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高配当株をおすすめしない理由|配当込みのリターンでも勝つとは限らない

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高配当株を必ずしもおすすめしないのは、配当込みのリターンで見ても、市場全体や利回りが中くらいの株に勝つかは時期次第で(長い期間では上回った方が多い)、利回りの高さには株価の急落で上がっただけのものが混ざるからです。そうした株は減配も重なりやすく、利回りの数字だけでは見分けられません。

この記事では、上場企業のデータで7つの理由を確かめたうえで、それでも高配当株が合う人と、選ぶときに見ることをまとめます。

高配当株をおすすめしない理由は?データで確かめた結論

高配当株をおすすめしない理由を、上場企業の決算と株価で1つずつ確かめました。配当込みのリターンでも勝つかは時期次第(長い期間では上回った方が多い)で、利回りが急に上がった株には減配が重なりやすい——だから利回りだけで高配当株を選ばない方がよい、というのがこの記事の結論です。

出典:決算短信・東証株価よりKabuGraph算出。リターンは2017〜2021年の各9月末から5年の中央値、利回りの急上昇と減配率は2017〜2025年の各9月末の実績配当利回りと翌期の1株配当、伸びは2021年9月末→2026年9月末の中央値、業種は2026年10月14日終値(業種内の社数が20社以上の業種)。課税の差は仮定の数値による計算例
  • リターンは時期次第——配当込みでも、利回り4%以上の株が市場全体や利回りが中くらいの株に勝つかは起点で変わる(2017年9月末起点は−8.8%で全体の−5.3%を下回り、2019〜2021年起点では最も高い)。長い期間では上回った方が多い

  • 利回りの急上昇は下落の裏返しのことがある——直前1年で株価が30%以上下がって4%以上になった株は、翌期に61.4%が減配(下がっていない株は25.2%)

  • 減配しやすい——4%以上は翌期に32.3%が減配(全体12.6%)、6%以上では77.4%

  • 伸びが鈍い——1株配当の伸びは利回りが高い株ほど低く、売上高も利回り2%以上の株は1%未満・無配の株より鈍い。1株利益(EPS)は直近5年では差が小さい

  • 課税口座で複利が削られる——配当を受け取るたびに20.315%が引かれる

  • NISAでは注意点がある——配当も非課税だが、再投資は枠を使い、米国株などは現地の税が残る

  • 業種が偏る——証券・鉄鋼・建設・不動産に多く、情報・通信や小売、銀行に少ない。顔ぶれも数年で入れ替わる

この記事の「利回り」は、直近の通期決算の1株配当(年間。記念配当・特別配当を含む)を株価で割った実績配当利回りです。会社予想の配当で計算する予想配当利回りとは数字が違うことがあります。

理由①:配当込みのリターンでも、勝つかは時期次第

高配当株は配当をもらえる分だけ得、とは限りません。株価の値上がりと受け取った配当を合わせた「配当込みのリターン」で比べると、高配当株が上回った時期の方が多い一方、市場全体や利回りが中くらいの株を下回った時期もありました。

2017〜2021年の各9月末に、その時点で開示済みの直近の通期の1株配当で実績配当利回りを出して上場企業を分け、そこから5年間の配当込みリターンを比べました。

開始時点別:5年間の配当込みリターン(中央値)

出典:決算短信・東証株価よりKabuGraph算出。現在の市場区分がプライム・スタンダード・グロースの普通株(REIT・ETF・TOKYO PRO MARKETを除く)のうち、各開始時点に株価がある2,868〜3,216社。凡例は開始時点の実績配当利回り(その日までに開示済みの直近の通期の1株配当(記念・特別配当を含む)÷終値)で、全体は無配を含む。社数は開始時点の順に、4%以上40・66・303・390・206社、3〜4% 161・244・470・448・358社、2〜3% 662・770・747・630・720社。配当込みリターン=(5年後の9月末の終値+期間中に期末を迎えた通期の1株配当の合計)÷開始時点の終値−1。配当は再投資せず、税引前。株価・配当は株式分割を調整。2026年9〜10月に上場廃止になった会社は最後の終値まで。対象は2026年10月時点で上場している会社と、2026年9〜10月に上場廃止を検知した会社で、それより前に上場廃止になった会社は含まない
  • 2017年9月末起点:4%以上は−8.8%。3〜4%(+4.4%)・2〜3%(+4.1%)を下回り、全体(−5.3%)よりも低かった

