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サイバーセキュリティクラウド(4493)の企業分析|攻撃遮断くん・WafCharmで拡大するWebセキュリティ市場の成長戦略

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サイバーセキュリティクラウド(4493)は、クラウド型WAF「攻撃遮断くん」やWAF自動運用「WafCharm」を中核に、Webアプリケーション領域のセキュリティサービスを展開する日本発のサイバーセキュリティ企業です。

2025年12月期は売上高50.8億円(前期比+31.8%)、営業利益11億円(同+42.5%)と大幅な増収増益を達成。ARR(年間経常収益)は約50億円に到達し、全プロダクトが順調に成長しています。2026年12月期は売上高60億円(同+18.0%)、営業利益12億円(同+8.9%)を会社予想として掲げ、さらなる成長を見込んでいます。

この記事では、サイバーセキュリティクラウドの主力プロダクトの強み、業績推移、中期経営計画(2030年売上高200億円目標)、投資判断のポイントを、個人投資家の視点からわかりやすく解説します。

会社概要 — Webセキュリティに特化した国産サイバーセキュリティメーカー

サイバーセキュリティクラウドは、2010年に設立されたWebアプリケーション向けセキュリティサービスの専業企業です。「世界中の人々が安心安全に使えるサイバー空間を創造する」という企業理念のもと、攻撃遮断くん、WafCharm、CloudFastener、SIDfmなど複数のセキュリティプロダクトを開発・提供しています。

項目

内容

会社名

株式会社サイバーセキュリティクラウド(Cyber Security Cloud, Inc.)

証券コード

4493(東証グロース)

設立

2010年8月

上場

2020年3月(東証マザーズ)→ 2022年4月 東証グロース

代表取締役

小池 敏弘(代表取締役社長 兼 CEO)、渡辺 洋司(代表取締役 CTO)

従業員数

189名(2026年1月末時点)

本社

東京都品川区上大崎3-1-1 JR東急目黒ビル13階

セクター

情報・通信業

出典:サイバーセキュリティクラウド コーポレートサイト

「WAF屋」から「セキュリティプラットフォーマー」への進化

同社の特徴は、単一製品に依存せず、Webセキュリティの上流から下流まで複数プロダクトを展開している点にあります。創業時のクラウド型WAF「攻撃遮断くん」を起点に、AWS WAF自動運用の「WafCharm」、フルマネージドセキュリティの「CloudFastener」、脆弱性管理の「SIDfm」と、顧客のセキュリティニーズを広くカバーする体制を構築してきました。

  • 2010年 — 創業。Webセキュリティ事業を開始

  • 2013年 — クラウド型WAF「攻撃遮断くん」を提供開始

  • 2019年 — WAF自動運用サービス「WafCharm」を提供開始、AWS WAFの運用課題を解決

  • 2020年3月 — 東証マザーズに上場

  • 2022年 — フルマネージドセキュリティ「CloudFastener」を提供開始

  • 2025年 — DataSign社を連結子会社化しプライバシーテック領域に進出、SIDfm事業を取得

通期業績推移(売上高・営業利益・営業利益率)

出典:決算短信よりKabuGraph作成。2026/12期は会社予想(2026年5月15日開示)

4つの主力プロダクトを理解する

サイバーセキュリティクラウドは、Webアプリケーションのセキュリティを多角的にカバーする4つの主力プロダクトを展開しています。約7,000社の顧客基盤に対し、プロダクト間のクロスセルで顧客単価を引き上げる戦略が成長の柱です。

① 攻撃遮断くん — クラウド型WAFのパイオニア

攻撃遮断くん公式サイト — クラウド型WAFサービス
出典:攻撃遮断くん公式サイト

攻撃遮断くんは、Webサイトへのサイバー攻撃をクラウド上で遮断するWAF(Web Application Firewall)サービスです。SQLインジェクション、クロスサイトスクリプティング、DDoS攻撃など多様な脅威に対応し、月額1万円から導入できる手軽さが中小企業にも支持されています。

  • 導入サイト数20,000以上、クラウド型WAF国内売上シェアNo.1を2年連続獲得(富士キメラ総研調べ

  • 継続率約99%と極めて高い顧客ロイヤルティ

  • DNS切替型とエージェント型の2つの導入方式で、既存環境を変更せずに導入可能

② WafCharm — AWS/Azure/Google Cloud WAFの自動運用

WafCharm公式サイト — WAF自動運用サービス
出典:WafCharm公式サイト

WafCharmは、AWS WAF・Azure WAF・Google Cloud WAFのルールをAIで自動最適化するSaaSです。パブリッククラウド上でWebサービスを運用する企業にとって、WAFのルール設定は専門知識が必要な負担の大きい作業ですが、WafCharmはこれを自動化し、初期構築・ルールカスタマイズを無料で提供しています。

  • WAF運用監視サービスで国内売上シェアNo.1(ITR Market View:ゲートウェイ・セキュリティ対策型SOCサービス市場2025)

  • AWS Marketplaceで世界8社のみのマネージドルールセラーに認定(CSC Managed Rules for AWS WAF)

