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干支の相場格言|十二支すべての意味と日経平均の過去実績で検証

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「辰巳天井、午尻下がり、未辛抱、申酉騒ぐ、戌笑い、亥固まる、子は繁盛、丑つまずき、寅千里を走り、卯跳ねる」——これは干支(十二支)ごとの相場の傾向を詠んだ、日本の株式市場に古くから伝わる格言です。

年末年始になると証券会社のレポートやメディアで必ず取り上げられるこの格言ですが、実際の株価はどの程度格言通りに動いてきたのでしょうか。本記事では十二支すべての格言の意味を解説し、日経平均株価の過去70年超のデータで的中率を検証します。

干支の相場格言とは

干支の相場格言は、十二支の各年に株式相場がどう動きやすいかを短い言葉でまとめた経験則です。古くは大阪の米相場師の間で「辰巳(の日)は相場が上がる」と言い伝えられ、明治時代の相場格言集にも「辰巳アガリ」として載っています。十二支すべてをつなげた今の形がいつできたかははっきりしませんが、現代でも年初の相場見通しでよく引用されます。

格言の全文は以下の通りです。

辰巳天井、午尻下がり、未辛抱、申酉騒ぐ、戌笑い、亥固まる、子は繁盛、丑つまずき、寅千里を走り、卯跳ねる

この格言は、辰年・巳年で株価が天井をつけ、午年に下落、未年は辛抱の年——という12年周期の相場サイクルを描いています。農業や自然の周期観に基づく干支の考え方を、金融市場の経験則と結びつけたものです。

十二支の格言——すべての意味を解説

十二支それぞれの格言の意味を順に解説します。

子(ね)は繁盛

ねずみは多産の象徴であり、子年は株式市場がにぎわって繁盛する(上昇する)年とされます。十二支の最初の年として、新しいサイクルの始まりを意味し、相場が活気づくイメージです。

十二支の「子」には、種子の中で新しい命が芽生え始める様子を表すという解釈があり、格言もこのイメージで読まれることがあります。前年の「亥固まる」で底打ち・地固めをした相場が、ここで新たな上昇サイクルに入る——という読み方です。十二支を一巡するストーリーの中で、子年は「終わりと始まり」が交差する起点にあたります。

丑(うし)つまずき

牛の歩みのようにのろく、子年の勢いが止まってつまずく年とされます。前年の上昇の反動で調整が入りやすいという経験則です。

寅(とら)千里を走り

虎が千里を走るように、相場が大きく動く(荒れやすい)年とされます。上にも下にも大きく振れる、ボラティリティ(値動きの大きさ)の高い年というニュアンスです。上昇だけを意味するわけではない点に注意が必要です。

この格言は、「虎は千里往(い)って千里還(かえ)る」ということわざと重ねて読まれることもあります。そう読むと、単に値動きが大きいだけでなく、急騰した後に急落する、あるいは急落した後に元の水準まで戻る「行って来い(往って来い)」になりやすい年、という解釈になります。寅年に大きなポジションを取る場合は、この「往復」を意識しておくとよいでしょう。

卯(う)跳ねる

うさぎが跳ねるように株価も跳ね上がる、上昇しやすい年とされます。跳躍のイメージから、回復局面や上昇相場に転じる年として期待されます。

辰巳(たつみ)天井

辰年と巳年で株価が天井(最高値)をつけるとされます。龍と蛇は天に昇るイメージがあり、相場が上昇の頂点に達する年とされています。二つの干支をまとめて一つの格言にしているのが特徴で、上昇局面のピークを暗示します。

辰と巳は一組の格言ですが、ニュアンスには違いがあります。辰年は天に昇る龍のごとく「勢いよく上昇して高値をつける年」、巳年は執念深い蛇のごとく「高値圏でしぶとく推移しつつも、天井を打ってジリジリと下落の予兆を見せる年」と解釈されることもあります。

ただ直近では、2024年(辰)に日経平均が史上最高値を更新した後、2025年(巳)も5万円台に乗せて上昇を続けました。巳年を「下落の予兆を見せる年」とする解釈は、今回は当たりませんでした。

午(うま)尻下がり

辰巳の天井から一転、午年は尻下がり——つまり下落する年とされます。「尻下がり」は文字通り後半に向かって下がっていく様子を表します。十二支のうち、日経平均の年間騰落率の長期平均がマイナスなのは午年だけです(1950〜2025年)。

