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ボリンジャーバンドとは|±2σの見方と計算式、バンドに触れても売買サインではない

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ボリンジャーバンドは、移動平均線(中心線)の上下に、同じ期間の終値の標準偏差σの2倍の幅で線を引いたテクニカル指標です。考案者ジョン・ボリンジャーの既定は「20期間の単純移動平均±2σ」で、上下のバンドは今の値段が直近と比べて高いか安いかを、バンドの幅は値動きの大きさを表します。

「±2σの中に95%収まるから、−2σに触れたら買い、+2σに触れたら売り」という使い方は、考案者自身のルールと合いません。考案者は、バンドに触れたこと自体は売買シグナルではないとし、バンドの外で引けたら、まずはその方向に続くサインとみなします。既定の設定でバンドの内側に収まるのは約9割で、KabuGraphが東証上場銘柄で数えても日足87.3%(2026年9〜10月)・月足87.9%(2018〜2026年)でした。

この記事では、計算式と計算例、設定の選び方、「95%」の正しい理解、スクイーズ・バンドウォークなどの形、順張りと逆張りの使い方、三井住友FGの月足での実例、だましと研究結果を、考案者の公式サイトと日本テクニカルアナリスト協会の資料をもとに図解します(2026年10月13日時点)。

この記事の内容(目次)

  1. ボリンジャーバンドとは——移動平均線の上下に「σの2倍」の線を引いた指標
    1. 考案者と名前の由来
    2. バンドで分かる2つのこと
  2. 計算式と計算例——中心線は単純移動平均、σは母標準偏差
    1. 計算例——5日に縮めて手で計算する
    2. %bとバンド幅——位置と幅を数字にする
  3. 期間とσの設定——考案者の既定は20・2σ、ツールによって違う
    1. 日足・週足・月足のどれでも使える
  4. 「±2σの中に95%収まる」は本当?——考案者は約9割、日本株の実測も9割弱
  5. バンドの形の見方——スクイーズ・エクスパンション・バンドウォーク・ボージ
  6. 順張りと逆張りの使い方——考案者は「タッチは売買シグナルではない」
    1. 考案者の使い方——バンドで「位置」を、別の指標で「勢い」を確かめる
    2. 逆張りで使うなら——中心線が横ばいの場面に絞り、撤退の値段を先に決める
    3. 順張りで使うなら——スクイーズの後の抜けと、中心線までの押し
  7. 実際のチャートで見る——三井住友FGの月足
  8. だましと限界——研究結果と、確かめておくこと
    1. だましを減らすために確かめること
  9. よくある質問
    1. ボリンジャーバンドは誰が考えたの?
    2. 期間は20と25のどちらがいい?
    3. ±3σに触れたら反転する?
    4. ボリンジャーバンドだけで勝てる?
    5. エンベロープとの違いは?
  10. まとめ

ボリンジャーバンドとは——移動平均線の上下に「σの2倍」の線を引いた指標

ボリンジャーバンドは、株価のまわりに帯を描くテクニカル指標です。考案者のジョン・ボリンジャー(John Bollinger)は、バンドを「価格が相対的に高いか安いかに答える曲線」と説明しています(John Bollinger「Bollinger Bands」(bollingerbands.com、2026年10月13日閲覧))。線は次の3本が基本です。

  • 中心線(ミドルバンド):20期間の単純移動平均。中期のトレンドの向きを表す

  • 上のバンド(+2σ):中心線+2×σ

  • 下のバンド(−2σ):中心線−2×σ

上下のバンドの間隔は、値動きが大きいときに広がり、小さいときに縮みます。移動平均線を一定の%だけ上下にずらした線(エンベロープ)は幅が固定で相場の変化に合わせて変わらないのに対し、ボリンジャーバンドは標準偏差を使って幅を変える、と考案者は説明しています(同)。日本テクニカルアナリスト協会の用語集も、ボリンジャーバンドを「移動平均と標準偏差で価格変動帯を示す指標」としています(日本テクニカルアナリスト協会「用語集」)。

