サーバーワークス(4434)の企業分析|AWS導入1,600社超の実績とAnthropicリセラー契約で描く生成AI時代の成長戦略

サーバーワークス(4434)は、AWS(Amazon Web Services)に特化したクラウドインテグレーターです。AWSの導入実績は1,600社を超え(2026年8月時点)、国内トップクラスの実績を持ちます。
2026年2月期は売上高400億円(前期比+12.0%)と過去最高を更新しました。一方で、大型のシステム構築案件で採算が悪化し(子会社G-genと本体の両方)、のれんの一括償却も重なって純損益は6億円の赤字に転落しました。2027年2月期は上期(2026年3〜8月)に営業利益9.2億円と前年同期の約10倍に回復し、会社は10月15日に通期予想を売上高520億円・営業利益16.7億円へ引き上げました。ただし、この回復には円安とクラウド事業者からの支援金の上乗せも含まれます。Anthropic(Claude開発元)とのリセラー契約やAWS AIコンピテンシー認定の取得など、生成AI時代への布石も進めています。
この記事では、サーバーワークスのAWS専業ビジネスモデルの仕組み、3つの収益源、業績推移と赤字要因、生成AI戦略、投資判断のポイントを、個人投資家の視点から解説します。
この記事の内容(目次)
会社概要 — クラウド黎明期からAWS一筋のパイオニア
サーバーワークスは、「クラウドで、世界をもっと、はたらきやすく」をビジョンに掲げ、日本企業のクラウド移行を一貫して支援してきた企業です。AWSの日本法人が設立される以前の2008年からAWS導入支援を開始し、クラウド黎明期から専業で事業を展開してきた先駆者です。
項目 | 内容 |
|---|---|
会社名 | 株式会社サーバーワークス(Serverworks Co., Ltd.) |
証券コード | 4434(東証スタンダード) |
設立 | 2000年2月(有限会社ウェブ専科として設立、2002年に現社名へ変更) |
上場 | 2019年3月 東証マザーズに上場 → 2021年1月 東証一部 → 2022年4月 プライム → 2023年10月 スタンダードへ移行(東証の規則改正にともない選択) |
代表取締役社長 | 大石 良 |
従業員数 | 556名(連結、2026年8月末時点) |
本社 | 東京都新宿区揚場町 |
セクター | 情報・通信業(情報通信・サービスその他) |
AWSとともに歩んだ18年
サーバーワークスの歴史は、日本のAWS普及の歴史そのものです。
2008年 — AWSジャパン設立前からAWS導入支援を開始。国内クラウド市場の黎明期にいち早く参入
2014年 — 日本初のAPN(AWS Partner Network)マネージドサービスプロバイダー コンピテンシーを取得。同年、プレミアコンサルティングパートナーに選定
2019年 — 東証マザーズに上場(2021年に東証一部、2022年にプライムへ)
2021年 — Google Cloud事業に進出。合弁会社G-genを設立し、マルチクラウド対応を開始
2023年 — AWSと戦略的協業契約(SCA)を締結。4年間で2.15億ドルの新規ビジネスを生み出すのが目標。10月にスタンダード市場へ移行
2025年 — 運用専門子会社スマートオペレーションズを設立(3月、新潟市)
2026年 — Anthropic(Claude開発元)とリセラー契約を締結(2月)。初の海外現地法人をタイに設立すると決定(7月)
2014年11月から、AWSのパートナーの最上位「プレミアティア サービスパートナー」に継続して認定されています。国内のプレミアティアは15社(2024年3月時点)で、クラスメソッドやアイレット(KDDI傘下)などのクラウド専業と、大手SIerが名を連ねます。
3つの収益源を理解する — リセール・CI・MSP
サーバーワークスの事業は、リセール(再販売)、クラウドインテグレーション(CI)、MSP(マネージドサービス)の3つの収益源で構成されています。リセールが売上の約90%を占めますが、利益貢献ではCI・MSPが重要な役割を果たしています。
① リセール事業 — 売上の約90%を占めるストック型の中核事業
AWSの利用料金を顧客に代わって一括管理・支払いし、マージンを得るビジネスです。顧客がAWSを使い続ける限り毎月課金が発生するストック型の収益構造であり、安定性が高いのが特徴です。
