逆日歩は誰がもらえる?|受け取れる人と、逆日歩で儲けられるか

逆日歩(品貸料)を受け取れるのは、制度信用取引で買い建てている人(買い方)と、日本証券金融(日証金)の品貸入札に応じて株を貸した証券会社・機関投資家などです。日証金は、入札で決まった料率を制度信用取引にも当てはめ、すべての売り方がすべての買い方と入札の落札先に支払うと説明しています(日本証券金融「品貸入札、逆日歩、最高料率、応札ランク」)。
一般信用の買い方、現物株を持っているだけの株主、貸株サービスの利用者は受け取れません。受け取る額は、日証金が公表する1株あたりの逆日歩(品貸日数分を掛けた後の値)に株数を掛け、建てていた期間の分を足したものです。信用取引を返済したときに金利などと差し引きで精算され、税金は株の譲渡益の一部として扱われます。
「逆日歩で儲ける」は、ほとんどの場合成り立ちません。日証金の公表データ(2026年9〜10月)で見ると、次のとおりです。
普段の逆日歩は、年率に直すと金利に届かないことが多い:2026年10月5日約定分で逆日歩が付いた株式364銘柄は、1株あたりの中央値が0.05円、年率に直した中央値が1.96%。SBI証券・楽天証券の制度信用の買方金利(2026年10月6日時点で年2.80%)を上回ったのは65銘柄で、うち50銘柄は株価が安いために5銭でも年率が高く出る銘柄だった
大きな逆日歩は権利付最終日の1日に集まる:9月28日約定分は593銘柄に付き、1株1円以上が221銘柄。翌29日約定分は1円以上が4銘柄に減った
額は翌営業日の10時40分ごろまで分からない:権利付最終日に買った紀文食品100株は、逆日歩1,920円の大半を翌日の値下がり(1,700円)が打ち消した
受け取る当事者、金額・時期・税金、損益の分解を、日証金の公表データと実際の銘柄で順に確かめます。
この記事の内容(目次)
逆日歩を受け取れるのは制度信用の買い方と、入札で株を貸した人
逆日歩は、制度信用取引の空売りが増えて日証金が貸す株が足りなくなったとき(貸株超過)に、足りない株を借りてくる費用です。決まり方や計算、連休の注意点は次の記事にまとめています。

逆日歩とは|空売り投資家が負担する「株のレンタル料」の仕組み
逆日歩(品貸料)は制度信用の空売りで株不足になると日証金の入札で決まる追加コスト。公表される品貸料率は品貸日数分込みで、負担は公表値×株数。水曜・連休前に日数が増える仕組み、最高料率と2〜10倍の倍率、一般信用での回避策を解説。
足りない株は、約定日の翌営業日の朝に日証金が行う「品貸入札」で集めます。日証金の規則(2026年10月時点)では、入札は料率の低い申込みから順に採用し、必要な株数に届いた申込みの料率(採用した中で最も高い料率)が、その銘柄のその日の品貸料になります(日本証券金融「貸借取引貸株超過銘柄等に対する取扱い」)。
こうして決まった1株あたりの品貸料を、売り方は全員が払い、受け取る側は次の2者です(日本証券金融「証券金融 用語集」品貸料(逆日歩))。
制度信用の買い方:その銘柄を制度信用で買い建てているすべての投資家が、売り方と同じ1株あたりの額を受け取る
品貸入札の落札先:入札に応じて足りない株を貸した証券会社や機関投資家など。自分が出した料率ではなく、決まった品貸料で受け取る
売り方が払う総額と、買い方が受け取る総額は一致しません。差は、足りない株を貸した落札先に回ります。図は売り1,000株・買い700株に単純化しましたが、実際の銘柄でも同じことが起きています。
証券会社の社内で付け合わせた分も、買い方は受け取れる
証券会社は、制度信用の売りと買いを社内で付け合わせ(社内対当、同 用語集「社内対当」)、足りない分だけを日証金から借ります。それでも制度信用の買い方は全員が逆日歩を受け取れます。日証金は、証券会社が買い方に払う品貸料には、日証金から受け取る品貸料と、売り方から受け取る品貸料を充てると説明しています(日本証券金融「品貸入札、逆日歩、最高料率、応札ランク」)。
社内で付け合わせた後に残る買い方への貸付けを、日証金から借りずに自社の資金などで賄っている場合(自己融資、同 用語集「自己融資」)は、日証金から受け取る品貸料がないため、証券会社が自分の負担で買い方に払います。
