逆日歩10倍はいくら?どうなる?|上限は1日で株価の約2%、特別措置・返済請求まで

「逆日歩10倍」とは、日本証券金融(日証金)が株不足の極めて深刻な銘柄で、逆日歩の上限(最高料率)を通常の10倍に引き上げる臨時措置です。100株単位で株価500円以上なら、上限は1日で株価の約2%です。ただし上がるのは上限だけで、2025年以降に10倍がかかった日のうち、上限いっぱいで決まったのは約1割でした。
株価・日数ごとの上限額、実例、その後の特別措置・返済請求と売り方への影響を説明します(2026年10月26日時点)。
この記事の内容(目次)
「逆日歩10倍」とは——日証金が上限を10倍にする臨時措置
逆日歩(正式には品貸料)は、制度信用の売りで日証金の株が足りなくなった銘柄について、日証金の入札(品貸入札)で毎日決まる株の借り賃です。入札には上限があり、これを最高料率と呼びます(日本証券金融「品貸入札、逆日歩、最高料率、応札ランク」)。「10倍」はこの上限にかかる倍率で、逆日歩そのものが10倍になるという意味ではありません。
逆日歩が付く仕組みと計算の基本は、次の記事で解説しています。

逆日歩とは|空売り投資家が負担する「株のレンタル料」の仕組み
逆日歩(品貸料)は制度信用の空売りで株不足になると日証金の入札で決まる追加コスト。公表される品貸料率は品貸日数分込みで、負担は公表値×株数。水曜・連休前に日数が増える仕組み、最高料率と2〜10倍の倍率、一般信用での回避策を解説。
10倍になる条件——「極めて異常な貸株超過」
日証金は、上限を10倍にする臨時措置の条件を次の2つと定めています(日本証券金融「貸借取引貸株超過銘柄等に対する取扱い」別表4・5、2024年11月5日実施の版)。
極めて異常な貸株超過:株式市況の激変や急激な株券の不足で、極めて異常な貸株超過の状態が生じた(またはそのおそれがある)とき
受渡しに支障のおそれ:貸し付ける株の調達が難しくなり、受渡決済に支障が生じるおそれがあるとき
一段手前には、「異常な貸株超過」で上限を4倍にする臨時措置もあります。日証金の用語集は臨時措置を、申込停止を実施してもなお株の調達が極めて困難な場合に上限を4倍・10倍まで引き上げる措置と説明しています(日本証券金融 用語集〈ら行〉「臨時措置」)。権利付最終日の4倍や注意喚起・申込停止の2倍は条件で自動的に決まる倍率ですが、10倍は日証金が銘柄ごとに判断して指定します。10倍の通知に書かれる理由は「貸付株券の調達が極めて困難であること」だけで、日証金は制限措置について個別銘柄の実施理由や期間を公表していないとしています(日本証券金融「貸借取引の利用制限措置等について」)。