請求代行の価値:企業はAWSの複雑な従量課金体系をサーバーワークス経由で一本化できる。日本円での請求・為替リスクの軽減・ガバナンス強化がメリット
フライホイール構造:リセールで継続関係を持つ顧客にCI・MSPを提供し、利用拡大がリセール売上増につながる正の循環
利益率は低い:リセールのマージンは数%程度と薄いが、CIやMSPと組み合わせることで顧客あたりの収益性(LTV)を高めるモデル

② クラウドインテグレーション(CI)事業 — 利益率の高い導入支援
企業のオンプレミス環境からAWSへの移行コンサルティング、クラウド基盤の設計・構築、アプリケーション開発を提供するサービスです。プロジェクト型の売上であり、リセールに比べて利益率が高い一方、案件の変動により四半期ごとの振れが大きくなります。
AWS環境へのリフト&シフト(既存システムをそのままクラウドへ移行)からクラウドネイティブなアプリケーション開発まで幅広く対応
「クラウドシェルパ」ブランドで、登山ガイドのようにクラウド導入の全工程を伴走支援するサービスを展開
現在は案件の単価よりも件数の獲得を重視する方針。CIで関係ができた顧客が、そのままリセールやMSPの利用につながる

③ MSP(マネージドサービス)事業 — 安定成長のストック型運用サービス
AWS環境の24時間365日の運用監視・セキュリティ管理・コスト最適化を月額課金で提供するサービスです。2025年3月に運用専門子会社「サーバーワークス・スマートオペレーションズ」を設立し、体制を強化しています。
リセールと同じくストック型の月額課金モデルで、積み上がるほど安定収益が拡大
セキュリティ包括支援「サバソック」やCrowdStrikeとのパートナーシップなど、セキュリティ領域を強化中
G-gen — Google Cloud事業の成長エンジン
G-genは、2021年に韓国Bespin Global系の会社と50%ずつ出資して設立した、Google Cloud専門の連結子会社です。2022年にGoogle Cloudのプレミアパートナーだったトップゲートを買収し、2024年7月に両社を合併しました。2027年2月期上期(2026年3〜8月の累計)のG-gen売上高は60.5億円(前年同期比+63.0%)と急成長しており、会社は今期の通期で100億円を超えると見込んでいます(サーバーワークス 2027年2月期 第2四半期決算説明資料 p.5・20)。2026年度のGoogle Cloud Partner of the Year Awardも受賞しています。

業績推移と財務分析 — 6年で売上約6倍の急成長
サーバーワークスは2020年2月期の68億円から2026年2月期の400億円まで、6年間で売上高を約6倍に拡大させています。ただし利益面は変動が大きく、特に2026年2月期は一過性要因が重なり純利益が赤字に転落しました。
通期業績推移
通期業績推移(売上高・営業利益・営業利益率・売上高成長率)
売上高は2020年2月期の68億円から2026年2月期には400億円へと約5.9倍に成長。ただしリセール中心のビジネスモデルのため、営業利益率は2023年2月期以降3%前後と低水準で推移しています。2026年2月期は不採算案件の影響で1.6%まで低下し、2027年2月期は修正後の会社予想で3.2%に戻る見込みです。
2026年2月期 — なぜ赤字に転落したか
2026年2月期は売上高400億円(+12.0%)と過去最高を記録しながら、純利益は△6億円の赤字に転落しました。赤字の要因は大きく4つあります。
大型案件の採算悪化(G-genと本体):システム構築の大型案件で費用が膨らみ、損失引当も計上。原価は子会社G-genで4.4億円、サーバーワークス本体でも2.2億円増えた。G-genの通期営業利益は△2.4億円の赤字
のれん一括償却(特別損失7.4億円):2022年のトップゲート買収で生じたのれん(買収額のうち純資産を上回る部分)について、不採算案件により事業計画の達成が見込めなくなったため全額を一括償却
繰延税金資産の取り崩し(1.4億円):将来の税金が減る見込みを先に資産として計上していた分を、利益の見通しが下がったため減らした。税引前では0.6億円の赤字にとどまったが、税金費用が5.5億円かかり、純損失は6.0億円に広がった
