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配当性向の平均と目安|上場企業の中央値は36%、30%以上が3社に2社

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上場企業の配当性向は中央値が35.8%で、30%以上が3社に2社です(直近の通期決算短信、2026年10月14日時点、KabuGraph算出)。目安は「30%台が標準、50%以上は高め、100%以上は利益を超えて配っている状態」です。

この記事では、市場区分・業種別の水準と10年の推移、東証・財務省の統計、投資家と会社が目安にしている水準、米国との比較、銘柄選びでの使い方を解説します。配当性向の計算式は配当性向とはで解説しています。

配当性向の平均は?上場企業の中央値は35.8%

配当性向は、その期の利益のうち配当に回した割合です。1株配当÷1株当たり当期純利益(EPS)×100で計算し、配当金の総額÷親会社株主に帰属する当期純利益×100とほぼ同じ値になります。決算短信の1ページ目「配当の状況」に、会社が計算した値が載っています(東京証券取引所「決算短信・四半期決算短信作成要領等」2026年7月版 p.27)。

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配当性向の計算式(1株配当÷EPS)と決算短信での調べ方を解説。上場企業の中央値は35.8%(2026年10月)。水準ごとの読み方、業種の違い、配当利回り・総還元性向・DOEとの違いもわかります。

KabuGraphが上場企業の直近の通期決算短信を集計すると、配当性向の中央値は35.8%、平均は53.1%でした。対象はプライム・スタンダード・グロースに上場する普通株のうち、短信の配当性向が0%を超える2,906社です(REIT・ETF・TOKYO PRO MARKETは除く)。

上場企業の配当性向の分布(直近の通期)

出典:各社の決算短信(直近の通期)よりKabuGraph算出(プライム・スタンダード・グロース上場の普通株のうち配当性向が0%を超える2,906社、2026年10月14日時点)。配当性向は短信に会社が載せた値。「30〜40%」は30%以上40%未満

山は30〜40%(740社、25.5%)にあり、20〜50%に約6割(1,747社)が入ります。

  • 中央値:35.8%

  • 平均:53.1%

  • 上位25%ライン:50.2%

  • 下位25%ライン:26.0%

  • 上位10%ライン:76.3%

  • 下位10%ライン:17.0%

「ふつうの上場企業」の配当性向は30%台半ば、50%を超えると上位4分の1、75%前後で上位1割と覚えておくと、個別銘柄の数字を位置づけやすくなります。

平均が中央値より高いのは、100%以上の会社があるから

配当性向が100%以上の会社は175社(6.0%)あり、利益が大きく落ちた期には数百%になる会社もあります。平均はこうした少数の大きな値に引っ張られ、100%未満の会社だけで計算すると37.6%まで下がります。

上場企業の「平均的な水準」を知りたいときは、平均より中央値を使います。

配当性向が出ない会社——無配と赤字

直近の通期決算がある3,664社のうち742社は、短信に配当性向の値がありません。内訳は無配が612社、赤字で「-」が122社などです。短信の作成要領は、1株当たり当期純利益がマイナスのときは配当性向を「-」と書くよう定めています(同 p.27)。

赤字なのに配当を出した会社は137社あり(直近の通期、2026年10月14日時点、KabuGraph算出)、多くは配当性向を「-」と載せています(マイナスの値を載せた会社も11社)。赤字の期の配当は過去の利益の蓄えから払っていることになり、配当性向の数字だけでは分からないので、純利益がプラスかどうかもあわせて確かめます。

配当性向の目安は?水準ごとの位置と意味

配当性向を何%にするかは、各社が配当方針で決めます。そのため目安は「上場企業の中でどの位置にあるか」と「その会社の方針どおりか」で読みます。上場企業の分布に当てはめると、水準ごとの位置は次のとおりです。

出典:各社の決算短信(直近の通期)よりKabuGraph算出(配当性向が0%を超える上場企業2,906社、2026年10月14日時点)。会社の目標は大和総研「DOE・累進配当の採用拡大が続く主要企業の株主還元方針」(2026年9月18日)・生命保険協会の調べ(2026年4月)による
  • 30%未満(945社、32.5%):利益の多くを社内に残している。成長投資を優先する会社のほか、配当は控えめでも自社株買いで還元している会社もある

