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村田製作所(6981)の企業分析|MLCC世界シェア首位、AIサーバー需要で初の売上2兆円突破へ

2027年3月期 第2四半期決算まで反映

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村田製作所(6981)は、積層セラミックコンデンサ(MLCC)で世界シェア首位の電子部品のグローバルリーダーです。スマートフォン・自動車・AIサーバーなど、ほぼすべての電子機器に搭載されるMLCCは「電子部品の米」とも呼ばれ、村田製作所はその最大手として圧倒的な技術力と生産規模を誇ります。

2026年3月期は売上高1兆8,309億円で過去最高を更新。AIサーバー向けMLCC需要の爆発的拡大を受け、2027年3月期の通期予想は売上収益2兆2,600億円(7月・10月の2度の上方修正後、前期比+23%)、営業利益5,200億円(+85%)と、会社は過去最高の売上収益・営業利益を見込んでいます(売上高2兆円は同社にとって初の大台となります)。

この記事では、村田製作所のMLCC事業の競争力、用途別の成長構造、業績推移、投資判断のポイントを個人投資家の視点から解説します。

会社概要 — 「電子部品の米」MLCCの王者

村田製作所は1944年に京都で創業した電子部品メーカーです。セラミック技術を核に、コンデンサ・インダクタ・フィルタ・センサー・通信モジュールなど幅広い製品を展開。MLCC(積層セラミックコンデンサ)で世界シェア首位のほか、高周波インダクタ、表面波フィルタ、EMI除去フィルタ、セラミック発振子など多数の製品で世界トップシェアを持っています(自社推計)。

項目

内容

会社名

株式会社村田製作所(Murata Manufacturing Co., Ltd.)

証券コード

6981(東証プライム)

本社

京都府長岡京市東神足1丁目10番1号

代表取締役社長

中島 規巨

従業員数

74,302名(連結、2026年3月期末)

業種

電気機器(電子部品)

決算期

3月

時価総額

約12.4兆円(2026年11月2日終値時点)

セグメント別売上構成比(2026年3月期実績)

出典:村田製作所 2026年3月期決算短信(セグメント情報)よりKabuGraph作成

売上の約63%を占めるコンポーネント事業はMLCC・インダクタ・フィルタなど受動部品が中心で、同事業が全社利益の大半を稼ぎます。デバイス・モジュール事業(36%)は高周波モジュール、リチウムイオン電池、センサーなどを展開していますが、2026年3月期は表面波フィルタ事業ののれん減損438億円を計上して営業損失265億円となり(2024年3月期に続く赤字)、高周波・通信分野の立て直しが課題です。

セグメント別売上推移

出典:村田製作所 各期決算短信(セグメント情報「外部顧客に対する売上収益」)・2026年度第2四半期 決算説明会資料(2026年10月30日開示)「事業別セグメント売上予想」よりKabuGraph作成。2027/3(予)は会社のセグメント別通期予想(2026年10月時点)。「その他」セグメント(各期110〜240億円)は含まない。2023年3月期にセグメント区分を「コンポーネント/モジュール」から「コンポーネント/デバイス・モジュール」に変更しており、2022/3は2023年3月期決算短信に記載の新区分による組替値。会計基準は2023/3まで米国基準、2024/3からIFRS(2023/3のセグメント売上は両基準で同値)

MLCC事業の競争力と成長ドライバー

MLCC(積層セラミックコンデンサ)は、電圧の安定化・ノイズ除去・エネルギー蓄積を担う受動部品で、ほぼすべての電子機器に搭載されています。スマートフォン1台に約1,000個、EV1台に約10,000個、AIサーバー1台には10,000個以上のMLCCが使われます。

出典:村田製作所 公式サイト

MLCC世界シェアランキング

順位

企業名

シェア

特徴

1位

村田製作所(日本)

40%以上

高容量・小型品で独走

2位

Samsung Electro-Mechanics(韓国)

約24%

AIサーバー向けで急伸

—

TDK・Yageo・太陽誘電など大手

合計10〜20%

車載グレード・通信向けに強み

—

中国メーカー計

約10%

汎用品で急成長

出典:Passive Components.eu「China's MLCC makers reach 10% market share」(2024年時点の市場推計)よりKabuGraph作成