未(ひつじ)辛抱

羊のように大人しく辛抱する年、もみ合い相場とされます。午年の下落を経て回復途上にあるが、まだ方向感が定まらない年。じっくり耐えて次の上昇に備える時期というニュアンスです。

申酉(さるとり)騒ぐ

猿と鶏のように相場が騒がしく、値動きが激しくなる年とされます。辰巳と同様に二つの干支を一組にした格言で、選挙や金融政策の転換など、市場を揺るがすイベントが起きやすい年とされています。

申年は必ずアメリカの大統領選挙の年に当たります(西暦が4で割り切れる年のため。ただし子年・辰年も同じで、酉年は選挙の年になりません)。世界最大の市場である米国の政権交代や政策転換が相場を揺らす、という見方はできます。ただ実績では申年は6回中5回上がっており、「騒ぐ」が下落を意味するわけではありません。

戌(いぬ)笑い

犬が笑うかのように、投資家が利益を得て笑える年とされます。申酉の荒れた相場を乗り越えた後、安定的に上昇し、含み益が出て笑顔になれる年というイメージです。

亥(い)固まる

猪が突進した後に固まるように、相場が固まり底値を形成する年とされます。次の子年からの新しい上昇サイクルに向けて、相場が下値を固める時期です。十二支のサイクルの最後にあたり、次のサイクルの「子は繁盛」へと繋がります。

日経平均の実績で検証——干支別の騰落率

格言が実際の株価とどの程度一致するのか、日経平均株価の過去のデータで検証します。以下は1950〜2025年の各年の騰落率(前年末から1年間の値動き)を、干支ごとに平均したものです。日経平均の年末終値からKabuGraphが計算しました。

証券会社などにも同じような集計がありますが、期間や計算方法(大発会の始値から数えるか、前年末から数えるか)の違いで、数値が少しずつ異なります。

干支別 日経平均株価の平均騰落率

出典:日経平均プロフィル(日本経済新聞社)の年末終値よりKabuGraph算出。1950〜2025年の各年の騰落率(前年末比)を干支ごとに平均。1949年は5月16日の算出開始から7か月半しかないため除く

注目すべきポイントは以下の通りです。

  • 辰年が最高パフォーマンス(平均+26.7%)で、「辰巳天井」の格言通り好調。巳年(+15.2%)も全体の平均(+11.3%)を上回る

  • 長期平均がマイナスなのは午年(−5.0%)だけ。「午尻下がり」は傾向として確認できる。一方、「丑つまずき」の丑年は平均+0.8%で、6回中4回は上がっている

  • 寅年(+0.2%)は平均ではほぼ横ばい。ただし7回中6回は下落しており、1986年の+42.6%が平均を押し上げている。「千里を走り」は上昇を約束する格言ではない

  • 子年(+22.5%)、卯年(+18.1%)、亥年(+16.5%)は好調

干支別の詳細データ——上昇確率と勝敗

平均騰落率だけでなく、上昇した年と下落した年の内訳を見ると、格言の信頼性がより明確になります。

干支

格言

上昇

下落

上昇確率

格言との一致

子(ね)

繁盛

4回

2回

67%

○

丑(うし)

つまずき

4回

2回

67%

×

寅(とら)

千里を走り

1回

6回

14%

△

卯(う)

跳ねる

5回

2回

71%

○

辰(たつ)

天井

5回

2回

71%

○

巳(み)

天井

5回

2回

71%

○

午(うま)

尻下がり

3回

3回

50%

○

未(ひつじ)

辛抱

4回

2回

67%

×

申(さる)

騒ぐ

5回

1回

83%

△

酉(とり)

騒ぐ

5回

1回

83%

△

戌(いぬ)

笑い

4回

2回

67%

○

亥(い)

固まる

5回

1回

83%

×

出典:日経平均プロフィル(日本経済新聞社)の年末終値よりKabuGraph算出。1950〜2025年、前年末比(子・丑・午〜亥は6回、寅〜巳は7回)

「格言との一致」は、格言が示す方向と実績の傾向が合っているかを示します。○は概ね一致、△は部分的に一致、×は不一致です。

午年の詳細検証——「午尻下がり」は本当か

2026年は午年です。十二支で唯一、長期平均がマイナスの「午尻下がり」は本当なのか、過去の午年を1年ずつ振り返ります。

年

日経平均 騰落率

主な出来事

判定

1954年

−5.8%

朝鮮特需の反動

的中

1966年

+2.4%

いざなぎ景気

外れ

1978年

+23.4%

第二次オイルショック前の上昇

外れ

1990年

−38.7%

バブル崩壊

的中

2002年

−18.6%

ITバブル崩壊後の低迷

的中

2014年

+7.1%

日銀の追加緩和

外れ

出典:日経平均プロフィル(日本経済新聞社)の年末終値よりKabuGraph算出。騰落率は前年末比

過去6回の午年で「午尻下がり」が的中したのは3回、外れも3回の五分五分です。ただし、的中した年(1990年のバブル崩壊、2002年のITバブル後)は大幅な下落で、外れた年の上昇幅を打ち消すため、平均騰落率がマイナスになっています。