いつから・いつまで?どこで分かる?
始まり:日証金が「品貸料の最高料率10倍適用について」という通知を出し、指定した申込日(約定日)の分から上限を10倍にする。2023年4月以降の58件では、通知日の当日の申込分からが21件、翌営業日の申込分からが37件だった
期間:通知には「当分の間」とあるだけで、終わりの日は決まっていない。終わるときは「臨時措置の解除について」の通知が出る
長さ:2025年1月以降に始まった株式の35件では、10倍がかかった申込日は中央値で7日。5日以内が15件、10日以内が28件だった。最長の52日は公開買付けの対象になっていた日本調剤(同社 臨時報告書(2025年10月31日提出))で、2番目は33日
確かめる場所:通知の原文は日本証券金融「銘柄別制限措置に関するお知らせ」、銘柄ごとの状態は同「銘柄検索」の「臨時措置」欄(「10倍」と表示される)と最高料率の欄。日証金は証券会社に、その銘柄で制度信用を使う顧客へ臨時措置を説明するよう通知の中で求めている
件数・日数は、上記のお知らせに載っている各通知と銘柄検索の申込日別データからKabuGraphが数えたものです(2026年10月26日取得)。
権利付最終日の4倍・8倍と重なると?——掛け算にはならない
10倍は、早見表で決まる通常の最高料率の10倍です。取扱いの別表は臨時措置を「上記1.および2.の最高料率」、つまり倍率をかける前の上限の10倍と定めており、権利付最終日の4倍や、申込停止中の権利付最終日の8倍に、さらに10を掛けることはありません(取扱い 別表3〜5)。
データでもそうなっています。2025年1月以降の35件で10倍がかかった298申込日は、すべて最高料率が「早見表の上限×10×品貸日数」と一致しました(KabuGraph算出)。3月決算の神戸電鉄(9046)の場合、3月末の権利付最終日だった2026年3月27日の上限は1株50.00円で、通常の5.00円(株価2,461円)の10倍でした(日本証券金融「銘柄検索」)。申込停止中の権利付最終日なら8倍の40.00円のところ、10倍の銘柄では権利付最終日も10倍が上限になります。
どのくらい起きる?——年に10〜20件あまり
日証金の「銘柄別制限措置に関するお知らせ」に載っている2023年4月3日〜2026年10月26日の通知を数えると、上限を10倍にした臨時措置は58件(55銘柄、うちETF4件)でした。
年 | 10倍の適用 | うち特別措置まで |
|---|---|---|
2023年(4〜12月) | 9件 | ― |
2024年 | 11件 | 0件 |
2025年 | 22件 | 3件 |
2026年(10月26日まで) | 16件 | 5件 |
2025年以降の35件は、どれも10倍が始まった時点で日証金の申込停止(いわゆる売り禁)がかかっていました(銘柄検索の制限措置の欄、KabuGraph算出)。申込停止で何ができなくなるかは次の記事で解説しています。

売り禁とは|新規の空売りが止まる条件と段階的規制、株価への影響
売り禁(貸借取引の申込停止措置)の発動条件・規制内容・株価への影響を解説。東証の日々公表銘柄・増担保規制、日証金の貸株注意喚起・申込制限・売り禁という段階的規制と、投資家が取るべき対応がわかります。
逆日歩10倍はいくら?——上限は1日で株価の約2%
10倍のときの逆日歩の上限は、売る前に次の式で計算できます。
通常の最高料率:投資単位(貸借値段×売買単位)が5万円以下なら1売買単位100円、5万円を超えると1万円ごとに20円を足し、売買単位で割る。1円以下なら1円、1円を超えれば10銭単位に切り上げる(日本証券金融「最高料率早見表(株式)」、取扱い別表1)。貸借値段は原則としてその日の終値
品貸日数:ふだんは1日で、決済日の翌日が休日なら休みの分だけ伸びる(日本証券金融 用語集〈さ行〉「品貸日数」)。祝日のない週なら、水曜の売りは週末をまたいで3日
画面の数字に10を掛けない:日証金が公表する逆日歩(品貸料率)は品貸日数分を掛けた後の値。10倍がかかっている銘柄の最高料率の欄も、すでに10倍した後の値が出る。ただし最高料率は、銘柄検索では品貸日数分、全銘柄の「品貸料率一覧」では1日分で表示される(日本証券金融「DATA」の品貸料率一覧の注記)
株価 | 通常の上限 | 10倍の上限 | 100株・1日 |
|---|---|---|---|
300円 | 1.00円 | 10.00円 | 1,000円 |
500円 | 1.00円 | 10.00円 | 1,000円 |
1,000円 | 2.00円 | 20.00円 | 2,000円 |
2,000円 | 4.00円 | 40.00円 | 4,000円 |
3,000円 | 6.00円 | 60.00円 | 6,000円 |
5,000円 | 10.00円 | 100.00円 | 10,000円 |
10,000円 | 20.00円 | 200.00円 | 20,000円 |
株価500円以上なら、10倍の上限は1日あたり株価の約2%です(早見表の区切りの間の株価では最大2.4%)。株価500円以下は上限が1株10円のまま下がらないので、株価300円なら3.3%、100円なら10%になります。
週末や連休をまたぐと、上限は品貸日数分に増えます。