考案者と名前の由来

  • 1980年〜:ボリンジャーが市場の仕事に専業で就く。オプションを取引していた彼は、表計算ソフトでボラティリティ(値動きの大きさ)が時期によって変わることに気づき、それでバンドの幅を決める発想を得た(John Bollinger「Bollinger Bands」)

  • 1980年代の初め:今の形のバンドを考案(CMT Association「John Bollinger, CMT, CFA」・John Bollinger「Bollinger Band Book」。日本テクニカルアナリスト協会の解説は1980年代半ばごろとしている)

  • その後:テレビ局Financial News Networkで司会者に線の呼び名を聞かれ、とっさに「ボリンジャーバンド」と答えたのが名前の始まり。考案したときにはまだ名前がなかった(John Bollinger「Bollinger Bands」)

  • 2001年:著書『Bollinger on Bollinger Bands』をMcGraw-Hillから出版(CMT Association)。邦訳は『ボリンジャーバンド入門』(パンローリング、2002年1月。国立国会図書館サーチ)

バンドで分かる2つのこと

どちらも「直近20期間と比べて」の話です。上のバンドにいる株が割高という意味ではありません。会社の利益や純資産と比べた割安・割高は、PERやPBRなどの投資指標で測ります。

中心線に使う移動平均線の計算や、5日線・25日線・75日線の使い分けは次の記事で解説しています。

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計算式と計算例——中心線は単純移動平均、σは母標準偏差

ボリンジャーバンドの線は、次の式で計算します。nは期間(既定は20)、kはσの倍率(既定は2)、は各期間の終値です。

σは「母標準偏差」(平均との差の2乗の合計をnで割る)で計算します。考案者は、標準偏差に母集団の計算を使うと明記しています(John Bollinger「Bollinger Bands」)。日本テクニカルアナリスト協会の解説も、ExcelのSTDEV.P関数(母標準偏差)で計算する方法を示しています(日本テクニカルアナリスト協会「科学的手法」(2026年10月13日閲覧))。

模式図(架空の値動き)。計算式は John Bollinger「Bollinger Bands」「Bollinger Band Rules」、日本テクニカルアナリスト協会「科学的手法」よりKabuGraph作成。中心線は20日の単純移動平均、σは20日の終値の母標準偏差

計算例——5日に縮めて手で計算する

式の動きを確かめるため、期間を5日に縮めて計算します(実際の既定は20日)。直近5日の終値が980円・1,000円・1,010円・990円・1,020円だったとします。

  1. 中心線:(980+1,000+1,010+990+1,020)÷5=1,000円

  2. 平均との差の2乗の合計:(−20)²+0²+10²+(−10)²+20²=400+0+100+100+400=1,000

  3. σ:√(1,000÷5)=√200≒14.1円

  4. ±2σ:1,000±2×14.14 → 上のバンド1,028.3円、下のバンド971.7円

最新の終値1,020円は、上のバンドの少し下にあります。同じ5日でも、σをn−1(4)で割る標本標準偏差で計算すると15.8円になり、バンドは968.4円〜1,031.6円に広がります。

%bとバンド幅——位置と幅を数字にする

考案者は、バンドの中のどこに価格があるかを表す%b(パーセントビー)と、バンドの幅を表すバンド幅(BandWidth)も考案しています(John Bollinger「Bollinger Bands」)。

%bは銘柄や値段の水準が違っても同じ物差しで位置を比べられ、バンド幅は値動きが縮んだか広がったかを過去と比べられます。後で見るスクイーズは、このバンド幅で判断します。

期間とσの設定——考案者の既定は20・2σ、ツールによって違う

考案者の既定は「移動平均と標準偏差の計算に20期間、バンドの幅に±2σ」です。ただし考案者は、これはあくまで既定値で、市場や目的によって必要な値は違うとしています(John Bollinger「Bollinger Band Rules」ルール9)。設定を変えるときの決まりも示しています。

  • 期間を変えるなら、σの倍率も変える:同じくらいの割合の値動きをバンドに収めるには、20期間で2σなら、50期間では2.1σ、10期間では1.9σにする(ルール11)

  • 中心線は、売買の交差のためでなく中期のトレンドを表す期間を選ぶ(ルール10)

