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スチュワードシップ・コードとは|8原則と2025年改訂、受入れ354機関——同じ議案でも運用会社で賛否が割れる

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スチュワードシップ・コードは、年金基金や運用会社などの機関投資家に、投資先企業との「対話」と「議決権の行使」を通じて企業価値を高めるよう求める行動原則です。金融庁が2014年2月に定め、2017年・2020年・2025年6月に改訂されました。原則は8つで、法的な拘束力はなく、受け入れるかどうかは各機関の任意です。

受入れを表明した機関投資家は354(2026年6月30日時点)です。受け入れた機関は、原則を実施するか、実施しない理由を説明する「コンプライ・オア・エクスプレイン」で対応します。上場企業に向けたコーポレートガバナンス・コードとは「車の両輪」の関係にあります。

個人投資家にも関係があります。NISAの投資信託や年金を通じて持っている日本株の議決権は、運用会社が使っています。賛否は運用会社が議案ごとに公表していて、2026年6月の三井住友フィナンシャルグループの株主総会では、社長の選任に三菱UFJアセットマネジメントは反対、野村アセットマネジメントは賛成と判断が分かれました(賛成率は76.06%)。

この記事では、8原則の中身、2025年の第三次改訂で変わった点、大株主欄に並ぶ「信託口」の意味、自分の投信の議決権がどう使われたかを調べる方法までを、金融庁の原本と各社の開示資料で確かめながら解説します。

スチュワードシップ・コードとは——機関投資家に「対話」と「議決権行使」を求める8原則

正式名称は「『責任ある機関投資家』の諸原則《日本版スチュワードシップ・コード》〜投資と対話を通じて企業の持続的成長を促すために〜」です(金融庁「スチュワードシップ・コード(第三次改訂版)」)。中心にある「スチュワードシップ責任」は、次のように定義されています。

「機関投資家が、投資先の日本企業やその事業環境等に関する深い理解のほか運用戦略に応じたサステナビリティの考慮に基づく建設的な『目的を持った対話』(エンゲージメント)などを通じて、当該企業の企業価値の向上や持続的成長を促すことにより、顧客・受益者の中長期的な投資リターンの拡大を図る責任」(スチュワードシップ・コード p.1)

他人のお金で株を持つ機関投資家は、株主として企業に働きかけ、お金を預けた人(受益者)のリターンを増やす責任がある、という考え方です。コードは、機関投資家が経営の細部にまで介入することを意図するものではない、とも書いています(同 p.1)。

steward(スチュワード)は、主人の財産を預かって管理する執事や管理人を指す英語です。英国のコード(2020年版)は、スチュワードシップを「顧客と受益者のために長期的な価値を生むよう、資本を責任をもって配分・管理・監督すること」と定義しています(英国財務報告評議会(FRC)「The UK Stewardship Code 2020」p.4)。

コードの発祥は英国です。金融危機のあと、金融機関のガバナンスを見直した報告書(2009年のウォーカー・レビュー)が機関投資家の行動規範を提言し、FRCが2010年7月に初版を公表しました(FRC「Implementation of the UK Stewardship Code」2010年7月 p.1)。日本では2014年に金融庁が「日本版」を定めました。

  • 策定:2014年2月26日、金融庁の有識者検討会が策定

  • 改訂:2017年5月、2020年3月、2025年6月(第三次改訂)

  • 対象:日本の上場株式に投資する機関投資家。他の資産への投資にも適用できる(スチュワードシップ・コード p.3)

  • 拘束力:法令ではない。受け入れるかどうかは任意(同 p.3)

  • 手法:プリンシプルベース(原則主義)とコンプライ・オア・エクスプレイン(同 p.3)

  • 受入れ:354機関(2014年の策定以降、どれかの版で一度でも受入れを表明した数。2026年6月30日時点)。最新の第三次改訂版まで受け入れているのは295機関(金融庁「スチュワードシップ・コードの受入れを表明した機関投資家のリスト」)

対象は運用機関・アセットオーナー・サービス提供者の3種類

  • 運用機関:運用会社・信託銀行など、預かったお金で実際に株を選ぶ機関。日々の対話で投資先の企業価値の向上に寄与することが期待される

  • アセットオーナー:年金基金・保険会社など、資金の出し手。運用機関を選ぶときに求めることを示し、その活動を監視する(指針1-3〜1-5)