  • 30〜50%(1,202社、41.4%):最も多い層で、中央値35.8%もここに入る。上場企業としては標準的な水準

  • 50〜70%(400社、13.8%):上位4分の1に入る高め。高い配当性向を方針に掲げる会社と、利益が落ちた期に配当を据え置いた会社が混ざる

  • 70〜100%(184社、6.3%):利益の大半を配当に回している。少しの減益で100%を超えやすい

  • 100%以上(175社、6.0%):その期の利益より多く配っている。一時的な損失で利益が減った期なのか、減益が続いているのかで意味が変わる

100%を超える配当性向がどんな場合に危ないか、続けられるかの確かめ方は次の記事で解説しています。

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配当性向100%超は利益より多く配っている状態。2016年以降に100%以上だった延べ1,143件の翌期の減配は22.7%(30〜50%は11.7%)で、7割超は据え置きか増配。高い理由の見分け方と、決算短信で確かめる点を解説。

30%・40%・50%ちょうどに会社が集まる

配当性向を1%刻みで数えると、30%以上31%未満に158社が集まり、29%台(64社)や31%台(68社)の2倍以上います。40%以上41%未満(117社)、50%以上51%未満(91社)、35%以上36%未満(102社)にも山があります。

配当性向の1%刻みの分布(20〜59%)

出典:各社の決算短信(直近の通期)よりKabuGraph算出(配当性向が0%を超える上場企業2,906社のうち20%以上60%未満の2,018社、2026年10月14日時点)。「30%」は30%以上31%未満

配当性向の目標を「30%」「40%」「50%」のような切りのよい数字で掲げ、目標どおりに配当を決める会社が多いためと考えられます(KabuGraphの見方)。会社が実際に掲げている目標の分布は、後の「投資家と会社はどの水準を目安にしている?」で紹介します。

市場区分・会社の規模で見る:プライムは39.8%、グロースは27.3%

市場区分別の中央値は、プライム39.8%、スタンダード32.4%、グロース27.3%です。グロースは配当を出す会社そのものが少なく、上場594社のうち配当を出しているのは213社(35.9%)でした。

市場

配当性向の
中央値

配当を出す
会社の割合

100%以上の
会社

プライム

39.8%

96.2%

90社

スタンダード

32.4%

86.2%

77社

グロース

27.3%

35.9%

8社

出典:各社の決算短信(直近の通期)・東証株価よりKabuGraph算出(2026年10月14日時点)。中央値は配当性向が0%を超える会社(プライム1,454社・スタンダード1,254社・グロース198社)。配当を出す会社の割合は、上場中の全社(プライム1,553社・スタンダード1,551社・グロース594社)のうち直近の通期に1株配当がある会社

プライムでは配当を出す会社の真ん中がほぼ40%です。グロースでは配当を出す会社が少なく、出している会社でも配当性向は低めです。

時価総額300億円未満の会社は低め

時価総額で分けると、小さな会社ほど配当性向の中央値が低く、配当を出す会社の割合も下がります。

  • 100億円未満(1,193社):中央値32.1%、配当を出す会社63.1%

  • 100億〜300億円(818社):中央値33.5%、配当を出す会社87.3%

  • 300億〜1,000億円(694社):中央値38.1%、配当を出す会社94.4%

  • 1,000億〜1兆円(740社):中央値39.2%、配当を出す会社95.7%

  • 1兆円以上(218社):中央値37.5%、配当を出す会社97.7%

出典:各社の決算短信(直近の通期)・東証株価よりKabuGraph算出(時価総額は2026年10月14日終値、直近の通期決算がある3,664社。中央値は配当性向が0%を超える会社)

