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酒田五法とは|三山・三川・三空・三兵・三法の全パターンをチャート図解で一覧

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酒田五法(さかたごほう)は、江戸時代の米相場師・本間宗久の思想に由来する、ローソク足チャート分析の古典的手法です。「三山」「三川」「三空」「三兵」「三法」の5つのパターンで構成され、相場の天井・底・トレンド継続を判断します。

240年以上前に体系化された手法ですが、多くの投資家がこれらのパターンを意識しているため、群集心理を映すツールとして現代の株式・FX市場でも広く参照されています。本記事では5つの法のすべてのパターンをチャート図解つきで解説し、実践での使い方と注意点を整理します。

酒田五法とは──江戸時代の米相場から生まれたチャート分析

本間宗久と酒田五法の起源

酒田五法は、江戸時代中期に出羽国酒田(現・山形県酒田市)の豪商・本間宗久(1724年頃〜1803年、生年は1718年説もある)の相場思想を体系化したものです。宗久は大坂・堂島の米会所(世界初の先物取引市場)で莫大な利益を上げ、「出羽の天狗」「相場の神様」と呼ばれました。

宗久自身が書き残した文献は現存しませんが、その相場思想は『宗久翁秘録』(本間宗久に帰される相場書)などに記されています。また同時代の相場師・牛田権三郎による『三猿金泉秘録』とあわせて「相場の二大聖典」と称され、これらに記されたローソク足の見方が近代になって「酒田五法」として再構築されました。

5つの法の全体像

酒田五法は以下の5つのパターンで構成されています。

名称

読み

概要

シグナル

三山

さんざん

3つの山を形成し天井を示唆

天井→売り

三川

さんせん

3本のローソク足の組み合わせで反転を示唆

反転→売り/買い

三空

さんくう

3回連続の窓開けで過熱を示唆

逆張り

三兵

さんぺい

同色3本連続でトレンド発生を示唆

順張り

三法

さんぽう

調整(休み)を経てトレンド再開を示唆

トレンド継続

酒田五法の5つのパターン一覧

三山(さんざん)── 天井の反転パターン

三山は、上昇相場で価格が3回高値をつけても突破できず、天井を形成して下落に転じるパターンです。「3度試しても抜けなかった高値はもう超えない」という経験則に基づきます。

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三山の基本形

  • 出現場所:上昇トレンドの天井圏

  • 形状:3つの山が並ぶ。ほぼ同じ高さの場合は「トリプルトップ」とも呼ばれる

  • 売りシグナル:3つの山の谷を結んだネックラインを下に割り込んだとき

三尊天井(ヘッド&ショルダーズ・トップ)

三山の派生形で、中央の山が左右よりも高い形を「三尊天井」と呼びます。仏像の三尊(中央に本尊、左右に脇侍)に見立てた名称です。欧米では「ヘッド&ショルダーズ・トップ」として知られ、最も信頼度が高い反転パターンのひとつとされています。

  • 左肩:最初の高値。出来高が大きいことが多い

  • :最高値。出来高が左肩より減り始めると信頼度が上がる

  • 右肩:左肩とほぼ同じ水準。出来高がさらに減少していれば下落が近い

逆三山(逆三尊・ヘッド&ショルダーズ・ボトム)

三山を上下反転させたパターンが逆三山です。下落相場で3つの谷を形成し、ネックラインを上抜けたときが買いシグナルになります。中央の谷が最も深い場合は「逆三尊」(ヘッド&ショルダーズ・ボトム)と呼ばれ、底値からの反転パターンとして信頼されています。

三川(さんせん)── 3本足の反転シグナル

三川は、大きなローソク足に挟まれた小さな足(コマ・十字線)から相場の転換を読む、3本のローソク足の組み合わせパターンです。売り手と買い手の力が拮抗する瞬間を捉えるため、天井や底を見極める際に使います。

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明けの明星(モーニングスター)── 買いシグナル

下落トレンドで出現するパターンです。

  1. 大陰線が出現(下落が続いている)

  2. 窓を開けてコマ(小さい実体)や十字線が出現(売り買い拮抗=迷い)

  3. 窓を開けて大陽線が出現(買い勢力が優勢に転換)

2本目が十字線の場合は「三川明けの十字星」と呼ばれ、より強い買い転換のシグナルとされます。

宵の明星(イブニングスター)── 売りシグナル

明けの明星を上下反転させたパターンで、上昇トレンドの天井で出現します。

  1. 大陽線が出現(上昇が続いている)

