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押し目買いとは|押し目の目安と、下落の始まりとの見分け方

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押し目買いとは、上昇トレンドの途中で株価が一時的に下がったところ(押し目)で買うことです。上がり続けている株を高値で追いかけず、上昇が続く前提で、少しでも安く買おうとする売買です。

押し目かどうかは、高値と安値の切り上げが続いているか(前提)、どこまで下げたか(移動平均線・前の高値・上げ幅の3分の1〜3分の2)、下げ止まった跡があるか(出来高・下ヒゲ)の順に確かめます。そして、押し目の安値を割ったら、押し目ではなく下落の始まりを疑って損切りします。

この記事では、押し目買いの意味、ナンピン・逆張りとの違い、押し目の目安、買う場所と損切りの置き方(株数の計算例つき)、失敗の形、格言「押し目待ちに押し目なし」、研究で分かっていることを、日本取引所グループ(JPX)と日本テクニカルアナリスト協会の資料をもとに図解します(2026年10月13日時点)。

この記事の内容(目次)

  1. 押し目買いとは——上昇トレンドの途中の一時的な下げで買う
    1. 反対は「戻り売り」——下降トレンドの一時的な戻りで売る
  2. ナンピン・逆張りとの違い——前提にする流れと、下がったときの対応
    1. 押し目を待たず、高値を更新したところで買う方法もある
  3. 押し目の見つけ方——5つの目安
    1. ①まず上昇トレンドかを確かめる——高値と安値の切り上げ
    2. ②移動平均線まで下げて反発したか
    3. ③前の高値まで下げたか——上抜けた抵抗線が支えに変わる
    4. ④上げ幅の何割まで押したか——3分の1〜3分の2、38.2%・50%・61.8%
    5. ⑤下げ止まりの跡——出来高とローソク足
  4. 買う場所と損切りの置き方——押し目の安値と、上げの起点
    1. 計算例:損切りの幅から株数を決める
    2. 損切りは逆指値で、買ったらすぐ入れる
  5. 押し目買いの失敗の形——下落の始まりを押し目と取り違える
    1. 転換のサイン——戻りが直近の高値に届かず、直前の安値を割る
    2. 押し目に見えて、押し目ではない下げ
  6. 「押し目待ちに押し目なし」——待ちすぎると買えない
  7. 押し目買いは儲かる?——研究で分かっていること
  8. 実際のチャートで確かめる手順
  9. よくある質問
    1. 押し目買いは順張り?逆張り?
    2. 何%下がったら押し目?
    3. 押し目買いと戻り売りの違いは?
    4. 押し目買いで見る移動平均線は何日線?
    5. 信用取引で押し目買いをしてもいい?
  10. まとめ

押し目買いとは——上昇トレンドの途中の一時的な下げで買う

JPXの用語集は、押し目買いを「価格が上昇傾向にある中で、一時的に価格が下落することがありますが、その際に買付けを行うこと」と説明しています(日本取引所グループ「用語集:押し目買い」、2026年10月13日閲覧)。上げ相場の中の一時的な下げが「押し目」、その下げで買うのが「押し目買い」です。

  • 押す・下押す:相場が下がること。上げ相場が一時的に下がることを「押し目」という(大和証券「金融・証券用語解説:押し目」、2026年10月13日閲覧)

  • 押し目待ち・押し目狙い:押し目が来たら買おうと待っていること(同)

  • 深押し:押しが大きく、下げの流れがはっきりした状態(同)。押し目のつもりが深押しになったら、前提を疑う

ほとんどの場合、株価はある程度上がると、利益が出た人の売り(利食い売り)などで一時的に下がる場面が出てきます(大和アセットマネジメント「iFreeETF 用語集:押し目買い」、2026年10月13日閲覧)。この一休みを狙って買うのが押し目買いです。