  • JTBなど大手企業の導入実績を持ち、2025年12月期は過去最高の新規受注金額を記録

③ CloudFastener — フルマネージドクラウドセキュリティ

CloudFastener公式サイト — フルマネージドセキュリティサービス
出典:CloudFastener公式サイト

CloudFastenerは、AWS・Azure・Google Cloudに対応したフルマネージドセキュリティサービスです。脅威検知、脆弱性管理、データ保護、証跡監査、コンプライアンス対応を、AI×セキュリティ専門家が伴走して支援します。

攻撃遮断くんやWafCharmが「防御の自動化」を担うのに対し、CloudFastenerは「セキュリティ運用そのものをアウトソーシングしたい」大企業向けの高単価サービスです。ハウス食品やJTBなど大手企業からの受注が増加しており、ARR成長への貢献が最も大きいプロダクトとなっています。

④ SIDfm — 脆弱性情報の収集・管理ツール

SIDfm公式サイト — 脆弱性情報収集・管理ツール
出典:SIDfm公式サイト

SIDfmは、世界中の脆弱性情報を日本語でわかりやすく提供し、自社環境への影響を評価・管理できるツールです。脆弱性情報の配信サービスシェアNo.1を獲得しており(日本マーケティングリサーチ機構調べ)、セキュリティ運用の入口として他プロダクトへの導線機能も果たしています。

これら4プロダクトに加え、2025年に連結子会社化したDataSign社のプライバシーテック製品「webtru」や、グループ会社が展開するAIガバナンスプラットフォーム「AI MONBAN」、LLMトラフィック解析ツール「AI Optimeter」など、AIセキュリティ領域への展開も進めています。

Cloudflareなどグローバル大手との違い

WAF市場にはCloudflare・Akamai・AWS WAFといったグローバル大手がひしめきます。同社の4プロダクトがこれらとどう違うのか、ポジショニングを整理します。

比較項目

サイバーセキュリティクラウド

Cloudflare WAF

AWS WAF

導入方式

DNS切替型・エージェント型(攻撃遮断くん)、既存WAFの自動運用(WafCharm)

DNSをCloudflareに変更しプロキシ経由(リバースプロキシ型)

AWS環境にネイティブ統合、ルールは自前で管理

主な強み

日本語UI・日本語サポート、AIによるルール自動最適化、マルチクラウド対応

CDN・DDoS防御・DNS・Zero Trustを統合したオールインワン、グローバル320+拠点

AWSサービスとのネイティブ統合、従量課金で小規模から始めやすい

主な顧客層

日本の中堅・中小企業、AWS/Azure/GCP利用企業(WafCharm経由)

グローバル企業、スタートアップから大企業まで(無料プランあり)

AWSユーザー全般

ルール運用

AI(Cyhorus)が攻撃傾向を分析し自動チューニング、誤検知対応も代行

Cloudflare管理のマネージドルールセット+カスタムルール

自社でルールを設定・運用(マネージドルールはAWS提供もあり)

日本の規制対応

ISMAP登録済み、24時間365日の日本語監視センター

日本リージョンあり、日本語ドキュメントは限定的

東京・大阪リージョン、日本語サポートあり

出典:各社公式サイト・製品ドキュメントよりKabuGraph作成(2026年9月時点)

まとめると、Cloudflareが「CDN+セキュリティの統合プラットフォーム」として全トラフィックを自社ネットワークに引き込むのに対し、サイバーセキュリティクラウドは「既存インフラに手を入れずにWAFを強化する」アプローチです。Cloudflareへの全面移行はDNS変更やSSL証明書の管理移譲を伴うため、社内承認のハードルが高い日本の中堅企業にとって、攻撃遮断くんやWafCharmの「今の環境のまま守れる」導入のしやすさは実務上の大きな差別化になっています。

業績推移と財務分析

売上高は5年で4.3倍に拡大

サイバーセキュリティクラウドの売上高は、2020年12月期の11.9億円から2025年12月期の50.8億円へと5年間で約4.3倍に成長しました。2025年12月期は前期比+31.8%の増収で、直近3期の売上成長率はいずれも25%以上を維持しています。

決算期

売上高

営業利益

純利益

EPS

配当

2020/12

11.9億円

1.9億円

1.3億円

14.60円

0円

2021/12

18.2億円

3.0億円

1.7億円

18.17円

0円

2022/12

22.8億円

3.9億円

3.1億円

32.61円

0円

2023/12

30.6億円

5.5億円

4.3億円

45.28円

0円

2024/12

38.6億円

7.7億円

5.8億円

62.36円

3円

2025/12

50.8億円

11.0億円

8.2億円

81.84円

5円

2026/12(予)

60.0億円

12.0億円

8.7億円

84.41円

6円

出典:決算短信よりKabuGraph作成。2026/12期は会社予想(2026年5月15日開示)

利益率の改善が続く

営業利益率は2020年12月期の15.7%から2025年12月期には21.7%まで改善しました。SaaS型のストック収益が積み上がり、売上の増加に対して限界費用が低い構造が利益率を押し上げています。ROEは18.6%(2026年9月時点、東証株価・決算短信よりKabuGraph算出)と資本効率も良好です。