  2. 窓を開けてコマや十字線が出現(買いの勢いが衰え始め)

  3. 窓を開けて大陰線が出現(売り勢力が優勢に転換)

その他の三川パターン

パターン名

構成

シグナル

三川宵の十字星

大陽線+十字線+大陰線

強い売り転換

三川明けの十字星

大陰線+十字線+大陽線

強い買い転換

三川上放れ二羽烏

大陽線+上放れ陰線+上放れ陰線(前日安値以下で引け)

売り

三空(さんくう)── 窓3つの逆張りパターン

三空は、ローソク足の間に3回連続で窓(ギャップ)が開くパターンで、相場の行き過ぎ=過熱を示す逆張りシグナルです。酒田五法のなかで唯一、明確な逆張りの性格を持ちます。

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三空踏み上げ(売りシグナル)

上昇相場で4本の陽線が窓を3つ開けながら連続で上昇する形です。「もう上がりすぎ」と見て売りを仕掛けるタイミングとされます。

  • 3つの窓が開いた時点で相場は過熱状態

  • 利益確定売りが出やすく、反落に転じるケースが多い

  • 格言「三空踏み上げには売り向かえ」

三空叩き込み(買いシグナル)

下落相場で4本の陰線が窓を3つ開けながら連続で下落する形です。パニック的な投げ売りの末に出現することが多く、「売られすぎ」の反転サインになります。

  • 3つ目の窓は投げ売り(パニック売り)の最終局面であることが多い

  • 格言「三空叩き込みには買い向かえ」

三兵(さんぺい)── 3本連続のトレンドシグナル

三兵は、同じ色のローソク足が3本連続で階段状に並ぶパターンで、新たなトレンドの発生を示唆します。「兵(足軽)」が一列に行進するように見えることからこの名がつきました。

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赤三兵(あかさんぺい)── 買いシグナル

底値圏で陽線が3本連続し、各足の終値が前足の終値より高い形が赤三兵です。上昇トレンドの始まりを告げる強い買いシグナルとされます。

  • 理想形:各足に上ヒゲがほとんどない(売り圧力が弱い)

  • 赤三兵先づまり:3本目に長い上ヒゲが出る形。上値が重くなっており、上昇の勢いが衰え始めた可能性がある

  • 赤三兵思案星:3本目がコマや十字線になる形。迷いが生じており利食いの目安になる

黒三兵(くろさんぺい)── 売りシグナル

天井圏で陰線が3本連続し、各足の終値が前足の終値より低い形が黒三兵です。「三羽烏(さんばがらす)」とも呼ばれ、下落トレンドの始まりを告げる売りシグナルです。

  • 坊主三羽:各陰線に下ヒゲがない形。売り圧力が非常に強く、大きな下落の前兆

  • 同時三羽:各足の始値が前足の終値とほぼ同じ位置から始まる形。隙間なく下がり続けるため、こちらも下落圧力が強い

三法(さんぽう)── 休み明けのトレンド継続

三法は「買い・売り・休み」の3つの局面があるという教えから名づけられ、調整(もみ合い)の後にトレンドが再開するパターンです。「休むも相場」という格言を体現しています。

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上げ三法(買いシグナル)

上昇トレンドの途中で出現するパターンです。

  1. 大陽線が出現

  2. 小さな陰線が2〜3本続く(大陽線の値幅に収まる=はらみ)

  3. 再び大陽線が出現し、最初の大陽線の高値を上抜ける

中間の小陰線は一時的な調整(利食い売り)であり、最後の大陽線で高値を更新すれば上昇トレンドの継続が確認されます。押し目買いのタイミングです。

下げ三法(売りシグナル)

下落トレンドの途中で出現する、上げ三法の逆パターンです。

  1. 大陰線が出現

  2. 小さな陽線が2〜3本続く(大陰線の値幅に収まる=はらみ)

  3. 再び大陰線が出現し、最初の大陰線の安値を下抜ける

戻りの勢いが弱く(大陰線の範囲内に収まっている)、最後の大陰線で安値を更新すれば下落トレンドの再開が確認されます。戻り売りのタイミングです。

酒田五法の実践的な使い方と注意点

他のテクニカル指標と組み合わせる

酒田五法は単独で使うより、移動平均線・出来高・RSIなどと組み合わせることで信頼性が高まります。たとえば三尊天井が出現したとき、同時に25日移動平均線を下回っていれば売りシグナルの信頼性が上がります。

