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日経平均EPSの推移|企業利益が10年で3倍に拡大した構造要因とPERへの読み替え方

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日経平均EPS(1株あたり利益)は、日経平均株価を構成する225銘柄の収益力を1つの数字に集約した指標です。2026年9月時点の加重平均ベースEPSは約3,772円と過去最高圏にあり、10年前(2016年末)の1,181円から3倍超(約3.2倍)に拡大しました。

この記事では、日経平均EPSの長期推移データ、「加重平均ベース」と「指数ベース」の2つの計算方法の違い、EPS×PERによる適正株価の考え方、そしてEPSを動かす要因を解説します。

日経平均EPSとは

日経平均EPSとは、日経平均株価225銘柄の「1株あたりの利益」を合成した指標です。個別企業のEPSが「当期純利益÷発行済株式数」で計算されるのと同様に、指数全体の利益水準を示します。

日経平均株価は「株価÷除数」で算出される株価平均型の指数です。そのため、EPSの計算にも日経平均独自のルールが適用されます。

出典:日本経済新聞社「日経平均プロフィル」ユーザーズ・ガイド、株式マーケットデータ(2026年9月11日)、大和証券試算(日本経済新聞 2023年5月)よりKabuGraph作成

個別銘柄のEPSとの違い

個別銘柄のEPS(1株あたり利益)は「当期純利益÷発行済株式数」のシンプルな割り算ですが、日経平均EPSは225銘柄の利益を指数のルールに基づいて合成する必要があり、計算方法が複数あります。どの方法を採るかで値が大きく異なるため、数値を見るときは必ず「どのベースか」を確認することが重要です。

予想EPSと実績EPS

日経平均EPSには「予想EPS」と「実績EPS」の2種類があります。日経平均プロフィルが公表するPER・EPSは、日本経済新聞社の予想値(今期の純利益予想)に基づく予想ベースです。アナリストのコンセンサス予想ではありません。予想値は本決算の発表日の翌日から次の決算期の予想に切り替わります(出典: 日経平均プロフィル ユーザーズ・ガイド)。PER(株価÷EPS)にも予想EPSが使われるため、株価の割安・割高を判断する基準になります。

加重平均ベースと指数ベースの違い

日経平均EPSの計算には「加重平均ベース」と「指数ベース」の2つの方法があり、同じ日のデータでも値が大きく異なります。2026年9月11日時点では、加重平均ベースが約3,772円、指数ベースが約3,009円と、700円以上の開きがあります(出典: 株式マーケットデータ)。

加重平均ベース

指数ベース

計算式

日経平均株価×予想利益合計÷時価総額合計

Σ(予想1株利益×株価換算係数)÷除数

ウェイト

時価総額ベース

日経平均への寄与度ベース

値の目安(2026年9月11日)

約3,772円

約3,009円

主な掲載メディア

日本経済新聞朝刊、日経平均プロフィル

日経平均プロフィル、株式マーケットデータ

出典:日本経済新聞社「日経平均プロフィル ユーザーズ・ガイド」、株式マーケットデータ(2026年9月11日掲載値)よりKabuGraph作成

なぜ差が出るのか

日経平均株価は株価平均型の指数であり、株価が高い銘柄ほど指数への影響が大きくなります。ファーストリテイリング(PER47.1倍)、東京エレクトロン(同41.0倍)、アドバンテスト(同61.6倍)といった高PERかつ高株価の銘柄が指数を大きく動かすのに対し、加重平均ベースでは時価総額で重みを付けるため、これらの銘柄の影響が薄まります。PERは2026年9月11日終値・直近通期実績ベースのKabuGraph算出値です。

結果として、指数ベースのEPSは加重平均ベースより小さくなり、指数ベースのPERは加重平均ベースより高くなります。「日経平均のPERは16倍」と言うとき、多くは加重平均ベースであり、指数ベースでは20倍を超えている場合があります。

日経平均EPSの長期推移

日経平均EPSは長期的に右肩上がりのトレンドを描いています。加重平均ベースでは2013年末の980円から2026年9月の3,772円へと、約13年で約3.8倍に拡大しました。

日経平均EPS(加重平均ベース)の長期推移

出典:日本経済新聞社「日経平均プロフィル」よりKabuGraph作成。各年末の終値÷加重平均PERでKabuGraph算出(予想EPSベース)。2026年は9月11日時点

主なフェーズ

2013〜2018年:アベノミクスと円安によるEPS拡大期。大規模金融緩和を背景とした円安が輸出企業の利益を押し上げ、EPSは980円(2013年末)から1,784円(2018年末)へと約1.8倍に拡大しました。コーポレートガバナンス・コードの導入(2015年)も、ROE向上を通じた収益性改善を後押ししました。

2019〜2020年:米中摩擦とコロナショックによる一時的な下落。米中貿易摩擦の影響で2019年末は1,647円に鈍化。2020年はコロナ禍で企業業績が急落し、EPSは1,086円まで低下しました。

2021年〜現在:コロナ後の回復と構造改革によるEPS急拡大。コロナ後の需要回復に加え、円安効果、インフレによる値上げ効果、事業ポートフォリオの効率化が重なり、EPSは2021年末に2,086円とコロナ前の水準を回復し、2025年末には2,651円へ拡大。2024年以降はAI・半導体関連銘柄の業績貢献も加わり、2026年9月11日には加重平均ベースで3,772円と過去最高を更新しています。前年同日の2,461円からは約53%増です(日経平均プロフィルのヒストリカルデータよりKabuGraph算出)。