純利益・EPS推移

出典:決算短信よりKabuGraph作成。2026/12期は会社予想(2026年5月15日開示)

ARRは約50億円に到達

SaaS企業の成長を測る重要指標であるARR(年間経常収益)は、2025年12月期末で約49.97億円(前期比+22%)に到達しました。ARR1,000万円以上の大口顧客は48社と4年間で3倍以上に増加しており、高単価顧客へのシフトが進んでいます。

2024年12月期から初めて配当を開始(1株3円)し、2025年12月期は5円、2026年12月期は6円(予想)と3期連続の増配を見込んでいます。今後は自社株買いの検討も示唆されています。

投資家が注目すべきポイント

成長ドライバー

1. サイバー対処能力強化法による市場拡大

2025年に成立した「能動的サイバー防御」に関する法律(サイバー対処能力強化法)により、重要インフラ事業者にサイバーセキュリティ対策が法的に義務付けられる方向です。これにより、官公庁・大企業のセキュリティ予算が構造的に増加する見込みで、国産セキュリティベンダーである同社には追い風です。

2. AI時代のWebアプリケーション急増

生成AIの普及により、Webアプリケーションの開発スピードが加速し、防御対象が急速に拡大しています。同社はこの領域で「AI MONBAN」(AIガバナンスプラットフォーム)や「AI Optimeter」(LLMトラフィック解析)など、AIセキュリティ分野への先行投資を進めています。

3. 中期経営計画 — 2030年売上高200億円

2025年12月期決算で発表された中期経営計画では、2030年に売上高200億円・営業利益40億円・営業利益率20%を目標として掲げています(2026年2月13日開示の決算説明資料より)。実現にはプロダクト拡充、大口顧客500社以上への拡大、M&Aが柱となります。2025年12月期の売上高50.8億円から4年で4倍という野心的な目標です。

4. プライム市場への移行

同社は2026〜2027年でのプライム市場基準クリアを目指しています。プライム市場への移行が実現すれば、機関投資家の投資対象に入りやすくなり、流動性と企業価値の向上が期待できます。

投資リスク

1. グローバル大手との競合

WAF市場はCloudflare、Akamai、AWS Shield、Impervaなどグローバル大手がひしめく領域です。Cloudflareは無料プランから始められるCDN統合型セキュリティで世界シェアを拡大しており、日本市場でも大企業を中心に浸透が進んでいます。同社の攻撃遮断くんは「日本語対応・DNS変更不要・ISMAP登録」で中堅以下の国内企業に食い込んでいますが、Cloudflareが日本語サポートや国内規制対応を本格的に強化した場合、差別化の余地が狭まるリスクがあります。一方、WafCharmはAWS WAFなどの「運用支援」という独自の立ち位置にあり、直接の競合が少ない点は強みです。

2. 売上成長率の鈍化

2026年12月期の会社予想は売上高+18.0%と、2025年12月期の+31.8%から成長率がやや鈍化する見通しです。中計ではM&Aを含む成長を想定していますが、オーガニック成長のみでの200億円達成は難しく、M&Aの巧拙が問われます

3. 時価総額の小ささと流動性

時価総額188億円(2026年9月時点)とグロース市場の中でも小型で、流動性が限られます。機関投資家が参入しにくい規模であり、株価のボラティリティが高くなりがちです。

指標

株価

1,807円

時価総額

188億円

PER(株価収益率)

22.1倍

PBR(株価純資産倍率)

4.20倍

配当利回り

0.28%

ROE(自己資本利益率)

18.6%

出典:東証株価・決算短信よりKabuGraph算出(2026年9月時点)

まとめ

サイバーセキュリティクラウドは、Webセキュリティに特化した国産SaaS企業として、攻撃遮断くん・WafCharm・CloudFastener・SIDfmの4プロダクトを武器に高成長を続けている銘柄です。

  • 売上高は5年で4.3倍、営業利益率は21.7%まで改善(2025年12月期)

  • クラウド型WAFで国内シェアNo.1、継続率99%の強固な顧客基盤

  • 中計で2030年売上高200億円を目標、M&Aとプロダクト拡充で成長加速を狙う

  • サイバー対処能力強化法やAI普及により、構造的な市場拡大が追い風

一方で、グローバル大手との競合、成長率の鈍化リスク、小型株ゆえの流動性の課題もあります。投資判断にあたっては、四半期ごとのARR成長率と大口顧客数の推移を注視し、中計の進捗を確認していくことが重要です。


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Webアプリケーション向けサイバーセキュリティサービスを提供する日本発のセキュリティメーカー。クラウド型WAF「攻撃遮断くん」とAWS・Azure・Google Cloud対応のWAF自動運用サービス「WafCharm」を主力とする。AIと…

コラム著者・編集者

K

KabuGraph編集部

KabuGraph編集部は、投資情報の発信と株式分析ツールの開発に携わるチームです。日本株・米国株の事業分析から、投資に役立つ情報をわかりやすくお届けします。

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