時価総額300億円以上の3区分では中央値が37.5〜39.2%に並びます。小さな会社の配当性向は、全体の中央値より規模の近い会社の水準と比べます。

業種別の配当性向:33業種の中央値

33業種のうち24業種は、中央値が30%台に収まります。高いのは証券、商品先物取引業(53.3%)と医薬品(51.5%)、低いのは電気・ガス業(24.8%)・空運業(28.5%)・非鉄金属(29.1%)です。

業種

中央値

下位25%
ライン

上位25%
ライン

証券、商品先物取引業

53.3%

29.3%

76.8%

医薬品

51.5%

35.9%

75.0%

保険業

46.5%

37.6%

69.4%

その他金融業

42.3%

33.4%

54.2%

ゴム製品

42.3%

36.2%

58.3%

鉄鋼

40.7%

32.2%

74.0%

その他製品

39.4%

25.2%

50.0%

建設業

39.1%

30.4%

48.6%

繊維製品

39.0%

32.7%

66.7%

サービス業

38.2%

24.5%

56.0%

精密機器

36.9%

30.8%

46.1%

機械

36.5%

27.0%

50.4%

電気機器

36.2%

28.8%

50.9%

化学

36.2%

27.1%

51.9%

食料品

36.2%

26.2%

50.2%

卸売業

36.0%

27.9%

47.6%

情報・通信業

35.9%

25.2%

50.2%

石油・石炭製品

35.4%

32.0%

44.9%

金属製品

35.0%

25.9%

46.0%

パルプ・紙

34.6%

25.6%

48.7%

輸送用機器

34.4%

25.9%

55.9%

銀行業

34.3%

30.2%

40.1%

小売業

33.4%

21.7%

48.4%

ガラス・土石製品

33.1%

27.6%

44.6%

不動産業

32.7%

21.4%

41.4%

倉庫・運輸関連業

31.3%

25.4%

42.9%

鉱業

31.1%

30.2%

40.0%

海運業

30.9%

24.9%

43.1%

水産・農林業

30.4%

27.3%

34.3%

陸運業

30.3%

21.1%

41.1%

非鉄金属

29.1%

21.1%

35.1%

空運業

28.5%

23.8%

34.6%

電気・ガス業

24.8%

16.4%

32.2%

出典:各社の決算短信(直近の通期)よりKabuGraph算出(配当性向が0%を超える上場企業2,906社、2026年10月14日時点)。東証33業種を中央値の高い順に掲載。空運業4社・鉱業5社・石油・石炭製品7社・水産・農林業11社・海運業11社・保険業12社は社数が少なく、1社で中央値が大きく動く

同じ業種の中の開きは、業種どうしの差より大きくなっています。化学は下位25%ラインが27.1%、上位25%ラインが51.9%で、業種の中央値(36.2%)の会社と50%を超える会社が同じ業種に並びます。業種の表は「その会社が業種の中で高い方か低い方か」を見るために使います。

医薬品は78社のうち39社が最終赤字で、配当性向が出るのは37社だけです。中央値51.5%は配当性向が出る37社の値です。銀行業は77社の中央値が34.3%で、下位25%ライン(30.2%)から上位25%ライン(40.1%)までの幅が10ポイントほどと狭くなっています。

配当性向の推移:10年で中央値は27.6%から35.5%に

上場企業の配当性向の中央値は、2016年度の27.6%から2025年度は35.5%に上がりました。配当性向30%以上の会社の割合も43.9%から67.3%に増え、今では3社に2社が30%を超えています。

上場企業の配当性向の推移(中央値と、30%以上の会社の割合)

出典:各社の決算短信よりKabuGraph算出。年度は4月期〜翌3月期の決算(2025年度=2025年4月期〜2026年3月期)。プライム・スタンダード・グロースの普通株のうち配当性向が0%を超える会社(各年度2,238〜2,931社)。データに残る上場廃止の会社(各年度55〜70社)も含むが、KabuGraphのデータを作る前に上場廃止になった会社は含まないため、ほぼ2026年10月時点で上場している会社の推移。2025年度の中央値35.5%は決算期を年度でそろえたため、「直近の通期」の35.8%と少し違う

