配当性向と配当利回りの違い|利回り=配当性向÷PER、組み合わせで見る減配リスク

配当性向は「利益のうち配当に回した割合」、配当利回りは「株価に対して受け取る配当の割合」です。2つは配当利回り=配当性向÷PERでつながっていて、両方を並べると、利回りが高い理由と減配しやすさが見えてきます。
この記事では、2つの指標の違いと関係式、実在の会社での計算、4つの組み合わせと翌期の減配率、実績と予想の違い、見るときの落とし穴を解説します。
この記事の内容(目次)
配当性向と配当利回りの違い——割る相手が「利益」か「株価」か
2つの指標は、分子が同じ1株配当(年間)で、分母だけが違います。
東証の適時開示ガイドブックは、決算短信の配当性向を「1株当たり配当金(年間の合計)÷1株当たり連結当期純利益×100」で計算するよう定めています。IFRSの会社は分母が基本的1株当たり当期利益で、赤字で分母がマイナスの年は「-」と書きます(東京証券取引所「会社情報適時開示ガイドブック」(2026年7月版)p.303)。配当利回りは、1株当たりの年間配当金を現在の株価で割って求める指標です(野村證券「証券用語解説集:配当利回り」、2026年10月15日閲覧)。
観点ごとに並べると、次のとおりです。
何に対する配当か
配当性向:会社の利益(EPS)
配当利回り:投資家が払う株価
誰の視点か
配当性向:会社。稼いだ利益をどう分けたか
配当利回り:投資家。投資額に対して毎年何%を受け取れるか
何が分かるか
配当性向:還元の積極さと、減益になっても配当を続ける余力
配当利回り:配当で得られる収入の大きさ。ほかの株や債券・預金と比べられる。税引前の値で、課税口座では上場株式の配当から20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%と住民税5%)が源泉徴収される(国税庁 タックスアンサー No.1330「配当金を受け取ったとき(配当所得)」、令和8年4月1日現在法令等)
いつ動くか
配当性向:決算で利益と配当が確定したとき。株価では動かない
配当利回り:株価が動くたびに毎日動く。株価が下がると上がる
どこで見るか
配当性向:決算短信1ページ目「配当の状況」の「配当性向(連結)」。通期の決算短信には今期の予想配当性向も載る(業績予想を出さない会社は「-」。四半期の短信は予想配当だけ)
配当利回り:決算短信には載らない。1株配当÷株価で自分で計算するか、証券会社のサイトや銘柄ページで見る
配当利回りは「いくらもらえるか」、配当性向は「その配当が利益に対して無理をしていないか」を見る指標です。利回りだけでは配当が続くかどうかが分からず、配当性向だけでは投資額に対する受け取りが分かりません。

配当性向とは|計算式と決算短信での調べ方、配当利回り・DOEとの違い
配当性向の計算式(1株配当÷EPS)と決算短信での調べ方を解説。上場企業の中央値は35.8%(2026年10月)。水準ごとの読み方、業種の違い、配当利回り・総還元性向・DOEとの違いもわかります。
2つをつなぐ式:配当利回り=配当性向÷PER
配当利回りの式の分子と分母にEPS(1株当たり当期純利益)をはさむと、配当性向とPERに分かれます。
EPS÷株価は株式益回り(PERの逆数)なので、配当利回り=配当性向×益回りとも書けます。PER12.5倍(益回り8%)の会社が利益の40%を配れば、配当利回りは8%×40%=3.2%です。PERの意味はPER(株価収益率)とはで解説しています。
配当性向が同じなら、PERが低い(株価が利益に比べて安い)ほど利回りは高い
PERが同じなら、配当性向が高いほど利回りは高い
利回りが高い理由は2つに分けられる:利益の多くを配っているのか、株価が利益に比べて安いのか。株価が安いのは、市場が今後の減益を見込んでいるからかもしれない(後の節で、過去のデータで確かめます)
この式は実際のデータでも成り立ちます。直近の通期の決算短信に配当性向があり、PERがプラスの上場企業2,902社のうち、2,881社(99.3%)で「配当性向÷PER」と実際の配当利回りの差が相対差5%以内(利回り3%なら±0.15ポイント以内)でした(2026年10月14日終値、KabuGraph算出)。逆に言えば、配当利回りとPERが分かれば、配当性向は「配当利回り×PER」で求められます。
益回りから見た同じ関係(益回り=配当利回り+内部留保の利回り)と、国債利回りとの比べ方は次の記事で解説しています。

株式益回りとは?配当利回りとの違いと計算式|国債との差は2013年以降で最小(2026年8月)
株式益回り(益利回り)はEPS÷株価で求めるPERの逆数です。配当利回りとの違い、10年国債利回りとの比べ方を解説。東証プライムの益回り4.81%と国債2.94%の差は1.87ポイントで、2013年以降で最小です(2026年8月末)。
実在の3社で計算してみる——利回りの差はどこから来る?
