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イメージワン(2667)の企業分析|医療画像とPIX4D・トリチウム分離、7期連続赤字の複合企業の実態

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医療用画像管理システムドローン測量ソフト・トリチウム分離技術の2事業を展開。7期連続の営業赤字が続く中、過去の不適切会計処理や希薄化リスクにも注意が必要です。

会社概要 — 医療画像から地球環境ソリューションまで手がける非連結の小型企業

イメージワンは1984年に画像処理・電子計測機器の輸入商社として設立され、その後医療画像分野に進出。「人の健康、国の安心・安全」を企業使命に掲げ、画像を通じた迅速で的確な意思決定支援を通じて社会コスト削減に貢献するとしています(出典: イメージワン公式サイト 会社概要)。

イメージワン公式サイト — 医療・地球環境ソリューションを掲げる企業サイトトップページ
出典:イメージワン公式サイト

項目

内容

会社名

株式会社イメージワン(ImageONE Co., Ltd.)

証券コード

2667(東証スタンダード)

業種

卸売業

設立

1984年4月11日

上場

2000年9月(大阪証券取引所ナスダック・ジャパン)→ 2010年10月 JASDAQスタンダード → 2013年7月 東証JASDAQスタンダード → 2022年4月 東証スタンダード

代表取締役社長

川倉 歩(2023年9月29日就任)

資本金

13億6,262万円(2026年6月30日時点。2026年5月26日付の無償減資で30億円台から圧縮)

従業員数

42名(単体、2025年9月30日時点)

本社

東京都品川区大崎1-6-3 大崎ニューシティ3号館6F

決算期

9月

出典: イメージワン公式サイト / 2025年9月期決算短信 / 2026年9月期第3四半期決算短信

沿革 — 画像処理商社から医療×環境の複合企業へ

  • 1984年 — 東京都渋谷区にて画像処理・電子計測機器の輸入商社として設立。その後衛星画像分野へも展開

  • 1992年7月 — 医療用画像診断機器の販売を通じて医療画像分野に参入

  • 2000年 — 「イメージワン」に商号変更し、大阪証券取引所ナスダック・ジャパン市場に上場

  • 2019年 — 太陽光発電(再生可能エネルギー)事業に参入。クラウド型電子カルテ運用も開始。同年以降、営業損益は赤字基調に転じる

  • 2021年 — 慶應義塾大学・創イノベーション株式会社と気体水和物法によるトリチウム分離技術の共同研究を開始。同分野への思惑から株価が急伸する場面もありました(出典: 日本経済新聞 2021年4月15日

  • 2022年4月 — 東証市場再編に伴い東証スタンダード市場へ移行

  • 2024年1月 — 第三者委員会の調査結果を受け、過年度の有価証券報告書を訂正(詳細は後述)

  • 2025年1月 — 鹿児島県霧島市の土地案件などの自主点検を受け、2020年9月期〜2024年9月期の有価証券報告書・四半期報告書を再度訂正

  • 2025年7月 — GFA(8783、同年9月にabcへ商号変更)を割当先とする新株式2,232,100株(約5.0億円)と、Seacastle・GFA向けの第14回新株予約権を発行(8月払込)。GFAは一時18.6%を持つ筆頭株主となるが、9月には6.75%まで売却

  • 2026年3月 — 「ONE Viewer」「ONE Payment」事業をメディカル・トラスト・ソリューションズへ譲渡

  • 2026年5月 — 無償減資と欠損填補の効力が発生(資本金32.99億円→13.63億円、繰越利益剰余金の欠損を約24.8億円分填補)

  • 2026年7月 — 第14回新株予約権の残余を取得・消却。子会社ENERGY SKIN JAPANを設立し、米2nd SKIN LABS(51%)とプリズム・メディカル(100%)を取得。第4四半期から連結決算へ移行予定

通期業績推移(売上高・営業利益・当期純利益)2016年9月期〜2025年9月期

出典:決算短信・有価証券報告書・IR資料よりKabuGraph作成。百万円未満切捨ての短信値を億円に四捨五入、売上成長率は百万円の値から算出。2020〜2024年9月期は2024年1月・2025年1月の訂正有価証券報告書・訂正決算短信の値。2017・2022・2023年9月期は連結、その他は非連結