この負担を避けるため、証券会社は日証金への融資の追加申込みに切り替えたり、買い方から預かった株を0銭で入札に出したりします(同 用語集「0銭品貸し」)。日証金は、翌朝の追加申込みで貸株超過が埋まって逆日歩が付かない「*****」(満額)や、0銭で調達できた「0.00」(零銭)の表示は、主に自己融資の証券会社のこうした対応で生じると説明しています(日本証券金融「品貸入札、逆日歩、最高料率、応札ランク」)。

制度信用取引とは|6ヶ月期限と逆日歩のルール、一般信用との使い分け
制度信用取引の仕組み・返済期限6ヶ月のルール・逆日歩の発生条件を解説。一般信用取引との違いを比較表でわかりやすく整理し、コスト面の使い分けがわかります。
受け取れない人:一般信用の買い方・現物株主・貸株サービス
逆日歩は、日証金の貸借取引(制度信用取引のための資金・株の貸し借り)から生まれるお金です。その外にいる人には回ってきません。
一般信用の買い方:一般信用は証券会社が自社で資金や株を手当てし、日証金の貸借取引を使わない。同じ銘柄に制度信用の逆日歩が付いても、一般信用の買い方は受け取れない(SBI証券「HELP 諸経費」、楽天証券「信用取引の基本ルール」、2026年10月6日閲覧)。一般信用の売りにも逆日歩はかからない
現物株を持っているだけの株主:逆日歩は制度信用取引の売り顧客が払い、買い顧客が受け取るもの(日本証券金融「証券金融 用語集」品貸料(逆日歩))。現物株の口座には入らない
貸株サービスの利用者:受け取るのは、証券会社が銘柄ごとに決める貸株金利で、逆日歩(品貸料)ではない。楽天証券は貸株金利を原則週次で見直すとしている(楽天証券「貸株サービスの基本ルール」、2026年10月6日閲覧)。SBI証券は、借りた株を機関投資家が参加する「貸株市場」に貸して受け取った金利から、貸株金利を払う仕組みだと説明している(SBI証券「HELP 貸株サービス」、2026年10月7日閲覧)
その日のうちに返済した買い方:買い方が受け取るのは、新規建ての受渡日から返済の受渡日の前日までの逆日歩(SBI証券「HELP 諸経費」、2026年10月6日閲覧)。同じ日に返済すると受渡日も同じで、日数がない
制度信用の売り方:払う側。逆日歩が付いた日数分を返済時に差し引かれる
JPXも、制度信用の品貸料は取引所が発表し、一般信用の品貸料は顧客と証券会社の間で決めるものと整理しています(日本取引所グループ「信用取引の概要」)。SBI証券・楽天証券の一般信用には、売りにも買いにも逆日歩の設定がありません(SBI証券「買い方金利・売り方金利・貸株料率・HYPER料」、楽天証券「信用取引 手数料/金利/貸株料」、2026年10月6日閲覧)。

一般信用取引とは|逆日歩なし・無期限保有のメリットと制度信用との使い分け
一般信用取引の仕組み・メリット(逆日歩なし・返済期限なし)・デメリット(売建在庫の制約・短期の貸株料が高い)を解説。制度信用取引との違いを比較表で整理し、優待クロスやコスト面での使い分けがわかります。
受け取れる金額・時期・税金
金額:公表された逆日歩(品貸日数分込み)×株数
日証金が公表する逆日歩(品貸料率)は、1日あたりの品貸料に品貸日数を掛けた後の値です(日本証券金融「品貸入札、逆日歩、最高料率、応札ランク」・日本証券金融「DATA」の品貸料率一覧)。品貸日数が3日なら3日分が入っているので、公表値にさらに日数を掛けると二重に数えることになります。
足し合わせるのは、新規建ての受渡日から返済の受渡日の前日までの分です(SBI証券「HELP 諸経費」)。品貸日数は、約定日の2営業日後(受渡日)から、その翌営業日までの日数で、休日をはさむと伸びます(日本証券金融「証券金融 用語集」品貸日数)。
2026年9月は、9月16日(水)約定分が6日(シルバーウィークをはさむ)、9月18日(金)と30日(水)約定分が3日、ほかの日は1日でした(日本証券金融「銘柄検索」)。
日証金の規則(2026年10月時点)では、1日あたりの品貸料は100株単位の銘柄なら5銭刻みです(日本証券金融「貸借取引貸株超過銘柄等に対する取扱い」)。上限(最高料率)は株価×売買単位で決まり、株価2,000円・100株なら1株4.0円(日本証券金融「最高料率早見表(株式)」)。権利落ち日の前営業日は4倍の16.0円まで上がります(日本証券金融「品貸入札、逆日歩、最高料率、応札ランク」)。