日本テクニカルアナリスト協会(NTAA)の用語集は、押し目を「上昇トレンド中の一時的な下落局面」とし、上昇トレンドを「高値・安値が切り上がる価格推移」と定義しています(日本テクニカルアナリスト協会「用語集」、2026年10月13日閲覧)。つまり、押し目買いは「高値も安値も切り上がっている」という前提の上でだけ成り立つ売買です。

出典:日本取引所グループ「用語集:押し目買い」、日本テクニカルアナリスト協会「用語集」、大和証券「金融・証券用語解説:戻り売り」よりKabuGraph作成。模式図(架空の値動き)。25日移動平均線は図中の終値の単純移動平均

反対は「戻り売り」——下降トレンドの一時的な戻りで売る

押し目買いの反対が戻り売りです。大和証券の用語解説は、戻り売りを「値下がりした株価が上昇に転じ、値を戻したところで売ること」とし、「やれやれの売り」「戻り待ちの売り」も同じ意味としています(大和証券「金融・証券用語解説:戻り売り」)。NTAAの用語集は、戻りを「下降トレンド中の一時的な反発局面」としています。

下げの途中で買った人の売りが戻りで出てくるので、下降トレンドの株は、戻っても上値が重くなりやすいと読むこともできます(KabuGraphの見方)。下降トレンドの株の一時的な上げを「押し目からの反発」と取り違えないようにしましょう。

ナンピン・逆張りとの違い——前提にする流れと、下がったときの対応

「下がったところで買う」点では、押し目買いはナンピンや逆張りと似ています。違いは前提にしている流れと、買った後にさらに下がったときにどうするかです(定義はJPXの用語集、きっかけと下がったときの対応はKabuGraphの整理)。

  • 前提にする流れ

  • 買うきっかけ

    • 押し目買い:上昇の途中の下げが、目安の近くで止まったこと

    • ナンピン:持っている株の値下がり

    • 逆張り:下げ続けて「下がりすぎ」と見たこと

  • 買った後にさらに下がったら

    • 押し目買い:押し目の安値を割れば前提が崩れたので、売る

    • ナンピン:さらに買い増すこともある。回数と撤退の値段を決めていないと損が膨らむ

    • 逆張り:どこで下げ止まるかの根拠が弱いので、撤退の値段を先に決めておく必要がある

JPXの用語集は、上昇傾向のときに買い、下落傾向のときに売るのを順張り、下落傾向のときに買い、上昇傾向のときに売るのを逆張りとしています(日本取引所グループ「用語集:順張り」・「逆張り」)。押し目買いは、大きな流れ(上昇トレンド)に沿って買う点では順張りです。ただ、買う瞬間は数日の下げに向かうので、短い期間だけを見れば逆張りの形をしています。

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押し目を待たず、高値を更新したところで買う方法もある

押し目を待たずに、直近の高値を上抜けたところで買う方法もあります。逆指値の買い注文(「◯円以上になったら買う」)を使えば、上抜けたときに自動で注文を出せます。SBI証券のFAQも、上昇トレンドを逃さないための買いを逆指値の使い方の例に挙げています(SBI証券「【国内株式】逆指値注文とはどのような注文方法ですか?」、2026年10月13日閲覧)。

押し目買いは「安く買える代わりに、押し目が来ないと買えない」、高値更新の買いは「乗り遅れない代わりに、高く買う」という違いがあります(KabuGraphの見方)。どちらも、外れたときに売る値段を先に決める点は同じです。

押し目の見つけ方——5つの目安

押し目かどうかは、次の5つを順に確かめます。1つだけで決めず、いくつかの目安が同じ値段の近くで重なるところを候補にします。目安ごとに図を入れ、最後に5つを1枚のチャートに重ねた図を載せています。

①まず上昇トレンドかを確かめる——高値と安値の切り上げ

NTAAの用語集は、上昇トレンドを「高値・安値が切り上がる価格推移」とし、安値の切り上げが崩れるまではトレンドが続いていると判断する使い方を挙げています(日本テクニカルアナリスト協会「用語集」)。直近の高値が前の高値を超え、直近の安値が前の安値より上にあるかを確かめます。