  • 中心線は単純移動平均:σの計算に単純平均を使うので、論理をそろえるため(ルール12)。指数平滑移動平均を使う版もあり、その場合は中心線とσの両方に指数平滑を使う(ルール13)

証券会社やチャートのツールは、既定の期間や表示する線がそれぞれ違います(2026年10月13日閲覧)。

ツールが違えば、同じ銘柄・同じ日でも線の位置は少しずつ違います。「−2σにタッチした」といった話を自分のチャートで確かめるときは、期間・σの倍率・計算に使う価格をそろえましょう。

日足・週足・月足のどれでも使える

考案者は、5分足・1時間足・日足・週足など、どの長さの足にも使えるとしています。条件は、1本の足に値段が決まる様子が十分に表れるだけの売買があることです(John Bollinger「Bollinger Band Rules」ルール21)。売買の少ない銘柄なら日足が下限かもしれない、とも書いています(John Bollinger「Bollinger Bands Squeeze Package for TradeStation」)。

新株落ちとは|株価が分割比率で下がる日と、新株をもらえる最終日
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新株落ちは、株式分割などで新株を受け取る権利が付かなくなること。基準日の前営業日(権利落ち日)から株価は分割比率で割った水準になり、新株をもらうには2営業日前の権利付最終日までに買う。2026年9月29日は制度信用の調整対象だけで53銘柄が新株落ちした。

「±2σの中に95%収まる」は本当?——考案者は約9割、日本株の実測も9割弱

「±2σの中に95%」は、データが正規分布に従うときの性質です。正規分布なら、平均±1σの内側に68.3%、±2σに95.4%、±3σに99.7%が入ります。日本テクニカルアナリスト協会の解説も、価格が移動平均を中心に正規分布すると仮定すれば約95%が±2σに収まる、と前提つきで書いています(日本テクニカルアナリスト協会「科学的手法」)。

考案者自身は、標準偏差を使っているからといって統計的な前提を置くな、としています。証券価格の分布は正規分布ではなく、ふつう使う20前後の期間では統計的に意味のある大きさに足りないためで、既定の設定で実際にバンドの内側にあるのは95%ではなく約90%だと書いています(John Bollinger「Bollinger Band Rules」ルール14)。

日本テクニカルアナリスト協会の解説も、価格が±2σの範囲にどのくらい入るかを実測すると85%程度しか入らない、としています(日本テクニカルアナリスト協会「科学的手法」)。

KabuGraphが東証上場銘柄の終値で数えても、±2σの内側で引けたのは日足で87.3%、月足で87.9%でした。±1σの内側はどちらも5割を切り、正規分布の68.3%を大きく下回ります。

ボリンジャーバンドの内側で引けた割合(正規分布の理論値と日本株の実測)

出典:東証株価よりKabuGraph算出。2026年10月13日時点で上場している株式(ETF・REITを除く)。日足は3,551銘柄の2026年9月15日〜10月13日の終値(17営業日、5万9,271件)、月足は3,550銘柄の2018年4月〜2026年9月の月末終値(30万2,164件)。中心線は単純移動平均、σは母標準偏差。株式分割を調整。正規分布は理論値
  • 外れ方は上下で偏る:月足(2018〜2026年)では、+2σの上で引けた割合(9.2%)が、−2σの下(2.9%)の約3倍だった。日足(2026年9〜10月)では逆に、−2σの下(6.9%)が+2σの上(5.7%)より多い。偏りの向きは、集計した期間に相場が上げたか下げたかで変わると考えられる(KabuGraphの見方)

  • 相場全体が下げた日は、多くの銘柄がそろって外れる:日足では、東証上場銘柄の74%が前日より下げた2026年10月2日に、17.9%の銘柄が−2σの下で引けた。同じく74%が下げた10月8日も14.6%だった(東証株価よりKabuGraph算出)

「±2σの外に出るのは約4.6%(20回に1回ほど)だから、外に出たら戻るはず」とは考えないことです。外に出る頻度は理屈より高く、しかも相場全体が崩れた日にまとめて起きます。

