貸借対照表の見方|初心者はどこを見る?純資産・現金と借入金など最初の5か所

貸借対照表は、会社が集めたお金を何に使っているか(左側の資産)と、そのお金をどう集めたか(右側の負債と純資産)を、決算期末の1日時点で並べた表です。初めて読むなら、純資産・現金と借入金など5か所を順に見れば、会社の倒れにくさがおおよそ分かります。
この記事では、貸借対照表の形と主な科目、最初に見る5か所、カプコンと三井不動産の決算短信での読み方、業種による形の違いを解説します。
この記事の内容(目次)
貸借対照表の見方:左は「お金の使い道」、右は「お金の集め方」
貸借対照表(バランスシート、B/S)は、決算期末の時点で会社が何を持っているかと、それをどんなお金でまかなっているかを示す表です。左側が資産の部、右側が負債の部と純資産の部で、右側は上に負債、下に純資産が並びます。
資産:現金、売掛金、在庫、建物や土地、他社の株式など、会社が持っている財産。集めたお金の使い道
負債:借入金・社債や、仕入れ代金の未払い(買掛金)など、いずれ返す・払う必要があるもの
純資産:株主が払い込んだお金(資本金・資本剰余金)と、稼いだ利益の積み上げ(利益剰余金)など、返す必要のないもの
資産合計=負債合計+純資産合計が必ず成り立ちます。同じ資産でも、負債でまかなう割合が大きいほど返済の負担が重い会社です。
流動と固定は「1年」と「本業の流れ」で分ける
資産と負債は、それぞれ流動と固定に分かれます。連結貸借対照表の区分は連結財務諸表規則 第21条・第22条・第36条(e-Gov法令検索)で決まっていて、流動資産・流動負債の範囲は財務諸表等規則 第15条・第47条(e-Gov法令検索)の定めを使います。
流動資産:現金及び預金(1年を超えて期限が来る預金を除く)、売掛金・受取手形、商品・製品・仕掛品などの在庫、売買目的や1年以内に満期が来る有価証券など。売掛金と在庫は、本業の通常の取引で生じたものなら、お金になるまでの期間を問わず流動に入ります
固定資産:建物・土地・機械などの有形固定資産、のれん・ソフトウェアなどの無形固定資産、長く持つ投資有価証券などの投資その他の資産
流動負債:買掛金、代金を先に受け取った契約負債・前受金、短期借入金、1年以内に支払う未払金など
固定負債:返済が1年より先の社債・長期借入金、退職給付に係る負債など
並び順は、早くお金になる資産・早く払う負債を上に置く「流動性配列法」が原則です(連結財務諸表規則 第20条)。電力会社のように固定資産を先に並べる業種もあります(後述)。
貸借対照表は期末の1日時点の財産の一覧で、1年間にいくら稼いだかは損益計算書に載ります。2つの違いとつながりは次の記事で解説しています。

貸借対照表と損益計算書の違い|期末の財産と1年の成績、純利益でつながる仕組み
貸借対照表は期末時点の財産、損益計算書は1年間の収益・費用・利益の表。純利益は配当を引いて利益剰余金に積み上がる。オリエンタルランドの2026年3月期短信で9,307億+1,219億−230億=1兆296億円を検算し、PER・PBR・ROEとの関係も解説。
どこを見る?初心者が最初に確かめる5か所
貸借対照表で最初に見るのは、①純資産と自己資本比率、②現金と有利子負債、③流動資産と流動負債、④利益剰余金、⑤前期末から大きく増えた資産の5か所です。①〜③で倒れにくさを、④⑤で資産の中身と質を確かめます。
決算短信の貸借対照表には、前期末と当期末の2列が並びます。どの項目も1期だけの水準で決めつけず、前期末からの動きと同業他社との差で読みます。
① 純資産と自己資本比率——総資産のうち返さなくてよいお金
まず、純資産がマイナス(債務超過)でないかを確かめます。資産を全部売っても負債を返しきれない状態です。東証の上場維持基準はどの市場でも「純資産の額が正であること」を求めていて、原則として1年以内に解消できなければ上場廃止基準に当たります(JPX「上場維持基準の詳細:純資産の額」、2026年10月15日閲覧)。債務超過になった会社の扱いと上場廃止までの流れは、次の記事で解説しています。

