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タスキホールディングス(166A)の企業分析|東京23区の相続税対策向けIoTレジデンスで売上1,000億円規模へ

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タスキホールディングス(166A)は、東京23区の駅近に建てる投資用「IoTレジデンス」を主力とする不動産グループです。2024年4月に旧タスキ(2987)と新日本建物(8893)が共同株式移転で経営統合して生まれ、2026年6月15日に東証グロースからプライム市場へ上場市場区分を変更しました。

2025年9月期は売上高744億円・営業利益88億円。2026年9月期は売上高1,004億円・営業利益110億円を計画し、第3四半期累計(2025年10月〜2026年6月)で売上高600億円(前年同期比+41.1%)、営業利益75.7億円(同+92.4%)まで進んでいます(2026年9月期 第3四半期決算短信)。

一方で、来期以降の販売に向けて仕入れを急いだ結果、販売用不動産・仕掛販売用不動産(前渡金を含む)は852億円、有利子負債は757億円に膨らみ、自己資本比率は28.1%まで下がりました。この記事では、事業の仕組み、引き渡しのタイミングで大きく振れる業績の読み方、競合との違い、在庫・借入・相続税制のリスクを個人投資家の目線で整理します。

会社概要 — 旧タスキと新日本建物が統合した不動産持株会社

タスキホールディングスは、IoTレジデンス開発の旧タスキと、東京23区で分譲マンション「ルネサンス」シリーズを手がけてきた新日本建物が、共同株式移転で設立した純粋持株会社です。

実は両社は元々親子でした。旧タスキの前身は2013年に新日本建物の子会社として設立された「TNエステート」で、2017年に資本関係を解消して独立しています(有価証券報告書(2025年9月期) 沿革)。統合は約6年半ぶりの再合流でもあります。

項目

内容

会社名

株式会社タスキホールディングス(TASUKI Holdings Inc.)

証券コード

166A(東証プライム)

設立

2024年4月1日(共同株式移転)

本社

東京都港区北青山

代表取締役社長

柏村 雄(旧タスキ創業メンバー、2021〜2024年に旧タスキ社長)

役職員数

229名(2026年6月末、契約社員・業務委託等を含む)

主な子会社

タスキ、新日本建物、オーラ(持分71.1%)、タスキプロス、ZISEDAI

決算期

9月

出典:タスキHD 2026年9月期 第3四半期決算説明資料 p.52〜53・有価証券報告書(2025年9月期)よりKabuGraph作成

沿革 — 上場から約6年でプライム市場へ

  • 2013年8月:新日本建物の子会社として旧タスキの前身「TNエステート」を設立(2017年9月に資本関係を解消)

  • 2019年4月:IoT設備を標準仕様にした新築投資用IoTレジデンスの提供を開始

  • 2020年10月:旧タスキが東証マザーズに上場

  • 2022年12月:不動産DX専業の子会社ZISEDAIを設立

  • 2024年4月:共同株式移転でタスキHDを設立し東証グロースに上場。同月、資産コンサルティングのオーラを子会社化

  • 2025年2〜9月:野村證券を割当先とする行使価額修正条項付新株予約権(潜在株式1,000万株)が全て行使され、約63億円を調達

  • 2026年6月15日:東証プライム市場へ上場市場区分を変更

出典:有価証券報告書(2025年9月期)・第1回新株予約権の発行に関するお知らせ(2025年1月24日)・行使完了のお知らせ(2025年9月8日)・プライム市場への上場市場区分変更に関するお知らせよりKabuGraph作成

売上の3分の2はIoTレジデンス

報告セグメントは「Life Platform」「AI Dynamics」「Finance Consulting」の3つですが、売上の99%超はLife Platform(不動産開発・販売)です。会社は決算説明資料でLife Platformをさらに中分類に分けて開示しており、2025年9月期はIoTレジデンスが約67%を占めました。

事業別売上構成比(2025年9月期)