出典:日本テクニカルアナリスト協会「用語集」よりKabuGraph作成。模式図(架空の値動き)。高値・安値は取引時間中の値。この章の最後の図と同じ値動きを、より前の期間から押しの途中まで描いたもの。手前の押し(前の高値1,259円→直近の安値1,000円)は直前の上げ幅の3分の2を超えた(約84%)が、安値の切り上げは保たれている

日足だけでなく、週足でも確かめます。同じ用語集は、時間軸の使い方の例として「週足で大局を確認し、日足で売買タイミングを詰める」を挙げています。高値と安値の切り下げが続いている株の下げは、押し目ではありません。トレンドの定義と、上昇から下降への転換の判定(ダウ理論)は次の記事で図解しています。

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②移動平均線まで下げて反発したか

NTAAの用語集は、押し目の使い方の例として「移動平均線付近までの下落を押し目候補として監視する」を挙げています。移動平均線は一定期間の終値の平均をつないだ線で、日足では5日・20日または25日・75日・200日がよく使われます(日本テクニカルアナリスト協会「科学的手法(検証可能な手法)」、2026年10月13日閲覧)。押し目の形は、次の2つです。

  • 上向きの移動平均線の手前まで下げて、割らずに反発する

  • 上向きの移動平均線を一時的に割り込み、すぐ上に戻る(線は上向きのまま)

出典:日本テクニカルアナリスト協会「用語集」「科学的手法(検証可能な手法)」、OANDA証券「グランビルの法則の買いサイン2・売りサイン6を使った取引手法」「買いサイン3・売りサイン7を使った取引手法」よりKabuGraph作成。模式図(架空の値動き)。移動平均線は図中の終値の25日単純移動平均

OANDA証券は、グランビルの法則の買いのサインのうち、一時的に割り込んで戻る形を買いサイン2、割らずに反発する形を買いサイン3とし、どちらもトレンドの途中で押し目を作ってから元のトレンドに戻る形と説明しています(OANDA証券「グランビルの法則の買いサイン2・売りサイン6を使った取引手法」・「買いサイン3・売りサイン7を使った取引手法」、2026年10月13日閲覧)。法則の番号の振り方は資料によって違います。

どの期間の線で止まるかは、銘柄と時期で違います。NTAAも、最適な計算期間は分析対象によって異なり、同じ銘柄でも年によって大きく異なるとしています。また単純移動平均は、理屈の上で計算期間の半分だけ遅れるので(同)、急に上がった後は株価と線の間が大きく開き、線に届く前に下げ止まることもあります。移動平均線の計算方法と8つの売買の形は、次の記事で扱っています。

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移動平均線を中心にしたボリンジャーバンドで中心線のあたりまでの押しを候補にする使い方はボリンジャーバンドの記事、押し目でMACDがどう動くかはMACDの記事で扱っています。

③前の高値まで下げたか——上抜けた抵抗線が支えに変わる

上昇の途中で一度止められた高値(抵抗線)を上抜けた後は、その値段が、下げたときの支え(支持線)になることがあります。OANDA証券の解説は「上値を抑えていたレジスタンスラインを上抜けると、今度は下値を支えるサポートラインの役割に切り替わります」としています(OANDA証券「市場参加者に意識されるサポートラインとレジスタンスライン」、2026年10月13日閲覧)。

NTAAの用語集は、支持線を「過去に下値を支えた実績があり、買い需要が入りやすいと認識される価格帯」とし、押し目買いの候補の水準や、明確に下回ると前提が崩れる損切りの線として使う例を挙げています。前の高値は押し目の候補であると同時に、割れたら撤退を考える線でもあります。

安値同士を結んだ上昇トレンドラインまでの下げも、押し目の候補になります(三菱UFJ eスマート証券「『押し目買い』で利益を狙うために知っておきたいこと」)。この線は、割れたら転換のシグナルの1つとしても使われます(日本テクニカルアナリスト協会「用語集」)。次の図の右がこの形です。

