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ヤプリ(4168)の企業分析|ノーコードアプリ開発の先駆者、黒字転換とマルチプロダクト戦略

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ヤプリ(4168)は、ノーコードでスマホアプリを開発・運用できるプラットフォーム「Yappli」を提供するSaaS企業です。

2025年12月期は売上高60.6億円(前期比+9.9%)、営業利益8.8億円(同+60.4%)と過去最高を更新。2024年12月期に上場後初の通期純利益黒字化を達成して以降、「成長投資フェーズ」から「収益化フェーズ」への転換が鮮明になっています。2026年12月期も第2四半期累計で売上高33.8億円(前年同期比+15.8%)、営業利益6.5億円(同+44.5%)と増収増益が続いています。

この記事では、ヤプリのビジネスモデル、プロダクト戦略、SaaS指標、投資判断のポイントを、個人投資家の視点からわかりやすく解説します。

会社概要 — ノーコードで企業のモバイル体験を変える

ヤプリは、「デジタルを簡単に、社会を豊かに」をミッションに掲げ、庵原保文氏が2013年に創業したSaaS企業です。プログラミング不要でスマホアプリを開発・運用できるプラットフォーム「Yappli」を提供しています。

項目

内容

会社名

株式会社ヤプリ(Yappli, Inc.)

証券コード

4168(東証グロース)

設立

2013年4月

上場

2020年12月(東証マザーズ)→ 2022年4月 東証グロースへ移行

代表取締役

庵原 保文(代表取締役社長CEO)

本社

東京都港区

セクター

情報・通信業(情報通信・サービスその他)

出典: ヤプリ コーポレートサイト

「アプリ民主化」から「マルチプロダクト企業」へ

ヤプリの歩みは、「アプリ開発の民主化」から始まり、現在は「モバイル体験全体のプラットフォーム」へと進化しつつあります。

  • 2013年 — 創業。ノーコードのアプリ開発プラットフォーム「Yappli」を提供開始

  • 2020年 — 東証マザーズに上場。小売・飲食・メディア企業を中心に導入が加速

  • 2023年 — 社内向けエンゲージメントプラットフォーム「UNITE by Yappli」を投入し、HR領域へ展開

  • 2024年 — 通期純利益で上場後初の黒字化を達成

  • 2025年 — Web構築プラットフォーム「Yappli WebX」を投入(5月)。11月に飲食店向けLINEミニアプリ開発のチューズモンスター(現ヤプリフードコネクト)を子会社化

  • 2026年 — 「マルチプロダクト元年」を宣言。「Yappli MobileOrder」「Yappli MiniApp」を提供開始(2月)

現在、月間3,400万人がYappliで構築されたアプリを利用しており、企業のモバイル顧客接点としての存在感を高めています。

プロダクトを理解する

ヤプリは「アプリ運営プラットフォーム事業」の単一セグメントで、その中で複数のプロダクトを展開しています。2026年を「マルチプロダクト元年」と位置づけ、アプリ以外の領域にも拡張を進めています。

Yappli for Marketing — 企業の「公式アプリ」をノーコードで

「Yappli for Marketing」は、プログラミング不要で企業の公式アプリを開発・運用できるプラットフォームです。ヤプリの売上の大部分を占める主力プロダクトです。

ヤプリ公式サイト「MOBILE TECH FOR ALL」
出典:ヤプリ公式サイト

収益モデルはサブスクリプション型(月額課金)で、初期制作費+月額利用料で構成されます。

  • 初期制作費 — アプリの企画・デザイン・構築をヤプリの専門チームが内製で対応

  • 月額利用料 — 平均月額46.0万円(2025年12月期)。機能追加やOS対応も自動で提供

  • プロフェッショナルサービス — データ分析・運用コンサルティングをセットで提供し、顧客の成功を支援

小売・飲食・メディア・金融など幅広い業種で導入されており、ストック売上比率は81.6%。一度導入されると長期的に利用される構造です。

UNITE by Yappli — 社内DXへの展開

「UNITE by Yappli」は、企業の社内コミュニケーションとエンゲージメント向上を支援するプラットフォームです。社内報・教育コンテンツ・動画配信・アンケートなどをひとつのアプリに集約できます。

従来のマーケティング向けYappliの技術基盤を活用しつつ、HR(人事)領域という新たな市場を開拓しています。既存顧客の社内利用ニーズを取り込むクロスセルの起点としても機能しています。

Yappli WebX・MobileOrder — マルチプロダクト戦略の新展開

2025年5月に投入された「Yappli WebX」は、ノーコードでWebサイトを構築できるプラットフォームです。アプリとWebの両方を統合的に管理できる点が差別化のポイントで、2026年は本格的なマネタイズフェーズと位置づけられています。