  • 機関投資家向けサービス提供者:議決権行使助言会社や年金運用コンサルタント。原則8が適用される(スチュワードシップ・コード p.2)

出典:金融庁「責任ある機関投資家」の諸原則《日本版スチュワードシップ・コード》(第三次改訂版)よりKabuGraph作成

コーポレートガバナンス・コードとの違い——投資家側と企業側の「車の両輪」

コードの前文は、上場企業の取締役会が負う責務(コーポレートガバナンス・コードに示されたもの)と機関投資家の責務を「いわば『車の両輪』」と表現しています(スチュワードシップ・コード p.1)。違いを観点ごとに並べます。

出典:金融庁「『責任ある機関投資家』の諸原則《日本版スチュワードシップ・コード》(第三次改訂版)」p.1、東京証券取引所「コーポレートガバナンス・コード」(2026年7月21日)p.1よりKabuGraph作成
  • 誰に向けた原則か

    • スチュワードシップ・コード:機関投資家(運用会社・年金基金・保険会社など)

    • コーポレートガバナンス・コード:上場企業

  • 定めた主体

    • スチュワードシップ・コード:金融庁

    • コーポレートガバナンス・コード:東京証券取引所

  • 従う義務

  • どこで確かめるか

    • スチュワードシップ・コード:各機関の公表ページ(金融庁の受入れリストにURLがある)

    • コーポレートガバナンス・コード:各社のコーポレート・ガバナンス報告書

両コードの附属文書として、金融庁は「投資家と企業の対話ガイドライン」(2018年策定、2021年改訂)も定めています。2026年のCGコード改訂に合わせた改訂は行わないとされました(金融庁・東証「改訂案に対するご意見の概要及びそれに対する考え方」2026年7月21日 p.449)。

CGコードは2026年7月21日に改訂され、補充原則が廃止されて、実施か説明かを求める原則は基本原則4つ・原則26個に絞られました。企業側のコードの中身と、コーポレート・ガバナンス報告書での確かめ方は次の記事で扱います。

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コーポレートガバナンス・コードは東証が定める上場企業の行動原則で、実施しない原則は理由を説明すれば足ります。2026年7月の改訂で補充原則を廃止し83原則→30原則に。市場区分ごとの適用、CG報告書の読み方、独立社外取締役3分の1以上の会社が6.4%→98.8%に増えた変化まで。

8つの原則の中身——方針・利益相反・対話・議決権・報告

原則は8つで、それぞれに具体的な「指針」が付いています。全体像を図にまとめると次のとおりです。各原則の要旨は図の下に並べます(スチュワードシップ・コード p.5)。

出典:金融庁「『責任ある機関投資家』の諸原則《日本版スチュワードシップ・コード》(第三次改訂版、2025年6月26日)」p.5よりKabuGraph作成。各原則の説明は要約
  • 原則1 方針:スチュワードシップ責任を果たすための明確な方針を定め、公表する

  • 原則2 利益相反:顧客・受益者の利益を守るため、利益相反の管理について明確な方針を定め、公表する

  • 原則3 状況の把握:投資先企業のガバナンス・戦略・業績・資本構造・リスクなどを的確に把握する

  • 原則4 対話:建設的な「目的を持った対話」で企業と認識を共有し、問題の改善に努める

  • 原則5 議決権:議決権の行使と結果の公表について明確な方針を持ち、形式的な判断基準にとどめない

  • 原則6 報告:議決権の行使を含め、どう責任を果たしたかを顧客・受益者に定期的に報告する

  • 原則7 実力:企業と事業環境への深い理解に基づき、対話や判断を適切に行う実力を備える

  • 原則8 サービス提供者:議決権行使助言会社などは、適切なサービスでインベストメント・チェーン全体の機能向上に努める

個人投資家にとって特に大事なのは、運用会社の行動を外から見えるようにする原則2・5・6です。

議決権の賛否は「企業ごと・議案ごと」に公表する

指針5-3は、議決権行使の結果を議案の種類ごとに集計して公表するだけでなく、個別の投資先企業・議案ごとに公表すべきだとしています。個別の公表が適切でないと考える場合は、その理由を積極的に説明します。さらに、利益相反が疑われる議案や、方針に照らして説明が必要な判断をした議案は、賛否を問わず理由を公表すべきとしています(スチュワードシップ・コード p.12)。