上昇は一本調子ではありません。2019〜2020年度に30%以上の会社が5割台に増えたあと、2021年度は48.4%に下がりました。東証の集計では2021年度は上場企業の純利益の合計が前年度の約1.5倍(48.4%増)に増えた年で(東京証券取引所「2025年度決算短信集計【連結】」長期統計)、利益が伸びて分母が大きくなったことと重なります(KabuGraphの見方)。

東証・財務省の統計では38.1%・47.6%:「平均」の物差しの違い

配当性向の「平均」には、会社ごとの値を並べた中央値・単純平均と、配当金と利益をそれぞれ合計してから割った比率があります。東証や財務省の統計は後者で、同じ「平均」でも数字の意味が違います。

出典:各社の決算短信よりKabuGraph算出(2026年10月14日時点)、東京証券取引所「決算短信集計結果」2025年度、財務省「年次別法人企業統計調査(令和7年度)」よりKabuGraph作成

東証の決算短信集計:2025年度は38.1%

東京証券取引所は毎年、上場企業の決算短信を合計した集計を公表しています。2025年度(2025年4月期〜2026年3月期の決算)の配当性向は、金融業を除く全産業3,446社で38.1%でした(東京証券取引所「決算短信集計結果」)。配当金総額の合計を親会社株主に帰属する当期純利益の合計で割った比率です(同「集計方法の概要」2025年度)。

  • 全産業(金融業を除く):38.1%(2024年度集計では36.4%)

  • 製造業:45.7%

  • 非製造業:30.9%

  • プライム:38.0%

  • スタンダード:41.5%

  • グロース:33.5%

出典:東京証券取引所「2025年度決算短信集計【連結】」の合計(全産業・製造業・非製造業)と、プライム・スタンダード・グロースの各PDFの表(4)(いずれも金融業を除く全産業)。2024年度の36.4%は長期統計の2024年度集計の値で、表(4)の比較可能会社ベースでは36.2%

合計どうしの比率は利益の大きい会社ほど強く効くため、会社ごとの中央値とは一致しません。スタンダードは東証の集計で41.5%ですが、KabuGraphの中央値は32.4%です。

東証上場企業の配当性向の推移(全産業・合計どうし)

出典:東京証券取引所「2025年度決算短信集計【連結】」長期統計よりKabuGraph作成。全産業(金融業を除く)。配当金総額の合計÷親会社株主に帰属する当期純利益の合計。各年度の集計対象会社の値で、年度によって対象が違う(2014年度からJASDAQを含む)。2008年度は100%以上(表では「*」)のため空欄
  • 2008年度:純利益の合計が前年度より94.6%減ったのに対し、配当金総額の減少は12.8%にとどまり、配当性向は100%以上

  • 2019年度:純利益の合計が31.8%減ったのに対し、配当金総額は0.5%増え、配当性向は47.7%

  • 2021年度:純利益の合計が48.4%増え、配当性向は34.2%に下がった

出典:東京証券取引所「2025年度決算短信集計【連結】」長期統計。増減率は各年度の集計対象会社で遡って比べた値

利益が落ちた年も配当は利益ほど減らないので、配当性向は業績の悪い年に跳ね上がります。個別の会社でも同じで、配当性向が急に上がった年は、配当を増やしたのか利益が減ったのかを分けて見ます。

財務省の法人企業統計:2025年度は47.6%

非上場の会社を含む日本企業全体の配当性向は、財務省「法人企業統計調査」で確かめられます。2025年度は金融業・保険業を除く全規模・全産業で、当期純利益96兆6,436億円に対し配当金45兆9,662億円、配当性向は47.6%でした(2024年度は44.7%。財務省「年次別法人企業統計調査(令和7年度)」第5表 p.7)。

計算式は(中間配当額+配当金)÷当期純利益×100で(財務総合政策研究所「財務営業比率の計算」)、各社の単体決算の数値を合計した比率です。上場企業の連結の配当性向とは集計の単位が違うので、水準を直接は比べられません。

投資家と会社はどの水準を目安にしている?