普段の例:品貸日数1日の日に公表値0.05円なら、100株で5円
品貸日数が3日の例:紀文食品の9月30日(水)約定分は公表値0.15円(1日あたり0.05円×3日)で、100株なら15円
権利付最終日の例:紀文食品の9月28日約定分は公表値19.20円(品貸日数1日)で、100株なら1,920円
上限の決まり方や倍率、日証金のデータの読み方は次の記事で詳しく扱っています。

逆日歩の満額・零銭とは|どちらも逆日歩0円、日証金の「*****」「0.00」の見方と最高料率4倍・8倍の実例
逆日歩の「満額」は翌朝の追加申込みで株不足が解消した状態(日証金の表示は「*****」)、「零銭」は品貸入札が0銭で決まった状態(「0.00」)で、どちらも逆日歩は0円。入札の仕組みと最高料率、権利付最終日に上限が4倍・8倍になる例を2026年9月のデータで解説。
時期:公表は翌営業日の10時40分ごろ、受け取りは返済のとき
約定日の18時半過ぎ:日証金が銘柄別の融資・貸株残高(速報)を公表し、貸株超過の銘柄が分かる(日本証券金融「証券金融 用語集」速報)
翌営業日の8時30分〜10時:証券会社からの追加申込み(翌朝訂正)と品貸入札。融資の追加で超過が埋まれば逆日歩は付かず「*****」(満額)、0銭の申込みで足りれば「0.00」(零銭)と表示される。どちらも買い方が受け取る逆日歩は0円(満額・零銭の詳しい意味、日本証券金融「貸借取引貸株超過銘柄等に対する取扱い」・日本証券金融「品貸入札、逆日歩、最高料率、応札ランク」)
翌営業日の10時40分ごろ:品貸料(逆日歩)を公表(同 用語集「品貸入札」)
返済の受渡日:逆日歩は、金利・手数料・管理費などと合わせた「諸経費」として返済時に精算される。名義書換料だけは、原則として権利落ち日に差し引かれる(SBI証券「HELP 諸経費」、2026年10月6日閲覧)
現引きしたとき:現引き(品受け)も返済の方法の一つで、それまでの逆日歩は現引きの受渡日にほかの諸経費とまとめて精算される。SBI証券は返済の方法に反対売買・現引・現渡を挙げ、諸経費は返済時に精算するとしている(SBI証券「HELP 返済期限」、2026年10月7日閲覧)
税金:受け取った逆日歩は株の譲渡益の一部
国税庁の通達は、信用取引の買い方が受け取る品貸料を「上場株式等の譲渡に係る収入金額」に入れ、買い方が払う金利は費用に入れると定めています。売り方が払う品貸料は費用です(国税庁「租税特別措置法(株式等に係る譲渡所得等関係)の取扱いについて」37の11-7)。
つまり逆日歩は配当所得ではなく、信用取引の決済の損益と一緒に、上場株式等の譲渡所得(申告分離課税)として計算されます。特定口座の源泉徴収ありを選んでいれば、差金決済の差益から所得税15.315%(ほかに住民税5%)が源泉徴収され、申告不要にできます(国税庁 タックスアンサー No.1476「特定口座制度」、2026年10月時点)。
同じ「株を貸した対価」でも、貸株サービスの貸株金利は扱いが違います。SBI証券は、貸株金利を雑所得(総合課税)としています(SBI証券「HELP 貸株サービス」、2026年10月7日閲覧)。制度信用の買い方の逆日歩は株の譲渡損益と一緒に計算されるのに対し、貸株金利は給与などほかの所得と合わせて課税されます。
「逆日歩で儲ける」は成り立つか:損益を分解する
制度信用の買いで逆日歩を受け取る取引の損益は、次のように分けられます。
利益が残るには、逆日歩が金利などの費用を上回り、さらに株価の変化で消えないことが必要です。日証金の公表データで見ると、どちらも簡単ではありません。
普段の逆日歩は1株5銭が中心、年率では中央値1.96%で金利に届かない
2026年10月5日約定分で逆日歩が付いた株式は364銘柄。1株あたりの中央値は0.05円(5銭)で、205銘柄がちょうど5銭でした。100株なら1日5円です。