2倍・4倍・8倍を含む倍率の全体と、日証金の表示(満額・零銭)の読み方は次の記事にまとめています。

逆日歩の満額・零銭とは|どちらも逆日歩0円、日証金の「*****」「0.00」の見方と最高料率4倍・8倍の実例
逆日歩の「満額」は翌朝の追加申込みで株不足が解消した状態(日証金の表示は「*****」)、「零銭」は品貸入札が0銭で決まった状態(「0.00」)で、どちらも逆日歩は0円。入札の仕組みと最高料率、権利付最終日に上限が4倍・8倍になる例を2026年9月のデータで解説。
実際の逆日歩は上限より低いことが多い——上限いっぱいは約1割
10倍で上がるのは入札の上限だけで、逆日歩は毎日の入札の結果で決まります(日本証券金融 用語集〈は行〉「倍率適用」)。2025年1月1日〜2026年10月26日に10倍が始まった株式の35件(34銘柄)について、10倍がかかった298申込日の結果を日証金の銘柄検索で数えると次のとおりです。
結果 | 申込日数 | 割合 |
|---|---|---|
上限いっぱいで決定 | 29日 | 9.7% |
上限未満で決定 | 169日 | 56.7% |
満額(逆日歩0円) | 17日 | 5.7% |
貸株超過にならず入札なし | 83日 | 27.9% |
合計 | 298日 | 100% |
10倍の期間でも、上限いっぱいで決まったのは10日に1日ほどでした。35件のうち17件は、上限いっぱいの日が1日もありませんでした。上限いっぱいの29日はすべて応札ランクA(応札が不足株数の1.0〜1.2倍未満で、日証金の区分で最も逼迫)でした(応札ランクの区分は日本証券金融「品貸入札、逆日歩、最高料率、応札ランク」)。
上限いっぱいの日は、10倍が始まった初日と、月末の権利付最終日に集まっていました。29日のうち9日が10倍の初日、11日が月末を基準日とする銘柄の権利付最終日に当たる日(2026年3月27日が6日、2025年9月26日が3日、2025年12月26日と2026年6月26日が各1日)で、重なりを除くと17日がこのどちらかです(KabuGraph算出)。
実例:同じ10倍でも、5銭から株価の1割超まで
銘柄 | 10倍の上限 | 実際の | 株価比 |
|---|---|---|---|
キング(8118) | 144.00円 | 0.30円 | 0.03% |
マーケットエンタープライズ(3135) | 26.00円 | 0.10円 | 0.01% |
神戸電鉄(9046) | 50.00円 | 50.00円 | 2.0% |
Amazia(4424) | 40.00円 | 40.00円 | 11.6% |
アズジェント(4288) | 110.00円 | 110.00円 | 10.6% |
キング:9月16日(水)申込分は、9月19日〜23日の連休をまたいで品貸日数が6日。上限は1株144.00円(100株で1万4,400円、株価の12.2%)まで上がっていたが、逆日歩は1日5銭の6日分で0.30円(100株で30円)だった
マーケットエンタープライズ:10倍が始まった6月5日の逆日歩は0.10円で、上限26.00円の0.4%。その後の特別措置で逆日歩が上がった経緯は次のセクションで見る
神戸電鉄:3月末の権利付最終日に上限いっぱいの50.00円(100株で5,000円)。10倍が始まった3月10日・11日は1日0.15円、特別措置が始まった12日以降のほかの申込日は、下限ちょうど(1日5.00〜5.20円)か、満額・貸株超過なしだった
Amazia:11月19日(水)申込分は11月24日の振替休日をはさんで品貸日数4日。上限いっぱいの40.00円で、100株で4,000円、株価345円の11.6%
アズジェント:4月30日(水)申込分はゴールデンウィークをはさんで品貸日数5日。上限いっぱいの110.00円で、100株で1万1,000円。10倍の5申込日のうち4日が上限いっぱいで、逆日歩の合計は1株182円と、10倍が始まった4月24日の株価636円の29%に達した
数値はいずれも日本証券金融「銘柄検索」の申込日別データ(2026年10月26日取得)よりKabuGraph算出で、株価は同社の貸借値段(原則としてその日の終値)です。
同じ10倍でも、応札が集まれば逆日歩は5銭〜10銭で決まり、集まらなければ上限いっぱいが連休の日数分かかります。売る前に分かるのは上限までで、実際の額は申込日の翌営業日の10時40分頃の公表まで分かりません(日本証券金融 用語集〈さ行〉「品貸入札」)。
年末の権利付最終日(2025年12月26日、品貸日数6日)に10倍の上限いっぱいとなり、1晩で株価の12.2%に達した例は、優待クロスのリスクとあわせて次の記事で取り上げています。