EPSと日経平均株価の関係

日経平均株価とEPSには、次のシンプルな関係式が成り立ちます。

株価はEPS(企業の利益水準)とPER(市場の評価倍率)の掛け算で決まります。EPSが上がれば業績改善による株価上昇、PERが上がれば期待先行の株価上昇です。

EPS起点の適正株価シミュレーション

この関係式を使うと、予想EPSとPERの前提から適正株価レンジを試算できます。2026年9月時点の加重平均ベースEPS(約3,772円)を基に計算すると次のようになります。

想定PER

理論株価

参考

14倍

約52,800円

過去のPER下限圏

15倍

約56,600円

過去10年のPER平均近辺

16倍

約60,400円

適正水準の上限

17倍

約64,100円

やや割高とされる水準

18倍

約67,900円

成長期待込みの上限圏

KabuGraph算出。EPS: 加重平均ベース約3,772円(2026年9月時点)

たとえば野村證券は2026年末の日経平均株価見通しを70,000円(出典: 野村證券)としていますが、この背景にはTOPIXベースで2026年度EPS増益率+19.2%というEPS拡大見通しがあります。株価の上昇がEPSの増加に裏付けられているかどうかを確認することが、割高・割安の判断で最も重要です。

日経平均EPSを動かす5つの要因

日経平均EPSは個々の構成銘柄の業績変動が集約された数字です。EPSを動かす主要な要因は次の5つです。

① 為替(ドル円)

日経平均225銘柄にはトヨタ自動車・ソニーグループなど海外売上比率の高い企業が多く含まれます。1円の円安で主要企業の経常利益は0.4%前後押し上げられるとされます(大和証券試算、日本経済新聞 2023年5月27日)。SMBC日興証券の集計でも、為替感応度を開示するTOPIX採用296社の予想営業利益合計に対し、1円の円安の影響は0.74%です(出典: SMBC日興証券 2023年3月10日)。10円動けば数%の増益要因になり、為替はEPSの主要な変動要因の一つです。2022〜2024年の急速な円安(110円台→150円台)は、EPSの拡大に大きく寄与しました。

② 自社株買い(株数の減少)

EPSは「利益÷株数」なので、利益が同じでも発行済株式数が減ればEPSは上昇します。2025年度に日本企業が設定した自社株買い枠は22兆3250億円と前年度比18%増え、5年連続で過去最大を更新しました(出典: 日本経済新聞 2026年4月24日)。東証によるPBR1倍割れ是正要請(2023年)を機に自社株買いが加速しており、EPSを構造的に押し上げる要因になっています。

③ インフレと値上げ効果

約30年続いたデフレから脱却し、企業が値上げを実施できる環境が定着しつつあります。売上数量が変わらなくても価格転嫁によって売上高・利益が拡大するため、インフレはEPSの底上げ要因になります。ただし、原材料費やエネルギーコストの上昇が利益を圧迫するケースもあり、恩恵は業種によって異なります。

④ AI・半導体など特定セクターの寄与

日経平均は株価平均型指数のため、株価が高い銘柄ほど指数への寄与度が大きくなります。2024年以降、東京エレクトロン、アドバンテスト、ソフトバンクグループなどAI・半導体関連の高株価銘柄の業績拡大が日経平均EPSを大きく押し上げています。これらの少数銘柄がEPS全体の伸びをリードする構図は、株価平均型指数の特徴です。

⑤ 銘柄入替

日経平均の定期見直しは年2回(4月と10月の第1営業日)で、各回の入れ替えは最大3銘柄です(出典: 日本経済新聞社「日経平均株価 構成銘柄選定基準」)。選定基準は市場流動性とセクター間のバランスで、流動性の低い銘柄が外れ、売買の活発な銘柄が採用されます。これにより、EPS自体が純粋な企業利益の変化だけでなく、指数の「顔ぶれ」の変化にも影響を受けます。長期でEPS推移を見る際にはこの点を念頭に置く必要があります。

証券会社のEPS・株価見通し(2026〜2028年度)

主要証券会社は2026年度以降もEPSの拡大を見込んでいます。以下は野村證券のトップダウンEPS見通しです(TOPIXベース)。

年度

TOPIX EPS見通し

増益率

日経平均 年末見通し

2026年度

244.0

+19.2%

70,000円

2027年度

269.1

+10.3%

73,000円

2028年度

287.2

+6.7%

76,000円

出典:野村證券ウェルスタイル(2026年8月時点の見通し)よりKabuGraph作成

野村證券によれば、足元の利益率の上振れ要因は「半分が一過性、残り半分が値上げや数量増・企業努力による持続的な効果」とされています(出典: 野村證券)。EPS拡大が持続的なものか一過性かを見極めることが重要です。

日経平均EPSの確認方法と活用のポイント

日経平均EPSの最新値は以下のサイトで無料で確認できます。

投資判断に活用する3つのポイント

  1. EPSの方向を確認する。EPSが上昇トレンドなら企業業績は改善基調にあり、株価上昇の根拠が堅い。EPSが横ばい〜下落なのに株価が上がっていれば、PER拡大(期待先行)で支えられている可能性があります。

  2. EPS×PERで適正水準を計算する。加重平均ベースの場合、PER 14〜16倍が過去の中心的なレンジです。現在のEPSにこの倍率を掛けることで、マーケット全体の適正株価レンジを簡易的に算出できます。

  3. EPSの「中身」を見る。EPS上昇の内訳が「一部の半導体銘柄の寄与」なのか「幅広い業種の増益」なのかで、上昇の持続性が変わります。日経平均は株価平均型で特定銘柄の影響が大きいため、TOPIXのEPSと比較することで市場全体の利益動向を正確に把握できます。

EPSの意味や計算式など基礎から知りたい方は、EPSとは?計算式と変動要因で解説しています。

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コラム著者・編集者

K

KabuGraph編集部

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