セキュリティ事案による臨時損失:特定顧客の環境でセキュリティ事案が起き、AWSのリソースが大量に使われた。取引先側の管理上の過失による事案だが、AWSへの支払いを先に費用計上した。第2四半期に0.98億円を計上し、通期では一部の回収分を差し引いて0.6億円
2027年2月期 上期決算(2026年10月15日発表)
上期(2026年3〜8月の累計)は売上高247.3億円(前年同期比+32.0%)、営業利益9.24億円(同+922.0%)、純利益8.06億円(前年同期は9.03億円の赤字)でした。前年同期は不採算案件で営業利益が0.90億円まで落ちていたため、伸び率が極端に大きく出ています。通期予想に対する進捗率は、売上高47.6%・営業利益55.5%(10月15日の修正後の予想に対して)です。
指標 | 上期累計 | 前年同期比 | 進捗率 |
|---|---|---|---|
売上高 | 247.3億円 | +32.0% | 47.6% |
営業利益 | 9.24億円 | +922.0% | 55.5% |
経常利益 | 9.91億円 | +718.5% | 53.5% |
純利益 | 8.06億円 | 黒字転換 | 52.4% |
会社の説明による増減の要因は次のとおりです。
不採算案件の影響がなくなった:前年同期の上期は、不採算案件で売上総利益が5.2億円押し下げられていた。この影響が今期は消えた
G-genの支援金:子会社G-genが、クラウド事業者が条件の達成に応じて出すパートナー向けの支援金(金額は非公開)を得た。主に売上原価・販管費から差し引く形で計上される。会社は、事業の拡大に伴って続けて得られうるが、金額や時期は年度によって変わるとしている。G-genの上期の営業利益は4.27億円で、連結の営業利益(9.24億円)の半分近くを占めた
円安:会社の試算では、前年同期より円安だったことで売上高が約14.1億円、売上総利益が約1.2億円増えた
本体は先行投資で横ばい:サーバーワークス単体の売上高は187.0億円(+24.4%)と伸びたが、人材採用、基幹業務システムの刷新、生成AIの全社活用への先行投資で販管費が増え、営業利益は4.90億円(△3.5%)と前年並みにとどまった
出典:サーバーワークス 2027年2月期 第2四半期決算説明資料 p.5・6・28・32よりKabuGraph作成
収益源別の上期の売上高は、リセール223.2億円(前年同期比+32.9%)、CI 13.9億円(同+28.4%)、MSP 10.1億円(同+19.3%)で、3つとも伸びました(決算短信 p.4〜5)。
3か月単位で見ても伸びは続いています。第2四半期(6〜8月)の3か月は売上高128.0億円(第1四半期比+7.3%)、営業利益5.26億円(第1四半期は3.98億円)でした。会社は、支援金に左右されない事業の実態を見る指標として、AWSアカウント数やARPUなどを開示しています。
AWSアカウント数:第2四半期は8,545(前年同期は6,364、+34%)。割引プランなどを含む全プランの合計
ARPU:第2四半期(6〜8月の3か月)は2.06万ドル(前年同期は1.88万ドル)。四半期のAWS利用料(リザーブドインスタンスとSavings Plansという予約購入型の割引プランの分を除く)を、四半期の延べ取引社数で割った値
出典:サーバーワークス 2027年2月期 第2四半期決算説明資料 p.9・24・32よりKabuGraph作成
純利益の黒字転換は、前期にあった一時的な損失がなくなったことが大きいです。前年同期の上期は、のれんの一括償却7.4億円、繰延税金資産の取り崩し1.4億円、セキュリティ事案による臨時損失約1億円を計上していました。今期の上期は、税引前利益9.76億円に対して法人税等が1.70億円(約17%)と、税負担も軽くなっています(決算短信 p.9)。
通期予想の上方修正(2026年10月15日)
会社は上期決算と同時に、2027年2月期の通期予想を引き上げました。売上高は520億円(前期比+30.0%)、営業利益は16.7億円(同約2.7倍)、純利益は15.4億円の見込みです。修正前の予想は2026年4月14日に公表したもので、第1四半期決算(7月)では据え置いていました。
指標 | 修正前 | 修正後 | 増減率 |
|---|---|---|---|