売上高は2022年9月期の33.0億円(訂正後)をピークに、3期連続で減収が続き2025年9月期には8.7億円まで縮小しました。営業損益は2019年9月期から2025年9月期まで7期連続で赤字です。この間の詳しい背景は「業績推移と財務分析」の章で解説します。

事業を理解する — ヘルスケアソリューションと地球環境ソリューションの2本柱

イメージワンの事業は「ヘルスケアソリューション事業」と「地球環境ソリューション事業」の2セグメントで構成されます。2025年9月期の売上構成比は、ヘルスケアソリューションが約76%、地球環境ソリューションが約24%でした。

セグメント別売上構成比(2025年9月期)

出典:イメージワン 2025年9月期決算短信よりKabuGraph算出(売上高657百万円・209百万円)

セグメント別売上高の推移(2024年9月期→2025年9月期)

出典:イメージワン 2025年9月期決算短信(セグメント情報)よりKabuGraph作成。2024年9月期 481,803千円/1,081,278千円、2025年9月期 657,551千円/209,048千円を億円に四捨五入

ヘルスケアソリューション事業 — PACSと電子カルテ関連システムが主軸

イメージワン ヘルスケアソリューション(メディカルシステム分野)紹介ページ
出典:イメージワン公式サイト メディカルシステム分野

ヘルスケアソリューション事業の中核は、PACS(医療用画像管理システム)、電子カルテに付随する部門システム、RIS(放射線科情報システム)、統合viewer、医療用文書スキャンシステムの継続販売・保守です。統合viewerは患者情報を1画面で俯瞰できるようにすることで、医療従事者の業務効率化を支援します(出典: イメージワン公式サイト)。

新規の取り組みとしては、胸部X線・脳MRI・大腸内視鏡などの医療画像をAIが解析し診断精度・効率の向上を支援する医用画像診断AI「EIRLシリーズ」の販売を本格化。また、PACSに対する定期的なアクセスログ監視・分析により不正な動作を検知するゼロトラスト型エンドポイントセキュリティ製品「APPGuard」の提案も強化し、医療機関の情報セキュリティ対策を支援しています。

シーメンスヘルスケア株式会社との業務提携により、CT装置と生化学・免疫装置を同時搭載した移動型医療ソリューション「Medical-ConneX」の販売にも取り組んでいますが、2023年11月の取扱開始から約2年にわたり販売活動を行ったものの、2025年9月期は販売先の獲得に至らず損失での着地となりました(出典: イメージワン 2025年9月期決算短信)。新規性の高い製品を軌道に乗せることの難しさを示す事例といえます。

2024年10月には、医療経営管理システム「ONE Viewer」(レセプト請求ファイルや財務情報を一元管理する国内初のセキュアクラウド型医療経営管理システムを標榜)と、支払代行サービス「ONE Payment」の販売を開始しました(出典: PR TIMES)。しかし市場への浸透に時間を要し、2025年9月期における収益への貢献は限定的にとどまりました。

このほか、医療機関の給食部門における人件費・食材費高騰への対応策として「冷凍おかずキット」の販売を開始するなど、医療機関の周辺コスト課題に対応する新規商材の開拓も進めています。事業年度業績は売上高657百万円(前期比+36.5%)、セグメント損失63百万円(前期はセグメント損失444百万円)となり、赤字幅は大きく縮小しました。人員配置の見直しや外注費の削減が利益改善に寄与しています(出典: イメージワン 2025年9月期決算短信)。

地球環境ソリューション事業 — GEO(ドローン測量)・エネルギー・原子力産業関連の3分野

地球環境ソリューション事業は「GEOソリューション」「エネルギー」「原子力産業関連」の3分野で構成されます。

① GEOソリューション — Pix4D社製ドローン測量ソフトの国内代理店

イメージワン GEOソリューション分野 — Pix4D社製3次元画像処理ソフトウェアの紹介ページ
出典:イメージワン公式サイト GEOソリューション分野

イメージワンは2012年からスイスPix4D社と代理店契約を締結し、ドローン空撮画像から3次元モデル・オルソモザイク画像などを生成する写真測量ソフトウェア「PIX4D」シリーズの国内販売代理店を務めています(出典: Pix4D公式サイト)。主な取扱製品は以下の通りです。

  • PIX4Dmapper / PIX4Dmatic — ドローン空撮画像から3次元モデル・オルソモザイクを生成する写真測量ソフト。PIX4Dmaticは大量画像の高速処理に対応する次世代版

