オプティマスグループ(9268)の企業分析|NZ向け中古車輸出シェア約4割と豪州の新車ディーラー

オプティマスグループ(9268)は、日本のオートオークション(中古車の業者向けの競り市)で仕入れた中古車をニュージーランドなどへ輸出し、輸送・検査から現地の自動車ローンまでグループで手がける会社です。2023年からの買収でオーストラリアの新車ディーラーと自動車物流が加わり、2026年3月期は売上高3,155億円の約7割を、豪州の新車ディーラーを中心とする小売・卸売が占めました。
この記事では、2つの稼ぎ方、業績と配当・株価指標、競合との違い、2026年10月に決まった豪州の関連会社の任意管理手続などの注目点を整理します。
この記事の内容(目次)
会社概要 — 中古車の輸出から始まった自動車の総合サービス会社
中古車輸出の日貿(にちぼう、三重県伊勢市)を中核に、輸送・検査・販売・金融の会社を束ねる持株会社です。
証券コード・市場:9268(東証スタンダード)
創業:1988年4月(持株会社のオプティマスグループは2015年1月設立)
本社・社長:東京都港区、代表取締役社長 山中信哉
従業員:2,755人(連結、2026年3月末)
大株主:山中社長が18.01%、取締役のロバート・アンドリュー・ヤング氏とマーティン・フレイザー・マッカラック氏が各12.26%で、3人で42.53%(2026年3月末、自己株式を除く発行済株式に対する割合)
会計基準:3月決算。2026年3月期から国際会計基準(IFRS)
出典:オプティマスグループ 有価証券報告書(2026年3月期)p.41ほか・2027年3月期 第1四半期 決算説明資料 p.8よりKabuGraph作成
沿革 — ニュージーランドで作った仕組みを、豪州と欧州へ
1988年4月:創業。1989年に中古車輸出を本格的に始め、1998〜2004年に物流・検査・サービスの事業を加える
2017年12月:東証二部に上場(2022年4月からスタンダード)
2023年11月:豪州の新車ディーラーグループ Autopact を取得(2025年1月に100%)
2024年5月:豪州の自動車物流会社 Autocare Services を取得
2025年:Autopact が豪州のディーラー3社(CD Motor Group・McCarroll Motors Mudgee・Keystar Autoworld)の事業を取得
出典:オプティマスグループ公式サイト「沿革」・2027年3月期 第1四半期 決算説明資料 p.42よりKabuGraph作成
売上の7割は小売・卸売(豪州のディーラー)
報告セグメント(業績を分けて開示する事業の区分)は「輸出入」「物流」「サービス」「検査」「小売・卸売」の5つです。2026年3月期の外部顧客への売上高では小売・卸売が2,201.9億円で約7割を占め、地域別でも売上高の77%がオーストラリア、14%がニュージーランドの顧客向けです(2026年3月期 決算短信 p.13・p.14)。
セグメント別売上構成比(2026年3月期、外部顧客への売上高)
利益率(セグメント利益÷セグメント売上高)は小売・卸売が2.1%、輸出入が2.5%と低く、物流・検査・サービスの方が高くなっています(同 p.13よりKabuGraph算出)。
事業を理解する — ニュージーランド向けの一気通貫と、豪州の現地完結
稼ぎ方は2つあります。日本で仕入れた中古車をニュージーランドなどへ送り、運ぶ・検査する・現地でローンを貸すまでグループで手がける型と、海外で作られた新車を豪州で運び、ディーラーで売る型です(個人投資家向け会社説明資料 2026年10月 p.10)。
ニュージーランド向け — 仕入れから輸送・検査・ローンまで、シェア約4割

中核の日貿は、ニュージーランドの中古車ディーラーから注文を受け、日本各地のオートオークションで車を競り落として輸出します(輸出入)。注文どおりに仕入れるので余剰在庫を抱えにくい、と会社は説明しています(公式サイト「輸出入」)。同社のニュージーランド向け中古車輸出のシェアは39.4%(2026年3月期)で、同国の自動車産業協会の資料から、日本からの輸入台数を分母に会社が計算した値です(1Q決算説明資料 p.4・p.55)。

海上輸送の手配と通関は大和ロジスティクスとDolphin Shippingが(物流)、船積み前の検査・検疫(車体に付いた土や虫の確認)はJEVICが、現地の輸入検査と車検はVINZが担います(検査)(公式サイト「物流」・「検査」)。

現地では、Auto Finance Direct が個人向けの自動車ローンを、Auto Traderが個人や販売店が車を出品する中古車売買サイトを運営しています(サービス)(公式サイト「サービス」)。