つなぎ売りのリスクは?|逆日歩の最悪額と、追証・強制返済・税金の確かめ方
つなぎ売りは値動きを消せても無リスクではない。最大は制度信用の逆日歩で、上限は最高料率×倍率×品貸日数。ふつうの権利付最終日は株価の0.8%、年末年始や措置中は数%で、2025年12月26日は1割超の例も。強制返済、追証、配当の約2割の持ち出し、継続保有も。
10倍の後はどうなる?——特別措置・返済請求・解除
10倍でも株が集まらないと、日証金はさらに2つの段階を用意しています。どちらも「申込停止と10倍の臨時措置を実施してもなお、株の調達が極めて困難」な場合の措置です(日本証券金融「品貸入札、逆日歩、最高料率、応札ランク」、同「貸借取引の利用制限措置等について」)。
特別措置:逆日歩の下限が「通常の上限」まで上がる
特別措置では、入札の下限(最低料率)を、その銘柄の通常時の最高料率まで引き上げます(日本証券金融 用語集〈た行〉「特別措置」、取扱い 別表9。2024年11月5日の改正で新設)。入札になった日は、逆日歩が少なくとも通常の上限(株価の約0.2%)になり、5銭や10銭では決まらなくなります。
2025年以降の特別措置は8件です。特別措置と10倍が重なった84申込日のうち入札になったのは52日で、そのうち41日は逆日歩が下限ちょうど、5日は上限いっぱいでした(ほかは満額8日、貸株超過なし24日。銘柄検索よりKabuGraph算出)。
返済請求措置:すでに建てた売りにも返済を求める最後の段階
日証金は、貸借取引貸出規程第4条にもとづき、証券会社に貸借取引の残高の返済を請求することがあります(日本証券金融「貸借取引の利用制限措置等について」、同 用語集〈は行〉「返済請求措置」)。日証金が請求する相手は証券会社で、制度信用の売り方に期日までの返済(買い戻しか現渡し)を求めるか、どう求めるかは証券会社の対応によります。
2023年4月〜2026年10月に、返済請求措置は3回実施されています(テスホールディングス 社発第T-183号(2023年6月22日)、KeyHolder 社発第T-203号(2025年6月19日)、マーケットエンタープライズ 社発第T-228号(2026年6月17日))。通知の件名は「〇〇の貸借取引貸株にかかる取扱いについて」で、3回とも同じ形でした。
対象:その銘柄の貸借取引の貸株残高の全て(以後の利用分を含む)。全証券会社が対象
返済期日:どれも6月30日の基準日の権利付最終日(2023年6月28日、2025年6月26日、2026年6月26日)。理由は、権利付最終日にかけて株の調達が極めて困難になり、貸借取引の円滑な運営が著しく阻害されるおそれがあること
前ぶれ:3回とも申込停止と10倍の臨時措置の後で、請求の1〜7日前に「〇〇に係る貸借取引のご利用について」という通知で、貸株の返済を求めることがあると予告していた。予告は2024年6月のmonoAI technologyを含めて4回あり、monoAIは請求に進まなかった
解除:「当分の間」の後、通知で外れる
10倍は解除の通知が出るまで続きます。2025年以降の35件の中央値は7申込日でした。2026年3月に10倍がかかった銘柄のうち、神戸電鉄・ウチヤマホールディングス・ダイドーリミテッド・フランスベッドホールディングス・イー・ガーディアンの5銘柄は、3月末の権利付最終日の後、3月31日申込分からそろって解除されています(日本証券金融 社発第T-1029号)。同じ通知は、申込停止は続くと添えており、10倍が外れても売り禁はすぐには解けないことがあります。
実例:マーケットエンタープライズ(2026年5〜6月)
注意喚起から10倍、特別措置、返済請求までが1か月足らずで進んだ例です(10倍の通知 社発第T-192号、特別措置の通知 社発第T-199号、返済の予告 貸発第65号、返済請求 社発第T-228号、解除の通知 社発第T-236号)。