出典:OANDA証券「市場参加者に意識されるサポートラインとレジスタンスライン」、日本テクニカルアナリスト協会「用語集」、三菱UFJ eスマート証券「『押し目買い』で利益を狙うために知っておきたいこと」よりKabuGraph作成。模式図(架空の値動き)

④上げ幅の何割まで押したか——3分の1〜3分の2、38.2%・50%・61.8%

押しの深さは、高値からの下落率ではなく、直前の上げ幅に対する割合で測ります。目安としてよく引かれるのは次の2つです。

  • ダウ理論の二次トレンド:1〜数年続く主要なトレンドの揺り戻しで、数週間〜数か月反対方向に動き、それまでの変化幅の1/3〜2/3を逆行するとされる(日本テクニカルアナリスト協会「伝統的理論」、2026年10月13日閲覧)。同じ説明は、3週間未満の動きを小さなトレンド(マイナートレンド)としている。日足の数日〜2週間ほどの押しに1/3〜2/3を当てはめるのは、目安を借りて使っていることになる

  • フィボナッチ比率:押し・戻り・目標値の目安として、黄金分割に近い38.2%・50.0%・61.8%などを使う(日本テクニカルアナリスト協会「用語集」)

計算例(前提:上げの起点1,000円から高値1,500円まで上げた架空の例。上げ幅は500円)

比率

押しの目安
(円)

1/3

1,333

38.2%

1,309

50%

1,250

61.8%

1,191

2/3

1,167

上げの起点1,000円・高値1,500円の架空の例。比率は日本テクニカルアナリスト協会「伝統的理論」「用語集」より。KabuGraph算出(1円未満は四捨五入)
出典:日本テクニカルアナリスト協会「伝統的理論」「用語集」よりKabuGraph作成。架空の例(上げの起点1,000円・高値1,500円・押し目の安値1,222円はこの章の最後の図と同じ)。KabuGraph算出(株価は1円未満、下落率は小数第2位を四捨五入)

⑤下げ止まりの跡——出来高とローソク足

ダウ理論には「トレンドは出来高でも確認されなければならない」という考え方があり、上昇トレンドでは上げる場面で出来高が増えるとされます(日本テクニカルアナリスト協会「伝統的理論」)。NTAAの用語集も、出来高を勢いの裏付けの確認に使うとしています。押し目では、次の2点を見ます。

  • 押しの間に出来高が細っているか:ダウ理論の考え方に沿えば、上昇トレンドの中の押しでは出来高が細り、上げに戻る日に増えるのが自然な形(KabuGraphの見方)。大きな出来高を伴って下げているなら、それだけ多くの売りが出た跡

  • 下ヒゲの長い足や、前の日の高値を超える陽線が出たか:下ヒゲは下値で買い圧力が強まった際に現れる(大和証券「金融・証券用語解説:下ヒゲ」)。ただし、ローソク足の形の意味は、出た位置と次の足で確かめる

出典:日本テクニカルアナリスト協会「伝統的理論」「用語集」、大和証券「金融・証券用語解説:下ヒゲ」よりKabuGraph作成。模式図(架空の値動きと出来高)。左の値動きはこの章の最後の図と同じ。出来高の見方は、ダウ理論の考え方に沿ったKabuGraphの見方
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ローソク足は1本で始値・高値・安値・終値を表し、実体は始値から終値、ヒゲの先が高値・安値。陽線・陰線は始値との比較で前日比とは別。十字線・包み足・窓など1本・2本の形と、出た位置で意味が逆になる形、だましの注意点を図解。

5つの目安を1枚のチャートに重ねると、次のようになります。

出典:日本テクニカルアナリスト協会「用語集」「伝統的理論」「科学的手法(検証可能な手法)」、OANDA証券「市場参加者に意識されるサポートラインとレジスタンスライン」よりKabuGraph作成。模式図(架空の値動き)。移動平均線は図中の終値の単純移動平均、押しの目安は上げの起点1,000円・高値1,500円から計算。高値・上げの起点・押し目の安値は取引時間中の値、前の高値1,250円はその日の終値