自己資本比率がマイナスとは?|債務超過の上場企業は12社、1年で解消できなければ上場廃止
自己資本比率がマイナスなのは純資産がマイナスの債務超過のとき。すぐ倒産はしませんが、上場企業は期末に債務超過だと原則1年で解消しないと上場廃止です。債務超過の12社、改善期間の5社、増資・DES・減資の違い、決算短信での見つけ方まで解説します。
次に、総資産のうち自己資本(純資産から新株予約権・非支配株主持分などを除いた株主の持ち分)が占める割合、自己資本比率を見ます。決算短信1ページ目の「連結財政状態」に計算済みの値が載っています。上場企業(金融業を除く3,500社)の中央値は56.8%ですが、業種によって大きく違います(2026年9月29日時点、KabuGraph算出)。

自己資本比率の目安と危険水域|上場企業(金融除く)の中央値56.8%、30%未満は下位1割
自己資本比率の目安と危険水域を上場3,500社(金融業を除く)のデータで解説。中央値56.8%、30%未満は下位1割で、前期末20%未満の会社は翌期に4割近くが赤字。法人企業統計の2025年度41.8%、業種別の下位10%ラインも。
純資産の部のどこまでが自己資本か、決算短信での確かめ方は自己資本とは?貸借対照表と決算書のどこに載っているかで解説しています。
② 現金と有利子負債——ネットキャッシュかどうか
手元の現金と、利息を払って借りているお金(有利子負債)のどちらが多いかを比べます。現金・預金と短期で持つ有価証券の合計から有利子負債を引いた額をネットキャッシュと呼び、多いほど財務の安全性が高いとされます(大和証券「金融・証券用語解説:ネットキャッシュ」、2026年10月15日閲覧)。
有利子負債は貸借対照表の1行ではないので、次の科目を足して求めます。
流動負債の中:短期借入金、コマーシャル・ペーパー、1年内償還予定の社債、1年内返済予定の長期借入金、リース債務
固定負債の中:社債、長期借入金、リース債務
どこまで含めるかは会社によって違い、決算短信や決算説明資料に会社自身の集計が載っていることもあります(三井不動産は短信 p.10 に定義と残高を記載)。
負債=借金ではありません。負債には買掛金や、代金を先に受け取ってまだ商品・サービスを渡していない契約負債(財務諸表等規則 第47条)、テナントから預かった敷金など、利息のかからないものも含まれます。三井不動産の「受入敷金保証金」は2026年3月末で5,135億円です(三井不動産 2026年3月期 決算短信 p.16)。
ネットキャッシュがマイナスでも、すぐに危ないわけではありません。賃貸ビルや発電所のように長く稼ぐ資産を借入で持つ業種では、有利子負債が現金を大きく上回るのが普通です。利益や営業キャッシュ・フローで返せる規模か、前期末から急に増えていないかを合わせて見ます。
③ 流動資産と流動負債——1年以内の支払いに備えがあるか
流動資産を流動負債で割った流動比率で、1年以内に払う負債を、1年以内にお金になる資産でまかなえるかを見ます。
100%を下回ると、1年以内の支払いに対して手元の流動資産が足りない形です。大和証券の用語解説は、国内では流動比率が120%以上あれば短期の資金繰りには困らないとされ、100%を下回ると支払い能力に不安があるとしたうえで、適正な水準は会社の規模や業種で違うと説明しています(大和証券「金融・証券用語解説:流動比率」、2026年10月15日閲覧)。
流動比率は中身と合わせて読みます。流動資産には在庫や販売用の不動産も入るので、比率が高くてもすぐ現金になるとは限りません。在庫などを除き、現金・預金、受取手形・売掛金、有価証券だけを流動負債で割る当座比率を使うと、支払い能力をより厳しく見られます(財務省「法人企業統計における財務営業比率の算式」)。
一方で、流動比率が低いからといって危ないとも限りません。電力会社では、流動比率が100%前後か、それを下回ることも珍しくありません。2026年3月末で中部電力は101.4%(中部電力 2026年3月期 決算短信 p.4〜5)、東京電力ホールディングスは50.2%でした(東京電力ホールディングス 第102期 有価証券報告書 p.110〜111)。2社とも発電所や送電網などの固定資産が総資産の8割強を占めます(中部電力83.1%、東京電力ホールディングス84.9%)。流動比率と、固定資産を長期の資金でまかなえているかの関係は固定長期適合率の目安の記事で解説しています。
④ 利益剰余金——稼いだ利益を積み上げてきたか
利益剰余金は、会社がこれまでに稼いだ利益から配当などで払い出した分を差し引き、社内に残してきた額です。純資産の部の株主資本の中にあります(連結財務諸表規則 第42条・第43条)。
株主が払い込んだ資本金・資本剰余金と比べると、純資産のうちどれだけを自分で稼いで積み上げたかが分かります。利益剰余金がマイナスなら、過去の赤字の積み重ね(欠損)が残っている状態です。赤字が続いて純資産そのものがマイナスになると債務超過です。当期の純利益が利益剰余金にどうつながるかは貸借対照表と損益計算書の違いで解説しています。
⑤ 前期末から大きく増えた資産——売掛金・在庫・のれん
売上の伸びに比べて売掛金や棚卸資産(在庫)が急に増えていたら、理由を確かめます。売掛金の増加は代金の回収が遅れている、在庫の増加は売れ残っている可能性があり、どちらも後で損失になりえます。前期末と当期末の2列を並べ、増減の大きい科目から探すのが近道です。
買収で生まれるのれんも同じです。買収した事業が計画どおりに稼げないと、減損で一度に損失になります。