10倍だけでは逆日歩は上がらなかった:6月5日と8日の逆日歩は1株0.10円で、上限26.00円の0.4%だった
特別措置で逆日歩が下限に張り付いた:6月9日〜18日の8申込日は、逆日歩がすべて下限(その日の通常の上限)と同じ値で、1日あたり2.80〜3.00円。日証金の年率換算では73〜78%だった
返済請求の後、残高は返済期日に0株に:6月17日に日証金が返済を請求(返済期日は6月26日の申込日)。貸株残高は6月5日の11.2万株から18日に2.7万株へ減り、19日申込分は満額(逆日歩0円)で、同じ日の申込分から10倍と特別措置が解除された。その後も残高は減り、26日に0株になった
10倍になると売り方・買い方・株価はどうなる?
売り方(制度信用で売っている人)
最悪額を上限から逆算する:通常の最高料率×10×品貸日数×株数。株価1,000円・100株なら1日2,000円、3連休をまたぐ4日なら8,000円
毎日の結果と措置を確かめる:逆日歩は申込日の翌営業日10時40分頃、注意喚起・申込制限・申込停止の通知は通常16時30分頃に公表される(日本証券金融 用語集〈さ行〉「品貸入札」、同「貸借取引の利用制限措置等について」)
特別措置が出たら毎日のコストが上がる:入札になった日は少なくとも通常の上限(株価の約0.2%)がかかる
返済は買い戻しか現渡し:同じ株の現物を持っていれば、現渡しで返せば市場で買い戻さずに済む
返済の予告・請求が出たら証券会社の案内を確かめる:2023年4月以降の3回の返済請求は、どれも6月末の基準日の権利付最終日が返済期日だった。売り方にどう返済を求めるかは証券会社による
新しく売るなら一般信用:申込停止中は制度信用の新規売りを証券会社が止めることがある。一般信用の売りは証券金融会社を使わないので逆日歩がかからない(楽天証券「制度信用取引」、2026年10月26日閲覧)が、売れる銘柄・株数と貸株料は証券会社ごとに違う

一般信用取引とは|逆日歩なし・無期限保有のメリットと制度信用との使い分け
一般信用取引の仕組み・メリット(逆日歩なし・返済期限なし)・デメリット(売建在庫の制約・短期の貸株料が高い)を解説。制度信用取引との違いを比較表で整理し、優待クロスやコスト面での使い分けがわかります。
買い方(制度信用で買っている人)
受け取る逆日歩も同じ額:逆日歩はすべての売り方がすべての買い方と入札の落札先に払う(日本証券金融「品貸入札、逆日歩、最高料率、応札ランク」)。10倍でも、受け取れるのは実際に決まった額で、上限ではない
現引きできないことがある:日証金の申込停止は通常、新規売りと現引きに伴う申込みが対象(日本証券金融「貸借取引の利用制限措置等について」)。現物に替えて持ち続ける道が狭まる
逆日歩より値動きの方が大きい:下の例のように、10倍の期間に株価が数日で数割動いた銘柄がある
誰が受け取れるか、逆日歩を狙った買いが成り立つかは次の記事で計算しています。