バンドの形の見方——スクイーズ・エクスパンション・バンドウォーク・ボージ

バンドの形には呼び名がついています。考案者は、バンド幅が周期的に底をつけたところを「スクイーズ(Squeeze)」、山をつけたところを「バルジ(Bulge)」と呼び、スクイーズは新しいトレンドの始まり、バルジはトレンドの終わりが近い可能性を示すとしています(John Bollinger「Bollinger Bands Squeeze Package for TradeStation」)。

日本ではバルジを「ボージ」とも呼びます。楽天証券のツールの説明(2014年6月)は、バンドが最大幅となる部分を「ボージ」としています(楽天証券「マーケットスピードFX バージョン1.4.4」リリース)。

模式図(架空の値動き)。用語は John Bollinger「Bollinger Bands Squeeze Package for TradeStation」「Bollinger Band Rules」、TradingView ヘルプセンター「ボリンジャーバンド (BB)」、楽天証券「マーケットスピードFX バージョン1.4.4」リリース(ボージの呼び名)よりKabuGraph作成。中心線は20日の単純移動平均、σは母標準偏差
  • ①スクイーズ:値動きが小さくなり、バンド幅が縮んだ状態。考案者は「新しいトレンドが生まれる場所」と表現している(同)

  • ②エクスパンション:大きく動き出し、バンドが上下に開く。TradingViewのヘルプは、値動きが小さく横ばいのスクイーズの後に値動きの大きいエクスパンションが続き、その後またスクイーズに戻る循環として説明している(TradingView ヘルプセンター「ボリンジャーバンド (BB)」)

  • ③バンドウォーク:強いトレンドで、終値が上のバンド(下げなら下のバンド)に沿って動き続けること。考案者は、トレンドのある相場では価格が上のバンドを伝って上がり、下のバンドを伝って下がることがあるとしている(John Bollinger「Bollinger Band Rules」ルール7)

  • ④ボージ(バルジ):バンド幅が山をつけたところ。トレンドの終わりが近い可能性を示す(John Bollinger「Bollinger Bands Squeeze Package for TradeStation」)

どの形も、それだけでは売買シグナルではありません。考案者は、スクイーズやバルジは長く続くこともあり、最終的に何をするかは値動きと、%bや出来高系の指標の動きで決めるとしています。また考案者は、スクイーズの後の見せかけの抜けを「ヘッドフェイク(Head Fake)」と呼び、それを見つけるための道具も用意しています(同)。

また、スクイーズはバンドの幅だけを見ているので、上下どちらに動き出すかまでは示しません。抜けた方向は、終値がどちらのバンドの外で引けたかで確かめます。

順張りと逆張りの使い方——考案者は「タッチは売買シグナルではない」

+2σに触れたら売り、−2σに触れたら買い、という使い方は、考案者のルールでは否定されています。考案者は、バンドへのタッチは「タッチであってシグナルではない」とし、上のバンドへのタッチはそれ自体では売りのシグナルではなく、下のバンドへのタッチもそれ自体では買いのシグナルではないとしています(John Bollinger「Bollinger Band Rules」ルール6)。

さらに、バンドの外で引けたら、当初は反転ではなく継続のシグナルとみなします。考案者は、この考え方がボラティリティ・ブレイクアウト(値動きの拡大に乗る)手法の多くの土台になってきたと書いています(同ルール8)。

考案者の使い方——バンドで「位置」を、別の指標で「勢い」を確かめる

考案者は、バンドで決まる相対的な高安と、指標の動きを比べて売買を決めるとしています(ルール1・2)。組み合わせる指標は、モメンタム・出来高・センチメントなどから選び、互いに似た指標は重ねない——モメンタムの指標を2つ使っても1つより良くはならない、としています(ルール3・4)。

公式サイトの例では、価格が上のバンドにタッチしたのに、出来高系の指標(21日のIntraday Intensity)が大きくマイナスだったことから「売りの準備」とし、その後最初に下げた日を売りのシグナルにしています(John Bollinger「Bollinger Bands」)。タッチは準備で、シグナルは別の条件で出すという順番です。