のれんとは|M&Aで生まれる無形資産と日本基準・IFRSの償却差異
のれん(会計)の意味・計算方法・日本基準とIFRSの償却ルールの違い・減損リスクを解説。M&A時に発生する無形資産の仕組みと、投資家がBSで確認すべきポイントがわかります。
大きく動いた科目は、決算短信の「財政状態の概況」で会社が理由を説明していることが多く、有価証券報告書の注記「重要な会計上の見積り」には、評価に判断が入る資産が書かれます(カプコンの例は次の章)。
決算短信で読んでみる:カプコンと三井不動産
同じ5か所をカプコンと三井不動産の2026年3月期の決算短信に当てはめると、貸借対照表の形がまったく違うことが分かります。カプコンは家庭用ゲームなどの開発・販売、三井不動産はオフィスビル・商業施設の賃貸や住宅の分譲が主な事業です(カプコン 2026年3月期 決算短信 p.18・三井不動産 2026年3月期 決算短信 p.26のセグメント情報)。
見る所 | カプコン | 三井不動産 |
|---|---|---|
総資産 | 3,393億円 | 10兆1,035億円 |
① 自己資本比率 | 78.8% | 32.4% |
② 現金及び預金 | 1,480億円 | 824億円 |
② 有利子負債 | 51億円 | 4兆6,325億円 |
③ 流動比率 | 458.5% | 175.6% |
④ 利益剰余金 | 2,409億円 | 1兆9,227億円 |
④ 資本金と資本剰余金 | 635億円 | 6,534億円 |
⑤ 大きく増えた資産 | 投資有価証券・土地 | 投資有価証券・販売用不動産等 |
カプコン:現金が総資産の4割、借入金はゼロ
カプコンは総資産3,393億円のうち、現金及び預金が1,480億円(43.6%)を占めます。前期末にあった短期借入金36億円と長期借入金30億円は無くなり、当期末の借入金はゼロです。リース債務51億円を有利子負債とみなしても、ネットキャッシュは約1,429億円あります(カプコン 2026年3月期 決算短信 p.10〜11)。
流動比率は458.5%、自己資本比率は78.8%で、①〜③はどれも余裕があります。利益剰余金は2,409億円で、資本金と資本剰余金の合計635億円の約3.8倍です。
目を引くのは、流動資産にある「ゲームソフト仕掛品」546億円(総資産の16.1%)です。カプコンは、ゲームソフトの制作費を製品化を決めた段階からこの科目で資産に計上し、見込みの販売収益に応じて売上原価に移しています。売れる見込みが下がれば、帳簿価額を正味の売却見込み額まで切り下げます(カプコン 第47期 有価証券報告書 p.94・p.96)。
カプコン
ロックマン、バイオハザード、モンスターハンター、ストリートファイター等の世界的IPを保有するゲームソフトメーカーです。家庭用・PC向けゲームソフトの開発・販売を中核に、モバイルゲーム、アミューズメント施設「プラザカプコン」の運営、遊技機(パ…
三井不動産:有利子負債は4.6兆円、流動資産の8割は販売用不動産
三井不動産は総資産10兆1,035億円に対して、有利子負債が4兆6,325億円(総資産の45.9%)あり、現金及び預金は824億円です。同社は短信で、有利子負債を短期借入金・コマーシャル・ペーパー・社債・長期借入金など(ノンリコース債務を含む)の合計と定義し、有利子負債÷自己資本のD/Eレシオを1.41倍と示しています(三井不動産 2026年3月期 決算短信 p.10)。
流動比率は175.6%と100%を大きく上回りますが、流動資産3兆2,451億円のうち約8割にあたる2兆6,030億円は、販売用不動産・仕掛販売用不動産・開発用土地などの「販売用不動産等」です。販売目的で持つ土地・建物は商品として流動資産に入るためで(財務諸表等規則 第15条第5号)、販売用不動産等を除いて計算すると流動比率は34.7%になります(KabuGraph算出)。
固定資産の中心は賃貸用のオフィスビルや商業施設で、こうした賃貸等不動産の貸借対照表の計上額は3兆7,295億円、同じ不動産の期末の時価は7兆7,146億円です(三井不動産 2026年3月期 決算短信 p.25「賃貸等不動産関係」)。貸借対照表の金額は取得した値段から減価償却などを引いた額で、時価との差は注記を見ないと分かりません。
自己資本比率32.4%は金融業を除く上場企業の中央値(56.8%)を大きく下回りますが、不動産業の中央値は33.2%で、業種の中ではほぼ真ん中です(2026年9月29日時点、KabuGraph算出)。