オーストラリア — 新車ディーラーのAutopactと、自動車物流のAutocare

Autopactは東海岸の3州を中心に約150拠点を持ち、約40ブランドの新車・中古車を売るディーラーグループで、ローン・保険・整備も手がけます(1Q決算説明資料 p.51)。会社は業界3位グループと位置づけています(個人投資家向け会社説明資料 p.14)。2023年11月に約257億円で取得し、その後も中小のディーラーを買い足しています(1Q決算説明資料 p.56)。

Autocare Servicesは港に着いた輸入新車を全国のディーラーへ運ぶ会社で、会社は業界2位としています(公式サイト「物流」)。2026年6月に一部の取引先との契約が終わるため、今期の輸送台数は17.8%減を見込んでいます(1Q決算説明資料 p.27)。

欧州など、ニュージーランド以外への輸出

ニュージーランドの不振を受け、英国など日本と同じ右ハンドルの地域へ輸出先を広げてきました(1Q決算説明資料 p.12・p.29)。欧州その他向けは2026年3月期の17,468台に対し、今期は29,005台を計画しています。第1四半期(2026年4〜6月)は8,784台と前年同期の約2.9倍で、輸出売上高の49.8%がニュージーランド以外になりました(同 p.15・p.26・p.31)。

【投資テーマ解説】中古車関連銘柄|買取・オークション・小売の稼ぎ方と市場規模
中古車の名義変更などは2025年に登録車363万台・軽286万台で新車を上回り、小売は約250万台(2024年推計)。オークション最大手USSは出品の43.2%を握ります。買取・小売・オークション・情報サイト・ローンの稼ぎ方と、関連13社の事業規模を解説します。
業績推移と財務
通期業績 — 買収で売上高は3年で約5.7倍
売上高は2023年3月期の549.5億円から2026年3月期の3,155.1億円へ、3年で約5.7倍になりました。Autopact(2024年1月から連結)と Autocare(2024年5月から連結)が加わったためです(1Q決算説明資料 p.16)。
通期業績推移(売上高・営業利益・純利益・営業利益率・売上高成長率)
2026年3月期から会計基準がIFRSに変わり、のれん(買収額のうち、買った会社の純資産を上回った部分)を毎期償却しなくなったことなどで、営業利益が日本基準より大きく出るようになりました(IFRSの任意適用に関するお知らせ)。同じIFRSで比べると、2026年3月期の営業利益は前期比10.5%増、営業利益率は3.3%から3.1%に下がっています(2026年3月期 決算短信 p.1)。
2025年3月期は日本基準で4.8億円の純損失:会社は、ニュージーランド向けの販売台数の減少(54,750台→30,186台)、豪州の在庫増による金利負担、豪州の資本再編に伴う税負担などを挙げています(2025年5月15日の開示)。IFRSに組み替えると13.1億円の黒字です
2026年3月期は増収増益:ニュージーランド向けが持ち直し、欧州向けも伸びました。一方、小売・卸売は中国系ブランドの進出などによる競争の激化で新車1台あたりの粗利益が下がり、人件費も増えて27.3%の減益でした(2026年3月期 決算短信 p.2・p.3)。純利益24.7億円は、2月に示した予想31億円に届きませんでした(2026年2月13日の開示)
税引前利益は営業利益の半分以下:営業利益98.4億円に対し、借入の利息などの金融費用が64.1億円あり、税引前利益は45.0億円でした。有利子負債はリース負債を含めて1,500.6億円で、うち444.0億円は豪州のディーラーが店頭の在庫を仕入れるための借入(フロアプランローン)です(短信 p.6・1Q決算説明資料 p.22)

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2027年3月期 第1四半期 — 3か月で通期予想の約3割
第1四半期(2026年4〜6月の3か月)は、売上高1,066.4億円(前年同期比54.3%増)、営業利益35.3億円(同78.3%増)でした。ニュージーランド・欧州向けの輸出が伸び、円安も円換算の売上を押し上げました(2027年3月期 第1四半期 決算短信 p.2・決算説明資料 p.15・p.16)。
項目 | 1Q実績 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|
売上高 | 1,066.4 | 3,800.0 | 28.1% |
営業利益 | 35.3 | 119.0 | 29.6% |
純利益 | 9.2 | 32.0 | 28.9% |
ただし会社は、Autocare の契約終了の影響が第2四半期から本格化し、豪州・ニュージーランドとも利上げに転じたため、市況は楽観していないとしています(決算説明資料 p.27・p.28)。
豪州の関連会社OzCarが任意管理手続へ — 影響は精査中
2026年10月7日、同社は豪州子会社が30%を出資する関連会社 OzCar(豪州の中古車販売会社)を、豪州の会社法にもとづく任意管理手続(管理人に経営を委ね、再建か清算かなどを決める手続)に移すと決めました。業績不振やガバナンス上の懸念が背景で、資金の追加流出を抑えて投融資の回収を最大にするため、と説明しています(2026年10月8日の開示)。
同社グループは OzCar に貸付金・営業債権・債務保証を持ち、2026年3月末の貸付金は40.6億円(OzCar の販売用車両が担保)でした(有価証券報告書 2026年3月期 関連当事者)。業績への影響は精査中で、次の決算発表は2026年11月13日の予定です(IRカレンダー)。開示のあった10月8日、株価は前日の413円から350円に下がりました(東証株価)。