投資家の7割が「30%以上」を望む

生命保険協会が機関投資家に「日本企業に中長期的に望ましい配当性向」を聞いた調査(2025年度、回答77社)では、最も多い答えは30%以上40%未満(42.9%)でした。30%以上を望む回答は合わせて73%で、「水準には拘らない」も22.1%ありました。

  • 20%以上30%未満:5.2%

  • 30%以上40%未満:42.9%

  • 40%以上50%未満:18.2%

  • 50%以上60%未満:7.8%

  • 60%以上:3.9%

  • 水準には拘らない:22.1%

出典:生命保険協会「企業価値向上に向けた取り組みに関するアンケート 集計結果一覧(2025年度版)投資家様向けアンケート」p.23。10%以上20%未満は0.0%

同協会は、TOPIX構成銘柄(赤字企業を除く)のうち配当性向が30%以上の会社は76%で、前年度より増えたとしています(生命保険協会「生命保険会社の資産運用を通じた『株式市場の活性化』と『持続可能な社会の実現』に向けた取組について」2026年4月 p.6)。

会社の目標は30〜40%が中心、主要企業では40%が最多に

生命保険協会の調べでは、時価総額上位1,200社のうち75%が株主還元の数値目標を公表しています(2025年)。目標の内訳(重複あり)は次のとおりです。

  • 配当性向30%以上:576社

  • 総還元性向など:309社

  • DOE(株主資本配当率):206社

  • 配当性向30%未満:34社

出典:生命保険協会 同報告書 p.7

大和総研がTOPIX500(主要企業、2026年8月末時点492社)の有価証券報告書(2025年度)の「配当政策」を調べたところ、比率目標を掲げる会社は334社(67.9%)で、配当性向の目標は最頻値が40%、中央値が40.0%でした(2024年度の中央値は35.0%)。2025年度に方針を拡充した79社のうち48社が目標値を引き上げており、主要企業の目標の水準は上がっています(大和総研「DOE・累進配当の採用拡大が続く主要企業の株主還元方針」2026年9月18日 p.1〜3)。

上場企業全体の実績では、1%刻みで見ると30%(30%以上31%未満)の会社がいちばん多く(158社)、主要企業の目標では40%が最多です。どちらも30%・40%・50%のような切りのよい数字に集まる点は同じで、目標を掲げる会社の多さが分布の山に表れています(KabuGraphの見方)。

実例:配当方針の目安と実績

会社

配当方針の目安

配当性向の実績

三菱UFJフィナンシャル・グループ

配当性向40%程度

40.3%
2026年3月期

東京エレクトロン

配当性向50%を目処
年間配当は1株10円が下限

50.1%
2026年3月期

ゆうちょ銀行

配当性向50%程度
利益成長を通じた累進的な配当

50.3%
2026年3月期

JT

配当性向75%を目安
±5%程度の範囲内で判断

81.4%
2025年12月期

出典:各社の株主還元方針・配当のページ(2026年10月15日閲覧)、各社の決算短信よりKabuGraph作成。配当性向の実績は決算短信の値。東京エレクトロンの下限は2026年10月1日の株式分割(1株→5株)後の金額。ゆうちょ銀行の方針は中期経営計画(2026〜2028年度)のもの

JTの2025年12月期の配当性向は、決算短信では81.4%でした。JTは、カナダの訴訟の和解に伴う負債の再測定の影響と、スーダン子会社の清算に伴うのれんの除却損の影響を除いた継続事業の当期利益(4,886億円)で計算した値を85.0%と示しており、目安の75%(±5%程度)を上回っています。前の2024年12月期は短信では192.2%でしたが、カナダ子会社の訴訟に関する引当金3,756億円を除くと74.3%です(JT「株主還元方針・配当」)。一時的な損益は配当性向を押し上げる向きにも押し下げる向きにも効くので、会社の目標と比べるときは、どの利益で計算した配当性向かを確かめます。