三井不動産(8801)の企業分析|日本橋・ららぽーと・データセンターで描く不動産業界トップの成長戦略
三井不動産(8801)の賃貸・分譲・マネジメント・施設営業・その他の5セグメント構造、&INNOVATION 2030の成長戦略、海外展開、データセンター投資、業績推移と投資リスクを個人投資家向けに解説します。
前期末と比べる——会社が説明している増減
2社とも、決算短信の「財政状態の概況」で主な増減の理由を説明しています。
カプコン:資産は前期末から263億円増加。主な増加は投資有価証券150億円・土地100億円・映像資産99億円・ゲームソフト仕掛品54億円で、現金及び預金は188億円減少。負債は繰延収益115億円・短期借入金36億円・長期借入金30億円などが減り、151億円減少した(カプコン 2026年3月期 決算短信 p.4)
三井不動産:販売用不動産等は、原価回収で5,203億円減った一方、新規投資6,444億円と円安による円換算差額で増え、前期末比1,023億円増加。有利子負債は、配当と自己株式の取得(1,913億円)や投資の支出が営業活動による収入を上回ったことと、円安による円換算差額などで、2,164億円増加した(三井不動産 2026年3月期 決算短信 p.10)
カプコンは売上高が前期比15.2%増えましたが、売掛金は333億円でほぼ横ばいでした(短信 p.10)。売上が伸びても売掛金が膨らんでいなければ、代金の回収が滞っていない目安になります。
通期の短信の後に出る四半期の短信にも、その四半期末の貸借対照表が載ります。カプコンは2026年7月28日に第1四半期の決算短信を出していて、6月末の純資産は2,869億円(3月末は2,677億円)でした(カプコン 2027年3月期 第1四半期決算短信 p.4〜5)。銘柄を調べるときは、最新の四半期末の貸借対照表も合わせて確かめます。
業種で形が違う:電力・不動産・銀行は「悪い形」ではない
貸借対照表の形は業種で大きく違うので、数字は同業の会社と比べて読みます。上場企業の自己資本比率の中央値は、情報・通信業62.9%、電気・ガス業39.1%、不動産業33.2%、銀行業4.9%と開きがあります(2026年9月29日時点、KabuGraph算出)。
電力・ガス・鉄道:発電所・送電網・線路など、数十年使う設備が資産の大半を占める。中部電力は2026年3月末の総資産7兆6,527億円のうち固定資産が6兆3,580億円(83.1%)で、流動比率は101.4%。貸借対照表も固定資産・固定負債を先に並べている(中部電力 2026年3月期 決算短信 p.4〜5)。電気・ガス・鉄道・建設・銀行・保険などは、業種ごとの会計規則の分類に従って並べることができる(財務諸表等規則 第2条・別記、連結財務諸表規則 第46条)
不動産:賃貸ビルは固定資産、分譲用のマンションや土地は在庫として流動資産に入る。借入が大きく、自己資本比率は低め(三井不動産の例)
銀行:お客さまから預かった預金が負債の中心で、決算短信の自己資本比率は数%になる。健全性は規制上の自己資本比率で見る
ゲームソフト:開発中や発売後のゲームの制作費のうち、まだ費用にしていない分が「ゲームソフト仕掛品」として流動資産に入る(カプコンの例)。自己資本比率が高い会社でも、この資産の評価に注意する