議決権行使助言会社のサービスを使う場合も、助言に機械的に頼らず自らの責任で判断し、助言会社の名前と使い方を公表するよう求めています(指針5-4、同 p.13)。

インデックス投信ほど対話が大事——指針4-4

指針4-4は、パッシブ運用は「投資先企業の株式を売却する選択肢が限られ」るので、より積極的に中長期的視点に立った対話や議決権行使に取り組むべきだとしています(同 p.10)。TOPIXなどに連動するインデックス投信は、気に入らない企業の株を売って離れることができません。そのぶん、株主として声を上げる役割が大きくなります。

系列の金融グループへの議決権——利益相反の管理

大手の運用会社には銀行・証券グループに属する会社が多く、親会社やグループ会社の株主総会でも議決権を使います。原則2は利益相反の管理方針を求め、指針7-2は機関投資家の経営陣が「系列の金融グループ内部の論理」などに基づいて構成されるべきではないとしています(同 p.8、p.15)。

例えば三菱UFJアセットマネジメントは、親会社の三菱UFJフィナンシャル・グループとそのグループ会社への議決権を、第三者(Institutional Shareholder Services)のガイドラインに基づく判断に従って使うと開示しています(三菱UFJアセットマネジメント「議決権行使結果の概況(2026年4月〜6月)」p.3)。

策定と3回の改訂——2014年から2025年の第三次改訂まで

コードは2014年の策定から3回改訂され、2025年6月の第三次改訂が最新です。経緯を年表で整理します。

同じ時期には、経済産業省の伊藤レポート(2014年8月)が企業と投資家の対話を提言し、東京証券取引所のコーポレートガバナンス・コード(2015年6月)も始まりました。

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伊藤レポートは2014年8月に経済産業省が公表し、最低限8%を上回るROEを求めた報告書です。2.0・人材版・3.0の違い、CGコード・東証要請との関係、東証のROEが公表時7.6%→8.7%、PBRが1.2倍→1.8倍になった推移とPERの寄与まで。

2025年の第三次改訂の3つのポイント

第三次改訂は、金融庁と東証のフォローアップ会議が2024年6月に出した「アクション・プログラム2024」の提言を受けたもので、2024年10月から有識者会議を3回開いてまとめられました(第三次改訂に当たって p.1)。

  • 実質株主の透明性:注記にあった「保有株数を企業に説明することが望ましい場合もある」を指針に格上げした。投資先企業から求められたら、自らがどの程度株を持っているかを説明し、その対応方針をあらかじめ公表する(指針4-2。金融庁「スチュワードシップ・コードの改訂案について」p.3)

  • 協働エンゲージメントの促進:他の機関投資家と一緒に企業と対話することを、「有益な場合もあり得る」から「重要な選択肢である」に書き換えた(指針4-6。同 p.4)

  • スリム化/プリンシプル化:実務に浸透した箇所などを削除・統合・簡略化した。「おおむね3年ごとに見直す」という前文の記載も削った(第三次改訂に当たって p.2)

大株主欄の「信託口」は誰か——実質株主の透明性

有価証券報告書の「大株主の状況」を見ると、多くの上場企業で上位に「日本マスタートラスト信託銀行(信託口)」「日本カストディ銀行(信託口)」が並びます。これは株主名簿上の名義(名義株主)で、実際に議決権の使い方を指図しているのは、その信託財産を運用する運用会社など(実質株主)です。

三井住友フィナンシャルグループの2026年3月末の大株主は、1位が日本マスタートラスト信託銀行(信託口)で16.15%、2位が日本カストディ銀行(信託口)で5.79%でした。一方、ブラックロック・ジャパンほか12名が7.54%を持つという大量保有の報告(2024年1月末時点)については、「当社として当事業年度末日における実質所有株式数の確認ができない」として大株主欄に含めていません(三井住友フィナンシャルグループ 2026年3月期 有価証券報告書 p.110)。

出典:三井住友フィナンシャルグループ 2026年3月期 有価証券報告書 p.110、金融庁「スチュワードシップ・コード(第三次改訂版)」指針4-2、法務省「会社法制(株式・株主総会等関係)の見直しに関する中間試案」p.13よりKabuGraph作成