日証金は、逆日歩を年率に直した値(1日あたりの品貸料÷貸借値段×365×100、単位は%)も示しています(日本証券金融「銘柄検索」の検索結果画面の注記)。10月5日約定分の中央値は年1.96%で、SBI証券・楽天証券の制度信用の買方金利年2.80%を上回ったのは65銘柄(18%)でした(SBI証券「買い方金利・売り方金利・貸株料率・HYPER料」・楽天証券「信用取引 手数料/金利/貸株料」、2026年10月6日閲覧)。しかも金利は毎日かかり、逆日歩は貸株超過の日にしか付きません。
5銭が金利を上回るかは株価しだいです。株価がおよそ650円より安ければ、5銭でも年2.80%を超えます(0.05円×365÷2.80%≒652円)。10月5日約定分で金利を上回った65銘柄のうち、50銘柄はちょうど5銭のこの型でした(日証金「銘柄検索」よりKabuGraph算出)。
逆日歩が付いた株式の銘柄数(約定日別、2026年9月14日〜10月5日)
9月14日〜10月5日の13営業日を並べると、逆日歩が付く銘柄は毎日360〜410あります。それでも1株1日1円以上は1〜4銘柄で、例外は9月28日だけでした。
逆日歩が何日も続く銘柄を持ち続けたら
株不足が続く銘柄を制度信用で持ち続け、毎日の逆日歩を受け取る形も考えられます。9月28日を除く12営業日すべてで年率換算が2.80%を上回った株式は32銘柄(9日以上なら49銘柄)でした。ただし32銘柄のうち26銘柄は9月14日の株価が650円未満で、多くは1日5銭の逆日歩が、株価の安さで年率に大きく出ている形です。
この32銘柄を9月14日の終値で100株ずつ制度信用で買い、10月5日の終値で売ったとすると、受け取る逆日歩は全銘柄で金利を上回りました。ただし上回った分は株価の0.17%(中央値)で、同じ期間の株価の変化は−16.4%〜+8.3%(中央値−2.0%)でした。
計算の前提:逆日歩は9月14日〜10月2日約定分の公表値の合計、金利は年2.80%で9月16日〜10月7日の22日分(両端入れ)、株価は東証の終値。名義書換料と配当落調整金は含まず、9月30日が基準日の銘柄の値動きには権利落ちを含む(日本証券金融「銘柄検索」・東証株価よりKabuGraph算出)。
32銘柄のうち20銘柄は、期間中に日証金の注意喚起か申込停止の対象でした。注意喚起は将来制限措置をとる可能性があると知らせるもので、申込停止は日証金への新規の売り(貸株)と現引き(融資の返済)の申込みを止める措置です(日本証券金融「貸借取引の利用制限措置等について」、2026年10月7日閲覧。銘柄検索では「申込停止(新規売り・現引き)」と表示)。こうした銘柄は売り方の買い戻しで急に上がった後に反落することもあり、値動きのリスクは受け取る逆日歩よりはるかに大きくなります(逆日歩が付いた銘柄の株価の動き)。
大きな逆日歩は権利付最終日の1日に集まる
9月28日は、9月末に権利が確定する銘柄の権利付最終日でした。この日の約定分は593銘柄に逆日歩が付き、1株1円以上が221銘柄、最高料率いっぱいが23銘柄で、9月30日が基準日の銘柄が462を占めました(日本証券金融「銘柄検索」の品貸料率と基準日よりKabuGraph算出)。
日証金は、決算期が近づくと名義を確保したい入札参加者が入札を見合わせるため、品貸料率が上がりやすいと説明しています(日本証券金融「品貸入札、逆日歩、最高料率、応札ランク」)。権利付最終日の上限も通常の4倍です。KabuGraphの見方では、株主優待を取るための「現物買い+制度信用の売り」(優待クロス)がこの日に集まることも重なっています。
ところが翌29日(権利落ち日)約定分では、この462銘柄のうち逆日歩が付いたのは208銘柄で、1株1円以上は4銘柄だけ。中央値は再び0.05円でした。権利付最終日の大きな逆日歩は、その1日分で終わることが多いのです。
実例:紀文食品を権利付最終日に買い、翌日売ると
9月28日約定分で最高料率いっぱいの逆日歩が付いた紀文食品(2933)で、100株を28日に制度信用で買い、29日に売った場合を計算します。株価は終値、手数料は楽天証券のゼロコース(信用取引も0円、楽天証券「信用取引 手数料/金利/貸株料」)のように0円とします。
逆日歩 +1,920円:9月28日約定分は1株19.20円(品貸日数1日分)。通常の最高料率(1株2.40円)の8倍で、権利落ち日の前営業日(4倍)と日証金の注意喚起(2倍)が重なった上限いっぱい(日本証券金融「品貸入札、逆日歩、最高料率、応札ランク」・日本証券金融「最高料率早見表(株式)」)