  • PIX4Dcatch RTK — スマートフォン・タブレットを使ったモバイル3次元計測ソリューション(国交省NETIS登録済み)

従来の取引先である測量・建築業界に加え、土地家屋調査士、文化財発掘調査といった新たな分野へも用途を広げています。建設・土木・測量分野のDX化を背景に導入実績も積み上がっており、地球環境ソリューション事業の中では相対的に安定した収益源です。

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② エネルギー — 太陽光発電所のセカンダリーマーケット取引

2019年に再生可能エネルギー分野へ参入し、稼働実績のある中古太陽光発電所を売買するセカンダリーマーケットで事業を展開しています。既に稼働中の発電所は過去の発電量・売電量データが把握できるため、新設直後に起きがちなトラブルを回避しやすいという特徴があります。2025年9月期は大型の売却案件が発生しなかったため売上・利益とも前期を下回りました。会社側は今後、蓄電所関連市場への新規進出も検討するとしています(出典: イメージワン 2025年9月期決算短信)。

③ 原子力産業関連 — トリチウム分離技術とIAEA関連の耐放射線カメラ

イメージワン トリチウム分離プロジェクト紹介ページ
出典:イメージワン公式サイト トリチウム分離プロジェクト

2021年より、慶應義塾大学理工学部大村研究室および創イノベーション株式会社と共同で、気体水和物(ガスハイドレート)法を用いたトリチウム分離技術の研究を進めています。トリチウム水は通常の水と異なる温度・圧力で水和物化する性質を利用し、低濃度のトリチウム水から大量にトリチウムを分離することを目指すもので、会社側は「ガスハイドレートを利用した世界初の技術」と位置付けています。東京電力HDとは2023年3月にALPS処理水のトリチウム分離に関するフィージビリティスタディ(FS)に向けた秘密保持契約を結び、2025年2月までにFSの報告書を提出済みです。以後は電力会社と質疑応答を重ねながら実証に向けて進めている段階で、商用化のタイムラインは未公表であり、現時点では基礎研究〜実証段階の技術です(出典: イメージワン公式サイト東京電力HD 2023年3月9日、2025年9月期第1四半期・通期決算短信)。

実績としては、高い耐放射線性能と小型・軽量・省エネを特長とするマッハコーポレーション製の耐放射線CMOSセンサーカメラを、国際原子力機関(IAEA)関連のプログラムに供給。2025年9月期は改良を加えたカラー版2台目の納品を完了しました。また、新生福島先端技術振興機構との独占販売代理店契約のもと、短時間で微量のトリチウムを測定できる連続計測器の実証にも取り組んでいます(出典: イメージワン 2025年9月期決算短信)。

地球環境ソリューション事業の2025年9月期業績は売上高209百万円(前期比-80.7%)、セグメント損失14百万円(前期はセグメント損失18百万円)となりました。GEOソリューション分野が事業を下支えした一方、エネルギー分野の大型案件不在が全体を押し下げた格好です。

業績推移と財務分析 — 7期連続赤字と急転直下の下方修正

10年間の業績推移 — 2022年9月期をピークに3期連続の減収

決算期

売上高

営業利益

当期純利益

売上高営業利益率

2016年9月期

1,482百万円

27百万円

10百万円

1.8%

2017年9月期

1,385百万円

-154百万円

-156百万円

-11.1%

2018年9月期

1,653百万円

40百万円

8百万円

2.4%

2019年9月期

1,879百万円

-43百万円

243百万円

-2.3%

2020年9月期

1,979百万円

-452百万円

-777百万円

-22.8%

2021年9月期

2,435百万円

-331百万円

-512百万円

-13.6%

2022年9月期(ピーク)

3,301百万円

-304百万円

-493百万円

-9.2%

2023年9月期

2,975百万円

-681百万円

-643百万円

-22.9%

2024年9月期

1,563百万円

-844百万円

-889百万円

-54.0%

2025年9月期

866百万円

-410百万円

-559百万円

-47.3%

出典:決算短信・有価証券報告書・IR資料よりKabuGraph作成。2020〜2024年9月期は2024年1月・2025年1月の訂正有価証券報告書・訂正決算短信の値。2017・2022・2023年9月期は連結、その他は非連結。売上高営業利益率は百万円の値から算出

