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日経平均EPSの推移|加重平均ベースは10年で約3.3倍、指数ベースとの違いとPERへの読み替え方

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日経平均EPS(1株あたり利益)は、日経平均株価を構成する225銘柄の収益力を1つの数字に集約した指標です。2026年10月2日時点の加重平均ベースEPS(日経平均株価÷加重平均PERでKabuGraph算出)は約3,933円と過去最高圏にあり、10年前(2016年末)の1,181円から3倍超(約3.3倍)に拡大しました。

この記事では、日経平均EPSの長期推移データ、「加重平均ベース」と「指数ベース」の2つの計算方法の違い、EPS×PERによる適正株価の考え方、そしてEPSを動かす要因を解説します。

日経平均EPSとは

日経平均EPSとは、日経平均株価225銘柄の「1株あたりの利益」を合成した指標です。個別企業のEPSが「当期純利益÷発行済株式数」で計算されるのと同様に、指数全体の利益水準を示します。

日経平均株価は「株価÷除数」で算出される株価平均型の指数です。そのため、EPSの計算にも日経平均独自のルールが適用されます。

出典:日本経済新聞社「日経平均プロフィル」(ユーザーズ・ガイド、2026年10月2日の終値・PER)、大和証券試算(日本経済新聞 2023年5月27日)よりKabuGraph作成

個別銘柄のEPSとの違い

個別銘柄のEPS(1株あたり利益)は「当期純利益÷発行済株式数」のシンプルな割り算ですが、日経平均EPSは225銘柄の利益を指数のルールに基づいて合成する必要があり、計算方法が複数あります。どの方法を採るかで値が大きく異なるため、数値を見るときは必ず「どのベースか」を確認することが重要です。

予想EPSと実績EPS

日経平均EPSには「予想EPS」と「実績EPS」の2種類があります。日経平均プロフィルが公表するPER(加重平均・指数ベース)と、日経が定義する「日経平均EPS」は、日本経済新聞社の予想値(今期の純利益予想)に基づく予想ベースです。アナリストのコンセンサス予想ではありません。予想値は本決算の発表日の翌日から次の決算期の予想に切り替わります(出典: 日経平均プロフィル ユーザーズ・ガイド)。PER(株価÷EPS)にも予想EPSが使われるため、株価の割安・割高を判断する基準になります。

加重平均ベースと指数ベースの違い

日経平均EPSの計算には「加重平均ベース」と「指数ベース」の2つの方法があり、同じ日のデータでも値が大きく異なります。2026年10月2日時点では、加重平均ベースが約3,933円、指数ベースが約3,015円と、900円以上の開きがあります(日本経済新聞社「日経平均プロフィル」の終値÷PERでKabuGraph算出)。

加重平均ベース

指数ベース

計算式

日経平均株価×予想利益合計÷時価総額合計

Σ(予想1株利益×株価換算係数)÷除数

ウェイト

時価総額ベース

日経平均への寄与度ベース

値の目安(2026年10月2日)

約3,933円

約3,015円

公表のされ方

PERを日経朝刊・日経平均プロフィルが掲載(EPSは終値÷PERで算出)

日経平均プロフィルが「日経平均EPS」として定義

出典:日本経済新聞社「日経平均プロフィル」(ユーザーズ・ガイド、2026年10月2日の終値・PER)よりKabuGraph作成。EPSの値は終値÷PERでKabuGraph算出

なぜ差が出るのか

日経平均株価は株価平均型の指数であり、株価が高い銘柄ほど指数への影響が大きくなります。ファーストリテイリング(PER50.8倍)、東京エレクトロン(同48.2倍)、アドバンテスト(同75.0倍)といった高PERで日経平均の中のウエートが大きい銘柄が指数を大きく動かすのに対し、加重平均ベースでは時価総額で重みを付けるため、これらの銘柄の影響が薄まります。PERは2026年10月2日終値・直近通期実績ベースのKabuGraph算出値です。

結果として、指数ベースのEPSは加重平均ベースより小さくなり、指数ベースのPERは加重平均ベースより高くなります。「日経平均のPERは16倍」と言うとき、多くは加重平均ベースであり、指数ベースでは20倍を超えている場合があります。

日経平均EPSの長期推移

日経平均EPSは長期的に右肩上がりのトレンドを描いています。加重平均ベースでは2013年末の980円から2026年10月2日の3,933円へと、約13年で約4倍に拡大しました。

日経平均EPS(加重平均ベース)の長期推移

出典:日本経済新聞社「日経平均プロフィル」よりKabuGraph作成。各年末の終値÷加重平均PERでKabuGraph算出(予想EPSベース)。2026年は10月2日時点