図では、押しは前の高値と50%押しが重なる1,250円の近くで止まりました(安値1,222円)。一方で、25日線は途中で割り込み、61.8%押しと75日線までは下げていません。どの目安で止まるかは、止まった後にしか分かりません。だから、次の章のとおり、買う前に「どこを割ったら押し目ではなかったと認めるか」を決めておきます。

買う場所と損切りの置き方——押し目の安値と、上げの起点

押し目買いでは、買う前に「どこを割ったら押し目ではなかったと認めるか」を決め、その値段で損切りします。候補は2つあります。

  • 押し目の安値(図の1,222円):ここで下げ止まったことが買いの根拠。割れたら「ここが押し目」という読みが外れた。損切りの幅は狭い

  • 上げの起点の安値(図の1,000円):直前の上昇が始まった安値。割れたら安値の切り上げが崩れ、上昇トレンドの前提そのものが崩れる(日本テクニカルアナリスト協会「用語集」)。損切りの幅は広い

買う値段の決め方にも、2通りあります。

  • 下げている途中で、指値で待つ:安く買える代わりに、どこで止まるか分からないまま買う。損切りの目印は上げの起点など遠くになりやすい

  • 下げ止まりを確かめてから買う:下ヒゲの足の翌日に、その足の高値を超えたところなど。買値は上がるが、押し目の安値という近い損切りの目印ができる

計算例:損切りの幅から株数を決める

前提:資金300万円、1回の売買で失ってよい額を資金の1%(3万円)とする。押し目の安値1,222円から反発した翌日に、1,290円で買う(上の図の例)。

項目

押し目の安値の下

上げの起点の下

損切りの値段

1,220円

990円

1株あたりの損失

70円

300円

株数(100株単位)

400株

100株

買う金額

51.6万円

12.9万円

損切りでの損失

2.8万円

3.0万円

資金300万円、1回で失ってよい額3万円(資金の1%)、買値1,290円の架空の例。株数は3万円÷1株あたりの損失を100株単位に切り捨てた。手数料・税は含めない。KabuGraph算出

損切りの幅を広く取るほど、同じ損失の上限で持てる株数は減ります。この例では、広い損切りは小さな揺れで売らされにくい代わりに、株数が4分の1になります。直近の高値1,500円まで戻ったときの利益は1株210円で、狭い損切りなら損失の3倍、広い損切りなら0.7倍です。

資金の何%までを1回の損失の上限にするかは、自分の資金と経験に合わせて決めます。資金管理から損切りの幅と株数を決める考え方は、次の記事でも扱っています。

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損切りは逆指値で、買ったらすぐ入れる

逆指値の売り注文は、株価があらかじめ決めた値段まで下がったら、売り注文を出す注文です。決めた値段に届くまでは取引所に注文が出ない仕組みで(SBI証券「【国内株式】逆指値注文とはどのような注文方法ですか?」、2026年10月14日閲覧)、証券会社が株価を見て発注します。

同じFAQは、成行の逆指値は指定した値段以下で約定することがあり、指値の逆指値は約定しないことがあるとしています。使える市場や発動の条件は証券会社ごとに違い、SBI証券では注文する市場が名証・福証・札証の場合は使えません(同)。

押し目の安値のすぐ下は、ザラ場の一瞬の値動きで届くことがあります。どこまで離すかは、その株のふだんの1日の値幅を見て決めます(KabuGraphの見方)。

ダウ理論では、押し安値を割ったかどうかを終値で判断します(ダウ理論の記事)。一方、逆指値は取引時間中の値段で発動するので、ヒゲだけで売らされることがあります。それを避けたいなら「終値で押し目の安値を割ったら、翌朝に売る」と決める方法もありますが、翌朝の値段は選べません。ザラ場の逆指値か終値の判定かは、買う前に決めておきます(KabuGraphの見方)。