企業から見ると、対話の相手が誰で、どれだけ株を持っているかが分からないと、建設的な対話がしにくくなります。第三次改訂の指針4-2は、この問題に投資家側から応えるものです。

金融庁の受入れリストで数えると、第三次改訂版を受け入れた信託銀行・運用会社・保険会社のうち約7割の145機関が、企業から求められた場合の対応方針を公表しています(金融庁の受入れリスト(Excel、2026年6月30日時点)よりKabuGraph集計)。

制度の面では、2026年3月の会社法改正の中間試案に「実質株主確認制度」が入りました。上場会社が信託銀行などの名義株主に対し、議決権の行使を指図する者の名称や株数の情報を求められる仕組みです(法務省「会社法制(株式・株主総会等関係)の見直しに関する中間試案」p.13)。法制審議会の部会で審議中で、まだ法案にはなっていません。

投信・年金で持つ株の議決権は運用会社が使っている

投資信託が持つ株の議決権は、投資家ではなく運用会社(投資信託委託会社)が指図して使います(投資信託及び投資法人に関する法律 第10条(e-Gov法令検索))。NISAでインデックス投信を積み立てている人は、間接的に多くの上場企業の株主ですが、その議決権は運用会社の判断で使われています。

日本取引所グループの調査では、投資信託の株式保有比率は2025年度に11.3%(137兆3,033億円)と過去最高でした(日本取引所グループ「2025年度株式分布状況調査」p.2〜3)。

ただし、この区分は投資信託の信託財産(信託銀行名義)をまとめて数えたもので(同 調査要綱)、日本銀行が買い入れたETF(上場投資信託)の分も含まれます。日銀が持つETFの時価は2026年3月末で94兆1,871億円で(日本銀行「第141回事業年度(令和7年度)決算等について」)、単純に比べると投資信託の保有額の7割近くにあたります。ETFが持つ株の議決権も、同じ投信法第10条によりETFの運用会社が指図します。

  • 公的年金(GPIF):議決権を直接は使わず、運用受託機関の判断に委ねる。受託機関から行使の方針や状況の報告を受け、評価に反映している(GPIF「株主議決権の行使はどのような考え方で行っていますか」)

  • 企業年金:企業年金スチュワードシップ推進協議会が2025年3月にコードの受入れを表明し、2026年5月末時点で285の企業年金が正会員として参加している(金融庁の受入れリスト)

  • iDeCo・企業型確定拠出年金:選んだ商品が投資信託なら、その運用会社が議決権を使う

運用会社ごとの反対率——三菱UFJアセットは14.0%、野村アセットは8.1%

大手の運用会社は、議決権行使の結果を四半期ごとに公表しています。3月期決算企業の定時総会が集中する2026年4〜6月について、2社の会社提案への反対比率を並べました。

会社提案への反対比率(2026年4〜6月の株主総会)

出典:三菱UFJアセットマネジメント「議決権行使結果の概況(2026年4月〜6月)」p.2、野村アセットマネジメント「2026年4月〜6月の株主総会における議決権行使結果について」p.1よりKabuGraph作成。反対比率=反対の議案数÷行使した議案数(国内株式・会社提案)。役員報酬は退任役員の退職慰労金を除く。野村アセットマネジメントは自社基準で行使した分
  • 対象は、三菱UFJアセットマネジメントが1,313社・13,137議案、野村アセットマネジメントが1,374社・13,668議案(三菱UFJアセットマネジメント p.2〜3、野村アセットマネジメント p.1)

  • 三菱UFJアセットは取締役の選任への反対が15.5%と多く、前年同期の14.3%から上がった。社外取締役の独立性を判断する在任期間を、社外監査役などとしての任期も通算して数えるよう厳しくしたため(三菱UFJアセットマネジメント p.3)

  • 野村アセットは役員報酬への反対が21.3%と多い。株式報酬の希薄化や、株を売却できるようになるまでの期間などに基準を設けている(野村アセットマネジメント p.2)

  • 買収防衛策の導入・更新には両社ともほぼ全て反対(三菱UFJアセット42議案中40議案、野村アセット43議案すべて)