逆日歩は誰がもらえる?|受け取れる人と、逆日歩で儲けられるか
逆日歩を受け取れるのは制度信用の買い方と、日証金の入札で株を貸した側で、一般信用の買い方や現物株主は対象外です。逆日歩で儲けられるかは、受け取る逆日歩と金利(年2.80%、2026年10月)・値動きの差で決まります。
株価:上がるとは限らない
逆日歩の10倍は株不足の結果として出る措置で、10倍が株価にどう効いたかは公表データからは分かりません。2025年以降の例でも、10倍の期間に大きく上下した銘柄と、ほとんど動かなかった銘柄があります(株価は日本証券金融「銘柄検索」の貸借値段、2026年10月26日取得。動いた理由も公表データからは分かりません)。
アズジェント:10倍が始まった2025年4月24日の636円から28日に1,336円まで上がり、5月1日には736円
Amazia:2025年11月19日の345円から26日に705円まで上がり、28日には455円
キング:2026年9月15日〜29日は1,170〜1,230円で、ほとんど動かなかった
踏み上げが起きやすい条件と、2026年に10倍がかかったmonoAI technology・Kaizen Platformの株価の動きは次の記事で扱っています。

逆日歩で株価はどうなる?踏み上げの条件と実例|上限10倍の急騰株も5営業日で3割安、権利付最終日の21銘柄は13銘柄が下落
逆日歩が付いても株価が上がるとは限りません。踏み上げが起きやすい条件(売り残・株価の上昇・逆日歩の上限の倍率・申込停止)と、日証金のデータで確かめた2026年の実例を解説。権利付最終日に上限まで付いた21銘柄は、配当落ちを含む翌日の前日比で上昇5・下落13でした。
よくある質問
逆日歩が10倍になると、払う逆日歩も10倍になる?
なりません。10倍になるのは入札の上限(最高料率)だけです(日本証券金融 用語集〈は行〉「倍率適用」)。2026年9月16日申込分のキングは、上限が1株144.00円だったのに対し、逆日歩は0.30円でした。
権利付最終日に10倍だと、上限は40倍や80倍になる?
なりません。10倍は通常の最高料率の10倍で、権利付最終日の4倍・8倍とは掛け合わせません(取扱い 別表3〜5)。2026年3月27日の神戸電鉄も、上限は通常の10倍の50.00円でした。
10倍の銘柄はどこで調べる?
日証金の「銘柄別制限措置に関するお知らせ」に、10倍の適用と解除の通知が載ります。銘柄ごとには「銘柄検索」の「臨時措置」欄に「10倍」と表示され、最高料率の欄も10倍した値になります。
10倍の銘柄を新しく空売りできる?
制度信用では難しいと考えた方がよいでしょう。2025年以降に10倍がかかった35件は、10倍が始まった時点ですべて申込停止中でした。一般信用なら逆日歩はかかりませんが、売れるかどうかは証券会社の在庫しだいです。
10倍の銘柄で、売りを強制的に返済させられることはある?
あります。日証金が返済請求措置をとると、その銘柄の貸株残高の全てが返済の対象になり、2023年4月以降に3回実施されました。返済期日はどれも6月末の基準日の権利付最終日でした。日証金が請求する相手は証券会社で、制度信用の売り方に返済をどう求めるかは証券会社によります。
まとめ
「逆日歩10倍」は、日証金が株不足の極めて深刻な銘柄で逆日歩の上限を通常の10倍にする臨時措置。逆日歩そのものが10倍になるのではない
上限は100株単位・株価500円以上なら1日で株価の約2%。3日で6%、6日なら12%。株価500円以下は割合がさらに大きい
権利付最終日と重なっても10倍が上限で、4倍・8倍とは掛け合わせない
2023年4月〜2026年10月の10倍は58件。2025年以降の35件は中央値7申込日で解除され、上限いっぱいで決まったのは10倍がかかった日の約1割
10倍でも株が集まらなければ特別措置(下限=通常の上限)、最後は返済請求。2023年4月以降、返済の予告は4件、返済請求措置の実施は3件(どれも6月末の基準日の権利付最終日が返済期日)。売り方への求め方は証券会社による
売り方は上限から最悪額を逆算し、毎朝10時40分頃の結果と16時30分頃の通知を確かめる。新しく売るなら逆日歩のない一般信用
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の銘柄の売買を勧めるものではありません。制度・料率は2026年10月26日時点の日本証券金融の公表資料、実例の数値は同社の公表データによります。