売上高は2022年9月期の33.0億円(訂正後)をピークに、2023年9月期以降3期連続の減収。2025年9月期は8.7億円と、ピーク時から74%の急減です。ただし、2022年9月期の急拡大には、第三者委員会が実在性に疑義を指摘した「本蓄電池取引」(再生EVバッテリーのリース・レンタルに関する取引で、バッテリーモジュールの実物が存在しなかった)が関わっており、2024年1月の訂正で同取引に絡む売上1.3億円が取り消されたほか、残る取引も現在は行わない方針で契約解除が進んでいます。つまり、減収の主因は単なる既存事業の不調ではなく、不適切会計に関連する事業の剥落が大きな要因です。営業損益は2019年9月期から2025年9月期まで7期連続の赤字。第三者委員会の調査(2024年1月)と社内の自主点検(2025年1月)の2回にわたり過年度の有価証券報告書が訂正されており(上の表は訂正後の値)、訂正前に開示された数値をそのまま長期トレンドとして比較する際は相応の留保が必要です。

2026年9月期 — わずか9カ月で「最終黒字2.26億円」予想が「最終赤字7.28億円」予想へ

2025年11月14日公表の2025年9月期決算短信で示された2026年9月期の期初予想は、売上高13.77億円(前期比+59.0%)、営業利益0.76億円、当期純利益2.26億円と、増収に加えて7期ぶりの最終黒字転換を見込む内容でした。

しかし、2026年8月12日公表の第3四半期決算短信では、この計画が大きく崩れたことが明らかになりました。

時点

売上高

営業損益

経常損益

純損益

通期予想(期初・2025年11月14日公表)

13.77億円(+59.0%)

+0.76億円

+0.74億円

+2.26億円

第3四半期累計実績(2025年10月〜2026年6月・9カ月間)

4.34億円(前年同期比-41.2%)

-3.86億円

-5.09億円

-3.77億円

通期予想(修正後・2026年8月12日公表)

5.80億円

-7.36億円

-8.60億円

-7.28億円

出典:イメージワン 2025年9月期決算短信(期初予想)、2026年9月期第3四半期決算短信、「営業外費用の計上及び通期業績予想の修正に関するお知らせ」(いずれも2026年8月12日開示)よりKabuGraph作成。第3四半期累計実績は9カ月間の数値であり、通期予想とは期間が異なる点に注意

会社側が挙げる主な減収要因は次の通りで、期初計画で織り込んでいた大型受注が実現しなかったことが業績予想の大幅な下振れにつながりました。

  • ヘルスケアソリューション事業 — 仕入原価の高騰に伴う価格調整等でシステム販売が計画を下回ったこと、電子カルテに関連する大型案件の受注に至らなかったこと

  • 地球環境ソリューション事業 — 測量・建築業界での新規案件獲得の伸び悩み、可視近赤外線分光放射計の新規受注を獲得できなかったこと、IAEA向け耐放射線カメラの改修時期のずれで期内の売上計上が困難になったこと

修正後予想で経常損益が営業損益よりさらに1.24億円悪いのは、第3四半期累計で営業外費用としてアリスタゴラVCイスラエル・テクノロジーL.P.(ファンド)の投資事業組合運用損53,263千円と、2026年6月30日に実行したKaihan Medicalへの貸付金125,000千円(年利15.0%、返済期日2026年9月30日)に対する貸倒引当金繰入額62,500千円を計上したためです。貸し付けた当日の四半期末で早くも半額に引当を積んでおり、回収可能性には注意が要ります(出典: 2026年8月12日「営業外費用の計上及び通期業績予想の修正に関するお知らせ」)。

財務基盤 — 累積損失38.8億円が資本金・資本剰余金46.7億円を侵食し、2026年5月に減資で填補

項目(2025年9月30日時点)

金額

総資産

1,392百万円(前期末比-11.3%)

純資産合計

717百万円(前期末比-2.4%)

自己資本比率

48.9%(前期末46.9%)

1株当たり純資産(BPS)

52.56円

資本金+資本剰余金

約4,668百万円

繰越利益剰余金(累積損失)

-3,880百万円

現金及び現金同等物

562百万円

営業活動によるキャッシュ・フロー

-447百万円

財務活動によるキャッシュ・フロー

+517百万円(うち株式発行による収入495百万円)

