り付いた側だけ(ストップ高なら上限、ストップ安なら下限)で、幅は通常の4倍です。2026年9月24日の告知では、基準値段700円の銘柄の上限を通常の150円から600円に広げてストップ高を1,300円とし、下限は通常どおり150円でした。ストップ高(安)以外の値段で売買が成立すれば、その翌営業日から通常の値幅に戻ります(東京証券取引所「制限値幅の拡大:1銘柄」、2026年9月24日)。
寄付前・引け前の気配の見方と、注文の訂正・取消
寄付前と、15:25〜15:30のプレ・クロージング中は売買が成立しないので、証券会社の画面には寄前気配(寄付前の気配)が表示されます。東証は寄前気配を、前場は8:00から、後場は12:05から配信し、プレ・クロージング中も同じ形で配信しています(東京証券取引所『東証公式株式サポーター 株式取引編[第8版]』 Q.36)。
中心の2つの値段は「売りと買いの累計数量が逆転する値段」:始値が付く可能性が高い値段の目安。そこに出る株数はその値段までの累計(買いはその値段以上、売りはその値段以下の合計)で、ザラバ中の板のように、その値段だけの注文数ではない
その外側の上下9本は、各値段の注文数
成行の注文数も表示される(板寄せのときだけ)
「特」の付いた気配は特別気配:売り側なら売特別気配、買い側なら買特別気配(同Q.19・Q.35)
表示の形は証券会社や情報端末によって異なります(東京証券取引所『東証公式株式サポーター 株式取引編[第8版]』 Q.33)。寄前気配は注文が入るたびに大きく変わり、高く始まりそうだと見て成行の売りを出したら、その後の注文で安く寄り付くこともあります(同Q.36)。気配は「今ある注文で計算するとこうなる」という途中経過で、始値の予想ではありません。
2027年10月12日(予定)のランダムクローズの導入に合わせて、東証は前場・後場の寄付前の5分間とプレ・クロージング中に、板寄せで付きそうな値段(予想対当値段)と数量(予想対当数量)を配信する予定です(東京証券取引所「現物市場の更なる機能強化に向けた売買制度の見直しについて」、2026年5月22日)。
寄付・引けの前に注文を直すときの注意
寄付までは訂正・取消ができる:寄付前は東証が注文を受け付けるだけで売買は成立しない(東京証券取引所『東証公式株式サポーター 株式取引編[第8版]』 Q.11)。出した注文は寄付まで約定しないので、証券会社の画面から値段・株数の訂正や取消ができる(受付時間は各社で異なる)
プレ・クロージング中も新規・訂正・取消ができる。ただし執行条件(引成・不成など)は変えられない(日本取引所グループ「売買成立の方法」)
15:30直前の1分間の取消・値段変更は重点監視の対象:東証と日本取引所自主規制法人は、予想される約定値段に影響する注文の取消・値段変更を重点的に監視し、証券会社に発注の意図を照会するとしている(東京証券取引所・日本取引所自主規制法人「クロージング・オークションにおける注文取消し等の重点監視に関するガイドライン」、2023年11月24日)。2027年10月12日(予定)からは、対象が「15時29分から板寄せまでの最大1分間」に変わる(同ガイドライン(2027年10月12日適用))
約定させるつもりのない注文で板を厚く見せるのは「見せ玉」:取引を誘い込む目的で、売買が盛んだと誤解させる一連の売買や注文を出すことは、金融商品取引法159条2項1号が相場操縦として禁じている(e-Gov法令検索「金融商品取引法」第159条)。楽天証券は見せ玉の例に「寄り前に注文状況等を確認するために約定意図のない発注を行うこと」も挙げている(楽天証券「不公正取引について」、2026年10月6日閲覧)
板寄せのよくある疑問
成行注文は、板寄せで必ず約定する?
値段が付けば、成行は必ず全部約定します(条件①)。ただし売りか買いが足りなければ値段そのものが付かず、特別気配のまま待つことになります。ストップ高(安)のまま大引けを迎えればストップ配分で一部だけ、反対の注文が1単位も無ければ1株も約定しません。
高い指値を出すと、その値段で買わされる?
いいえ。板寄せでは約定した注文がすべて同じ値段になります。計算例の1,204円の買い指値は、始値の1,202円で約定しました。高めの指値は約定しやすくなるだけで、払う値段を上げるわけではありません。ただし始値がその指値まで上がれば、その値段で約定します。
寄付前に早く注文を出せば優先される?
東証では優先されません。寄付前の注文はすべて同時注文で、始値ちょうどの指値が一部だけ約定するときは証券会社単位で配られます(東京証券取引所『東証公式株式サポーター 株式取引編[第8版]』 Q.15)。そこから先、社内でどの顧客に回すかは証券会社のルールです。
先物・オプションの板寄せも同じルール?
違います。大阪取引所の先物・オプションの板寄せは、「取引数量が最大で、取引されない数量が最小」になる値段を別の条件で決め、成行にも受付時刻の順番を付け、約定しなかった成行は失効させます。板寄せの時刻を過ぎると、約定の有無にかかわらずザラバに移ります(日本取引所グループ「取引方法(先物・オプション)」、2026年10月6日閲覧)。株式のように特別気配を出して反対の注文を待つ仕組みとは別物です。