村田製作所は決算資料では数値シェアを開示しておらず、決算短信では中期方針2027の基本方針として「コンデンサやインダクタ・EMIフィルタにおけるシェアNo.1の確立」を掲げるにとどまります。一方、採用サイト「ムラタを取り巻く業界」では自社推計としてチップ積層セラミックコンデンサの世界シェア40%を掲げており、上表の市場推計とも整合しています。

AIサーバー向け — 急拡大する新市場

AIサーバー向けMLCC市場は急成長しています。村田製作所のデータセンター関連売上は2025年度(2026年3月期)実績1,767億円から、2026年度は4,250億円へ2倍超に伸ばす計画です(10月に7月予想の3,706億円から上方修正)。2026年度上期(4〜9月累計)で既に1,649億円(前年同期比+101.8%)に達しました(出典:村田製作所 2026年度第2四半期 決算説明会資料 p.15・p.25(2026年10月30日開示)、2025年度実績は2025年度 決算説明会資料 p.15)。AIサーバーはGPUの消費電力が数百ワットに達するため、電源安定化のために大容量MLCCが大量に必要です。

会社は10月30日、MLCCの生産能力拡大に2026年度から2030年度までの5年間で総額約1兆円を投じる計画を公表しました。2030年度のMLCC売上高は2025年度比で約2倍以上を想定しています(出典:村田製作所「積層セラミックコンデンサに関する今後の生産能力拡大について」2026年10月30日)。

用途別売上構成

用途別売上構成比(2026年3月期実績)

出典:村田製作所 2026年度第1四半期 決算説明会資料(2026年7月31日開示)「用途別売上収益」よりKabuGraph作成。2026年3月期通期実績(通信6,530億円/モビリティ4,745億円/コンピュータ3,104億円(うちデータセンター関連1,767億円)/産業・その他2,503億円/家電1,427億円)。「通信」はスマートフォンのほかウェアラブル機器・基地局を含む。用途別区分は2025年度から集計範囲を変更しており、過去年との単純比較はできない

用途別では通信(スマートフォン中心)が35.7%で最大ですが、会社の2026年度予想(10月時点)を2025年度実績と比べた伸び率はコンピュータ+81.6%、モビリティ+13.0%、通信+3.2%(KabuGraph算出)と、AI・データセンター向けへの構成シフトが進んでいます。2026年度上期(4〜9月累計)の実績では既にコンピュータが21.6%(うちデータセンター関連15.1%)まで拡大しました。

車載MLCC — EV化で搭載量が数倍に

車載向けMLCC市場では村田製作所がシェア約50%で圧倒的首位とされています(市場推計。会社は車載向けのシェアを開示していません)。EVはガソリン車に比べてMLCC搭載量が数倍になるとされ、ADAS・電動化の進展がMLCC需要の構造的拡大をもたらしています。車載グレードの高信頼性MLCCは品質認証の壁で参入障壁が高く、村田製作所とTDKの日本勢2社が市場の大半を占めるとされます(TrendForceの2022年分析では2社で約8割)。

業績推移と財務分析

村田製作所の業績はスマートフォン出荷台数と半導体サイクルに連動してきましたが、近年はAIサーバー・車載向けMLCC需要の構造的拡大により、従来のサイクル以上の成長を見せています。

通期業績推移(売上高・営業利益・営業利益率)

出典:決算短信・有価証券報告書・IR資料よりKabuGraph作成。2027/3(予)は会社通期予想(2026年10月30日に上方修正)

2027年3月期は売上+23%、営業利益+85%と大幅な増益を予想。上期(2026年4〜9月累計)の売上収益は1兆908億円(前年同期比+20.8%、為替影響除きで+14.2%)、営業利益は2,459億円(+48.9%)と、いずれも上期として過去最高を更新し、会社は10月30日に通期予想を7月に続いて再び上方修正しました。