買方金利 −17円:111,400円×2.80%×2日÷365。日数は新規建ての受渡日(9月30日)から返済の受渡日(10月1日)までを両端とも数える(SBI証券「HELP 諸経費」)
名義書換料 −55円:権利付最終日と権利落ち日をまたいで買い建てを持つと、1売買単位55円(SBI証券「HELP 諸経費」・楽天証券「信用取引 手数料/金利/貸株料」)
株価の変化 −1,700円:9月28日終値1,114円→29日終値1,097円
配当落調整金 0円:紀文食品は2027年3月期の中間配当を0円と予想している(紀文食品「2027年3月期 第1四半期決算短信」)。9月30日基準の株主優待(300株以上、紀文食品「株主優待制度」)も、信用の買い方には付かない
結果は税引前で+148円。逆日歩1,920円の大半を、権利落ち日の値下がりが打ち消しました。なお29日は9月末に配当の権利が落ちた銘柄が多く、TOPIX連動ETF(1306)も前日比−0.65%でした(東証株価・9月28日と29日の終値、配当落ちの分を含む)。紀文食品は中間配当がないので、配当落ちによる下げはありません。
紀文食品
紀文食品グループは、スリミ製品(かまぼこ)・惣菜・水産珍味などの食品製造・販売が主力事業。傘下の海洋食品を通じて、北海道から岡山までの国内6工場ネットワークで日本全国への安定供給体制を構築しています。すり身・冷凍魚・農畜産品などの水産品の輸…
逆日歩が付いた銘柄の株価に何が起きうるか(踏み上げや、その後の反落)は次の記事で扱っています。

逆日歩で株価はどうなる?踏み上げの条件と実例|上限10倍の急騰株も5営業日で3割安、権利付最終日の21銘柄は13銘柄が下落
逆日歩が付いても株価が上がるとは限りません。踏み上げが起きやすい条件(売り残・株価の上昇・逆日歩の上限の倍率・申込停止)と、日証金のデータで確かめた2026年の実例を解説。権利付最終日に上限まで付いた21銘柄は、配当落ちを含む翌日の前日比で上昇5・下落13でした。
株価の変動を消す「両建て」は成り立つか
株価の変化を消すために、同じ銘柄を制度信用で買い、同時に一般信用で同じ株数を売る(両建て)方法が考えられます。一般信用の売りには逆日歩がかからないので、制度信用の買いが受け取る逆日歩だけが残る形です。
最後の項は配当落調整金の差です。権利日をまたぐと、制度信用の買い方は配当の84.685%を受け取り、一般信用の売り方は100%を払うため、差の15.315%が持ち出しになります(楽天証券「信用取引の基本ルール」、2026年10月6日閲覧)。
項目 | 9月28日約定分 | 同じ2日間で |
|---|---|---|
逆日歩 | +1,920円 | +5円 |
買方金利(年2.80%・2日) | −17円 | −17円 |
一般信用(短期)の貸株料(年3.90%・2日) | −24円 | −24円 |
名義書換料 | −55円 | −55円 |
配当落調整金の差 | 0円 | 0円 |
合計(税引前) | +1,824円 | −91円 |
逆日歩が上限まで付けば大きく残りますが、紀文食品の株価(1,114円)で5銭なら赤字です。両建ては金利と一般信用の貸株料(合わせて年6.70%)を払うので、年率で比べると、5銭で費用を上回るのは株価がおよそ270円未満の銘柄に限られます(0.05円×365÷6.70%≒272円)。配当のある銘柄では、配当20円・100株で306円の差額も加わります。実際には、次の理由で狙って再現するのは難しい取引です。
逆日歩は建てた後にしか分からない:翌営業日の10時40分ごろまで額が出ない。権利付最終日の9月28日でも、1株1円以上が付いたのは221銘柄で、逆日歩が付いた593銘柄の4割弱だった
逆日歩が高い銘柄ほど、一般信用の売りを確保しにくい(KabuGraphの見方):一般信用の売りは、証券会社が用意した数量(売建可能数量)の範囲でしかできず、注文の時点で0株になることもある(楽天証券「一般信用取引『短期』」。SBI証券も在庫不足のときは新規の売り注文を失効させると定めている:SBI証券「一般信用取引(無期限・短期・日計り)ルール」、2026年10月7日閲覧)。在庫があれば優待クロスの売りは逆日歩のない一般信用に向かうので、逆日歩が上限まで付くのは在庫が尽きた銘柄になりやすい(仕組みは一般信用取引の解説)