各社の業績と株主還元は三菱UFJ FGの企業分析・東京エレクトロンの企業分析・JTの企業分析で解説しています。

配当性向の目標に、前期の配当を下回らない累進配当や、利益ではなく株主資本に連動させるDOEを組み合わせる会社も増えています。TOPIX500(主要企業)では2025年度にDOEを採用する会社が93社(前年度より21社増)、累進配当が86社(同28社増)になりました(大和総研 同レポート p.4)。

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米国(S&P500)の配当性向は33%

S&P500の配当性向(指数全体の配当÷利益)は2025年が33.0%で、東証集計の38.1%と大きくは違いません。Robert J. Shiller教授が公開している1871年以降のデータ(配当・利益とも12か月合計)から、KabuGraphが計算しました(Shiller「U.S. Stock Markets 1871-Present and CAPE Ratio」)。同じデータで計算した株価の割高・割安の指標はシラーPER(CAPE)とはで解説しています。年代ごとの配当性向(月次の値の中央値)は次のとおりです。

  • 1950年代:54.7%

  • 1980年代:47.1%

  • 2000年代:35.5%

  • 2020〜2025年:36.6%

出典:Robert J. Shiller「U.S. Stock Markets 1871-Present and CAPE Ratio」よりKabuGraph算出。各年代の月次の配当性向(配当÷利益、いずれも12か月合計)の中央値。1957年以前はS&P総合株価指数、2025年は12月の値

年代ごとの中央値は、1950年代の50%台から2000年代以降は30%台に下がっています。月ごとに見ると、利益が急減した2008年12月に190.8%、2009年3月には397%に跳ねており、利益が落ちた年に配当性向が上がるのは米国も同じです。

S&P500の会社は、配当より自社株買いに多くのお金を使っています。S&P500の2025年9月までの12か月の自社株買いは1兆200億ドルで、配当の6,649億ドルを上回りました(S&P Dow Jones Indices 2025年12月18日の発表)。配当性向だけでは株主への還元の大きさは測れないので、日本株でも自社株買いを含めた総還元性向をあわせて見ます。

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配当性向の目安を銘柄選びに使う4つの確認

全体の中央値35.8%は出発点にすぎません。個別の銘柄の配当性向を見るときは、次の4つを確かめます。

出典:各社の決算短信よりKabuGraph算出(業種の中央値、2026年10月14日時点)、JT「株主還元方針・配当」よりKabuGraph作成
  • 業種の中央値と比べる:33業種の表で、その会社の業種の中央値と下位25%・上位25%のラインと比べます。同じ40%でも、電気・ガス業(中央値24.8%)なら業種の上位4分の1、医薬品(中央値51.5%)なら業種の中ほどより下です

  • 会社が掲げる目標と比べる:配当方針は会社のIRページ・決算説明資料や、有価証券報告書の「配当政策」に書かれています。配当性向の目標どおりなら、利益が増えれば配当も増えます。JTのように、一時的な損益を除いた利益で計算した値を示す会社もあります

  • 3〜5年の推移で見る:配当性向が急に上がった年は、配当を増やしたのか利益が減ったのかを分けます。決算短信の損益計算書で特別損失・減損損失を確かめ、一時的な要因で純利益が減った年かを見ます。短信の「配当の状況」には今期の予想の配当性向も載っているので(東京証券取引所「決算短信・四半期決算短信作成要領等」p.22)、実績が跳ねた年は予想で元の水準に戻るかも確かめます。詳しくは配当性向が高すぎる場合の記事で解説しています

  • 配当以外の還元・方針も合わせて見る:自社株買いを含めた総還元性向、DOE、累進配当の方針です。配当性向が低くても、自社株買いで多く還元している会社があります。主要企業(TOPIX500)が掲げる総還元性向の目標は、2025年度で最頻値50%・中央値50.0%でした(大和総研「DOE・累進配当の採用拡大が続く主要企業の株主還元方針」2026年9月18日 p.3)

配当性向の過去の推移は、KabuGraphの各銘柄ページの配当の欄でも確かめられます。配当性向と配当利回りを組み合わせた見方は次の記事で解説しています。

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配当性向は利益のうち配当に回した割合、配当利回りは株価に対する配当の割合で、配当利回り=配当性向÷PERでつながる。ソフトバンク・積水ハウス・キーエンスで計算し、上場企業を4つの型に分けると、高利回り×低性向でも翌期に約2割が減配。実績と予想の違いも解説。