直近の通期決算と2026年10月14日終値で、ソフトバンク・積水ハウス・キーエンスの3社を計算しました。配当性向とPERの組み合わせは、会社ごとに大きく違います。
項目 | ソフトバンク | 積水ハウス | キーエンス |
|---|---|---|---|
決算期 | 2026年3月期 | 2026年1月期 | 2026年3月期 |
1株配当 | 8.60円 | 144円 | 550円 |
EPS | 11.35円 | 358.07円 | 1,835.63円 |
株価 | 241.8円 | 3,375円 | 80,330円 |
配当性向 | 75.8% | 40.2% | 30.0% |
PER | 21.3倍 | 9.4倍 | 43.8倍 |
配当利回り | 3.56% | 4.27% | 0.68% |
出典:ソフトバンク 2026年3月期 決算短信/積水ハウス 2026年1月期 決算短信/キーエンス 2026年3月期 決算短信、東証株価よりKabuGraph算出(2026年10月14日終値)
配当性向÷PERで計算しても、ソフトバンクは75.8÷21.3=3.56%、積水ハウスは40.2÷9.4=4.28%、キーエンスは30.0÷43.8=0.68%で、1株配当÷株価とほぼ同じ値になります(積水ハウスの0.01ポイントの差は端数の丸めによるもの)。
積水ハウスは配当性向(40.2%)がソフトバンク(75.8%)の約半分なのに、利回りは4.27%と高い。PERが9.4倍と低く、株価が1年分の利益の9.4倍にとどまっているためです。会社は「中期的な平均配当性向を40%以上とする」方針を続け、第7次中期経営計画(2026〜2028年度)の期間は1株配当の下限を145円としています(積水ハウス 2026年1月期 決算短信 添付資料 p.11)
ソフトバンクは利益の4分の3を配当に回して3.56%。PERは21.3倍で、高い配当性向が利回りを支えています。2027年3月期から2031年3月期の中期経営計画では「利益成長に合わせた普通株式1株当たり配当金の継続的な増配」を目指すとしています(ソフトバンク 2026年3月期 決算短信 添付資料 p.21)
キーエンスは1株配当を350円から550円に増やし、配当性向も21.3%から30.0%に上がったが、利回りは0.68%。PERが43.8倍と高く、株価が1年分の利益の約44倍に当たるためです
この3社では、利回りの違いを生んでいるのは配当性向よりもPERの違いです。利回りの高さを見たら、それが「たくさん配っている」からなのか「株価が利益に比べて安い」からなのかを、配当性向とPERに分けて確かめましょう。各社の事業は積水ハウス・キーエンスの企業分析で解説しています。
4つの組み合わせ——上場企業はどこに多い?