  • 株主提案に賛成したのは1割ほど(三菱UFJアセット270議案中31議案、野村アセット290議案中30議案)

同じ議案でも賛否が分かれる——三井住友FGの社長選任

2026年6月26日の三井住友フィナンシャルグループの定時株主総会では、取締役13人の選任議案のうち、代表執行役の2人について2社の判断が分かれました。

候補者

賛成率

三菱UFJアセット

野村アセット

髙島誠
取締役会長

78.53%

賛成

賛成

中島達
執行役社長(代表執行役)

76.06%

反対

賛成

工藤禎子
執行役副社長(代表執行役)

95.84%

反対

賛成

出典:三井住友フィナンシャルグループ 臨時報告書(2026年7月1日提出)p.3、第24期定時株主総会招集ご通知 p.9、三菱UFJアセットマネジメント・野村アセットマネジメントの議決権行使結果(個別開示、2026年4月〜6月)よりKabuGraph作成。賛成率は臨時報告書の賛成割合

分かれた理由は、政策保有株式(取引先などの株)をどこまで認めるかという、議決権行使基準の違いです。

  • 三菱UFJアセットマネジメント:政策保有株式が純資産の20%以上(みなし保有を含む)の企業では、原則として代表取締役の再任に反対する。おおむね3年以内に20%未満にできると確信できるなどの条件を満たせば例外的に賛成するが、三井住友FGについては「早期に純資産比20%未満を達成する実現性が確信できない」として基準どおり反対した(議決権行使結果の概況 p.5、個別開示)

  • 野村アセットマネジメント:金融機関の場合、政策保有株式が純資産の40%を上回ると会長・社長等の再任に原則反対する(日本企業に対する議決権行使基準 p.6)

  • 三井住友FG:政策保有株式の時価は連結純資産の27.5%(2026年3月末)。2026〜2028年度の中期経営計画の期間中に20%未満にする目処をつける方針(第24期定時株主総会招集ご通知 p.27)

27.5%は野村アセットの基準(40%)には収まり、三菱UFJアセットの基準(20%)は上回っていた、ということです(比率の測り方は、運用会社の基準と会社の開示で少しずつ異なる)。同じ指数に連動する投信でも、運用会社が違えば、同じ株の議決権が反対にも賛成にも使われます。

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三
8316銀行

三井住友フィナンシャルグループ

三井住友フィナンシャルグループは、三井住友銀行を中核とする国内3大金融グループの一角。個人・法人向けの預金・貸出・為替を土台に、証券・カード・消費者金融・リース・シンクタンクをグループ内に揃えた総合金融グループを形づくる。事業はホールセール…

政策保有株式の中身と、売却がROE・株価にどう効くかは次の記事で解説しています。

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株式の持ち合いは、企業同士が互いの株を持って安定株主になる慣行です。都銀・地銀等の保有比率は1990年度15.7%から2025年度1.7%へ(JPX調査)。政策保有株式との違い、解消の売りが株価に与える影響、有報での調べ方をトヨタ・大林組の実例で解説します。

自分の投信の議決権がどう使われたかを調べる4ステップ

自分の投信や年金の議決権がどう使われたかは、公開資料だけで確かめられます。三井住友FGの例で手順を示します。

出典:三井住友フィナンシャルグループ 臨時報告書(2026年7月1日提出)、三菱UFJアセットマネジメント・野村アセットマネジメントの議決権行使結果(2026年4月〜6月)、金融庁「スチュワードシップ・コードの受入れを表明した機関投資家のリスト」よりKabuGraph作成
  1. 運用会社を確かめる:投資信託の目論見書や運用報告書の「委託会社」欄を見ます。eMAXIS Slimシリーズなら三菱UFJアセットマネジメントです

  2. 運用会社の「議決権行使結果」のページを開く:「スチュワードシップ」「責任投資」などのページにあります(例:三菱UFJアセットマネジメント、野村アセットマネジメント)。各機関の公表ページのURLは、金融庁の受入れリストのExcelにもまとめられています

  3. 個別開示のExcelを銘柄コードで検索する:議案ごとの賛否と理由が並びます。三井住友FG(8316)の議案3-2(中島達氏)は、三菱UFJアセットが「反対」、野村アセットが「賛成」でした