出典:タスキHD 2026年9月期 第3四半期決算説明資料 p.10の四半期売上高(中分類)を2025年9月期の4四半期分合計してKabuGraph算出

事業を理解する — IoTレジデンス・資産コンサル・不動産AI

グループの稼ぎ頭は、東京23区で土地を仕入れて投資用レジデンスを建て、相続税対策を考える富裕層に1棟ごと売る事業です。これに、不動産オーナーから土地を買い取る資産コンサルティング、中古物件を再生するリファイニング、不動産会社向けのAI・SaaS、不動産担保ローンが加わります。

タスキHDの事業ポートフォリオ(ブランド別の販売価格・顧客・収益構造)
出典:タスキHD 2026年9月期 第3四半期決算説明資料 p.46(PDFのページ番号。スライド右下の番号は45)

IoTレジデンス(タスキsmart/ルネサンスコート)— 売上の約3分の2

株式会社タスキのIoTレジデンス紹介ページ
出典:株式会社タスキ公式サイト

主に東京23区・最寄り駅から徒歩5分圏内の土地に、スマートロックなどのIoT設備を標準装備した鉄筋コンクリート造のコンパクトレジデンスを建て、投資家や企業に販売します。グループ内で2つのシリーズを作り分けています。

  • タスキsmart(タスキ):60〜200㎡程度の土地に建てる8〜14戸程度の中低層レジデンス

  • ルネサンスコート/ルネサンスプレミアムコート(新日本建物):150〜500㎡程度の土地に建てる10〜50戸の中高層レジデンス

同じエリアで土地の広さに応じて商品を使い分けられるのが統合の効果です。会社資料によると、タスキの1棟あたり販売価格は3億〜5億円、平均保有期間は約10.1ヶ月、仕入れた物件の86%超が空き家でした(タスキ実績)。

建物を建てる前に用地のまま売る出口もあります。在庫の回転が速くなり市況変動のリスクを抑えられるため、2025年9月期は用地販売の割合が自社開発を上回りました(有価証券報告書(2025年9月期) 事業の内容)。

IoTレジデンスのビジネスモデル(用地仕入→事業化→販売→運用)
出典:タスキHD 2026年9月期 第3四半期決算説明資料 p.40(スライド番号39)

買い手の中心は相続税対策を目的とする富裕層で、会社は顧客が利回り重視ではないため、購入判断は金利水準の影響を比較的受けにくいと説明しています(2026年9月期 第3四半期決算説明会 書き起こし)。また、顧客の3〜4割は外国籍(代表者・実質的支配者が外国籍の日本法人を含む)です(2025年9月期決算発表後の質疑応答)。

新日本建物のブランドサイト「ザ・ブランド オブ ルネサンス」
出典:株式会社新日本建物公式サイト

新日本建物は、東京近郊で1棟20億〜50億円規模の物流施設の企画・販売も手がけています。売上規模は小さく、決算説明資料では「その他(オフィス・ホテル・物流施設・賃貸)」に含まれます。

資産コンサルティング(オーラ)— 大型案件で振れる第2の柱

株式会社オーラの資産コンサルティング紹介ページ
出典:株式会社オーラ公式サイト

2024年4月に子会社化したオーラ(持分71.1%)は、相続や建て替え、売却に悩む不動産オーナーに活用策を提案し、必要に応じて自ら買い取って事業用地に仕立て直し、機関投資家やデベロッパーに売る事業です。1件3億〜15億円、回転期間は約3〜10ヶ月です(2026年9月期 第3四半期決算説明資料 p.44・46)。

2026年9月期は第3四半期累計で売上高210.8億円と、すでに前期1年分(141.3億円)を超えました。第3四半期(3ヶ月)だけで大型案件の販売により71.3億円を計上しており、大型案件の有無で四半期の売上が大きく動く点に注意が必要です(同資料 p.10)。

リファイニング・不動産ファンド(TASUKI FUNDS)— 賃料が積み上がるストック型

不動産投資型クラウドファンディング「TASUKI FUNDS」のトップページ
出典:TASUKI FUNDS公式サイト

リファイニングは、中古のレジデンスや商業ビルを買い、内装・耐震・遵法性の工事と賃料の見直しで価値を上げてから売る事業です。中古レジデンスは「タスキ リシェス」、中古オフィス・商業ビルは「タスキ プライム」のブランドで展開しています。