  • 2018年9月末起点:4%以上は+17.9%。3〜4%(+27.4%)・2〜3%(+19.5%)に届かなかった(全体の+7.0%は上回った)

  • 2019〜2021年の各9月末起点では、4%以上が最も高かった(2021年9月末起点は+117.4%、3〜4% +101.0%、2〜3% +84.1%、全体+46.1%)

2017・2018年起点の4%以上は40社・66社と少なく、2つの期間は4年重なっていて同じ会社が両方に入ることもあるため、1社ごとの結果に左右されやすい点には注意が必要です。ただ、高配当株が振るわない5年間があるのは、このデータだけの現象ではありません。下のフレンチ教授の日本株データでも、2013・2015・2016・2017年から始まる5年間は、利回り上位30%が下位30%を下回りました。

長い期間・直近では、上回った方が多い

逆に、高配当株の方がリターンが高かった時期・期間の方が長くあります。KabuGraphの集計では、利回り4%以上の株は5つの開始時点のうち3つ(2019〜2021年起点)で最も高く、利回り1%未満・無配の株には5回とも上回りました。2019〜2021年起点で4%以上が最も高かったことは、銀行株を除いても(2021年9月末起点で+101.2%、177社)、現在のプライム市場の会社だけで見ても(同+159.1%、124社)変わりません。

もっと長い期間では、ダートマス大学のケネス・フレンチ教授が公開している日本株のデータで、毎年末の配当利回りの上位30%と下位30%を比べると、1975〜2025年の年率リターン(円建て・配当込み・時価総額加重)は、上位30%が10.5%、下位30%が3.6%でした(無配の株は5.4%、市場全体は7.0%)。対象の会社は時代で変わり、2007年までは大型株中心の約190〜730社、2008年以降は約2,900〜3,400社です(Kenneth R. French Data Library「Country Portfolios formed on B/M, E/P, CE/P, and D/P」よりKabuGraph算出)。

ただし同じデータでも、上位30%が下位30%を下回った年は51年中13年、市場全体を下回った年は51年中15年あります。1年ずつずらした5年間(47通り)では、下位30%を下回ったのが8回(1978・1979・1993・1995・2013・2015・2016・2017年から)、市場全体を下回ったのが9回でした。2020年は上位30%が−5.8%、下位30%が+26.1%です。平均で上回ることと、いつ買っても勝つことは別です。

KabuGraphの見方では、利回りが高い株は利益や配当に比べて株価が安いことが多く、安く買えた分が後のリターンになりやすい一方、株価の急落で利回りが上がっただけの株では減配が重なりやすくなります(理由②)。どちらに当たるかは、利回りの数字だけでは分かりません。

理由②:利回りの急上昇は、株価下落の裏返しのことがある

配当利回りは「1株配当÷株価」なので、株価が下がるだけでも利回りは上がります。2017〜2025年の各9月末に利回り4%以上だった株を、直前1年の株価の動きで分けると、直前1年で株価が30%以上下がっていた株は、61.4%が翌期に減配しました。株価が2割以上は下がっていなかった株は25.2%です。

直前1年の株価

件数

翌期に減配(%)

30%以上下落

303

61.4

20%以上下落

619

55.4

下落が2割未満・上昇

2,048

25.2

利回り4%以上の全体

2,706

32.3

出典:決算短信・東証株価よりKabuGraph算出。2017〜2025年の各9月末に実績配当利回りが4%以上だった延べ2,706件を、直前1年(前年9月末から)の株価の変化(株式分割を調整)で分けた。30%以上下落は20%以上下落に含まれる。前年9月末の株価が無い件は全体にだけ含む。減配の定義と対象は理由③のグラフと同じ

利回り4%以上の株の23.2%は、直前1年で株価が2割以上下がっていました。利回りが急に高くなった株は、株価が先に業績の悪化を織り込んでいることがあり、値下がりと減配が続けて来ることがある、と読めます。

5年後の結果にも同じ傾向が出ます。2017〜2021年の各9月末に利回り4%以上だった延べ1,005件のうち、5年で配当込みでも半値以下(−50%以下)になったのは18件で、そのうち10件は直前1年に株価が30%以上下がって4%以上になった株でした(急落して4%以上になった株の4.6%、219件中10件。2割以上は下がっていなかった株では1.3%、595件中8件)。