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押し目買いの失敗の形——下落の始まりを押し目と取り違える

押し目買いでいちばん痛い失敗は、下落の始まりを押し目と取り違えることです。大和アセットマネジメントの用語集も、その時点が上昇の中の一休みなのか下降の始まりなのかの見極めは容易ではないとしています(大和アセットマネジメント「iFreeETF 用語集:押し目買い」)。

出典:日本テクニカルアナリスト協会「伝統的理論」「用語集」、SBI証券「【国内株式】逆指値注文とはどのような注文方法ですか?」よりKabuGraph作成。模式図(架空の値動き)。線は終値。押し目の安値1,222円はその日の取引時間中の安値(終値は1,262円)

転換のサイン——戻りが直近の高値に届かず、直前の安値を割る

NTAAは、ダウ理論で上昇トレンドが下降に転じたと判断する場面を、下げた後の戻りの頂が前のピークに届かず、再び下げて直前の谷底を下回ったとき、と説明しています(日本テクニカルアナリスト協会「伝統的理論」)。図の右がこれにあたります。

図の右のように、戻りが高値1,500円に届かないまま押し目の安値を割った場合、押し目の安値で損切りしていれば、転換の判定が出たところで手放していることになります。この例では、逆指値が発動した日の終値(1,215円)でも押し目の安値1,222円を割っているので、終値で判定しても同じ日になります。損切りせずに持ち続けると、上げの起点も割り、上昇の分をすべて失います。

押し目に見えて、押し目ではない下げ

  • 悪材料で下げた:決算や業績予想の下方修正などで下げたときは、上がっていた理由そのものが変わったかもしれない。下げ始めた日に会社の開示が出ていないかを確かめる(KabuGraphの見方)

  • 相場全体の急落:日経平均株価やTOPIXごと大きく下げた日は、その銘柄のチャートの目安より、相場全体の売りで値段が決まりやすい。銘柄のチャートより先に、指数の下げが止まるかを見る(KabuGraphの見方)

  • 配当落ち・権利落ちの日の下げ:配当落ち日の株価は配当相当額分下がり(日本取引所グループ「用語集:配当落」)、株式分割では株価が分割比率に応じて理論上下がる(同「用語集:株式分割」、いずれも2026年10月14日閲覧)。売りに押された下げではないので、押し目と見誤らない。分割を調整していないチャートでは、上げ幅の割合も正しく測れない

  • 長い足では下降トレンド:日足では押し目に見えても、週足では高値・安値の切り下げの中の戻りにすぎないことがある

  • 押しが深すぎる:上げ幅の3分の2を超える下げは、ダウ理論の二次トレンドの目安(1/3〜2/3)を超えている(日本テクニカルアナリスト協会「伝統的理論」)。大和証券の用語解説がいう「深押し」に近い

  • 信用の買い残が積み上がっている:信用取引で買った人は、借りた買付資金を期限までに返済しなければならない(日本取引所グループ「用語集:信用取引残高」)。制度信用取引の返済の期限は最長6か月(2026年10月時点、日本取引所グループ「信用取引制度の概要」、2026年10月14日閲覧)。買い残が膨らんだ株は、下げたときに返済の売りが重なりやすい(KabuGraphの見方)

  • 安値を割っても持ち続ける・買い増す:押し目買いが、塩漬けや前提の崩れた株へのナンピンに変わる

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「押し目待ちに押し目なし」——待ちすぎると買えない

東海東京証券の用語集は、「押し目待ちに押し目なし」という格言を、押し目を待っていると、予想に反して押し目を作らずに株価が上昇してしまい、投資の好機を逃すことが多いという意味だとしています(東海東京証券「証券用語集:押し目待ち」、2026年10月13日閲覧)。

同じ用語集は、上昇相場では上がる勢いが強いため押し目のチャンスが少ないこともあるとし、上昇の初期段階での押し目は積極的に買うべきだという「初押しは買い」の格言も紹介しています。