酒田五法のパターン

組み合わせ指標

確認のポイント

三山・三尊天井

出来高

山ごとに出来高が減少していれば信頼度↑

三川(明けの明星)

RSI

RSI 30以下の売られすぎ圏で出現すると信頼度↑

三空踏み上げ

RSI

RSI 70以上の買われすぎ圏で出現すると信頼度↑

赤三兵

移動平均線

25日移動平均線の上で出現すれば順張りの根拠に

上げ三法

出来高

ブレイク時に出来高増加なら再開の勢いが強い

ダマシに注意する

パターンが完成しても、そのとおりに相場が動かないことを「ダマシ」と呼びます。特に現代の株式・先物市場ではアルゴリズム取引(HFT)が普及しており、有名なパターンが完成した瞬間に個人投資家の注文を刈り取るような逆方向の動きが機械的に発生しやすくなっています。ダマシを減らすポイントは以下の通りです。

  • 日足以上の時間軸で使う:5分足・15分足ではノイズが多く、パターンの信頼性が下がる。日足が最も信頼性が高い

  • 出来高を確認する:パターンの出現時に出来高が伴っていなければ、値動きの信頼性は低い

  • パターンが完成してから動く:三山のネックライン割れや三法のブレイクアウトなど、確定するまで待つ

  • 損切りラインを決めておく:シグナルが出ても逆行する場合に備え、あらかじめ撤退の基準を持つ

酒田五法が効く市場と効きにくい市場

市場

有効性

理由

日本株(東証)

取引時間が区切られ窓が開きやすい。出来高も豊富

米国株

同様に取引時間が区切られる。Candlestick Patternとして広く認知

先物・商品

元々は米の先物で生まれた手法。窓が開きやすく相性が良い

FX

24時間取引のため窓が開きにくく、三空や包み足が出にくい

暗号資産

24時間365日取引。ボラティリティが高くダマシが多い。ただし日足・週足でトレンドが明確になった際の三兵・三法は大きな値幅を取りやすい

酒田五法 全パターン早見表

記事で解説した全パターンを一覧にまとめます。チャートを見ながらの確認用としてお使いください。

分類

パターン名

出現場所

シグナル

欧米の呼称

三山

三山(トリプルトップ)

天井圏

売り

Triple Top

三尊天井

天井圏

売り

Head & Shoulders Top

逆三尊

底値圏

買い

Head & Shoulders Bottom

三川

明けの明星

底値圏

買い

Morning Star

宵の明星

天井圏

売り

Evening Star

明けの十字星

底値圏

強い買い

Morning Doji Star

宵の十字星

天井圏

強い売り

Evening Doji Star

三空

三空踏み上げ

上昇過熱

売り(逆張り)

Three Gaps Up

三空叩き込み

下落過熱

買い(逆張り)

Three Gaps Down

三兵

赤三兵

底値圏

買い

Three White Soldiers

赤三兵先づまり

上昇中

上昇鈍化

黒三兵(三羽烏)

天井圏

売り

Three Black Crows

坊主三羽

天井圏

強い売り

三法

上げ三法

上昇中の調整

買い(継続)

Rising Three Methods

下げ三法

下落中の戻り

売り(継続)

Falling Three Methods

酒田五法 全パターン一覧表

まとめ

酒田五法は240年以上前に生まれた古典的手法ですが、その本質は「群集心理の読み取り」にあります。

ひとことまとめ

三山

3度の高値トライで抜けなければ天井

三川

大きい足→小さい足→逆の大きい足で転換

三空

窓3連続で過熱 → 逆張りで向かえ

三兵

同色3本連続でトレンドの始まり

三法

調整で休み、ブレイクでトレンド再開

酒田五法は「これだけで勝てる必勝法」ではありませんが、チャートの向こう側にいる投資家たちの心理を読み解くフレームワークとして、現代でも十分に通用します。移動平均線やRSIなどの指標と組み合わせ、出来高や時間軸にも注意を払うことで、より確度の高い売買判断につなげてください。

コラム著者・編集者

K

KabuGraph編集部

KabuGraph編集部は、投資情報の発信と株式分析ツールの開発に携わるチームです。日本株・米国株の事業分析から、投資に役立つ情報をわかりやすくお届けします。

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