持分法適用会社とは|連結子会社との違い・PLへの影響と投資家が見落とす4つの盲点
持分法適用会社の定義・適用基準から、連結子会社との会計処理の違い、営業利益と経常利益への影響、トヨタ・三菱商事の実例まで。投資判断で見落としやすい4つの盲点を解説します。
配当と株価指標(2026年10月22日終値)
配当は年18円(中間8円・期末10円)で、2025年3月期から今期予想まで同額です。会社は、株主資本に対する配当の割合(DOE、株主資本配当率)4.5%程度を目安に、安定的かつ累進的に配当する方針です(2026年3月期 決算短信 p.1)。
1株配当と配当性向の推移

DOE(株主資本配当率)とは|配当性向との違いと3%目安の読み方
DOE(Dividend on Equity・株主資本配当率)の計算式・目安3%・配当性向との違いを解説。DOE=配当性向×ROEの分解式の意味と、東証改革で採用企業が急増している背景がわかります。
株価:332円(時価総額 約256億円)
PER:実績9.2倍(2026年3月期EPS 36.16円)/予想7.1倍(会社予想EPS 46.75円)
PBR:0.54倍。1株当たりの持分613.42円には、3月末に借りた永久劣後ローン(返済期限がなく、IFRSでは資本に計上)の102.6億円が入っており、除くと約0.72倍
配当利回り:5.42%(年18円。今期予想も18円)
ROE(自己資本利益率):7.4%(2026年3月期)
出典:東証株価・オプティマスグループ 2026年3月期 決算短信・2026年3月27日の開示よりKabuGraph算出(2026年10月22日終値)

PBR(株価純資産倍率)とは|1倍割れ問題と東証改革の核心
PBR(Price Book-value Ratio)の計算式・目安・1倍割れ問題を解説。東証が改善を要請した背景と、PERやROEとの関係から投資判断に活かす方法がわかります。
競合との比較
場面ごとに相手が違います。日本のオートオークションでは国内の販売店や他の輸出業者と同じ車を競り合い、ニュージーランドでは他の輸出業者(同社のシェアは約4割)や現地の中古車販売・ローン会社と、豪州では他の新車ディーラーグループと顧客を取り合います。
豪州:最大手は豪州証券取引所に上場する Eagers Automotive で、豪州・ニュージーランドで最大の自動車小売グループと説明しています(Eagers Automotive「About Us」)
ニュージーランド:NZX(ニュージーランド証券取引所)に上場する Turners Automotive Group が、自動車の小売や金融・保険を手がけています(同社公式サイト)
日本の上場企業では、自動車ディーラーと中古車輸出を兼ねるVTホールディングス(7593)が近い形です。IDOM(7599)・ネクステージ(3186)は国内で中古車を買い取って売る会社で、買い取った車の一部をオークションに出すため、仕入れの市場を共有する相手でもあります。
会社 | 売上高 | 営業 | 実績 |
|---|---|---|---|
オプティマス | 3,155.1 | 3.1% | 9.2倍 |
VTホールディングス | 3,887.3 | 2.8% | 12.1倍 |
IDOM | 5,627.7 | 3.6% | 8.3倍 |
ネクステージ | 6,520.7 | 3.0% | 15.5倍 |
営業利益率は4社とも3%前後で、オプティマスの実績PER9.2倍はIDOMに次いで低い水準です。VTホールディングスの2026年3月期の中古車輸出は5,870台(決算説明資料 スライド9)で、約5万台を輸出するオプティマスとは輸出の規模が違います。仕入れ先のオートオークションを運営するユー・エス・エス(4732)は競合ではなく取引先で、出品・成約の手数料で稼ぐ別の稼ぎ方です。