出典:イメージワン 2025年9月期決算短信(貸借対照表・キャッシュ・フロー計算書)よりKabuGraph作成。百万円未満切捨て

自己資本比率48.9%という数字だけを見ると健全に映りますが、この数値には注意が必要です。自己資本比率の分子である純資産は、「資本調達の総額」から「累積損失」を差し引いた残高に過ぎず、事業が稼いだ利益の蓄積ではありません。過去の増資等で積み上がった資本金・資本剰余金は合計約46.7億円に達する一方、累積損失(繰越利益剰余金のマイナス)は38.8億円。純資産717百万円という数字は、繰り返しの増資による資本注入と7期連続の営業赤字による損失が同時に積み上がった結果の「差引残高」であり、収益力に裏付けられた自己資本ではありません。営業活動によるキャッシュ・フローは447百万円のマイナスで、それを補ったのは株式発行による495百万円の資金調達でした。つまり現時点では増資なしには事業を継続できない財務構造です。

2026年5月の無償減資で累積損失を帳簿上は圧縮

この累積損失に対し、会社は2025年12月の定時株主総会で無償減資と欠損填補を決議しました。債権者保護手続(官報公告)の不備で当初予定の2026年2月1日から延期され、2026年5月26日に効力が発生しています。資本金1,936百万円と資本準備金548百万円を取り崩し、合計2,484百万円(約24.8億円)を繰越利益剰余金に振り替えたため、2026年6月末の貸借対照表は次のように変わりました。

項目

2025年9月30日

2026年6月30日(減資後)

資本金

3,027百万円

1,362百万円

資本剰余金

1,640百万円

1,362百万円

繰越利益剰余金

-3,880百万円

-1,772百万円

純資産合計

717百万円

895百万円

自己資本比率

48.9%

54.0%

発行済株式数

13,035,700株

15,191,900株

出典:イメージワン 2026年9月期第3四半期決算短信(四半期貸借対照表・株主資本の金額に著しい変動があった場合の注記)よりKabuGraph作成。百万円未満切捨て。2026年6月末の資本金・資本剰余金には減資前の第14回新株予約権行使分(各270百万円)が含まれる

払戻を伴わない無償減資なので、株数や純資産は変わりません。純資産が717百万円から895百万円へ増えたのは減資の効果ではなく、第14回新株予約権の行使で資本金・資本剰余金が計5.4億円増え、第3四半期累計の純損失3.77億円を上回ったためです。繰越利益剰余金の-17.7億円という数字は、累積損失の経済実態が消えたのではなく、資本金の一部と相殺して見えなくなっただけと読むべきものです。会社は減資の目的に税負担の軽減と「今後の株主還元を含む資本政策の機動性の確保」を挙げていますが、営業赤字が続く限り配当原資は生まれません(出典: 2025年11月21日「資本金及び資本準備金の額の減少並びに剰余金の処分に関するお知らせ」、2026年4月23日 同経過開示)。

abc(旧GFA、8783)・Seacastleへの第三者割当と希薄化リスク

イメージワンは2025年の資金調達を、GFA株式会社(8783、2025年9月1日にabc株式会社へ商号変更)と、GFAの紹介で割当先となったシンガポールの投資家Seacastle Singapore Pte. Ltd.(海運・ファイナンス業)への第三者割当(新株式・新株予約権)に頼りました。GFAとは2025年5月30日に業務提携契約に関する基本合意書も締結しています(出典: 日経会社情報DIGITAL)。

2025年7月17日決議(8月4日払込)の第三者割当では、GFA向けに新株式2,232,100株(1株224円、499,990,400円)を発行し、2025年9月期の「株式の発行による収入495百万円」はこの手取りです。同時にSeacastle(70,564個)とGFA(30,241個)へ第14回新株予約権100,805個(潜在株式10,080,500株、行使価額1株につき248円固定・下方修正条項なし)を発行しており、新株式と合わせた最大希薄化率113.97%という数値が開示されています(出典: イメージワン「第三者割当による新株式及び第14回新株予約権の発行、並びに主要株主及び主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせ」2025年7月17日)。

第14回は2026年1〜3月に21,562個(2,156,200株、約5.3億円)が行使され、発行済株式数は13,035,700株から15,191,900株へ16.5%増加しました。しかし株価が行使価額を大きく下回って行使が止まり、2026年6月25日に残る79,243個を7月31日付で取得・消却すると発表。この予約権からの直接的な希薄化リスクは解消されましたが、2026年7月30日には当社および子会社の役員9名向けに有償ストック・オプション(第15回新株予約権、7,595個・759,500株、行使価額113円)を新たに発行しています(出典: 2026年9月期第2四半期・第3四半期決算短信、2026年6月25日・7月30日開示)。