リファイニングのAUM残高の推移とブランドラインナップ(タスキ リシェス/タスキ プライム)
出典:タスキHD 2026年9月期 第3四半期決算説明資料 p.22(スライド番号21)

保有中は賃料収入が入るため、会社はストック収益の柱と位置づけています。自社保有とファンドを合わせた運用資産残高(AUM)は2026年6月末で253.9億円と、2025年9月末(131.5億円)から約2倍に増えました(2026年9月期 第3四半期決算説明資料 p.22)。

物件の受け皿として、1口10万円から投資できる不動産投資型クラウドファンディング「TASUKI FUNDS」と、バランスシートから切り離すオフバランスの私募ファンドも運営しています。

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AI Dynamics(ZISEDAI)— 不動産会社向けのAI・SaaS

クラウド型物件情報管理サービス「ZISEDAI LAND」のトップページ
出典:ZISEDAI LAND公式サイト

子会社ZISEDAIは、自社の仕入れ業務から生まれたツールを不動産会社に外販しています。主力は2つです。

  • ZISEDAI LAND:仕入れ候補の物件情報を地図上で共有・管理するクラウドサービス。生成AI-OCRによる物件概要書の自動入力、登記情報の自動取得などのオプションがある(2025年6月に旧「TASUKI TECH LAND」から改称)

  • ZISEDAI TOUCH&PLAN:土地の建築規制を読み込み、建てられる建物のボリュームプランを自動生成するAIサービス。住戸割りのアルゴリズムなどで特許を取得

建築プラン自動生成AIサービス「ZISEDAI TOUCH&PLAN」のトップページ
出典:ZISEDAI TOUCH&PLAN公式サイト

ZISEDAI LANDの導入社数は2026年6月末で312社(前年同期比+45.8%)、ユーザー数は3,503人です。ただし今期KPIの360社には届いておらず、会社は大規模事業者への導入でカスタマイズや商談に時間がかかっていると説明しています(第3四半期決算説明会 書き起こし)。

ZISEDAI LANDの導入社数と利用規模別ユーザー数の推移
出典:タスキHD 2026年9月期 第3四半期決算説明資料 p.18(スライド番号17)

ZISEDAIは影響が軽微として非連結でしたが、2026年9月期第2四半期から連結し、報告セグメント「AI Dynamics」を新設しました(連結範囲の変更及び報告セグメントの変更に関するお知らせ)。第3四半期累計の同セグメントは売上高0.7億円、営業損失0.8億円で、別途1.9億円の減損損失も計上しています。会社は来期に売上総利益ベースでの黒字化を目指すとしています(第3四半期決算発表後の質疑応答)。

Finance Consulting(タスキプロス)ほか

株式会社タスキプロスのサービス紹介ページ(不動産担保ファイナンス)
出典:株式会社タスキプロス公式サイト

タスキプロスは、中小の不動産事業者に不動産担保ローンを提供します。グループの不動産査定ノウハウを使い、営業年数の短いスタートアップにも融資するのが特徴です。第3四半期累計の売上高は1.7億円、営業利益は0.7億円(セグメント間取引を含む)と、規模は小さいものの黒字です(第3四半期決算短信 セグメント情報)。

このほか、非連結子会社のタスキパートナーズが2025年6月から、首都圏の空き家を買ってリフォームし500万〜5,000万円で売る「空き家再生」を始めています。

出典:有価証券報告書(2025年9月期) 事業の内容・2026年9月期 第3四半期決算説明資料・第3四半期決算短信よりKabuGraph作成

業績推移と財務分析

通期業績 — 今期は売上高1,000億円台・営業利益110億円を計画

統合後2期の実績と今期の会社予想は次のとおりです。2025年9月期は売上高744.1億円(前期比+56.8%)、営業利益88.2億円(同+116.8%)と大きく伸びました。

通期業績推移(売上高・営業利益・営業利益率・売上高成長率)