待ちすぎないための方法は、次のとおりです。

  • 一部だけ先に買う:予定の株数の一部を今買い、押し目が来たら残りを買う。格言の「二度に買うべし、二度に売るべし」と同じ考え方

  • 高値更新で買う:押し目が来ないまま直近の高値を上抜けたら、そこで買う(逆指値の買い)。そのときも損切りの値段を先に決める

  • 見送る:押し目が来なかった株を追いかけない、という選択もある

一方で、待っていた押し目が来たことは、買う理由にはなりません。押しが深くなるほど、前の章の「下落の始まり」の形に近づきます。格言は待ちすぎを戒めるもので、押し目の安値で撤退する決まりと組にして使います(KabuGraphの見方)。

「二度に買うべし」をはじめ、相場格言の意味と使い分けは次の記事にまとめています。

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押し目買いは儲かる?——研究で分かっていること

押し目買いは、「上昇トレンドが続く」ことに賭ける売買です。続くかどうかについて、上がった株がその後も上がるかを調べた研究(モメンタムの研究)は、日本株には厳しい結果を出しています。

  • 日本株では「上がった株がその後も上がる」傾向が弱い:Fama & French(2012)は北米・欧州・日本・アジア太平洋の4地域の株式を1990年11月〜2011年3月について調べ、過去約1年(直近1か月を除く11か月)の騰落率で見た勝ち組がその後も負け組を上回る傾向(モメンタム)は、日本を除くすべての地域にあると報告しました(Fama & French(2012)Journal of Financial Economics 105巻3号)。多数の銘柄を勝ち組と負け組に分けて比べたもので、1つの銘柄の上昇が続くかや、数日の押しを調べたものではない

  • 値動きがランダムでもトレンドは現れる:NTAAは、乱数で作った疑似株価にもトレンドのような動きが現れることを示し、価格の動きがランダムでもトレンドが存在する限り、テクニカル分析が有効性を発揮するチャンスがあるとテクニカルアナリストは考えている、と説明しています(日本テクニカルアナリスト協会「テクニカル分析への批判」)。ただ、乱数の値動きにも押し目のような形は現れるので、後から見れば押し目に見える下げも、その時点で押し目と分かったわけではありません(KabuGraphの見方)

どちらも、押し目買いという売買の方法そのものを検証したものではありません。押し目の決め方(どの線まで、何割まで)次第で成績は変わるので、「押し目買いなら勝てる」と言える根拠はない、というのがKabuGraphの見方です。押し目買いの利点は、当たる確率より、外れたときに撤退する値段(押し目の安値)がはっきりしていることにあります。

日本株で勝ち組と負け組の差を約36年分たどったデータと、勢いで買った株の下げを「押し目」と考えて買い増す失敗の形は、次の記事にまとめています。

モメチン(モメンタムチンパンジー)とは|勢い買いの意味と、日本株で続きにくいモメンタム効果
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モメチン(モメンタムチンパンジー)とは|勢い買いの意味と、日本株で続きにくいモメンタム効果

モメチン(モメンタムチンパンジー)は、株価の勢いだけで上がっている株に飛び乗る買い方を自嘲・揶揄するSNSの俗語。元のモメンタム効果(勝ち組−負け組)は日本株では1990年11月〜2026年8月の累積がほぼゼロで、2026年7月には1か月で−18.3%と逆回転した。