なお、GFAの持株比率については「約34%」という数字が出回っていますが、これは第14回を全部行使した場合の募集後の持株比率(33.86%)で、実際の保有はもっと小さく、しかも短期間で減っています。

時点

GFA/abcの保有株式数(持株比率)

備考

2025年3月31日

1.68%

第三者割当の募集前

2025年8月4日

2,413,900株(18.62%)

新株式の払込で筆頭株主・主要株主に

2025年9月5日

874,600株(6.75%)

1カ月で約154万株を売却し、主要株主から外れる(abcへ商号変更後)

2025年9月30日

1,113,700株(8.6%)

株主名簿上は筆頭株主

出典:イメージワン 2025年7月17日開示(募集前後の大株主)、2025年9月5日「主要株主及び主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせ」、株式関連情報(2025年9月30日時点の大株主)よりKabuGraph作成。持株比率は各開示の基準(総株主の議決権または発行済株式総数)による

過去の不適切会計と課徴金6,507万円

イメージワンでは、元代表取締役と元取締役の2名が在任中に、子会社の新規事業参入に関連して第三者に不正に金品を供与した疑いや、これに関連する不正行為の疑いが浮上。外部専門家で構成される第三者委員会が調査を実施した結果、元代表取締役による不適切な金銭授受、利益相反取引規制を潜脱するような行為、売上計上・資産評価に関する不適切な会計処理の事実が判明し、2024年1月31日に過年度の有価証券報告書を訂正しました(出典: イメージワン 2025年9月期決算短信)。さらに2025年1月31日には、鹿児島県霧島市の建物付き土地の減損計上時期や本社等の敷金の減損、仕掛販売用不動産の評価損の計上時期に関する社内の自主点検の結果を受け、2020年9月期〜2024年9月期の有価証券報告書・四半期報告書を再度訂正しています。2024年9月期の当期純損失は当初開示の994百万円から889百万円へ、2020年9月期は601百万円から777百万円へ修正されました(出典: 2025年1月31日「過年度の有価証券報告書等の訂正報告書の提出に関するお知らせ」)。

この問題を受け、証券取引等監視委員会は2025年3月28日、土地の回収可能価額を実際より高く算定し減損損失を計上していなかったことなどを理由に、金融商品取引法の開示規制違反として課徴金6,507万円の納付命令を金融庁に勧告。金融庁は同年5月21日付でこれを正式に決定し、22日に公表しました(出典: 日本経済新聞金融庁)。イメージワンはこの課徴金相当額を特別損失として計上したほか、2024年10月には東京証券取引所へ改善状況報告書を提出し、管理体制の強化を進めています。

本蓄電池取引をめぐる訴訟10件・請求総額約7.6億円

この取引をめぐっては、バッテリーモジュールのレンタル契約の相手方などから損害賠償等を求める訴訟が相次いでいます。2026年9月期第3四半期決算短信に記載された係争は10件、請求総額は約7.64億円(遅延損害金を除く)で、2026年6月末の純資産8.95億円に対して無視できない規模です。会社はいずれも「バッテリーモジュールのレンタルを受けた立場」として責任を争う方針ですが、業績への影響は「現時点では予測することは困難」としています。

原告

提訴日

請求額(千円)

ワンダーランド

2024年9月12日

20,680

ケイ・アイ・シー

2024年10月21日

49,852

WEBLA

2024年12月23日

294,671

日本粉末薬品

2025年1月14日

53,900

城北ヤクルト販売

2025年2月5日

182,704

Y・Aホールディングス

2025年3月28日

62,315

Tree Island・BWFt

2025年8月28日

25,894

ステイワン

2025年9月2日

22,660(不当利得返還等)

中村機材

2025年9月18日

7,040(レンタル料)

波多野泰三・arma bianca

2025年12月16日

44,000

合計(10件)

763,716

出典:イメージワン 2026年9月期第3四半期決算短信(追加情報「係争事件の発生」)よりKabuGraph作成。請求額は遅延損害金を除く。多くの訴訟はバッテリーモジュールの販売業者や当時の当社代表取締役らとの共同被告