配当利回りを3%、配当性向を50%で区切ると、上場企業は4つの型に分かれます。上場企業の配当利回りの中央値は2.63%で、3%以上は有配の会社の約4割です。配当性向の中央値は35.8%で、50%以上は約4分の1に当たります(2026年10月14日終値、直近の通期実績、KabuGraph算出)。
高利回り×低性向(673社):PERの中央値は9.4倍と4つの中で最も低く、利益の半分以上を社内に残しながら3%以上の利回りがある型。業種別では不動産業(110社中52社)・建設業(133社中61社)・輸送用機器(69社中31社)で4割を超える会社がここに入る
高利回り×高性向(503社):利益の多くを配って利回りを出している型。直近の通期で減益だった会社が47%あり、利益が落ちたのに配当を保った結果、配当性向が上がった会社が混ざる
低利回り×低性向(1,474社):上場企業の半分。利益の多くを社内に残しているか、株価が利益に比べて高く利回りが下がっている会社
低利回り×高性向(256社):PERの中央値34.2倍・ROEの中央値3.5%で、株価に比べて利益が小さい型。直近の通期で減益だった会社が57%と多い
同じ「高利回り」でも、利回りを支えているのが配当性向の高さか、PERの低さかで、型が分かれます。上場企業全体の配当性向と配当利回りの平均・分布・業種別の水準は、次の2本で詳しく扱っています。

配当性向の平均と目安|上場企業の中央値は36%、30%以上が3社に2社
配当性向の平均と目安を上場企業2,906社の決算短信で集計。中央値35.8%、平均53.1%、30%以上が67.5%(2026年10月14日時点)。市場区分・33業種別の水準と10年の推移、東証集計の38.1%、投資家が望む水準、S&P500との比較も解説。

配当利回りの平均と相場|有配株の中央値は2.6%、4%以上は上位2割弱
日本株の配当利回りの平均は東証プライムの加重1.92%・単純2.21%(JPX、2026年9月)、配当を出す上場企業の中央値は2.63%で、4%以上は18%。日経平均は実績1.58%(10月14日)、S&P500は1.10%(6月)。年平均リターンも解説。
「高利回り×低性向」なら安心?——翌期の配当を追うと
配当性向が低い会社は、減益になっても配当を保つ余裕があるはずです。実際にどうだったかを、過去のデータで確かめました。
2017〜2025年の毎年9月末に、その時点で開示済みの直近の通期実績で4つの型に分け、翌期(1年後の決算期)の1株配当が前の期より減ったか、同じか、増えたかを数えました。延べ2万2,694件です。
4つの型ごとの翌期の1株配当(2017〜2025年の各9月末時点で分類)
翌期に減配・無配になった割合は、高利回り×低性向が19.5%、高利回り×高性向が22.4%。配当性向が低くても、低利回り×低性向(7.7%)の2.5倍でした
一方で増配も多い:高利回り×低性向の51.5%は翌期に増配し、高利回り×高性向(39.4%)を上回りました。配当が上にも下にも動きやすい型です
減配の多くは減益と重なっていた:高利回り×低性向で減配・無配になった875件のうち92.0%は、翌期の純利益が前の期より減っていました。翌期に減益になった割合も、この型が56.8%と4つの中で最も高い
新型コロナ前後の年を除いても順位は同じ:2019・2020年9月末の分を除くと、減配・無配の割合は高利回り×高性向17.2%、高利回り×低性向15.0%、低利回り×高性向9.5%、低利回り×低性向5.7%。区切りを配当性向40%・70%に変えても、高利回りの2つの型で減配が多い点は変わりませんでした
利回り4%で区切ると、差はもっと大きい:利回り4%以上の会社の翌期の減配・無配は、配当性向50%未満で31.5%(延べ1,541件)、50%以上で30.6%(同1,007件)。利回り4%未満・配当性向50%未満は8.6%でした
ここでの減配には、記念配当・特別配当がなくなって年間の合計が減った期も含みます。また、直近の通期が赤字なのに配当した会社(配当性向「-」)は4つの型から外しましたが、この群は翌期に24.2%が減配・無配(うち無配10.3%)と、どの型よりも高くなりました(延べ1,337件)。赤字や配当性向100%超の会社のその後は配当性向が高すぎるとどうなる?で扱っています。
配当性向が低いのに利回りが高いのはPERが低いからで、PERが低いのは株価が今後の減益を先に織り込んでいるからかもしれない、というのがKabuGraphの見方です。利益に合わせて配当を決める会社では、減益がそのまま減配になります。
例:合同製鐵——配当性向30%前後のまま配当が減る
合同製鐵の2026年3月期は、1株配当180円・EPS 550.56円で配当性向32.7%、2026年10月14日終値2,863円で計算した実績の配当利回りは6.29%(PER5.2倍)で、高利回り×低性向に入ります。