主なフェーズ

2013〜2018年:円安と増益が続いたEPS拡大期。2013〜2015年は大規模金融緩和を背景とした円安(1ドル86円→120円、年末値)が輸出企業の利益を押し上げました。2016年にEPSはいったん減りましたが、2017〜2018年は1ドル110円前後と円安が進まない中でも増益が続き、980円(2013年末)から1,784円(2018年末)へと約1.8倍に拡大しました。コーポレートガバナンス・コードの導入(2015年)も、ROE向上を通じた収益性改善を後押ししました。

2019〜2020年:米中摩擦とコロナショックによる一時的な下落。米中貿易摩擦が続いた2019年末は1,647円と、前年(1,784円)から減少しました。2020年はコロナ禍で企業業績が急落し、EPSは9月末に約1,000円まで下がり、年末は1,086円でした。

2021年〜現在:コロナ後の回復と構造改革によるEPS急拡大。コロナ後の需要回復に加え、円安効果、インフレによる値上げ効果、事業ポートフォリオの効率化が重なり、EPSは2021年末に2,086円とコロナ前の水準を回復し、2025年末には2,651円へ拡大しました。

2026年は5月に大きく跳ね、4月末の2,920円が5月末には3,699円になりました。3月期決算の会社が本決算を発表し、計算に使う利益予想が新年度(2027年3月期)の分に切り替わった時期です。10月2日には3,933円と、2025年末から9か月で約48%増えています(日経平均プロフィルのヒストリカルデータよりKabuGraph算出)。

EPSと日経平均株価の関係

日経平均株価とEPSには、次のシンプルな関係式が成り立ちます。

株価はEPS(企業の利益水準)とPER(市場の評価倍率)の掛け算で決まります。EPSが上がれば業績改善による株価上昇、PERが上がれば期待先行の株価上昇です。

EPS起点の適正株価シミュレーション

この関係式を使うと、予想EPSとPERの前提から適正株価レンジを試算できます。2026年10月2日時点の加重平均ベースEPS(約3,933円)に、過去10年に実際についた加重平均PERの水準を掛けると次のようになります。

想定PER

理論株価

参考

12倍

約47,200円

過去10年の下限圏(12倍割れは2018年末・2019年・2022年9月末)

13倍

約51,100円

過去10年で、これより低い月が約2割

15倍

約59,000円

過去10年の平均(15.4倍)・中央値(14.8倍)付近

16.5倍

約64,900円

過去10年で、これより高い月が約4分の1

17.4倍

約68,300円

2026年10月2日の実際の水準(終値68,309円)

20倍

約78,700円

過去10年の上位1割の水準。20倍超はコロナ禍で利益が落ち込んだ2020〜21年と、2026年2月・4月末

出典:日本経済新聞社「日経平均プロフィル」よりKabuGraph算出。EPSは2026年10月2日の加重平均ベース(約3,933円)。参考欄は加重平均PERの月末値(2016年10月〜2026年9月の120か月)の分布

過去10年の加重平均PERは平均15.4倍・中央値14.8倍で、半分の月が13.1〜16.5倍に収まっています。14倍を下回った月も約4割あり、2018・2019・2022年は年平均でも12〜13倍台でした。株価の下値を考えるときは、14倍ではなく12〜13倍まで見ておくのが過去の実績に沿った見方です。

たとえば野村證券は2026年末の日経平均株価見通しを70,000円(出典: 野村證券)としていますが、この背景にはTOPIXベースで2026年度EPS増益率+19.2%というEPS拡大見通しがあります。株価の上昇がEPSの増加に裏付けられているかどうかを確認することが、割高・割安の判断で最も重要です。

日経平均EPSを動かす5つの要因

日経平均EPSは個々の構成銘柄の業績変動が集約された数字です。EPSを動かす主要な要因は次の5つです。

① 為替(ドル円)

日経平均225銘柄にはトヨタ自動車・ソニーグループなど海外売上比率の高い企業が多く含まれます。1円の円安で主要企業の経常利益は0.4%前後押し上げられるとされます(大和証券試算、日本経済新聞 2023年5月27日)。SMBC日興証券の集計では、為替感応度を開示するTOPIX採用296社の場合、ドルとユーロに対してそれぞれ1円円安になると、予想営業利益の合計が0.74%押し上げられます。ドルだけなら約0.56%です(出典: SMBC日興証券 2023年3月10日)。10円動けば数%の増益要因になり、為替はEPSの主要な変動要因の一つです。2022〜2024年の急速な円安(110円台→150円台)は、EPSの拡大に大きく寄与しました。

② 自社株買い(株数の減少)

EPSは「利益÷株数」なので、利益が同じでも発行済株式数が減ればEPSは上昇します。2025年度に日本企業が設定した自社株買い枠は22兆3250億円と前年度比18%増え、5年連続の増加で過去最大となりました(出典: 日本経済新聞 2026年4月24日)。東証が2023年3月にプライム・スタンダード市場の全上場企業へ「資本コストや株価を意識した経営」を要請し、PBR1倍割れの是正が焦点になったのを機に自社株買いが加速しており、EPSを構造的に押し上げる要因になっています。