同じページでは、W字の底(ダブルボトム)の例として、2回目の安値をつけたときの%bが、1回目の安値のときよりかなり高かったことを挙げ、その後の上昇トレンドにつながったとしています(同)。考案者はバンドがM字の天井・W字の底の形を見分けるのに使えるとしています(ルール5)。

逆張りで使うなら——中心線が横ばいの場面に絞り、撤退の値段を先に決める

日本テクニカルアナリスト協会の解説は、価格がバンドの間を往復している場面では±1σ・±2σや移動平均が値段の到達のめどになり、±2σを越えたときは、折り返す可能性と新しいトレンドが始まる可能性の両方を考えて警戒する、としています(日本テクニカルアナリスト協会「科学的手法」)。下のバンド付近で買う逆張りに使うなら、少なくとも次の点を確かめます(KabuGraphの見方)。

  • 中心線が横ばいか:中心線がはっきり下を向いているときは、下げのトレンドの途中で、終値が下のバンドに沿って下がり続ける(バンドウォーク)ことがある。トレンドの判定はダウ理論の記事

  • バンド幅が急に広がり始めていないか:スクイーズの直後に下のバンドの外で引けたなら、反転よりエクスパンションの入り口かもしれない

  • 決算や業績修正の直後ではないか:材料で株価の水準そのものが変わったときは、過去20日の散らばりと比べた「安さ」の意味が薄い

  • 撤退の値段:例えば下のバンド付近で買うなら、直近の安値を終値で割ったら手放す、のように先に決め、逆指値で入れておく

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順張りで使うなら——スクイーズの後の抜けと、中心線までの押し

順張りでは、スクイーズの後にバンドの外で引けた方向についていく(考案者のルール8の考え方)ほか、バンドウォークの途中で中心線のあたりまで下げた場面を押し目の候補にする使い方があります。日本テクニカルアナリスト協会の用語集も、移動平均線付近までの下落を押し目の候補として監視する、という例を挙げています(日本テクニカルアナリスト協会「用語集」)。

失敗の形は、スクイーズの後の見せかけの抜け(ヘッドフェイク)と、バンドウォークの終わり(終値が中心線を割る、バンド幅が山を越えて縮み始める)です。どこで手放すかを、買う前に決めておきます。勢いに乗る売買で守ること(損切りの値段と買う金額)はモメンタムチンパンジーの記事でも扱っています。

上昇トレンドの途中の下げで買う「押し目買い」の見つけ方と損切りの置き方は、次の記事で解説しています。

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押し目買いは、上昇トレンドの途中の一時的な下げ(押し目)で買うこと。前提は高値と安値の切り上げ。目安は移動平均線・前の高値・上げ幅の1/3〜2/3で、押し目の安値を割ったら下落の始まりを疑う。損切りの置き方と株数の計算例も図解。

実際のチャートで見る——三井住友FGの月足

実際の銘柄で、スクイーズからバンドウォークまでの流れを見てみます。下の図は、三井住友フィナンシャルグループ(8316)の月末の終値から、20か月・±2σのボリンジャーバンドを計算したものです。月足でも、考案者のいう「どの長さの足にも使える」は同じです。

出典:東証株価よりKabuGraph算出(月末の終値、2021年1月〜2024年12月)。20か月の単純移動平均±2σと+1σ(点線。σは母標準偏差)。株式分割(2024年10月1日 1株→3株、2026年10月1日 1株→2株)を調整し、2026年10月時点の株数で表示
KabuGraphで銘柄詳細を確認する
三
8316銀行

三井住友フィナンシャルグループ

三井住友フィナンシャルグループは、三井住友銀行を中核とする国内3大金融グループの一角。個人・法人向けの預金・貸出・為替を土台に、証券・カード・消費者金融・リース・シンクタンクをグループ内に揃えた総合金融グループを形づくる。事業はホールセール…

  • 2022年9月 スクイーズ:バンド幅は14.9%で、KabuGraphが計算できる2018年4月以降で最も狭くなった

  • 2022年11月 +2σの上で引ける:終値778.8円(分割調整後)で、%bが1を超えた。その後も+2σの近くを上がり続けた

  • 2022年11月〜2024年8月 バンドウォーク:22か月続けて終値が+1σ(図の点線)より上にあった。この間の最高は2024年7月末の1,819.2円で、2024年9月末に+1σを下回った。ここでは、終値が+1σより上にとどまっている状態を、上のバンドに沿った動き(バンドウォーク)とみなしている(KabuGraphの基準)