出典:タスキHD 2025年9月期決算短信・2026年9月期 第3四半期決算短信よりKabuGraph作成。純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。2026/9は会社予想(2025年11月11日公表、2026年8月4日時点で修正なし)。2024/9は会計上の取得企業である旧タスキの12ヶ月に新日本建物の6ヶ月(2024年4〜9月)とオーラの5ヶ月(2024年5〜9月)を連結した数値で、前期の連結実績がないため成長率は2025/9から表示(2025/9の増収率には新日本建物の通年化を含む)
  • 2024年9月期の利益率が低いのは統合の一時費用:新日本建物の棚卸資産を時価で評価し直した分(PPA)が販売時に売上原価へ11.77億円上乗せされ、M&A費用2.24億円も計上した(2024年9月期決算説明資料 p.9)

  • 2025年9月期は粗利率が改善:売上総利益率は16.8%→19.9%に上がり、会社目標の18%を上回った(有価証券報告書(2025年9月期))

  • 今期予想の営業利益率は11.0%:前期(11.8%)をやや下回る計画。第3四半期累計の営業利益率は12.6%で推移している

1株当たり利益(EPS)は2024年9月期53.39円→2025年9月期90.99円→2026年9月期予想94.03円です。今期の純利益は前期比+17.6%の計画ですが、2025年に新株予約権の行使で発行済株式数が約2割増えたため、EPSの伸びは+3%程度にとどまります。

四半期の業績 — 引き渡しのタイミングで大きく振れる

タスキHDは物件を引き渡した時点で売上を計上するため、四半期ごとの業績は大型物件の引き渡し時期で大きく変わります(有価証券報告書(2025年9月期) 事業等のリスク)。下のグラフは各四半期の3ヶ月単体の数値です。

四半期(3ヶ月)の事業別売上高と営業利益

出典:タスキHD 2026年9月期 第3四半期決算説明資料 p.10(事業別売上高)、決算短信(25/9期1Q・2Q・3Q・通期、26/9期1Q・2Q・3Q。営業利益は累計値の差分)よりKabuGraph作成。「その他」はオフィス・ホテル・物流施設・賃貸、AI Dynamics(2026/9期2Qから連結)、Finance Consulting
  • 第1四半期(2025年10〜12月):売上高69.5億円(前年同期比−59.0%)、営業損失0.96億円。利上げ、相続時の不動産評価の見直しを含む税制改正、外国人の不動産取得規制をめぐる不透明感から、販売を意図的に抑えて仕入れを優先した(第1四半期決算短信)

  • 第2四半期(2026年1〜3月、3ヶ月):売上高361.4億円、営業利益49.0億円と一気に回復。上期累計では売上高430.9億円(前年同期比+28.4%)、営業利益48.1億円(同+37.2%)(中間期決算短信)

  • 第3四半期(2026年4〜6月、3ヶ月):売上高169.3億円(前年同期比+88.4%)、営業利益27.6億円。売上総利益率は25.6%と会社開示で過去最高(第3四半期決算説明資料 p.10〜11)

項目

3Q累計実績

通期予想

進捗率

売上高

600.2億円

1,004.5億円

59.8%

営業利益

75.7億円

110.0億円

68.8%

親会社株主に帰属する純利益

33.5億円

58.0億円

57.8%

出典:タスキHD 2026年9月期 第3四半期決算短信よりKabuGraph作成。実績は2025年10月〜2026年6月の累計、通期予想は2025年11月11日公表値(2026年8月4日時点で修正なし)

財務 — 在庫をほぼ倍に積み、借入も拡大

来期以降の販売に備えた仕入れで、販売用不動産・仕掛販売用不動産・前渡金の合計は2026年6月末に851.7億円と、2025年9月末から+83.6%増えました。IoTレジデンスとリファイニングの仕入件数は第3四半期累計で167件と、通期計画の165件をすでに上回っています(第3四半期決算説明資料 p.8・13)。

財務の推移(棚卸資産・有利子負債・自己資本比率)

出典:タスキHD 2024年9月期決算短信・2025年9月期決算短信・2026年9月期 第3四半期決算短信の連結貸借対照表よりKabuGraph作成。棚卸資産は販売用不動産・仕掛販売用不動産・前渡金の合計、有利子負債は短期借入金・長期借入金(1年内返済予定を含む)・社債(1年内償還予定を含む)の合計
  • 有利子負債は756.8億円:短期借入金144.7億円、1年内返済予定の長期借入金108.3億円、長期借入金503.1億円など。現預金は173.1億円で、差し引いた純有利子負債は583.7億円