配当方針は「業績連動利益配分の指標として、連結配当性向年間30%程度を目安」で、利益に合わせて配当が動く(合同製鐵 2026年3月期 決算短信 添付資料 p.4)
1株配当は2025年3月期240円→2026年3月期180円。純利益は28.9%減の80億円で、会社は需要低迷による販売価格の下落と販売数量の減少、電力費・資材価格の高騰、鉄スクラップ価格の影響を挙げている(同 p.2)
2027年3月期の会社予想は純利益43億円(46.6%減)、1株配当100円。予想配当で計算した利回りは3.49%に下がる。同社は2027年3月期からの5年間、1株配当の下限を100円とする方針も示している(同 p.3。2026年7月31日の第1四半期決算短信でも配当予想の修正はなし)
利回りの高い株に投資するときの注意点は、次の記事でデータとともにまとめています。

高配当株をおすすめしない理由|配当込みのリターンでも勝つとは限らない
高配当株をおすすめしない理由をデータで検証。配当込みのリターンは長期では上回った方が多いが、2017年9月末からの5年は市場全体に負けるなど時期次第。株価の急落で利回りが上がった株は6割が翌期に減配した(2017〜2025年)。
実績と予想で、利回りも配当性向も変わる
配当利回りと配当性向には、直近の決算で確定した数字で計算する「実績」と、会社予想で計算する「予想」があります。
実績:直近の通期決算の1株配当とEPSで計算する。決算短信の「配当性向(連結)」の実績欄はこれ。KabuGraphの銘柄ページの配当利回りとPERも、直近の通期実績の1株配当・EPSを最新の終値で割った値
予想:会社予想の年間配当とEPSで計算する。通期の決算短信の「配当の状況」の予想欄には、今期の予想配当と予想配当性向が載る。四半期の短信には予想配当しか載らないので、予想配当性向は予想配当÷予想EPSで自分で計算する。野村證券の用語解説は、投資をするときは年間配当金の予想値で計算し、判断材料にするとしている(野村證券「証券用語解説集:配当利回り」、2026年10月15日閲覧)
ここまでの4社で、実績と予想を並べました。
会社 | 実績の配当利回り | 予想配当利回り | 予想配当性向 |
|---|---|---|---|
ソフトバンク | 3.56% | 3.64% | 76.3% |
積水ハウス | 4.27% | 4.30% | 42.0% |
キーエンス | 0.68% | 0.68% | 開示なし |
合同製鐵 | 6.29% | 3.49% | 33.4% |
出典:ソフトバンク 第1四半期決算短信(2026年8月4日)/積水ハウス 中間期決算短信(2026年9月10日)/キーエンス 第1四半期決算短信(2026年7月28日)/合同製鐵 2026年3月期 決算短信(2026年4月27日)・第1四半期決算短信(2026年7月31日)、東証株価よりKabuGraph算出(2026年10月14日終値)
3社は実績と予想がほぼ同じですが、合同製鐵は実績6.29%が予想では3.49%と、ほぼ半分になります。キーエンスは配当予想(550円)を出していますが業績予想を出していないので、予想配当性向は計算できません。
実績利回りが高いほど、会社予想の配当が前期より少ない
上場企業全体で、直近の通期の1株配当と今期の会社予想の年間配当を比べました。実績の配当利回りが高い会社ほど、会社予想の年間配当が前期の実績を下回る割合が高くなります(記念・特別配当がなくなる分を含む)。
全体:2,702社中249社(9.2%)
実績利回り3%以上:1,118社中153社(13.7%)
実績利回り4%以上:490社中101社(20.6%)
実績利回り5%以上:151社中55社(36.4%)
出典:決算短信・東証株価よりKabuGraph算出(2026年10月14日終値)。2026年10月14日までに開示された今期の会社予想の年間配当を、直近通期の1株配当と比べ、下回る会社を数えた。1株配当は記念配当・特別配当を含む年間合計で比べたので、記念配当・特別配当がなくなるだけの会社(例:伊藤ハム米久ホールディングスは普通配当では145円→155円の増配予想)も数えている。業績予想と一緒に配当予想を出している会社が対象で、配当予想だけを出す会社・予想が未定の会社、直近通期の期末以降に株式分割した会社は除く
実績利回り5%以上の会社の約3社に1社は、今期の会社予想の年間配当が前期の実績を下回ります(記念・特別配当がなくなる分を含む)。高い実績利回りを見つけたら、まず予想利回りと並べましょう。予想が前期より少ないときは、普通配当が減るのか、記念・特別配当がなくなるだけなのかを短信の注記で確かめます。会社予想は期中に修正されることがあり、予想を出さない会社もあります。