売上高 | 471.8億円 | 520.0億円 | +10.2% |
営業利益 | 13.1億円 | 16.7億円 | +27.1% |
経常利益 | 14.0億円 | 18.5億円 | +32.5% |
純利益 | 9.0億円 | 15.4億円 | +70.1% |
会社が挙げた修正の理由は次のとおりです。
AI需要と事業の拡大:生成AIの進化でクラウドの重要性が高まり、AI関連の引き合いも増えて事業が順調に推移した
円安:期初の前提は1ドル150.22円だったが、上期の実績は160.48円だった。修正後の予想は、リセール売上の為替レートを160.48円に置き直している
不採算案件の収束と支援金:前期の不採算案件の影響が収まり、AWSやGoogle Cloudが販売パートナーに出すインセンティブ(支援金)の獲得も増えて、売上総利益が増える
税金費用の減少:連結子会社の業績回復にともなって繰延税金資産(将来の税金の減少分を前もって資産に計上するもの)を計上することなどで、税金費用が大きく減る見込み
出典:サーバーワークス 通期連結業績予想の修正に関するお知らせ・第2四半期決算説明資料 p.7よりKabuGraph作成
修正後の営業利益16.7億円・経常利益18.5億円は、中期経営方針で2028年2月期に掲げた目標(営業利益16.6億円・経常利益17.3億円)に1年早く届く水準です。会社は円安と支援金の寄与を含むと断ったうえで、増えた利益をアカウント獲得やAI投資に積極的に回す方針を示しています(説明資料 p.4・8)。
下期は上期より減益の計画です。修正後の予想から上期を引くと、下期の営業利益は約7.4億円で、上期の9.24億円を下回ります。会社は、期末に見込む一時的な費用、上期に採用した人員の人件費、顧客獲得のための戦略的な値付けを織り込んだためと説明しています。下期の売上高は上期を上回る見込みで、前年の下期(営業利益5.35億円)と比べれば増益です(説明資料 p.32)。
配当と株主還元 — 初配当から年30円へ
2026年2月期末に創業以来初となる1株あたり25円の配当を実施しました。2027年2月期は中間15円・期末15円の年30円への増配を予想しており、10月15日に中間配当15円を決めました(支払開始は11月11日)。期末配当は、予想を据え置いたうえで「今後の業績状況をふまえて検討」するとしています(説明資料 p.17)。配当性向は20〜30%、DOE(株主資本配当率)下限1.0%を目安としています。会社は、売上の90%以上が継続課金のストック型で、キャッシュフローが安定していることを配当開始の理由に挙げています。
KabuGraphの見方として、年30円は修正後の予想EPS(207.43円)で単純に割ると配当性向約14%で、目安の20〜30%を下回ります。会社の配当性向は、一過性の資産売却損益と現預金の増加を伴わない損益を除いた純利益で計算するため(説明資料 p.17)単純には比べられませんが、税金の一時的な減少を除いた試算の1株利益(約161円)で割っても約19%です。期末配当を「業績をふまえて検討」としたことからは、増配の余地があるとも読めます。
配当に加え、2026年2月期には2025年4月と2026年1月の2回で計約11億円の自己株買いも行いました。2026年1月分のうち26万株は、資本提携を解消したNTTデータが持っていた株式の買い取りです(業務提携は続けています)。会社は、配当と自己株買いを合わせた総還元性向(純利益のうち株主に返す割合)25〜50%を目安にしています。
投資家が注目すべきポイント — 生成AI・競合・バリュエーション
生成AI戦略 — 「アンソロピック・ショック」を追い風に
サーバーワークスは決算短信で、2026年初めの生成AIの急速な進化(いわゆる「アンソロピック・ショック」)に触れました。AIは大量の計算資源とデータ基盤を必要とするため、クラウド専業の同社には「極めてポジティブな追い風」だと説明しています。具体的な戦略は以下の通りです。