銀行の自己資本比率の見方と計算方法|最低水準は8%と4%、決算短信の数%とは別物
銀行の自己資本比率は、自己資本を、貸出などを損失の出やすさで数え直したリスク・アセットで割って計算します。決算短信1ページ目の数%とは別物で、最低水準は海外拠点のある銀行が8%(CET1は4.5%)、国内だけの銀行が4%です。
設備の重い業種を、固定資産と自己資本の関係から見るのが固定比率です。電力・鉄道と任天堂などの実例は次の記事で解説しています。

固定比率とは|目安は100%以下でも日本企業全体は133.8%、電力・鉄道・任天堂の実例で読む
固定比率は固定資産÷自己資本×100で、設備など長く使う資産を返済不要の資金でどこまで賄えているかを示します。目安は100%以下ですが、法人企業統計の2025年度は全産業133.8%、電気業378.6%。100%超の読み方と決算短信での計算手順を実例で解説します。
貸借対照表は決算書のどこにある?IFRSでの名前
上場企業の貸借対照表は、決算短信の添付資料「連結財務諸表及び主な注記」の最初に「連結貸借対照表」として載っています。東証の作成要領が、連結財務諸表規則の様式に沿って載せるよう求めています(東京証券取引所「決算短信・四半期決算短信作成要領等」(2026年7月)p.33)。
資料 | 載っている場所 | 表の名前 |
|---|---|---|
決算短信(通期) | 添付資料「連結財務諸表及び主な注記」 | 連結貸借対照表 |
決算短信(第2四半期) | 添付資料「中間連結財務諸表及び主な注記」 | 中間連結貸借対照表 |
決算短信(第1・第3四半期) | 添付資料「四半期連結財務諸表及び主な注記」 | 四半期連結貸借対照表 |
有価証券報告書 | 第5【経理の状況】 | 連結貸借対照表 |
IFRSの会社の決算短信 | 添付資料「連結財務諸表及び主な注記」 | 連結財政状態計算書 |
決算短信の1ページ目(サマリー)の「連結財政状態」にも、総資産・純資産・自己資本比率・1株当たり純資産は載っています。まず1ページ目で全体をつかみ、気になったら添付資料の連結貸借対照表を開くのが効率的です。決算短信は各社のIRページや東証の適時開示情報閲覧サービスで、有価証券報告書は金融庁のEDINETで読めます。

決算短信とは|1ページ目の読み方と投資判断に使う5つの数字
決算短信の定義・有価証券報告書との違い・サマリー情報の読み方を初心者向けに解説。投資家がまず見るべき売上高・営業利益・EPS・配当・業績予想の5項目と、TDnetなどでの探し方まで。
短信には親会社単体の数字が載っていることもありますが、投資判断には子会社を含むグループ全体を表す連結の値を使います。純資産の部の読み方と、連結と単体の違いは次の記事で解説しています。