実際のチャートで確かめる手順

証券会社のアプリでチャートを開いたら、次の順に確かめます。

  • 週足で流れを見る:高値と安値が切り上がっているか。切り下がっていれば、押し目買いの対象にしない

  • 日足で押しの深さを測る:直近の上げの起点と高値から、3分の1・半分・3分の2の値段を出しておく

  • 移動平均線と前の高値を重ねる:25日線・75日線や、上抜けた前の高値が、押しの目安の近くにあるか

  • 下げた理由を確かめる:下げ始めた日に、決算発表や業績予想の修正などの開示が出ていないか

  • 下げ止まりの跡を待つ:押しの間に出来高が細ったか、下ヒゲの足や前の日の高値を超える陽線が出たか

  • 損切りの値段と株数を決めてから注文する:押し目の安値の下に逆指値を入れ、株数は「1回で失ってよい額÷損切りの幅」で決める

  • 信用の買い残を見る:銘柄ごとの残高は日本取引所グループ「銘柄別信用取引残高」(2026年10月14日閲覧)で確かめられる。前営業日の申込分が毎営業日16時ごろに掲載される。週1回だった公表は、2026年9月28日から毎営業日になった(松井証券 ニュースリリース(2026年9月25日))

押し目の安値を割ったら、理由を考える前に、決めた値段で手放します。押し目だったかどうかは、そのあと高値を更新したかで後から分かります。

よくある質問

押し目買いは順張り?逆張り?

JPXの用語集の定義では、上昇傾向のときに買い、下落傾向のときに売るのが順張り、下落傾向のときに買い、上昇傾向のときに売るのが逆張りです(日本取引所グループ「用語集:順張り」・「逆張り」)。押し目買いは上昇トレンドに沿って買うので、大きな流れで見れば順張りです。買う瞬間は数日の下げに向かうので、短い期間だけを見れば逆張りの形になります。

何%下がったら押し目?

決まった数字はありません。押しの深さは、高値からの下落率ではなく直前の上げ幅に対する割合で測り、ダウ理論の二次トレンドの1/3〜2/3や、フィボナッチ比率の38.2%・50%・61.8%が目安として使われます(日本テクニカルアナリスト協会「伝統的理論」「用語集」)。目安は複数あるので、移動平均線や前の高値と重なるかで絞ります。

押し目買いと戻り売りの違いは?

押し目買いは上昇トレンドの一時的な下げで買うこと、戻り売りは下降トレンドの一時的な戻りで売ることです。持ち株を戻りで手放す売りのほか、信用取引の空売りで戻りを売ることも戻り売りと呼ばれます。

押し目買いで見る移動平均線は何日線?

日足では5日・20日または25日・75日・200日がよく使われます(日本テクニカルアナリスト協会「科学的手法(検証可能な手法)」)。どの線で止まるかは銘柄と時期で違うので、1本に決めず、前の高値や上げ幅の割合と重なる線を見ます。

信用取引で押し目買いをしてもいい?

できますが、押し目の安値を割ったときに損切りできないと、損失が大きくなるうえ、追証(追加の保証金)を求められ、望まない値段で決済させられることがあります(追証の記事)。信用取引で買うなら、現物以上に、損切りの値段と株数を先に決めておく必要があります。

まとめ

  • 押し目買いは、上昇トレンドの途中の一時的な下げで買うこと。前提は高値と安値の切り上げが続いていること

  • 反対は戻り売り。ナンピン・逆張りとの違いは、前提にする流れと、さらに下がったときに売るか買い増すか

  • 押し目の目安は、移動平均線・前の高値・上昇トレンドライン・上げ幅の1/3〜2/3(38.2%・50%・61.8%)・出来高とローソク足。どれで止まるかは事前に分からないので、重なるところを候補にする

  • 押し目の安値を割ったら損切り。損切りの幅から株数を決め、逆指値を先に入れる。決算の翌朝などは値段を飛び越えることがある

  • いちばん痛い失敗は、下落の始まりを押し目と取り違えてナンピンに変わること。戻りが直近の高値に届かず直前の安値を割るのが、転換のサイン

  • 「押し目待ちに押し目なし」は待ちすぎの戒め。日本株では上がった株がその後も上がる傾向が弱く、押し目買いで勝てる保証はない

コラム著者・編集者

K

KabuGraph編集部

KabuGraph編集部は、投資情報の発信と株式分析ツールの開発に携わるチームです。日本株・米国株の事業分析から、投資に役立つ情報をわかりやすくお届けします。

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