配当利回りの平均と、何%から高配当と言えるかは次の記事にまとめています。高配当株を選ぶときの注意点は高配当株をおすすめしない理由で解説しています。

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日本株の配当利回りの平均は東証プライムの加重1.92%・単純2.21%(JPX、2026年9月)、配当を出す上場企業の中央値は2.63%で、4%以上は18%。日経平均は実績1.58%(10月14日)、S&P500は1.10%(6月)。年平均リターンも解説。

よくある質問

配当性向は高い方がいい?

高いほど利益の多くを配当に回していますが、高ければよいとは限りません。100%を超えると利益以上に配っていて、同じ配当を続けるには利益の回復か蓄えの取り崩しが必要です。低い会社も、成長投資や自社株買いに回している場合があります。

「配当性向30%」はどこから来た目安?

法令や取引所の規則で決まった水準ではありません。ただ、会社が掲げる配当性向の目標は30〜40%が中心で(主要企業のTOPIX500では2025年度に40%が最多。大和総研)、機関投資家の7割も30%以上を望んでいます(生命保険協会、2025年度)。上場企業の3社に2社は、すでに30%を超えています(2026年10月14日時点、KabuGraph算出)。

赤字の会社の配当性向は?

1株当たり当期純利益がマイナスの期は、決算短信では配当性向を「-」と書きます(東京証券取引所「決算短信・四半期決算短信作成要領等」p.27)。直近の通期では、赤字なのに配当を出した上場企業が137社ありました(2026年10月14日時点、KabuGraph算出)。赤字の期の配当は、過去の利益の蓄えから払っていることになります。

配当性向と配当利回りはどちらを見る?

配当性向は会社が利益のうち何%を配るか、配当利回りは株価に対して何%の配当を受け取れるかを表します。配当の続きやすさは配当性向、投資額に対する受け取りは配当利回りで見るので、両方を確かめます。2つの関係は配当性向と配当利回りの違いで解説しています。

REITの分配金も同じ目安で見てよい?

同じ目安では見ません。REIT(不動産投資信託)は、配当可能利益の90%を超えて分配するなどの条件を満たすと分配金を損金に算入できる仕組みで(租税特別措置法第67条の15(e-Gov法令検索))、利益のほぼ全額を分配するのが普通です。そのため、この記事の集計からも除いています。仕組みはJ-REITの解説で紹介しています。

まとめ

配当性向の目安は、上場企業の分布・業種・会社の目標の3つで判断します。

  • 上場企業(配当性向がプラスの2,906社)の中央値は35.8%、平均は53.1%(100%以上の会社が押し上げる)。2026年10月14日時点

  • 30%以上が3社に2社、50%以上で上位4分の1、100%以上は6.0%

  • 市場区分別の中央値はプライム39.8%・スタンダード32.4%・グロース27.3%。業種では電気・ガス業の24.8%から証券、商品先物取引業の53.3%まで

  • 中央値は2016年度の27.6%から2025年度は35.5%に上昇

  • 東証の決算短信集計(合計どうし)は2025年度38.1%、財務省の法人企業統計は47.6%で、中央値とは物差しが違う

  • 機関投資家の7割は30%以上を望み、主要企業(TOPIX500)の配当性向の目標は2025年度に40%が最多(中央値40.0%)で、引き上げる会社が多い。米国S&P500は2025年で33.0%

  • 個別の銘柄では、業種の中央値・会社の目標・数年の推移・総還元性向をあわせて見る

ほかの投資指標の目安は株式投資指標の一覧にまとめています。配当性向が載っている決算短信の読み方は次の記事で解説しています。

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コラム著者・編集者

K

KabuGraph編集部

KabuGraph編集部は、投資情報の発信と株式分析ツールの開発に携わるチームです。日本株・米国株の事業分析から、投資に役立つ情報をわかりやすくお届けします。

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