自己資本とは?貸借対照表と決算書のどこに載っているか|セコムの短信で自己資本比率58.9%を検算
自己資本は貸借対照表の純資産の部のうち株主資本とその他の包括利益累計額の合計で、自己資本比率は決算短信1ページ目の連結財政状態に載っています。セコムの短信で比率58.9%を検算し、純資産で割ると67.2%になる理由、有報・IFRSでの見方も解説。
IFRSの会社は「連結財政状態計算書」
国際会計基準(IFRS)を使う会社では、貸借対照表は「連結財政状態計算書」という名前になり、科目の名前も変わります。2026年8月期のファーストリテイリングの短信では次のとおりです(ファーストリテイリング 2026年8月期 決算短信〔IFRS会計基準〕p.8〜9)。
長く持つ資産・長期の負債
日本基準:固定資産・固定負債
IFRS:非流動資産・非流動負債
現金
日本基準:現金及び預金
IFRS:現金及び現金同等物(ファーストリテイリングの場合)
純資産
日本基準:純資産
IFRS:資本(資本合計)
自己資本
日本基準:自己資本(短信1ページ目に参考値)
IFRS:親会社の所有者に帰属する持分
自己資本比率(短信1ページ目)
日本基準:自己資本比率
IFRS:親会社所有者帰属持分比率
名前が変わっても、見る5か所は日本基準と同じです。ただし②のネットキャッシュは、IFRSの会社では現金及び現金同等物だけで計算すると、手元資金を小さく見積もることがあります。ファーストリテイリングは取得日から3か月以内に償還期限が来る短期投資などだけを現金同等物とし、その他の金融資産に定期預金や債券を入れています(2025年8月末で定期預金4,921億円・債券6,371億円、ファーストリテイリング 第64期 有価証券報告書 p.94・p.102)。2026年8月末のその他の短期金融資産は1兆1,371億円で、現金及び現金同等物の1兆76億円を上回ります(短信 p.8)。
よくある質問
貸借対照表で一番大事なところは?
純資産がプラスかどうかです。マイナス(債務超過)は資産をすべて売っても負債を返せない状態で、上場企業なら原則として1年以内に解消できないと上場廃止基準に当たります(自己資本比率がマイナスとはで解説)。そのうえで自己資本比率と、現金と有利子負債の差を見ます。
現金が多いほど良い会社?
倒れにくさの面では有利です。ただし使い道の無い現金を積み上げると、ほかの条件が同じなら、自己資本に対する利益の割合(ROE)は下がります。大和証券の用語解説も、ネットキャッシュが多くても投資に積極的でない企業はM&Aの対象になることがあると説明しています(大和証券「金融・証券用語解説:ネットキャッシュ」、2026年10月15日閲覧)。
借入金が多い会社は危ない?
借入の額だけでは決まりません。賃貸ビルや発電所のように長く稼ぐ資産を借入で持つ業種では、有利子負債が大きいのが普通です。利益や営業キャッシュ・フローに対して返済が重すぎないか、前期末から急に増えていないか、1年以内に返す短期借入金に偏っていないかを見ます。
貸借対照表が良い会社の株は割安?
そうとは限りません。株価が1株当たり純資産の何倍かを示すPBRは、2026年10月14日終値でカプコンが6.95倍、三井不動産が1.19倍でした(1株当たり純資産は2026年3月末の値)。財務が堅いことと、株価が割安かどうかは別に確かめます。

PBR(株価純資産倍率)とは|1倍割れ問題と東証改革の核心
PBR(Price Book-value Ratio)の計算式・目安・1倍割れ問題を解説。東証が改善を要請した背景と、PERやROEとの関係から投資判断に活かす方法がわかります。
まとめ
貸借対照表は、左に資産(お金の使い道)、右に負債(返すお金)と純資産(返さなくてよいお金)を並べた期末時点の表。資産合計=負債合計+純資産合計
最初に見るのは5か所:①純資産と自己資本比率 ②現金と有利子負債 ③流動資産と流動負債 ④利益剰余金 ⑤前期末から大きく増えた資産
流動資産でも、在庫・販売用不動産・ゲームソフト仕掛品はすぐ現金にならない。流動比率は中身と合わせて読む
形は業種で違う。2026年3月末で、カプコンは自己資本比率78.8%・借入金ゼロ、三井不動産は32.4%・有利子負債4兆6,325億円。同業と比べ、前期末からの動きを見る
決算短信の添付資料「連結財務諸表及び主な注記」に連結貸借対照表、有価証券報告書は第5【経理の状況】。IFRSの会社は連結財政状態計算書
貸借対照表から計算する指標を含め、主な投資指標の式と目安は株式投資指標の一覧にまとめています。