③ インフレと値上げ効果

物価が上がる状態が続き、企業が値上げしやすい環境が定着しつつあります。売上数量が変わらなくても価格転嫁によって売上高・利益が拡大するため、インフレはEPSの底上げ要因になります。ただし、原材料費やエネルギーコストの上昇が利益を圧迫するケースもあり、恩恵は業種によって異なります。

なお、政府はデフレ脱却をまだ宣言していません。首相は2026年7月27日にも「デフレ脱却といえる状況にない」と述べています(出典: 日本経済新聞 2026年7月27日)。

④ AI・半導体など特定セクターの寄与

日経平均は株価平均型指数のため、株価が高い銘柄ほど指数への寄与度が大きくなります。2024年以降は、AI・半導体関連の銘柄の利益拡大が日経平均EPSを押し上げてきました。ただし、銘柄ごとに伸び方や利益の性質はかなり違います。

  • アドバンテスト:純利益は2025年3月期の1,612億円から2026年3月期は3,754億円へ2.3倍。2027年3月期の会社予想は6,600億円

  • 東京エレクトロン:2026年3月期の純利益は5,745億円で前期比+5.6%と小幅。2027年3月期第1四半期(4〜6月の3か月)は1,643億円で前年同期比+39.5%

  • キオクシアホールディングス:2026年4月に日経平均に採用。生成AI向けデータセンターの需要拡大でメモリーの販売価格が上がり、2027年3月期第1四半期(4〜6月の3か月)の純利益は8,422億円と、前期1年分(5,545億円)を上回った

  • ソフトバンクグループ:2026年3月期の純利益は約5兆円(前期は1兆1,533億円)。ただし大半はOpenAIなど投資先の評価益で、相場次第で大きく振れる

出典:各社の決算短信・決算説明資料よりKabuGraph作成

これらの少数銘柄がEPS全体の伸びを左右する構図は、株価平均型指数の特徴です。

⑤ 銘柄入替

日経平均の定期見直しは年2回(4月と10月の第1営業日)で、各回の入れ替えは最大3銘柄です(出典: 日本経済新聞社「日経平均株価 構成銘柄選定基準」)。選定基準は市場流動性とセクター間のバランスで、流動性の低い銘柄が外れ、売買の活発な銘柄が採用されます。2026年も4月にキオクシアホールディングス、10月にJX金属などが新たに採用されました。これにより、EPS自体が純粋な企業利益の変化だけでなく、指数の「顔ぶれ」の変化にも影響を受けます。長期でEPS推移を見る際にはこの点を念頭に置く必要があります。

証券会社のEPS・株価見通し(2026〜2028年度)

主要証券会社は2026年度以降もEPSの拡大を見込んでいます。以下は野村證券のトップダウンEPS見通しです(TOPIXベース)。

年度/年末

TOPIX EPS見通し

増益率

日経平均 見通し(各年12月末)

2026年度/2026年末

244.0

+19.2%

70,000円

2027年度/2027年末

269.1

+10.3%

73,000円

2028年度/2028年末

287.2

+6.7%

76,000円

出典:野村證券ウェルスタイル(2026年8月時点の見通し)よりKabuGraph作成。TOPIX EPSは年度(2026年度=2027年3月期)、日経平均は各年12月末の見通し

野村證券によれば、足元の利益率の上振れ要因は「半分が一過性、残り半分が値上げや数量増・企業努力による持続的な効果」とされています(出典: 野村證券)。EPS拡大が持続的なものか一過性かを見極めることが重要です。

日経平均EPSの確認方法と活用のポイント

日経平均EPSの最新値は以下のサイトで無料で確認できます。

投資判断に活用する3つのポイント

  1. EPSの方向を確認する。EPSが上昇トレンドなら企業業績は改善基調にあり、株価上昇の根拠が堅い。EPSが横ばい〜下落なのに株価が上がっていれば、PER拡大(期待先行)で支えられている可能性があります。

  2. EPS×PERで適正水準を計算する。加重平均ベースの場合、過去10年のPERは平均15.4倍で、半分の月が13.1〜16.5倍に収まっていました(月末値)。現在のEPSにこの倍率を掛けることで、マーケット全体の適正株価レンジを簡易的に算出できます。

  3. EPSの「中身」を見る。EPS上昇の内訳が「一部の半導体銘柄の寄与」なのか「幅広い業種の増益」なのかで、上昇の持続性が変わります。日経平均は株価平均型で特定銘柄の影響が大きいため、TOPIXのEPSと比較することで市場全体の利益動向を正確に把握できます。

EPSの意味や計算式など基礎から知りたい方は、EPSとは?計算式と変動要因で解説しています。

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コラム著者・編集者

K

KabuGraph編集部

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