  • 支払利息は前年同期の約1.9倍:第3四半期累計の支払利息は9.9億円(前年同期5.2億円)。借入の増加に金利上昇が重なっている

  • 自己資本比率は28.1%:会社は第4四半期の販売で期末に30%台へ戻す見通しで、現状ではエクイティファイナンスを想定していないと説明(第3四半期決算説明会 書き起こし)

出典:タスキHD 2026年9月期 第3四半期決算短信 四半期連結貸借対照表・損益計算書よりKabuGraph作成

販売件数・棚卸資産件数・棚卸資産残高の四半期推移
出典:タスキHD 2026年9月期 第3四半期決算説明資料 p.12(スライド番号11)

中期経営計画と株主還元

2024年11月に公表した中期経営計画は、最終年度の2027年9月期にEPS140円・ROE20%以上・自己資本比率30%以上を掲げています。売上高は当初2026年9月期に870億円の計画でしたが、今期計画を1,004億円に引き上げており前倒しで進んでいます。2033年9月期には売上高2,000億円を目指す長期ビジョンもあります(第3四半期決算説明資料 p.47〜48)。

中期経営計画 FY2027.9の主要KPIと財務KPI
出典:タスキHD 2026年9月期 第3四半期決算説明資料 p.47(スライド番号46)

棚卸資産800億円のKPIはすでに超えました。一方、EPS140円は今期予想(94.03円)から約5割の増益が要る水準で、発行済株式数が変わらなければ純利益86億円前後が必要になります。

株主還元は、2025年11月に累進配当を基本としたまま、配当性向の目標を35%以上(のれん償却などを除くEPS基準)から40%以上に引き上げ、年1回だった配当を年2回に改めました(配当方針の変更及び配当予想の修正に関するお知らせ)。2026年9月期はプライム市場への移行を記念して期末に10円を上乗せし、年間50円(中間16円・期末34円、うち記念配当10円)に予想を引き上げています(配当予想の修正(増配)に関するお知らせ(2026年6月15日))。

1株配当と配当性向の推移

出典:タスキHD 2025年9月期決算短信・配当予想の修正に関するお知らせ(2026年6月15日)よりKabuGraph作成。2026/9は会社予想(2026年6月15日修正後)で記念配当10円を含み、配当性向は予想EPS94.03円で算出(普通配当40円なら42.5%)。2024/9はタスキHDの期末配当のみで、統合前に旧タスキが支払った中間配当(1株26円、タスキHD株換算11.6円)は含まない

株価指標(2026年9月24日終値)

  • 株価:1,088円

  • 時価総額:672億円

  • PER:実績12.0倍(2025年9月期EPS90.99円)/予想11.6倍(会社予想EPS94.03円)

  • PBR:2.10倍(2025年9月末BPS518.09円)

  • 予想配当利回り:4.6%(記念配当込みの年50円。普通配当40円なら3.7%)

  • ROE:18.5%(2025年9月期)

出典:東証株価・タスキHD 決算短信よりKabuGraph算出(2026年9月24日終値)

PERは後述の不動産開発の同業(実績PER6.5〜8.9倍)より高く、PBRも2倍を超えます。成長の速さと高いROEが評価されている一方、来期以降も増益が続くことが前提の水準ともいえます。

競合との比較

タスキHDの競合は事業ごとに異なります。IoTレジデンスでは相続税対策向けの新築一棟マンションを売る開発会社、リファイニングでは中古ビル再生の専業、ZISEDAIでは不動産テック企業がぶつかります。有価証券報告書も「大小様々な不動産関連事業者が多数存在」すると記しており、上場・非上場を問わず用地の取り合いになる業界です。

会社

売上高
(億円)

営業利益率

PER
(実績)

タスキHD(166A)

744.1

11.8%

12.0倍

フェイスネットワーク(3489)

329.2

17.1%

6.5倍

ディア・ライフ(3245)