ただし、急落して4%以上になった株の5年の配当込みリターン(中央値)は、2019・2020年9月末起点ではむしろ急落していない株より高く(+72.4%・+139.6%、急落していない株は+61.2%・+112.1%)、急落した株がその後必ず振るわないわけではありません。減配が重なりやすく、一部は大きく値下がりする株が、利回りの数字だけでは見分けられないことが問題です。

理由③:利回りが高い株ほど、翌期に減配しやすい

高い利回りにつられて買ったら減配された、というのが「高配当の罠」です。2017〜2025年の各9月末に、その時点で開示済みの直近の通期の1株配当で実績配当利回りを出し、翌期の1株配当と比べました(延べ24,204件)。

実績配当利回り別:翌期に1株配当を減らした・増やした割合

出典:決算短信・東証株価よりKabuGraph算出。現在の市場区分がプライム・スタンダード・グロースの普通株(REIT・ETF・TOKYO PRO MARKETを除く)のうち、2017〜2025年の各9月末(9時点)に株価があり配当を出していた延べ24,204件。利回り=その日までに開示済みの直近の通期の1株配当(記念・特別配当を含む)÷9月末の終値。翌期=その1年後の同じ月に終わる通期。1株配当は株式分割を調整し、0.5%以上の増減を減配・増配とした。決算期を変えた会社と、翌期の決算が出る前に上場廃止になった会社は除く。対象は2026年10月時点で上場している会社と、2026年9〜10月に上場廃止を検知した会社で、それより前に上場廃止になった会社は含まない
  • 利回り4%以上は32.3%が翌期に減配(2,706件)。全体の12.6%の2.6倍で、増配は34.8%と全体(57.2%)より少ない

  • 5〜6%は42.9%、6%以上は77.4%が減配。利回りが極端に高い株は、翌期に配当が減る方が普通

  • 9時点のどの年でも、4%以上の減配率(21.2〜56.1%)は2〜3%の株(3.7〜24.8%)を上回った

配当性向(利益のうち配当に回した割合)が高すぎる会社が翌期にどうなったかは、次の記事で追っています。

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配当性向100%超は利益より多く配っている状態。2016年以降に100%以上だった延べ1,143件の翌期の減配は22.7%(30〜50%は11.7%)で、7割超は据え置きか増配。高い理由の見分け方と、決算短信で確かめる点を解説。

理由④:売上と配当の伸びが鈍い

高配当株は成熟していて成長しない、は本当でしょうか。2021年9月末の利回りで上場企業を分け、その後5年の売上高・1株利益(EPS)・1株配当の伸びを比べると、1株配当の伸びは利回りが高いほど鈍く、売上高も利回り2%以上の帯はどれも年5〜6%と、1%未満・無配の株(年8%台)より鈍い結果でした。EPSの伸びには大きな差がありませんでした。

2021年9月末の実績配当利回り別:その後5年の成長率(年率、中央値)

出典:決算短信・東証株価よりKabuGraph算出。現在の市場区分がプライム・スタンダード・グロースの普通株(REIT・ETF・TOKYO PRO MARKETを除く)のうち、2021年9月30日に株価がある3,216社(無配649・1%未満497・1〜2% 786・2〜3% 720・3〜4% 358・4%以上206社)。利回りはその日までに開示済みの直近の通期の1株配当÷終値。成長率は、その通期と5年後の同じ月に終わる通期(例:2021年3月期→2026年3月期)を比べた年率の中央値。EPS・1株配当は株式分割を調整し、EPSは開始時に黒字の会社、1株配当は開始時に有配の会社で計算。対象は2026年10月時点で上場している会社と、2026年9〜10月に上場廃止を検知した会社で、それより前に上場廃止になった会社は含まない
  • 1株配当の伸び:4%以上は年8.0%。1%未満は年20.1%、1〜2%は年16.1%。5年前より1株配当が減っていた会社は、4%以上で17.1%、ほかの帯は5〜7%

  • 売上高の伸び:4%以上は年5.7%。1%未満は年8.6%、無配は年8.8%

  • EPSの伸び:4%以上は年10.8%、1%未満は年11.5%で、この5年では差が小さい

開始を2017〜2020年の各9月末にずらした5年でも、4%以上の株の売上高の伸びは5回とも1%未満の株を下回り、1株配当の伸びは5回とも有配の5つの帯で最も低い結果でした。2017年9月末から始めた5年では、4%以上の株の売上高は年−1.1%、1株配当は年−5.4%、EPSは年−4.3%でした(1%未満の株のEPSは年+6.6%。2017年9月末に4%以上だった株は40社と少ない)。