買いが増えると逆日歩そのものが下がる:制度信用の買いが増えて融資が増えれば、貸株超過は縮む。翌朝の追加申込みで超過が埋まれば逆日歩は付かない(日本証券金融「品貸入札、逆日歩、最高料率、応札ランク」)。10月5日約定分では、貸株超過になった株式885銘柄のうち434銘柄が翌朝に埋まって逆日歩なし(満額)、87銘柄は0銭(零銭)だった(日本証券金融「DATA」の品貸料率一覧)
配当の多い銘柄ほど差額が重い:一般信用の売りは配当の100%を払うため、配当×15.315%が逆日歩から差し引かれる
優待クロスを含む制度信用と一般信用の料率の比べ方は次の記事、配当落調整金の84.685%と100%の違いと税金はその次の記事で扱っています。

制度信用と一般信用どっちが得?|SBI証券・楽天証券を比較
SBI証券・楽天証券は制度信用と一般信用(無期限)の料率が同じ(買方金利年2.80%・貸株料年1.10%、2026年10月6日確認)。買いは同額、空売りは逆日歩のない一般信用が有利。優待クロスは短期3.90%と逆日歩の損益分岐(1株30銭)で判断します。

配当落調整金とは|制度信用84.685%・一般信用売建100%の計算式と税金の扱い
配当落調整金の仕組み・計算式(制度信用は買い方・売り方とも84.685%、一般信用の売り方は主要ネット証券で100%)・税金の扱いを解説。信用取引で権利確定日をまたいだときに発生する配当金相当額のルールと、優待クロスで現物の配当金と相殺したときの実質コスト(一般信用は損益通算で実質ゼロ、制度信用は約15%の差益)がわかります。
逆日歩を当てにした買いの前に確かめること
逆日歩を受け取るつもりで制度信用の買いを考えるなら、少なくとも次の点を確かめておきましょう。
口座の区分:制度信用で建てているか。一般信用の買いは受け取れない
年率換算と金利:日証金「銘柄検索」の品貸料率(年率換算)が、自分の買方金利(SBI証券・楽天証券は2026年10月6日閲覧時点で年2.80%)を上回っているか。普段の中央値(年1.96%)は下回る。1日5銭の逆日歩が金利を上回るのは、株価がおよそ650円未満の銘柄
倍率がかかる日か:最高料率は、権利落ち日の6〜2営業日前が2倍、前営業日が4倍。日証金の注意喚起・申込制限・申込停止の銘柄は2倍で、権利日と重なると4倍・8倍。異常な株不足では臨時に4倍・10倍になることもある(日本証券金融「品貸入札、逆日歩、最高料率、応札ランク」)
応札ランク:日証金が2024年11月から公表している、入札の申込み株数÷貸株超過株数の区分。Aに近いほど株の調達がひっ迫している(日本証券金融「品貸入札、逆日歩、最高料率、応札ランク」)
費用:権利日をまたぐと名義書換料(1売買単位55円)、1か月ごとに事務管理費(楽天証券は1株11銭)がかかる(楽天証券「信用取引 手数料/金利/貸株料」、2026年10月6日閲覧)
株価の動き:逆日歩は株価の1日の値動きに比べて小さい。損益の大半は株価で決まる
税金:受け取った逆日歩は譲渡所得の収入。金利は費用として差し引ける
逆日歩が付くのは、日証金の貸借取引の残高で貸株が融資を上回った銘柄です。取引所が公表する信用残(一般信用の建玉などを含む)とは集計の範囲が違う数字なので、両方を見比べると需給をつかみやすくなります。取引所の信用残の見方は次の記事にまとめています。

信用残高とは|買い残・売り残から相場の需給バランスを読む方法
信用残高(信用買い残・売り残)の見方と株価予測への活用法を解説。信用倍率・貸借倍率の意味と、需給から相場の方向性を読み取る方法がわかります。
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買や取引手法を推奨するものではありません。料率・手数料は2026年10月6日時点のもので、変更されることがあります。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。