785.1

9.8%

8.9倍

サンフロンティア不動産(8934)

1,160.8

21.8%

7.3倍

GA technologies(3491)

2,489.5

2.9%

13.7倍

出典:タスキHD 2025年9月期決算短信・ディア・ライフ 2025年9月期決算短信・サンフロンティア不動産 2026年3月期決算短信・フェイスネットワーク 2026年3月期決算短信・GA technologies 2025年10月期決算短信(IFRS)・東証株価よりKabuGraph算出。売上高・営業利益率は各社の直近通期、PERは2026年9月24日終値÷直近通期EPS
  • 相続税対策向けの新築一棟RCマンション:最も近いのはフェイスネットワーク。世田谷・目黒・渋谷の「城南3区」に絞って新築一棟RCマンション「GranDuo」を企画・開発している。タスキHDは23区全域の駅徒歩5分圏内・小さめの土地が中心で、売上規模は約2.3倍。利益率はフェイスが上回る

  • 都市型レジデンス開発:ディア・ライフは東京都区部とその周辺で単身者・DINKS向けの都市型賃貸マンション(都市型レジデンス)を開発する同じ9月決算の会社で、売上規模もほぼ同じ。タスキHDは富裕層個人への1棟販売と用地販売を組み合わせる点が異なる

  • 中古ビルの再生:サンフロンティア不動産は中古オフィスビルを再生する「リプランニング」が主力で、営業利益率21.8%と高収益。タスキHDのリファイニング(2025年9月期売上98.6億円)はまだ規模で大きく劣る

  • 不動産テック:GA technologiesは不動産投資サービス「RENOSY」と、賃貸管理・仲介会社向けSaaSの「ITANDI」を持つ。ZISEDAIは用地の仕入れと建築プランの検討という開発会社の上流業務に特化しており、売上は桁違いに小さい

出典:各社公式サイト・決算短信(フェイスネットワーク・ディア・ライフ 2025年9月期決算短信・サンフロンティア不動産・GA technologies)よりKabuGraph作成

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フ
3489不動産

フェイスネットワーク

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サ
8934不動産

サンフロンティア不動産

サンフロンティア不動産は経年劣化したオフィスビルを『お客様視点』でリノベーションする『リプランニング事業』を中心に、新築ビル・レジデンシャル開発、プロパティマネジメント事業、ホテル・観光事業、米国ニューヨークでの築100年超アパートメント再…

投資家が注目すべきポイント

強み

1. 東京23区・駅近の小さな土地に特化した仕入れ力

60〜200㎡程度の小さめの土地や空き家を、仕入れ担当者(アクイジションスタッフ)の増員で積極的に拾っています。2026年9月期はIoTレジデンス・リファイニングの仕入れが第3四半期までに通期計画を超え、アクイジションスタッフは91名に増えました。中計は2027年9月期に100名を目標としており、2024年9月期の48名からの増員計画に対する進捗率は82.7%(会社算出)です(第3四半期決算説明資料 p.13・15)。

2. 金利より相続税対策で動く顧客層

主な買い手は利回りより相続税の圧縮を重視する富裕層で、会社は金利上昇局面でも需要が続いていると説明しています。東京23区のシングル向け賃料は前年比10%超の上昇が続いており(会社資料、LIFULL HOME'Sのデータを基に作成)、会社は建築費の上昇分を販売価格に転嫁できるとしています(第3四半期決算説明資料 p.21)。

3. 出口と事業の組み合わせで振れを吸収できる

1棟販売・用地販売・ファンドへの売却という複数の出口に加え、資産コンサルティング(オーラ)とリファイニングの賃料収入が加わりました。統合やM&A、新規事業で商品の価格帯は数百万円(空き家再生)から50億円(物流施設)まで広がり、市況に応じて売り方を変えられます。

4. 明確な株主還元方針

配当性向40%以上と累進配当を掲げ、2026年9月期は記念配当込みで年50円(予想配当利回り4.6%、2026年9月24日終値)を予定しています。

リスク

1. 在庫と借入の急拡大

2026年6月末の有利子負債は756.8億円で、2025年9月末から約1.6倍に増えました。自己資本比率は28.1%に下がり、支払利息は第3四半期累計で前年同期の約1.9倍です。有価証券報告書も「有利子負債依存度が高い傾向」を事業リスクに挙げており、金利上昇や金融機関の融資姿勢の変化は利益と仕入れの両方に響きます。