このほか、2024年9月にプロスパーアセットから提起されていた動産引渡等請求事件(最終的な請求額2,407万9,000円)は、2026年6月25日に解決金900万円を支払う和解が成立し、第3四半期に和解金9,000千円を特別損失に計上しました(出典: 2026年6月29日「和解による訴訟の解決および特別損失計上に関するお知らせ」)。

株価指標(2026年8月28日時点)

指標

株価

101円

時価総額

約15.3億円(発行済株式数約1,519万株ベース)

PER(株価収益率)

—(赤字のため算出不可)

PBR(株価純資産倍率)

1.92倍(2025年9月期末BPS 52.56円基準。2026年6月末BPS 56.8円なら1.78倍)

EPS(1株当たり利益、2025年9月期実績)

-50.46円

ROE(自己資本当期純利益率)

-78%程度(赤字)

自己資本比率

48.9%(2025年9月期末)

配当利回り

0%(無配)

年初来高値/安値

348円(2026/1/21)/98円(2026/8/25)付近

出典:東証株価・決算短信よりKabuGraph算出(2026年8月28日時点)。年初来高安はYahoo!ファイナンスを参考に記載。EPS・BPSは2025年9月期決算短信の実績値、発行済株式数は2026年9月期第3四半期決算短信(15,191,900株)

株価は年初来高値348円(2026年1月)から年初来安値付近まで7割超下落しており、下方修正が発表された2026年8月12日前後に大きく売り込まれた形です。赤字企業のためPERは算出できず、ROEも大幅なマイナスにとどまっています。配当は無配が続いており、株主優待制度もありません。

投資家が注目すべきポイント

強み・注目点

1. PIX4D正規代理店として築いたドローン測量ソフト市場での事業基盤

2012年からPix4D社製品の国内販売代理店を務め、PIX4Dmapper・PIX4Dmaticなどが建設・測量業界で堅調な販売実績を継続しています。地球環境ソリューション事業の売上が前期比80.7%減となる中でも、GEOソリューション分野は相対的に踏みとどまっており、測量士・文化財発掘調査など新たな顧客層の開拓も進めています。

2. IAEA関連事業にもつながるトリチウム分離技術という独自の研究テーマ

慶應義塾大学・創イノベーションと共同開発する気体水和物法によるトリチウム分離技術は、福島第一原発のALPS処理水や世界の原子力施設が抱える長期課題に関わるテーマです。IAEA関連プログラム向けの耐放射線カメラ供給実績もあり、実証段階ながら将来の事業化余地を持っています。

3. 不採算事業の売却とガバナンス体制の立て直しを実行中

2026年3月にはONE Viewer・ONE Payment事業をメディカル・トラスト・ソリューションズへ譲渡し、経営資源の選択と集中を進めています。過去の不適切会計を踏まえ、東京証券取引所への改善状況報告書提出など管理体制の強化にも着手しており、問題を放置せず対応する姿勢自体は評価できるポイントです。

注意すべきリスク

1. 7期連続の営業赤字と、資本金を上回る累積損失

2019年9月期以降、2025年9月期まで7期連続で営業損失を計上。繰越利益剰余金は2025年9月末で-38.8億円に達し、資本金・資本剰余金の合計46.7億円の大半を食い潰した状態でした。2026年5月の無償減資で帳簿上は-17.7億円まで圧縮されましたが、純資産は変わらず、累積損失の実態が消えたわけではありません。会社自身が決算短信で「継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象や状況が存在している」と認めており、今後も同様の状況が続くかどうか、決算発表のたびに確認する必要があります。

2. わずか9カ月で黒字予想から7.28億円の赤字予想へ転落

2026年9月期は当初、増収増益・最終黒字2.26億円を計画していましたが、2026年8月公表の第3四半期決算で売上高が前年同期比41.2%減と大幅未達となり、通期予想は最終赤字7.28億円へ下方修正されました。業績予想の信頼性そのものに注意が必要で、会社発表を鵜呑みにせず、四半期進捗をこまめに確認する慎重さが求められます。

3. 第三者割当による希薄化リスクと過去の会計不正・課徴金・訴訟

2025年はabc(旧GFA、8783)とSeacastleへの第三者割当(新株式・第14回新株予約権)で資金を調達し、最大希薄化率113.97%が開示されました。第14回は一部行使で発行済株式数が16.5%増えた後に消却されましたが、会社はエクイティファイナンスを資金調達の柱に据え続けており、株価が回復すれば同様の第三者割当で既存株主の持分が大きく希薄化する可能性があります。また、元代表取締役らによる不適切な会計処理が発覚し、2025年に金融庁から課徴金6,507万円の納付命令を受けたほか、本蓄電池取引をめぐる訴訟10件(請求総額約7.6億円)を抱えている点も、ガバナンス・財務面のリスクとして無視できません。