修正幅は7月予想比で売上+1,500億円(+7.1%)・営業利益+900億円(+20.9%)。会社はデータセンター関連需要のさらなる高まりと、生産高増加に伴う操業度益や品種構成の良化を修正の理由に挙げ、第3四半期以降の為替前提(1ドル155円)は据え置いています。営業利益率は23.0%と、20%台への回復が見込まれます(出典:村田製作所「通期連結業績予想数値の修正に関するお知らせ」2026年10月30日、2026年度第2四半期 決算説明会資料 p.3・p.21)。

EPS・配当金の推移

EPS・1株配当金の推移

出典:決算短信・有価証券報告書・IR資料よりKabuGraph作成。2027/3(予)は会社予想(EPSは2026年10月30日の上方修正後、配当は据え置き。配当性向はKabuGraph算出)。EPS・配当金は株式分割(2023年10月、1:3)調整済み

株主還元では、2026年度は中間配当35円を実施し、10月の上方修正後も年間配当金の予想を70円(前期65円)に据え置く一方、当年度に予定している1,500億円の自己株式取得も当初方針どおり実施するとしています(出典:村田製作所 2027年3月期 第2四半期決算短信「配当の状況」、2026年度第2四半期 決算説明会資料 p.4)。

この自己株式取得は2026年4月30日の取締役会決議で、上限7,500万株(自己株式を除く発行済株式総数の4.12%)・1,500億円、取得期間は2026年5月11日〜2027年1月29日、取得した全株式を2027年2月26日に消却する予定です。8月から市場買付を始め、9月末時点の累計は1,040万1,300株・約761億円と、上限1,500億円の約51%に達しました(出典:村田製作所「自己株式の取得状況に関するお知らせ」2026年10月7日)。

投資家が注目すべきポイント

強み① MLCC世界首位の技術力と規模

村田製作所はMLCCで世界シェア首位。特に超小型・高容量品(0201サイズや100μF超)ではシェア50%超と圧倒的です。セラミック材料の配合技術、数百層の積層技術、焼成制御技術は数十年の蓄積に基づくものであり、参入障壁はきわめて高い。車載グレードでは村田とTDKの日本勢2社が市場の大半を占めるとされ、品質認証の壁がさらに競争を制限しています。

強み② AIサーバーが構造的な成長ドライバー

データセンター関連売上は2025年度1,767億円から2026年度予想4,250億円(10月に上方修正)へ2倍超に伸ばす計画で、AIサーバー1台あたりのMLCC搭載量はスマートフォンの10倍以上。ハイパースケーラー各社のAI投資拡大により、構造的な需要増が見込まれます。2027年3月期上期(4〜9月累計)ではコンデンサの売上が前年同期比+33.1%と好調に推移しています。

強み③ 営業利益率の回復ドライバー

2027年3月期の営業利益率は15.4%から23.0%へ回復する見通しです。ただし2026年3月期の営業利益にはのれん減損438億円が含まれており、一時項目を除いた実力ベースでは約17.8%からの改善になります。会社が増益要因として挙げているのは生産高の増加に伴う操業度益と円安効果で、固定費の増加や製品価格の値下がりが減益要因となります。製品価格の値下がりは「前回予想から緩やかに推移」との前提を置いており、AI・データセンター向けを中心とした数量拡大と操業度の改善が、収益性回復の主なドライバーです。


リスク① スマートフォン市場の成熟化

売上の約36%を占める通信(スマートフォン中心。ウェアラブル機器・基地局を含む)向けは成熟市場です。会社は2026年度のスマートフォン需要を11.6億台と、前年度の12.4億台から6.5%減ると見込んでおり(部品取込ベース。村田製作所 2026年度第2四半期 決算説明会資料 p.20)、中国メーカーの価格競争も激しい。村田は高付加価値品(5Gミリ波・UWB対応など)へのシフトを進めていますが、汎用品の価格下落圧力は根強く残ります。

リスク② デバイス・モジュール事業の赤字継続

売上の36%を占めるデバイス・モジュール事業は、2026年3月期に営業損失265億円(売上比▲4.0%)を計上しました。主因は表面波フィルタ事業ののれん減損438億円で、のれん減損を除けば約170億円の黒字ですが、同事業は2024年3月期にも130億円の営業損失を出しており、3年で2度目の赤字です。