Anthropicとのリセラー契約(2026年2月)とパートナー認定(2026年10月):Anthropicの認定リセラーとして、AWSの生成AIサービス「Amazon Bedrock」経由でClaude(Anthropic社の生成AI)を正規に販売し、導入から定着まで支援する。Claudeの利用料がAWSの請求代行(リセール)に加わるため、会社はリセール売上の上積みを見込む。2026年10月1日には、Claudeを顧客に導入する企業向けのパートナー制度「Claude Partner Network」で、Services TrackのSelectパートナーに認定された(サーバーワークス プレスリリース(2026年10月14日))。資格者の数・本番環境への導入・公開事例で審査される認定で、会社はさらに上のティアへの昇格を目指すとしている
AWS AIコンピテンシー(生成AIカテゴリー)を取得:AWSが生成AIの導入支援力を認めたパートナーに与える認定。あわせて、AWSジャパンが技術者を表彰する「2026 Japan AWS Top Engineers」では、AI/ML Data Engineer部門とセキュリティ部門で、選ばれた社員の数が国内1位だった
ROT(Return on Token)という独自の物差し:AIを使わない場合と使った場合の総コストの差を、AIの利用料(トークン料金)で割った指標。Claude Enterpriseを全社導入したうえで、今後これを見ながらAIへの支出を管理する計画。0以上を必須、1以上を理想としている
戦略転換:従来の利益率改善方針から、将来のAI収益を見据えて、リセールのシェア(顧客アカウント数)の獲得を最優先する方針へシフト。短期の利益率よりも中長期のシェア拡大を選択
中期経営方針 — FY2028に売上560億円を目指す
中期経営方針では、FY2028(2028年2月期)に売上高560億円・経常利益17億円を掲げています。FY2027・FY2028の2年合計で営業利益・経常利益それぞれ30億円、ROE10%が目標です。FY2027は10月の修正後の予想で、営業利益・経常利益が早くもFY2028の目標の水準に届く見込みです(円安と支援金の寄与を含む)。戦略は、AWSとの戦略的協業契約(SCA)を軸に、生成AI・セキュリティ・海外展開を三本柱としています。主な中身は以下の通りです。
AWSとのSCA(戦略の軸):2023年に結んだ契約で、4年間で2.15億ドルの新規ビジネス創出が目標。2026年2月までの約3年で計画の157%まで進んだ(2026年4月時点)。次の契約「SCA 2.0」をAWSと協議中
生成AI・セキュリティ:Anthropicリセラー、AWS Marketplace経由でのISV製品(CrowdStrike、Databricks等)手配、セキュリティ包括支援
海外展開:2026年7月、創業以来初の海外現地法人をタイに設立すると決定(設立は2026年10月の予定)。AWSがタイにデータセンター群(リージョン)を開設したのを受けたもの
中計は、東証プライムへの上場に向けて利益の額を大きくすることも目標に掲げています。同社は2022年4月の市場再編でプライム市場に入りましたが、2023年10月に東証の規則改正を機にスタンダード市場を選び直しました。2026年4月の見直しでは、プライムに戻る時期を「慎重に検討」するとしています。
競合環境 — クラウド専業と大手SIerの構図
AWSの最上位パートナー(プレミアティア)は、国内に15社あります(2024年3月時点)。サーバーワークスは、クラスメソッド・アイレットなどのクラウド専業と、NTTデータ・富士通などの大手SIerの両方と競っています。
企業 | 特徴 | 上場 |
|---|---|---|
サーバーワークス | AWS専業の先駆者。リセール起点のフライホイール。導入実績1,600社超 | 東証スタンダード |
クラスメソッド | 技術ブログ「DevelopersIO」で知名度が高い。データ分析・モバイルに強み | 非上場 |
アイレット | KDDI傘下。AWS・Google Cloud・Azureのマルチクラウド。24h運用に定評 | KDDI子会社 |
大手SIer | NTTデータ、富士通、NEC等。既存顧客基盤と大型案件に強み | 富士通・NECは上場(NTTデータグループは2025年に上場廃止) |
サーバーワークスの差別化ポイントは、AWS専業で積み上げた1,600社超の導入実績(プロジェクト数は3万件超)と、リセール起点のフライホイールによるLTV最大化モデルです。大手SIerがオンプレミスからの移行を推進する中、専業ならではのスピードと深い技術知見で差別化しています。一方、競合のクラスメソッドやアイレットも急成長しており、生成AI時代の競争は激化する見込みです。