理屈の上でも、利益の多くを配当に回す会社は、事業に回すお金が少なくなります。自社株買いなどがなければ、1株純資産の伸びはおおよそ「ROE×(1−配当性向)」なので、配当性向が高いほど伸びの上限は下がります(PBRが高いとどうなるかで使った式)。

理由⑤:課税口座では、配当課税が複利を削る

上場株式の配当には、受け取るたびに20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%、住民税5%)が源泉徴収されます(国税庁 タックスアンサー No.1331「上場株式等の配当等に係る申告分離課税制度」、令和8年4月1日現在の法令。大口株主等は別の税率)。

しかも配当は「おまけ」ではありません。権利が確定すると、配当の分だけ株価は下がるのが理屈です(大和証券「金融・証券用語解説:配当落ち」、2026年10月15日閲覧。実際の株価は相場全体の動きでも上下します)。配当を受け取ることは、持っている株の価値の一部を現金で受け取るのに近く、課税口座ではそのたびに税金がかかります。

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税引前のリターンが同じ2つの株を、課税口座で20年持った場合の計算例です。

出典:国税庁 タックスアンサー No.1331(税率)よりKabuGraph算出。計算例(数値は仮定)。Aは受け取った配当から20.315%を引いて同じ株に再投資し、Bは無配。どちらも20年後に売却し、譲渡益に20.315%。手数料・株価の上下は考えない
  • 20年で14.6万円、30年で49.9万円の差(Aは261.3万円・428.1万円、Bは275.9万円・478.0万円)

  • 差の正体は税金を払うタイミング。Aは配当を受け取るたびに払い、Bは売るまで払わない。払わずに済んでいる分も複利で増える

  • NISAなら税金がかからないので、どちらも20年で320.7万円になる(次のセクション)

計算例は配当をそのまま同じ株に再投資していますが、国内の上場株式の売買単位は100株にそろっています(2018年10月1日時点で3,601社中3,600社。JPX「単元株式数(売買単位)の変更会社一覧」)。受け取った配当で同じ株を買い増せるとは限りません(証券会社によっては1株単位で買える単元未満株の取引もあります)。

一方、課税所得が少ない人は、確定申告で総合課税を選ぶと配当控除(課税総所得金額等が1,000万円以下なら、所得税で配当所得の10%)を受けられ、負担が20.315%より軽くなることがあります(国税庁 タックスアンサー No.1250「配当所得があるとき(配当控除)」、令和8年4月1日現在法令等)。課税方式(申告不要・申告分離課税・総合課税)の選び方は、次の記事にまとめています。

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理由⑥:NISAでは配当も非課税だが、枠と外国税に注意

2024年1月に始まった今のNISAでも、NISAの口座で持つ株は売却益だけでなく配当も非課税です(金融庁「NISA特設ウェブサイト:NISAを知る」、2026年10月15日閲覧)。理由⑤の税の不利はNISAの中では消えるので、「高配当株はNISAに向かない」は税金の面では当たりません。ただし、NISAで高配当株を持つときには注意が3つあります。

出典:金融庁「NISAを知る」、金融経済教育推進機構「NISA(2026年05月版)」p.12・p.26、三菱UFJ eスマート証券「米国株式 配当金について」よりKabuGraph作成。成長投資枠1,200万円・利回り4%は例

注意①:配当はNISAの外に出て、買い直すと枠を使う

NISAの年間投資枠(成長投資枠240万円・つみたて投資枠120万円)と非課税保有限度額(1,800万円、うち成長投資枠1,200万円)は、買った金額(簿価)で数えます(金融庁「NISAを知る」、同「よくある質問」)。配当は現金でNISAの外に出るので、それでNISAの株を買えば新しい買付けとして枠を使います。投資信託の分配金の再投資も同じで、松井証券の場合、枠の上限を超える分は特定口座で再投資されます(松井証券「NISA口座で購入した投資信託の分配金は非課税になりますか。」、2026年10月15日閲覧)。

  • 個別株を買えるのは成長投資枠で、つみたて投資枠の対象は金融庁の基準を満たした投資信託に限られる(金融経済教育推進機構「NISA(2026年05月版)」p.8・p.12)

  • 成長投資枠の1,200万円を利回り4%の株で埋めると、非課税で受け取れる配当は年48万円が目安(買値に対する利回りで計算)