  4. 会社の臨時報告書で賛成率を見る:株主総会の後に会社が提出する臨時報告書に、議案ごとの賛成・反対の議決権数と賛成割合が載ります。中島達氏は76.06%、髙島誠会長は78.53%、社外取締役の1人は71.68%で、残る10人は95%以上でした(三井住友フィナンシャルグループ 臨時報告書 p.3)

運用会社を比べる4つのチェックポイント

  • 個別開示と理由:企業ごと・議案ごとの賛否と、反対した理由を公表しているか

  • 反対の基準:ROE・政策保有株式・独立社外取締役・買収防衛策などの基準が具体的か。基準は毎年のように改定される(三菱UFJアセットは2026年4月から、平時に導入する買収防衛策に原則反対。議決権行使基準(国内)の見直しについて)

  • 利益相反の管理:親会社やグループ会社の議案をどう判断しているか

  • 対話の報告:スチュワードシップ活動報告で、どの企業と何を話し、何が変わったかを示しているか(原則6・指針7-4)

株を直接持つ投資家が読み取れること

個別株を持つ投資家にとっても、機関投資家の議決権行使は、企業がどこを問題視されているかを知る手がかりになります。

  • 賛成率が低い議案に注目する:臨時報告書で、経営トップや特定の取締役だけ賛成率が大きく低ければ、機関投資家が何かを問題にしているサインです。三井住友FGでは社長76.06%・会長78.53%のほか、社外取締役の1人が71.68%で、残る10人は95%以上でした

  • 反対の理由を運用会社の個別開示で読む:政策保有株式、社外取締役の独立性、業績・ROEなど、理由の欄に論点が書かれています

  • 議決権行使基準で先回りする:基準は公開されています。三菱UFJアセットは、TOPIX500の企業について2027年4月の総会からROEの基準を8%に引き上げる予定です(議決権行使基準(国内)の見直しについて p.2)。野村アセットは、直近3期連続でROEが最低水準(原則として5%と業界の下位3分の1の水準の低い方、キャッシュリッチ企業は8%と業界中央値の低い方)を下回る会社の会長・社長等の再任に原則反対します(日本企業に対する議決権行使基準 p.5)

  • 会社の対応を確かめる:反対が多かった会社が、次の招集通知やコーポレート・ガバナンス報告書で、政策保有株式の削減や取締役会の見直しを示しているかを見ます

ROE8%が議決権行使の基準に使われる根拠と、業種ごとの目安は次の記事で扱っています。

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ROEの目安を業種別データで解説。伊藤レポートが示した8%基準の根拠、東証33業種のROE中央値一覧(全業種7.8%、情報・通信11.1%、医薬品−0.9%)、ROEが高い業種・低い業種の構造的理由、高ROEでも注意すべきケースまで網羅します。

まとめ

  • スチュワードシップ・コードは、金融庁が2014年2月に定めた機関投資家の行動原則。対話と議決権行使で企業価値を高め、受益者のリターンを増やす責任を求める。原則は8つで、法的拘束力はなく受入れは任意(コンプライ・オア・エクスプレイン)

  • 受入れは354機関(過去の版を含む。2026年6月30日時点)、最新の第三次改訂版は295機関。企業側のコーポレートガバナンス・コードとは「車の両輪」で、CGコードは2026年7月に改訂された

  • 改訂は2017年(個別開示など)、2020年(原則8・サステナビリティ)、2025年6月の第三次改訂(実質株主の透明性・協働エンゲージメント・スリム化)

  • 大株主欄の「信託口」は名義株主で、議決権を指図するのは運用会社など。企業から見えるようにするため、指針4-2と会社法の実質株主確認制度(中間試案)が動いている

  • 投信・年金で持つ株の議決権は運用会社が使う。2026年4〜6月の会社提案への反対比率は三菱UFJアセット14.0%、野村アセット8.1%で、三井住友FGの社長選任では賛否が分かれた

  • 運用会社の個別開示と会社の臨時報告書を見れば、自分の投信の議決権の使われ方と、機関投資家が企業のどこを問題にしているかが分かる

コラム著者・編集者

K

KabuGraph編集部

KabuGraph編集部は、投資情報の発信と株式分析ツールの開発に携わるチームです。日本株・米国株の事業分析から、投資に役立つ情報をわかりやすくお届けします。

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