4. 特定の大型案件に依存する業績のブレやすさ

太陽光発電所のセカンダリーマーケット事業は大型売却案件の有無で、電子カルテ関連システムは大型受注の有無で、それぞれ業績が大きく振れます。安定した経常収益基盤が確立されていないことは、株価のボラティリティにも直結します。

5. 小型株特有の流動性・思惑リスク

時価総額は約15億円規模と小さく、トリチウム分離などのテーマ性から材料が出た際に株価が急騰・急落しやすい銘柄です。2021年には思惑からストップ高となった実績もあり、ファンダメンタルズと乖離した値動きが起こり得る点には注意が必要です。

6. 継続企業の疑義を抱えたまま進める投資・貸付

2026年5〜7月には新規の投資・貸付が相次ぎました。米2nd SKIN LABS(機能性テキスタイル、2025年12月期は売上53,748米ドル・純損失322,547米ドルの赤字企業)の51%取得に1.80億円、PACS開発元プリズム・メディカルの100%取得(取得価額は非開示)、AI Data Partnersの共同設立、Kaihan Medicalへの1.25億円貸付(年利15%)などです。貸付金は実行と同時に半額の貸倒引当金を積む結果となり、手元資金の使い方が本業の立て直しに結びつくかは今後の決算で確認が必要です。連結決算への移行で赤字子会社の損益も取り込まれます(出典: 2026年9月期第3四半期決算短信、2026年6月26日・6月30日・7月14日開示)。

まとめ

イメージワン(2667)は、医療画像システム(PACS・電子カルテ関連)とドローン測量ソフト(PIX4D)・太陽光発電・トリチウム分離技術という、事業領域の異なる複数のビジネスを抱える複合企業です。

投資の観点からのポイントを整理すると、以下の通りです。

  • 事業の特徴: PIX4D正規代理店としての測量ソフト事業と、IAEA関連にもつながるトリチウム分離技術という独自テーマを持つ一方、電子カルテ関連システムと太陽光発電のセカンダリーマーケットは大型案件依存で業績が振れやすい

  • 業績: 2019年9月期から7期連続の営業赤字。2026年9月期は期初の黒字予想(+2.26億円)から一転、最終赤字7.28億円への下方修正となり、予想の信頼性に課題を残す

  • 財務・ガバナンス: 累積損失38.8億円(2025年9月末。2026年5月の減資で帳簿上は17.7億円に圧縮)、資金調達はabc(旧GFA)・Seacastle向けの第三者割当に頼り希薄化リスクが継続。本蓄電池取引をめぐる訴訟10件(請求約7.6億円)を抱え、過去には元代表取締役らによる不適切会計が発覚し課徴金6,507万円の納付命令を受けている

  • 総括: 独自技術・ニッチな事業基盤を持つものの、収益基盤は依然として脆弱で不確実性が高い「ハイリスク」な銘柄。投資する場合は、決算・適時開示を継続的にウォッチする前提での小さなポジションにとどめるなど、相応の注意が必要

医療DXやインフラ点検のドローン活用、原子力関連の廃炉技術は、いずれも社会的に意義のあるテーマです。しかし、イメージワンはテーマの魅力と裏腹に、7期連続赤字・大幅な下方修正・希薄化リスク・過去のガバナンス問題という複数の懸念が重なっている企業です。事業再建・ガバナンス強化の進捗を、決算発表や適時開示のたびに丁寧に確認しながら判断する必要がある銘柄といえるでしょう。


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イメージ ワン

イメージ・ワンは、医療と環境分野のソリューション企業です。医療領域ではPACS(医療画像管理システム)、電子カルテONE Viewer、決済代行ONE Paymentなどの医療システムを提供。PCR検査キットやマスクなど検査・防護用品も展開…

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。記事中の数値は2026年8月28日時点の情報に基づいています。

コラム著者・編集者

K

KabuGraph編集部

KabuGraph編集部は、投資情報の発信と株式分析ツールの開発に携わるチームです。日本株・米国株の事業分析から、投資に役立つ情報をわかりやすくお届けします。

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