「+2σに触れたら売り」と決めていたら、2022年11月の778.8円で手放していたことになります。2026年9月末の終値は3,471円でした。価格はいずれも、2024年10月1日の1株→3株(三井住友フィナンシャルグループ 2024年5月15日のお知らせ)と2026年10月1日の1株→2株(同 2026年9月15日の基準日公告)の分割を調整した、2026年10月時点の株数での値です。

三井住友FGの事業と業績は次の記事で分析しています。

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だましと限界——研究結果と、確かめておくこと

バンドの外に出たことだけで、その後の上げ下げはほとんど読めません。KabuGraphが2018年4月〜2026年3月の月末を起点に月足で数えると、+2σの上で引けた後に6か月後の終値が高かったのは52.6%、−2σの下で引けた後は55.2%で、すべての月末を起点にした場合(50.7%)と大きくは変わりませんでした。

月末の終値の位置

回数

6か月後に高かった割合

+2σの上

25,626

52.6%

−2σの下

8,439

55.2%

すべての月末

281,226

50.7%

出典:東証株価よりKabuGraph算出。2026年10月13日時点で上場している株式(ETF・REITを除く)の月末終値。2018年4月〜2026年3月の月末を起点に、6か月後(2026年9月末まで)の月末終値と比較。20か月・±2σ、σは母標準偏差。株式分割を調整、配当・売買コストは含まない。同値は「高かった」に含めない

−2σの下で引けた8,439回は、2018年12月(862回)と2020年3月(732回)の2か月だけで約19%、多い順に5か月で約31%を占めます。多くの銘柄が一斉に下げた少数の月と、その後の戻りが55.2%を押し上げているので、「−2σの下で買えば上がりやすい」とは読まないでください。

研究でも、バンドを売買ルールにした成果ははっきりしません。Leung & Chong(2003)の検証は次のとおりです(Leung & Chong(2003)Applied Economics Letters 10巻6号・同ワーキングペーパー(2002年11月))。

  • データ:G7とアジアの4市場の株価指数の日次の終値。期間は主に1985〜2000年(DAXは1989年9月から、CAC40は1987年7月から)

  • ルール:終値が下のバンドを下から上へ戻ったら買い、上のバンドを上から下へ割ったら売る。バンドの外から戻ったところで売買する逆張り型で、考案者の「バンドの外での引けは当初は継続のシグナル」とは逆の使い方

  • 結論:期間10日・20日・50日では、移動平均から一定の%だけ離したエンベロープの方が成績がよかった。ボリンジャーバンドが上回ったのは250日だけで、論文はボリンジャーバンドはエンベロープを上回らないと結論づけている

  • 日経平均:20日・±2σのルールの年率リターンは−1%(ワーキングペーパー版の表)

  • 前提:取引コストと配当は考慮していない

考案者自身も、ボリンジャーバンドは常に助言を与えるものではなく、勝ち目のありそうな局面を見つける手助けをするものだとしています(John Bollinger「Bollinger Band Rules」ルール22)。

だましを減らすために確かめること

  • 終値で判断する:考案者のルールが見ているのは「バンドの外での引け」(ルール8)。取引時間中に一時+2σを超えても、引けでバンドの中に戻れば、上ヒゲの長いローソク足になる

  • 似た指標を重ねない:勢いを測る指標どうしを重ねても確認にならない。勢いの指標なら出来高の指標と組み合わせる(ルール4)

  • 長い足と向きを合わせる:日本テクニカルアナリスト協会の用語集は、週足で大局を確認し、日足で売買のタイミングを詰める使い方を例に挙げている(日本テクニカルアナリスト協会「用語集」)

  • 決算発表・権利落ち・分割の日を外して読む:株価の水準が材料や権利落ちで変わった日の動きは、過去20日の散らばりと比べる意味が薄い(KabuGraphの見方)