また、2025年11月に子会社化したチューズモンスター(現ヤプリフードコネクト)の運用ノウハウをもとに、2026年2月に飲食店向けのLINEミニアプリ型モバイルオーダー「Yappli MobileOrder」を提供開始しました。店内注文・テイクアウト・順番待ち・会員証を一元化し、アプリプラットフォームとの統合により店舗のデジタル化を一気通貫で支援する狙いがあります。

業績推移と財務分析

ヤプリの業績推移を見ると、売上は2020年12月期から5年で約2.5倍に成長し、2023年12月期に営業黒字化を達成して以降、利益率の改善が続いています。

決算期

売上高

営業利益

純利益

営業利益率

2020年12月期

23.9億円

-5.9億円

-6.3億円

—

2021年12月期

32.6億円

-9.3億円

-9.4億円

—

2022年12月期

41.4億円

-8.2億円

-9.4億円

—

2023年12月期

48.6億円

2.6億円

-0.7億円

5.4%

2024年12月期

55.1億円

5.5億円

7.5億円

10.0%

2025年12月期

60.6億円

8.8億円

9.2億円

14.6%

出典:決算短信・決算説明資料よりKabuGraph作成。2024年12月期以前は単体、2025年12月期は連結(2025年12月期より連結決算に移行)

通期業績推移(売上高・営業利益・営業利益率)

出典:決算短信・決算説明資料よりKabuGraph作成。2024年12月期以前は単体、2025年12月期は連結

赤字3期を経て黒字定着へ

2020〜2022年はプロダクト開発と営業体制の強化に積極投資し、営業赤字が続きました。しかし、2023年12月期に営業黒字に転換し、営業利益率は5.4%→10.0%→14.6%と着実に改善しています。

利益改善のドライバーは、ストック売上の積み上がりによる限界利益率の向上です。サブスクリプション型のSaaS事業は、一度契約を獲得すると低い限界コストで収益が積み上がります。解約率0.92%という低水準が安定収益の土台になっています。

SaaS指標の確認

指標

2025年12月期実績

前年比

ARR(年間経常収益)

51.8億円

+9.4%

契約数

939件

+5.2%

平均月額利用料

46.0万円

+4.1%

月次解約率

0.92%

—

ストック比率

81.6%

—

出典: ヤプリ 2025年12月期 決算説明資料(2026年2月開示)

SaaS企業の健全性を測る主要指標を確認すると、月次解約率0.92%はSaaS業界の中でも低水準であり、顧客の定着力の高さがうかがえます。ARR成長率+9.4%はやや控えめですが、ARPU(平均月額利用料)の上昇がARRを押し上げており、「量」だけでなく「質」の成長が進んでいます。

2026年12月期 第2四半期決算の進捗

2026年12月期に入っても増収増益が続いています。第1四半期(1〜3月)は売上高17.1億円(前年同期比+19.1%)、営業利益4.0億円(同+77.6%)、第2四半期累計(1〜6月)では売上高33.8億円(同+15.8%)、営業利益6.5億円(同+44.5%)、純利益6.4億円(同+42.9%)と、売上高・営業利益ともに上期として過去最高を更新しました。売上の伸びには、2026年12月期から連結に取り込んだヤプリフードコネクトの寄与も含まれます。

項目

第2四半期累計

前年同期比

通期会社予想

進捗率

売上高

33.8億円

+15.8%

68.0億円

49.6%

営業利益

6.5億円

+44.5%

10.0億円

64.9%

純利益

6.4億円

+42.9%

9.3億円

68.4%

出典:決算短信よりKabuGraph作成。2026年12月期第2四半期(2026年1〜6月累計、連結)。通期会社予想は2026年2月13日開示(8月13日時点で据え置き)

SaaS指標も持ち直しています。第2四半期末のARRは54.8億円(前年同期比+11.5%)と伸び率が2桁に戻り、平均月額利用料は47.0万円(同+3.0%)、解約率(過去12ヶ月平均)は0.90%(第1四半期は0.86%)でした。一方、プロダクト契約数は合計960件(同+7.1%)に増えたものの、主力のアプリ契約数は933件と前四半期比で6件減っており、契約数の増加は新プロダクトが担う形になっています。