  • 値上がりした分は枠を使わずにNISAの中で増え続けるのに対し、配当は枠の外に出ていく。成長投資枠が埋まった後に配当で買い増す株は、課税口座に入る

注意②:受取方式が「株式数比例配分方式」でないと課税される

NISAで持つ国内株の配当を非課税にするには、配当を証券会社の口座で受け取る株式数比例配分方式を選ぶ必要があります(金融経済教育推進機構「NISA(2026年05月版)」p.26)。郵便局で受け取る方式や、銀行口座に振り込む方式のままだと、NISAの株の配当にも税金がかかります。SBI証券は「NISA口座のみ同方式で登録することはできません」としています(SBI証券 よくあるご質問、2026年10月15日閲覧)。

注意③:米国株などの配当は現地の税金が残る

米国株の配当は、租税条約で決まった10%が米国で源泉徴収されてから日本の税金がかかります(SBI証券「外国株式の配当金・分配金に対する税金の取扱いはどうなりますか?」、2026年10月15日閲覧)。NISAで日本の税金は非課税になりますが、米国の10%は非課税にできず、外国税額控除も使えません(三菱UFJ eスマート証券「米国株式 配当金について」、SBI証券 よくあるご質問、いずれも2026年10月15日閲覧)。利回り4%の米国株なら、NISAでも手取りは約3.6%です。中国本土株(H株などを除く)・シンガポール株のように、現地では課税されない国もあります(SBI証券 同)。

理由⑦:業種が偏り、顔ぶれも入れ替わる

2026年10月14日終値で実績配当利回りが4%以上の540社を東証33業種で見ると、業種内の社数が20社以上の業種では、割合が最も高いのは証券、商品先物取引業で、業種の51.4%が4%以上です。鉄鋼(35.1%)・建設業(30.5%)・不動産業(28.2%)が続き、上場企業全体(14.6%)を大きく上回ります。反対に、情報・通信業(8.6%)、小売業(8.3%)、銀行業(1.3%)、電気・ガス業(0%)は少数です。

業種

4%以上(社)

業種の社数

4%以上の割合(%)

証券、商品先物取引業

19

37

51.4

鉄鋼

13

37

35.1

建設業

43

141

30.5

不動産業

37

131

28.2

上場企業全体

540

3,698

14.6

情報・通信業

52

605

8.6

小売業

27

324

8.3

銀行業

1

79

1.3

電気・ガス業

0

29

0.0

出典:決算短信・東証株価よりKabuGraph算出。2026年10月14日終値、直近の通期実績。現在の市場区分がプライム・スタンダード・グロースの普通株(REIT・ETF・TOKYO PRO MARKETを除く)で上場中の3,698銘柄(無配・優先株を含む)。業種は東証33業種で、業種内の社数が20社以上の業種から抜粋

利回りの高い順に株を選ぶと、同じ業種・同じ景気の波を受ける株が重なりやすくなります。業種ごとの景気への感応度は、次の記事で整理しています。

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5年で顔ぶれは入れ替わる

2021年9月末に利回り4%以上だった206社で最も多かった業種は銀行業(29社)で、銀行の利回りの中央値は3.89%でした。2026年10月14日には、4%以上の銀行は79行中1行、中央値は2.21%です。2021年9月末に4%以上だった206社のうち、今も4%以上なのは83社(上場を続ける201社の41%)でした。

4%以上だった株の利回りが下がったのは、配当が増えた以上に株価が上がったからです(この帯の中央値で、1株配当は5年で約+47%(年8.0%)、株価は+87.0%(年13.3%))。買った値段に対する利回りは高いままでも、今の株価で見た利回りは下がっていきます。

それでも高配当株が合う人と、選ぶときに見ること

ここまでの弱点は、高配当株を「やめる理由」というより「利回りだけで選ばない理由」です。

高配当株が合う人・合わない人

  • 合う人:株を売って取り崩す手間をかけずに、定期的な現金収入が欲しい人(退職後の生活費の足しなど)。値上がりした株を売る判断が苦手な人

  • 合う使い方:NISAの成長投資枠で、配当を非課税で受け取る(受取方式と枠の使い方に注意)

  • 合わない人:課税口座で、配当を使わずに全部再投資して資産を増やしたい人(理由⑤の税で複利が削られる)