ローソク足の実体とヒゲの読み方は、次の記事で図解しています。

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ローソク足は1本で始値・高値・安値・終値を表し、実体は始値から終値、ヒゲの先が高値・安値。陽線・陰線は始値との比較で前日比とは別。十字線・包み足・窓など1本・2本の形と、出た位置で意味が逆になる形、だましの注意点を図解。

RSIやMACDと組み合わせるときも、考案者のルール4が目安になります。日本テクニカルアナリスト協会の指標一覧は、RSIを勢い・過熱感を測るオシレーター系、MACDをトレンドと勢いを同時に見る指標、ボリンジャーバンドを値動きの大きさを見るボラティリティ系に分けています(日本テクニカルアナリスト協会「テクニカル指標一覧」)。RSIとMACDのように勢いを測る指標を2つ重ねても確認は増えないので、勢いの指標を1つ選び、出来高の指標と組み合わせます。

MACDは、2本の指数平滑移動平均の差からトレンドの勢いを見る指標です。ボリンジャーバンドで位置を、MACDで勢いを見るといった役割の分け方は次の記事で扱っています。ローソク足の組み合わせ(酒田五法)と合わせて見る方法もあります。

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よくある質問

ボリンジャーバンドは誰が考えたの?

米国のジョン・ボリンジャーが1980年代の初めに考案しました(CMT Association)。オプションを取引していたときに、ボラティリティが時期によって変わることに気づき、それをバンドの幅に使ったと本人が説明しています(John Bollinger「Bollinger Bands」)。

期間は20と25のどちらがいい?

考案者の既定は20ですが、市場や目的によって必要な値は違うともしています(ルール9)。国内のツールには、楽天証券「マーケットスピード」のように25日を使うものもあります(楽天証券「マーケットスピード オンラインヘルプ」)。中期のトレンドを表す期間を選び、期間を長くするならσの倍率を少し大きく、短くするなら少し小さくします(John Bollinger「Bollinger Band Rules」ルール10・11)。

±3σに触れたら反転する?

決まって反転するわけではありません。正規分布なら±3σの外は0.3%ですが、日足の実測(2026年9〜10月)では1.2%の終値が±3σの外にありました(東証株価よりKabuGraph算出)。考案者の「タッチはシグナルではない」(ルール6)は±3σにも当てはまります。

ボリンジャーバンドだけで勝てる?

勝てるとは言えません。G7とアジアの株価指数で逆張り型のルールを試した1985〜2000年の検証ではエンベロープを上回らず(Leung & Chong 2003)、日本株の月足でもバンドの外に出た後の6か月の上げ下げはほぼ半々でした。考案者も、組み合わせる指標と値動きで判断する道具だとしています。

エンベロープとの違いは?

エンベロープ(パーセントバンド)は移動平均を一定の%だけ上下にずらした線で、幅は固定です。ボリンジャーバンドは標準偏差を使い、値動きの大きさに合わせて幅が変わります(John Bollinger「Bollinger Bands」)。

まとめ

  • ボリンジャーバンドは、20期間の単純移動平均の上下に±2σ(母標準偏差)の線を引いた指標。位置は相対的な高安、幅は値動きの大きさを表す

  • 考案者のルールでは、バンドへのタッチは売買シグナルではない。バンドの外で引けたら、まずは継続のサインとみる

  • ±2σの内側は95%ではなく約9割。日本株の実測も日足87.3%・月足87.9%で、相場全体が下げた日にはまとめて外れる

  • スクイーズ・エクスパンション・バンドウォーク・ボージは流れの読み方で、どれもそれだけではシグナルではない

  • 逆張りは中心線が横ばいの場面に絞り、順張りはヘッドフェイクに備える。どちらも撤退の値段を先に決める

  • ツールで期間・σ・計算に使う価格が違い、分割を調整していないチャートではバンドが崩れる。設定を確かめてから読む

コラム著者・編集者

K

KabuGraph編集部

KabuGraph編集部は、投資情報の発信と株式分析ツールの開発に携わるチームです。日本株・米国株の事業分析から、投資に役立つ情報をわかりやすくお届けします。

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