大手SIerとは、競うだけでなく組む動きもあります。2026年9月には子会社G-genとともにBIPROGY(旧日本ユニシス)と業務提携を結び、BIPROGYの顧客のマルチクラウド案件や大規模案件を、AWSとGoogle Cloudの専門性で支えるとしています(サーバーワークス プレスリリース(2026年9月7日))。
バリュエーション
指標 | 値 | 備考 |
|---|---|---|
株価 | 2,547円 | 2026年10月15日終値(決算発表前) |
時価総額 | 203億円 | |
PER(実績) | 算出不可 | FY2026は純損失のため |
PER(予想) | 約12.3倍 | FY2027予想EPS 207.43円ベース(10月15日修正後) |
PBR | 1.70倍 | 2026年8月末の1株純資産1,496円ベース(2月末の1,312円なら1.94倍) |
配当利回り | 0.98% | FY2026実績25円ベース(FY2027予想30円なら1.18%) |
10月15日の修正後の会社予想で計算した予想PERは約12.3倍です。東証の統計(2026年9月末)では、スタンダード市場の情報・通信業の平均PERは16.6倍(単純平均)なので、数字の上ではそれを下回ります。ただし予想純利益には繰延税金資産の計上による税金費用の減少が含まれており、税負担を修正前の予想と同じ割合と置いた試算の1株利益(約161円)で割ると約15.8倍で、税金の一時的な減少を除けば業種平均をやや下回る程度です(KabuGraph試算)。FY2026は赤字で実績PERが出ないため、どちらも今期の利益回復を前提にした数字です。また株価は決算発表前の終値で、上方修正を織り込んでいません。
※業種の平均は実績PER(直近の決算の利益で計算)。出典:東証「規模別・業種別PER・PBR」よりKabuGraph作成
まとめ
サーバーワークスは、日本のAWS市場を黎明期から支えてきた専業インテグレーターです。投資の観点からのポイントを整理すると、以下の通りです。
事業の強さ:AWSの導入実績1,600社超、2014年から最上位のプレミアティアを継続。リセール起点のフライホイールで高いLTVを実現
成長性:FY2027は上期に営業利益が前年同期の約10倍に回復し、10月に通期予想を売上520億円(+30.0%)、営業利益16.7億円(約2.7倍)へ引き上げた。中期ではFY2028に売上560億円を目指す。Anthropicリセラー・Claudeのパートナー認定・AWS AI認定など生成AI時代の布石も着実
収益構造:ストック型リセールが売上の約90%で安定性が高いが、マージンは薄い。営業利益率は3%前後が構造的な水準
注意点:FY2026の赤字は一過性と説明されるが、G-genと本体で起きた不採算案件を防ぐ管理体制は改善途上。上期の増益と10月の上方修正には、円安・クラウド事業者からの支援金・税金費用の減少も含まれ、予想は1ドル160円台の円安を前提にしている。下期は上期より減益の計画。為替変動リスク、プレミアティア維持の競争圧力にも注意
2027年2月期の上期決算(売上+32.0%、営業利益は前年同期の約10倍)と通期予想の上方修正で、業績は赤字の前期から回復に入ったことが数字で確かめられました。ただ、その中には円安と、年によって金額が変わる支援金の上乗せがあります。為替や支援金に頼らない部分、つまりAWSアカウント数・利用額の伸びと、先行投資を続ける本体の利益がついてくるかどうかが、今後の株価を左右する最大のポイントです。初配当の開始(2027年2月期は年30円予想、中間15円は決定済み)も含め、成長と株主還元の両立を目指す「第2ステージ」の企業として注目に値します。
サーバーワークス
AWS(Amazon Web Services)を主軸としたクラウド導入支援企業。クラウド黎明期からAWS専業で事業を開始し、移行コンサルティング・基盤構築・アプリケーション開発・運用支援までを一貫して提供する。2021年からはGoogle…
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。記事中の数値は2026年10月15日時点の情報(株価指標は2026年10月15日終値)に基づいています。