見るときの落とし穴——どちらかだけが動く場面
株価が下がると、配当利回りだけが上がる
配当性向は株価で変わりませんが、配当利回りは株価が下がるほど上がります。業績の悪化を見込んで株価が下がった結果の高利回りは、次の決算で配当が減ると元に戻ります。前に挙げた合同製鐵のように、利回りの高さとPERの低さが同時に出ていたら、会社予想の利益を確かめましょう。
一時的な減益・特別損失で、配当性向だけが跳ねる
減損などの特別損失で純利益が一時的に減ると、配当を据え置いても配当性向は上がります。逆に、土地や株式の売却益で純利益が膨らんだ年は、配当性向が低く見えます。配当性向が急に動いた年は、短信の損益計算書で特別利益・特別損失を確かめ、数年の推移で見ましょう。配当性向が100%を超える会社の見方と、その後どうなったかは次の記事で扱っています。

配当性向が高すぎるとどうなる?|100%超は利益以上の配当、翌期に減配したのは2割強
配当性向100%超は利益より多く配っている状態。2016年以降に100%以上だった延べ1,143件の翌期の減配は22.7%(30〜50%は11.7%)で、7割超は据え置きか増配。高い理由の見分け方と、決算短信で確かめる点を解説。
記念配当・特別配当で、両方が同時に高く見える
伊藤ハム米久ホールディングスの2026年3月期の年間配当320円は、記念配当175円(第1四半期末85円・第3四半期末90円)と普通配当145円の合計です。短信の配当性向89.8%も記念配当込みの値です(伊藤ハム米久ホールディングス 2026年3月期 決算短信 p.1)。
記念配当込み:配当利回り6.58%・配当性向89.8%で「高利回り×高性向」
普通配当だけ:配当利回り2.98%・配当性向約40.7%(145円÷EPS 356.43円)で「低利回り×低性向」
2027年3月期の会社予想:1株配当155円で、予想配当利回り3.19%・予想配当性向47.5%(2026年8月3日の第1四半期決算短信でも修正なし)
配当利回りは2026年10月14日終値4,865円でKabuGraph算出。記念配当・特別配当が入った年は、普通配当だけで利回りと配当性向を計算し直してから型を判断しましょう。

記念配当とは|一度きりの上乗せ配当、特別配当との違いと利回りの見方
記念配当は創立・上場の周年などを記念して普通配当に1回だけ上乗せする配当。法令上の区別はなく、内訳は適時開示と決算短信の注記で確かめる。中外製薬の実績利回り4.41%は普通配当だけなら1.98%(2026年10月13日終値)。翌期の減配の見方や税金も解説。
自社株買いは、どちらの指標にも入らない
配当性向も配当利回りも、配当だけを数えます。自社株買いも合わせた還元の割合は総還元性向で、(配当支払総額+自社株買い総額)÷純利益×100で求めます(大和証券「金融・証券用語解説:総還元性向」、2026年10月15日閲覧)。配当性向が低くても、自社株買いを合わせると利益の多くを還元している会社もあるので、両方を見ます。自社株買いの仕組みは自社株買いとはで解説しています。
DOE・累進配当・配当の下限を掲げる会社は、利益と配当の連動が弱い
伊藤ハム米久ホールディングスは普通配当を対象に「DOE(株主資本配当率)3.0%以上かつ累進配当」を、積水ハウスと合同製鐵は1株配当の下限(それぞれ145円・100円)を配当方針に入れています。こうした会社は減益の年にも配当を据え置きやすく、そのぶん配当性向が上がります。配当性向の高さだけで判断せず、配当方針の中身を読みましょう。累進配当の仕組みは累進配当とはで解説しています。

DOE(株主資本配当率)とは|配当性向との違いと3%目安の読み方
DOE(Dividend on Equity・株主資本配当率)の計算式・目安3%・配当性向との違いを解説。DOE=配当性向×ROEの分解式の意味と、東証改革で採用企業が急増している背景がわかります。
利回りが高い理由を分ける4つの手順
ここまでの落とし穴を、利回りの高い銘柄を見つけたときに確かめる順番にまとめます。
利回りを配当性向とPERに分ける:配当性向=配当利回り×PER。利回りを押し上げているのが配当性向の高さか、PERの低さかを見る
PERが低いなら、予想で計算し直す:会社予想の利益が減る見込みか、予想配当で計算した利回りがどこまで下がるかを確かめる
配当方針を読む:配当性向を目安にする会社(減益なら減配しやすい)か、DOE・累進配当・配当の下限を掲げる会社(配当は動きにくく、配当性向が上がりやすい)か
一度きりの配当を除く:決算短信「配当の状況」の注記で記念配当・特別配当の有無を見て、入っていれば普通配当だけで利回りと配当性向を計算し直す
よくある質問
配当性向と配当利回り、どちらを重視すべき?