つまり「午年は必ず下がる」のではなく、「下がるときの下落幅が大きい」というのがデータからわかる実態です。1990年を除くと、午年の平均は+1.7%とプラスに変わります。

2026年は10月5日時点で年初来+39%と、ここまでは「尻下がり」とは逆の動きです。年の途中なので結論は出せませんが、年末までどう動くかも、干支ではなく企業業績や金利・政策などの環境で決まります。

直近の辰巳年と2026年は格言通りか

直近の辰年(2024年)と巳年(2025年)の実績、そして午年の2026年のここまでの動きを確認しておきます。

  • 2024年(辰年):+19.2%——日経平均は史上初の4万円台に到達。「辰巳天井」の格言通り好調な1年

  • 2025年(巳年):+26.2%——史上初の5万円台に乗せ、3年連続の大幅上昇。巳年も好調な1年

  • 2026年(午年):10月5日時点で年初来+39%——1月に巳年の高値を上回り、6月には終値で7万2,000円台をつけた。年初から終値で一度も前年末の水準を下回っていない(年の途中)

辰年・巳年が2年続けて大きく上がった点は格言どおりでした。ただし辰巳は「天井」にはならず、日経平均は午年の2026年に入っても上昇を続けています。

年の途中なので結論は出せませんが、ここまでは「辰巳天井、午尻下がり」とは逆の展開です。干支だけで相場を判断できないことを、直近の相場がよく示しています。

干支格言との向き合い方——アノマリー投資の注意点

干支の格言はあくまでアノマリー(経験則・anomaly)の一種です。アノマリーとは、効率的市場仮説では説明できない規則的なパターンのことで、因果関係は証明されていません。

干支格言を投資に活かす上での注意点をまとめます。

  1. サンプル数が少ない——日経平均が存在する約75年間で各干支はわずか6〜7回しか巡ってきません。統計的に有意な結論を出すには不十分です

  2. 因果関係がない——株価を動かすのは企業業績・金利・為替・政策などであり、干支そのものに株価を動かす力はありません。相関があったとしても偶然の一致です

  3. 外れ値の影響が大きい——子年のリターンは1972年(日本列島改造ブーム)の+91.9%が押し上げ、午年のマイナスは1990年(バブル崩壊)の−38.7%が押し下げています。1回の極端な値で平均が大きく動くため、平均騰落率だけで判断するのは危険です

  4. 後付けバイアスに注意——格言が当たった年だけが記憶に残り、外れた年は忘れられがちです。「やっぱり午年は下がった」という確認バイアスに惑わされないことが重要です

まとめ

干支の相場格言のポイントを整理します。

  • 格言の全文:「辰巳天井、午尻下がり、未辛抱、申酉騒ぐ、戌笑い、亥固まる、子は繁盛、丑つまずき、寅千里を走り、卯跳ねる」

  • 実績と概ね一致するのは半分程度——辰巳天井・午尻下がり・卯跳ねる・戌笑い・子は繁盛は長期の平均で傾向として確認できるが、丑つまずき・未辛抱・亥固まる・申酉騒ぐは上昇した年が多く格言のニュアンスと合わない

  • 長期平均がマイナスなのは午年だけ(1950〜2025年)。辰年(+26.7%)が最もパフォーマンスが良い

  • 直近の辰巳は「天井」にならなかった——2024・2025年と大きく上がった後、午年の2026年も10月5日時点で年初来+39%(年の途中)

  • アノマリーであり投資判断の根拠にはならない——サンプル数が少なく、因果関係もない。リスク管理を見直すきっかけとして活用するのが賢い付き合い方

格言はあくまで先人たちの経験を凝縮した知恵です。データで検証しつつ、相場のリズムを感じるための一つの視点として楽しんでみてください。

コラム著者・編集者

K

KabuGraph編集部

KabuGraph編集部は、投資情報の発信と株式分析ツールの開発に携わるチームです。日本株・米国株の事業分析から、投資に役立つ情報をわかりやすくお届けします。

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