通期の会社予想は売上高68.0億円(前期比+12.3%)、営業利益10.0億円(同+13.3%)、純利益9.3億円(同+1.0%)で据え置かれており、上期の進捗率は売上高49.6%、営業利益64.9%と利益面が先行しています。純利益の伸びが小さいのは、繰延税金資産の計上による押し上げが一巡し税負担が通常の水準に戻るためで、営業利益で初めて10億円の大台に乗るかが下期の焦点です。新プロダクトでは、Yappli MobileOrderがリリース後に数件を受注し、Yappli MiniAppはLINEヤフーの「Technology Partner」に認定、Yappli WebXには多言語翻訳AI機能が追加されました。Yappliで構築されたアプリの累計ダウンロード数は2026年6月に3億を突破しています。

投資家が注目すべきポイント

成長ドライバー

  1. マルチプロダクト戦略による成長加速 — Yappli WebXやMobileOrderの投入により、既存顧客へのクロスセルと新規市場の開拓が期待されます。単一プロダクト依存のリスク軽減にもつながります。

  2. 利益率の継続的改善 — ストック売上の積み上がりに伴い、営業利益率は2023年の5.4%から2025年には14.6%まで改善。SaaSの限界利益率が高いビジネス構造により、売上が伸びるほど利益率が加速する局面に入っています。

  3. AI活用による付加価値向上 — プッシュ通知の最適化やデザイン編集のAIアシスト機能を実装しており、顧客のアプリ運用効率を高めることでARPUの引き上げにつなげています。

リスク要因

  1. 売上成長率の再鈍化 — 売上成長率は+36.5%(2021年)→+9.9%(2025年)まで鈍化し、ARRの成長率も1桁台に落ちていました。2026年12月期上期は売上高+15.8%(ヤプリフードコネクトの連結取込を含む)、ARR+11.5%と再加速していますが、主力のアプリ契約数は第2四半期に前四半期比で減少しており、WebXやMiniAppなどの新プロダクトが牽引役に育たなければ再び成長の踊り場に入るリスクがあります。

  2. 競合環境の激化 — ノーコード・ローコード市場は国内外で参入が増えています。大手プラットフォーム(Google AppSheet、Microsoft Power Apps)や国内スタートアップとの競争が激化する可能性があります。

  3. 東証グロース市場の流動性 — グロース市場は機関投資家の参加が限られるため、株価のボラティリティが大きくなりやすい点には注意が必要です。

  4. AI・生成AIによるアプリ開発の民主化 — 生成AIの進化により、プロンプトからモバイルアプリを自動生成するサービスが登場し始めています。現時点ではヤプリの「運用・保守・プッシュ通知最適化まで含むマネージドサービス」としての価値は健在ですが、AI技術がさらに成熟すれば、ノーコードアプリプラットフォーム市場全体の競争環境が変わる可能性があります。ヤプリ自身もAIアシスト機能を積極的に実装しており、脅威を取り込む動きは見せています。

株主還元

2025年12月期には、上場後初の自社株買いと配当を実施しました(年間配当13円=中間6円・期末7円)。2026年12月期の配当予想は当初の年間14円から第1四半期決算時に15円(中間7.5円・期末7.5円)へ引き上げられ、中間配当7.5円は実施済みです。繰越欠損金が2026年度でほぼ解消される見込みであり、2027年度以降は「収益体質の正常化フェーズ」に移行すると会社側は説明しています。黒字定着に伴い、株主還元が本格化する可能性があります。

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まとめ

ヤプリ(4168)は、ノーコードアプリ開発という独自の市場ポジションを築き、上場後の成長投資フェーズを経て収益化フェーズに転換したSaaS企業です。

  • 強み — ストック売上比率81.6%、解約率0.92%の安定した収益基盤。月間3,400万人が利用するプラットフォームのスケール

  • 転換点 — 2023年の営業黒字化、2024年の純利益黒字化を経て、利益率は着実に上昇中(14.6%)

  • 注目点 — 2026年12月期上期は売上高+15.8%と再加速。「マルチプロダクト元年」の成果が下期以降も続き、営業利益10億円の会社予想を達成できるかどうか

  • リスク — 主力アプリ契約数の伸び悩みによる売上成長率の再鈍化、ノーコード市場の競争激化

「赤字SaaS企業」から「利益成長企業」への転換が投資テーマとなる銘柄です。マルチプロダクト戦略の成果と、利益率のさらなる改善が実現するかに注目して見守りたいところです。

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ノーコードでiOS・Androidアプリを開発・運用できるクラウド型プラットフォーム「Yappli」を提供。アパレル・小売・飲食業向けの公式アプリ(マーケティング領域)と、企業の社内ポータル・従業員エンゲージメント向上アプリ(HR領域「UN…

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KabuGraph編集部

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