  • 合わない使い方:利回りの高い順に少数の銘柄に集中する(理由②・③の減配、理由⑦の業種の偏りが重なる)

選ぶときに見ること

  • 利回りが高くなった理由:直前1年で株価が大きく下がっていないか。30%以上下がって4%以上になった株は、61.4%が翌期に減配した(理由②)

  • 配当の中身:記念配当・特別配当を除いた普通配当で利回りを計算し直す(記念配当とは)

  • 会社予想の配当:実績利回りが高くても、会社がすでに減配を予想していることがある。2026年10月14日終値で実績利回り4%以上、会社予想の配当がある490社のうち101社(20.6%)は、予想の年間配当が前期の実績を下回っていた(直近通期の期末以降に株式分割した会社を除く。配当性向と配当利回りの違い)

  • 配当性向と利益の安定:配当性向が低いから安心とは限らない。利回り4%以上で配当性向が50%未満だった株も、翌期に31.5%が減配した(延べ1,541件)

  • 配当方針:減配しない方針(累進配当)や、純資産に対する配当の目標(DOE)を掲げているか。方針がいつのものかも最新の決算短信で確かめる

  • 業種を分ける:同じ業種の高配当株ばかりにしない

減配しない方針(累進配当)を掲げる会社の仕組みと注意点は、次の記事で解説しています。

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累進配当の定義・仕組みと配当性向・連続増配との違いを解説。三井住友FG・伊藤忠・三菱商事など採用企業の配当推移と、日経累進高配当株指数の選定基準から投資判断のポイントがわかります。

配当性向と配当利回りをどう組み合わせて見るかは、次の記事で詳しく扱っています。

配当性向と配当利回りの違い|利回り=配当性向÷PER、組み合わせで見る減配リスク
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配当性向は利益のうち配当に回した割合、配当利回りは株価に対する配当の割合で、配当利回り=配当性向÷PERでつながる。ソフトバンク・積水ハウス・キーエンスで計算し、上場企業を4つの型に分けると、高利回り×低性向でも翌期に約2割が減配。実績と予想の違いも解説。

よくある質問

何%から高配当株と言えますか?

決まった基準はありません。2026年10月14日終値では、配当を出している上場企業3,044社の実績配当利回りの中央値は2.63%で、4%以上は540社(有配の18%)です。業種別・市場別の水準は次の記事にまとめています。

配当利回りの平均と相場|有配株の中央値は2.6%、4%以上は上位2割弱
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日本株の配当利回りの平均は東証プライムの加重1.92%・単純2.21%(JPX、2026年9月)、配当を出す上場企業の中央値は2.63%で、4%以上は18%。日経平均は実績1.58%(10月14日)、S&P500は1.10%(6月)。年平均リターンも解説。

高配当株とインデックス投資はどちらがいいですか?

どちらのリターンが高いかは時期で入れ替わります。フレンチ教授の日本株データでは、利回り上位30%が市場全体を下回った年は51年中15年ありました(理由①)。株価指数に連動する投資は高配当株も成長株も含めて業種を広く持つので、理由⑦の偏りがありません。現金収入が欲しいのか資産を増やしたいのか、課税口座かNISAかで考えるのが現実的です。

高配当株を集めた投資信託・ETFなら多くの銘柄に分けて持てるので、1社の減配や値下がりの影響(理由②・③)は小さくなります。ただし高配当株だけを集める以上、業種の偏り(理由⑦)は残りやすく、課税口座では分配金に税金がかかります(理由⑤)。

高配当株は下落に強いですか?

高配当株でも大きく下がることがあります。フレンチ教授の日本株データ(年末の値)で見た最大の下落は、利回り上位30%でも−55%(1989年末→1997年末)で、下位30%は−82%(1989年末→2011年末)、市場全体は−63%(1989年末→2002年末)でした(Kenneth R. French Data LibraryよりKabuGraph算出)。

配当金で月10万円を受け取るには、いくら必要ですか?

税引後で年120万円を受け取るには、課税口座で利回り4%なら約3,765万円(120万円÷(4%×(1−20.315%)))が必要です。NISAの成長投資枠1,200万円だけでは、利回り4%で年48万円(月4万円)が目安です。減配があれば受取額も減ります。

コラム著者・編集者

K

KabuGraph編集部

KabuGraph編集部は、投資情報の発信と株式分析ツールの開発に携わるチームです。日本株・米国株の事業分析から、投資に役立つ情報をわかりやすくお届けします。

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