IDOM(7599)の企業分析|「ガリバー」の買取網で大型店の小売を伸ばす中古車大手
IDOM(7599)は中古車買取「ガリバー」の運営会社。買い取った車を大型店で売る小売・卸売・自社ローンの稼ぎ方、売上5,627.7億円の業績、営業利益を185億円に下げた今期の修正、配当と優待の見直し、ネクステージとの違いを解説。

ネクステージ(3186)の企業分析|買取から販売・車検まで大型店で担う中古車大手
ネクステージ(3186)は中古車の大型店・買取店・輸入車ディーラーを全国367店舗で展開。2025年11月期は売上高6,521億円、今期は上方修正で営業利益276億円を予想。稼ぎ方、業務改善命令、IDOMとの違い、株価指標を解説。

ユー・エス・エス(4732)の企業分析|シェア43.2%は上位6社合計超え、営業利益率65%を生む「通行料」型ビジネスの強さ
ユー・エス・エス(4732)のオートオークション国内シェア43.2%の事業構造、営業利益率52%超の収益力と成長戦略を解説します。
投資家が注目すべきポイント
強み
ニュージーランド向けの一気通貫とシェア約4割:仕入れ・輸送・検査・ローン・売買サイトまでグループで持ち、2026年4〜6月のニュージーランド向け輸出は前年同期比35.5%増でした
買収で広げる豪州のディーラー事業:会社は、豪州の新車ディーラー市場の7割超を占める中小のディーラーを買収して拠点を増やす方針です(1Q決算説明資料 p.58)
地域と事業の分散:ニュージーランド・豪州・欧州の3地域と5つの事業に収益源が分かれ、欧州その他向けの輸出は今期66.0%増を計画しています
配当と株価指標:配当利回り5.42%、実績PER9.2倍、PBR0.54倍(永久劣後ローンを除くと約0.72倍)です(2026年10月22日終値)
リスク
関連会社OzCarの任意管理手続:貸付金40.6億円(2026年3月末、担保あり)と債務保証があり、業績への影響は精査中です
薄い利益率と金利:営業利益率は3.1%で、金融費用64.1億円は営業利益の約3分の2にあたります。豪州・ニュージーランドの利上げは在庫の金利負担を重くします
ニュージーランドの景気と制度:ニュージーランド向け輸出は2025年3月期に前期比約45%減りました(54,750台→30,186台)
豪州の競争と取引先の契約終了:中国系ブランドの進出で値下げ競争が強まり、Autocare は今期の輸送台数17.8%減を見込みます
為替とのれん:売上の98%が海外の顧客向けで、円高は円換算の利益を減らします。のれん278.1億円は親会社所有者帰属持分419.8億円の約3分の2です
これからの注目点
2026年11月13日の第2四半期決算:OzCar の影響額と、通期予想の修正の有無
輸出台数:ニュージーランド向け(今期計画41,325台)と欧州その他向け(同29,005台)
豪州の利幅:Autopact の粗利益率と Autocare の輸送台数
中期経営方針の目標:2026年3月期から3年を目途に、営業利益150億円以上・親会社株主に帰属する利益60億円以上・ROE15%以上(1Q決算説明資料 p.12)
まとめ
何の会社か:日本の中古車をニュージーランドや欧州へ輸出し、輸送・検査・ローンまで担う。売上の7割は豪州の新車ディーラーを中心とする小売・卸売
業績:2026年3月期は売上高3,155.1億円・営業利益98.4億円(IFRS)。今期は営業利益119億円を計画し、第1四半期の進み具合は約3割
株価:実績PER9.2倍・PBR0.54倍(劣後ローンを除くと約0.72倍)・配当利回り5.42%(2026年10月22日終値)
ライバル:豪州では Eagers Automotive などのディーラーグループ、日本の上場企業ではVTホールディングスが近い
注目点:OzCar の影響額(11月13日の決算)、ニュージーランド・欧州向けの台数、豪州の利幅
利回りの高さと株価指標の低さは目を引きますが、利益率の薄さと借入の大きさ、関連会社の手続という不確定な要素もあります。まずは次の決算で OzCar の影響がどこまで示されるかを確かめたいところです。
オプティマスグループ
日本の中古自動車をニュージーランド・オーストラリア等の海外市場に輸出・販売する自動車流通企業。日本での仕入・整備・検査から海上輸送、現地での輸入車検・整備・販売まで一貫したサプライチェーンを構築する。現地では中古車ディーラーへの卸売に加え、…
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。記事中の業績は2027年3月期 第1四半期決算短信(2026年8月7日公表)まで、株価指標は2026年10月22日終値に基づきます。