  • 会社が挙げる減益要因は「売上減少に伴う高周波・通信の収益性悪化」と、のれん・固定資産の減損。高周波モジュールはスマートフォン・PC向け、樹脂多層基板はスマートフォン向けで減少しました

  • リチウムイオン二次電池はゲーム機・パワーツール向けで減収となったものの、会社は2025年度の重点課題の達成状況として「電池黒字化達成」と説明しています

  • 2027年3月期上期(4〜9月累計)も営業損失48億円(売上比▲1.4%)と赤字でした。円安による増益要因があったものの、売価値下げや材料価格の高騰、電源モジュール事業のプロジェクト中止に伴う損失が響きました。第2四半期(7〜9月の3か月)単独では81億円の黒字です

減損は一過性ですが、高周波・通信分野の売上減少と収益性悪化は続いています。同事業の立て直しが遅れれば、全社の営業利益率回復の足かせとなります(出典:村田製作所 2026年3月期決算短信、2025年度 決算説明会資料、2027年3月期 第2四半期決算短信(セグメント情報)、2026年度第2四半期 決算説明会資料 p.14・p.48)。

リスク③ 中国メーカーの台頭

中国MLCCメーカーのシェアが合計で10%に到達。現時点では汎用品が中心ですが、政府の補助金を背景に生産能力を急拡大しており、中級品セグメントへの浸食が加速する可能性があります。村田は高付加価値品へのシフトで差別化を図る方針ですが、価格下落圧力は長期的なリスク要因です。

リスク④ 高いバリュエーション

株価6,340円(2026年11月2日終値。10月30日の決算発表後の値)に対する実績PERは49.7倍、10月修正後の会社予想EPS218.80円ベースの予想PERは29.0倍です。PBR4.2倍・ROE8.6%(当期利益÷期末資本。会社開示の親会社所有者帰属持分利益率は8.8%)・配当利回り1.03%(実績65円ベース。予想70円なら1.10%。いずれも東証株価・決算短信よりKabuGraph算出)となっており、AI・データセンター需要の拡大がすでに株価に相応に織り込まれているとみられます。受注面でも会社は、第2四半期の受注高が過去最高を更新したとしつつ「長納期案件の増加に加え、一部用途での前倒し受注の懸念など引き続き動向に注視していく」と注意を促しており、AI関連需要が変調すれば株価の下押し要因になり得ます。

まとめ

村田製作所は、MLCC世界シェア首位のポジションを軸に、AIサーバー・車載・5Gの3つの構造的成長テーマを同時に捉えている電子部品のグローバルリーダーです。

2027年3月期は会社予想(10月に再び上方修正)で売上2兆2,600億円と過去最高を更新し(売上高2兆円は初の大台)、営業利益も+85%の5,200億円と大幅な増益予想。増益の主因は生産高の増加に伴う操業度益と円安効果で(前期ののれん減損438億円の剥落分も含む)、営業利益率は23.0%まで回復する見通しです。

一方で、デバイス・モジュール事業の赤字継続(2026年3月期はのれん減損438億円が主因ですが、2027年3月期上期も赤字)、スマートフォン市場の成熟化、中国メーカーの台頭はリスクです。コンポーネント事業の「量から質」への転換がどこまで進むかが、中長期の投資判断の鍵となるでしょう。

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村
6981電機・精密

村田製作所

積層セラミックコンデンサ(MLCC)で世界シェア首位を誇る電子部品メーカー。コンデンサ・インダクタ・EMI除去フィルタ等のコンポーネント、通信モジュール・リチウムイオン二次電池・センサ等のモジュール製品を幅広く展開する。スマートフォン・自動…

コラム著者・編集者

K

KabuGraph編集部

KabuGraph編集部は、投資情報の発信と株式分析ツールの開発に携わるチームです。日本株・米国株の事業分析から、投資に役立つ情報をわかりやすくお届けします。

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