2. 販売用不動産の評価損

851.7億円の棚卸資産は、景気悪化や金利上昇で販売が滞ると評価損の対象になります。2025年には新株予約権の行使で約2割の希薄化も経験しており、会社は現状エクイティファイナンスを想定していないとしていますが、財務の余力は注視が必要です。

3. 相続税評価の見直し(令和8年度税制改正)

2025年12月に閣議決定された令和8年度税制改正の大綱(p.52)は、2027年1月1日以後の相続から、相続開始前5年以内に取得・新築した一定の貸付用不動産を、課税時期における通常の取引価額で評価するとしました(課税上の弊害がなければ、取得価額に地価変動などを反映した価額の80%で評価できる)。会社は、需要の前倒しや小口化商品からの乗り換えが見込めるとして追い風と説明しています(第1四半期決算説明会 書き起こし)。

ただし会社自身も、顧客が税制メリットを受けるために必要な保有期間が従来の3年から5年に延びうるとしており(2025年9月期決算発表後の質疑応答)、第1四半期にはこの不透明感などを理由に販売を抑えました。制度の運用次第で顧客の購入判断が変わるリスクは残ります。

4. 第4四半期への集中と期ずれ

今期は第4四半期に約400億円の売上を見込んでいます。竣工や引き渡しが1四半期ずれるだけで通期の数字が大きく動くため、四半期決算の数字だけで業績の良し悪しを判断しにくい銘柄です。

5. 競合・用地取得競争と外国人顧客への依存

フェイスネットワークなど相続税対策向け一棟マンションの競合や、23区の用地をめぐる取り合いで仕入れ価格が上がれば利益率は圧迫されます。また顧客の3〜4割が外国籍で、外国人の不動産取得に対する規制が強まれば需要に影響しえます(2025年9月期決算発表後の質疑応答)。

まとめ

タスキホールディングス(166A)は、旧タスキと新日本建物の統合で東京23区の投資用レジデンスを中低層から中高層まで作り分けられるグループになり、資産コンサルティングやリファイニングを加えて売上1,000億円規模を狙う段階に入りました。

  • 事業:売上の約3分の2がIoTレジデンス。タスキsmartは相続税対策の富裕層に1棟3億〜5億円、ルネサンスコート・プレミアムコートは6億〜20億円で事業会社や機関投資家にも売る

  • 業績:2026年9月期は売上高1,004.5億円・営業利益110億円を計画。第3四半期累計の進捗は売上59.8%・営業利益68.8%で、第4四半期に約400億円の売上を見込む

  • 財務:棚卸資産851.7億円・有利子負債756.8億円・自己資本比率28.1%(2026年6月末)と、成長と引き換えに負債が膨らんでいる

  • 株価:PER12.0倍(実績)・PBR2.10倍・予想配当利回り4.6%(2026年9月24日終値)

  • 見るべき点:第4四半期の引き渡しで計画を達成できるか、期末に自己資本比率30%台へ戻るか、相続税評価の見直し後も販売が続くか

成長の勢いと株主還元は魅力ですが、在庫と借入に支えられた成長である点、税制の変化が主力顧客の行動に及ぶ点を踏まえ、四半期の数字ではなく通期と財務の推移で評価したい銘柄です。


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タ
166A不動産

タスキホールディングス

タスキホールディングスは、IoTレジデンス『タスキsmart』『ルネサンスコート』を開発・販売。リファイニング物件、物流施設、クラウドファンディング『TASUKI FUNDS』、不動産ローン等を展開。

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。記事中の数値は2026年9月24日時点の情報に基づいています。

コラム著者・編集者

K

KabuGraph編集部

KabuGraph編集部は、投資情報の発信と株式分析ツールの開発に携わるチームです。日本株・米国株の事業分析から、投資に役立つ情報をわかりやすくお届けします。

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