配当の受け取りの大きさを比べるなら配当利回り、その配当が続くかを見るなら配当性向です。どちらか一方では足りず、利回りの高さがPERの低さから来ているときは、会社予想の利益と配当方針も合わせて確かめます。
配当利回りから配当性向は計算できる?
できます。配当性向=配当利回り×PERです。配当利回り3%・PER15倍なら、配当性向は45%です。実績の利回りには実績のPER、予想の利回りには予想のPERを使います。
配当性向が100%を超えると、配当利回りはどうなる?
配当利回りが益回り(1÷PER)を上回ります。その期の利益より多くの配当を払っている状態で、一時的な減益で配当を据え置いた場合もあれば、利益が戻らず減配に至る場合もあります(配当性向が高すぎるとどうなる?)。
上場企業の平均はどのくらい?
2026年10月14日終値・直近の通期実績で、配当利回りの中央値は2.63%・平均は2.74%(有配3,044社)、配当性向の中央値は35.8%・平均は53.1%(2,906社)です(KabuGraph算出)。配当性向の平均が中央値より大きいのは、100%を超える会社に引っ張られるためです。業種別などは配当利回りの平均と配当性向の平均と目安で解説しています。
配当性向と配当利回りはどこで調べられる?
配当性向は決算短信1ページ目の「配当の状況」に載っています。通期の短信には実績と今期の予想配当性向が、四半期の短信には予想配当だけが載ります。配当利回りは短信に載らないので、1株配当÷株価で計算するか、証券会社のサイトやKabuGraphの銘柄ページ(直近の通期実績で計算)で確認します。短信の読み方は決算短信とはで解説しています。
まとめ
配当性向=1株配当÷EPS、配当利回り=1株配当÷株価。分子は同じで、利益で割るか株価で割るかが違う。配当性向は会社の還元姿勢と余力、配当利回りは投資家の受け取りを表す
2つは「配当利回り=配当性向÷PER」でつながる。利回りが高いのは、たくさん配っているか、株価が利益に比べて安いか、その両方
同じ利回りでも中身は違う。積水ハウスは配当性向40.2%・PER9.4倍で4.27%、ソフトバンクは75.8%・21.3倍で3.56%、キーエンスは30.0%・43.8倍で0.68%(2026年10月14日終値)
高利回り×低性向でも安心とは限らない。2017〜2025年の各9月末から追うと、利回り3%以上・配当性向50%未満の翌期の減配・無配は19.5%で、配当性向50%以上(22.4%)と大差なく、利回り3%未満・配当性向50%未満(7.7%)の2.5倍。その9割は減益と重なっていた
実績と予想を並べる。実績利回り5%以上の会社の約3社に1社は、今期の会社予想の年間配当が前期を下回る(記念・特別配当がなくなる分を含む)
落とし穴は株価の急落、一時的な損益、記念配当・特別配当、自社株買い、配当方針。どちらかの指標だけが動く場面を見分ける








