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BASE(4477)の企業分析|EC決済インフラの5事業体制、赤字脱却から初配当への転換点

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BASE(4477)は、ネットショップ作成サービス「BASE」を中核に、オンライン決済「PAY.JP」、資金調達「YELL BANK」、伴走型EC支援「Eストアーショップサーブ」などを展開するECプラットフォーム企業です。

2025年12月期は売上高207億円(前期比+29.7%)、営業利益16.8億円(同+118%、出典: BASE IR)と大幅増益を達成し、創業以来初の株主配当(1株5円)と10億円の自社株買いを発表。赤字体質からの完全脱却を市場に示しました。

この記事では、BASEの5つの事業の仕組み、赤字脱却の軌跡、Eストアー買収の戦略的意義、投資判断のポイントを、個人投資家の視点からわかりやすく解説します。

会社概要 — 「誰もがEC事業者になれる」世界を目指すプラットフォーマー

BASEは、鶴岡裕太氏が大学在学中の2012年に創業したECプラットフォーム企業です。「Payment to the People, Power to the People.」をミッションに掲げ、個人やスモールチームが手軽にネットショップを開設できるサービスを提供しています。

項目

内容

会社名

BASE株式会社(BASE, Inc.)

証券コード

4477(東証グロース)

設立

2012年12月

上場

2019年10月(東証マザーズ)→ 2022年4月 東証グロース

代表取締役CEO

鶴岡裕太

従業員数

401名(連結、2025年12月時点)

本社

東京都港区六本木

セクター

情報・通信業

出典: BASE コーポレートサイト

大学生の起業から「GMV5,000億円」のプラットフォームへ

BASE公式サイト
BASE公式サイト

BASEの歩みは、ECの民主化とプロダクト拡張の歴史です。

  • 2012年 — 鶴岡裕太氏が大学在学中に創業。「3分でネットショップが作れる」をコンセプトにBASEをリリース

  • 2014年 — 決済API「PAY.JP」を提供開始。EC以外の決済インフラにも進出

  • 2018年 — 資金調達サービス「YELL BANK」を開始。ECと金融を融合した独自モデルへ

  • 2019年 — 東証マザーズに上場。公開価格1,300円に対し初値は1,210円

  • 2020年 — コロナ禍でショップ開設が急増、ショップ数100万突破。株価は上場来高値3,448円を記録

  • 2024年 — 通期営業利益で初の黒字化を達成。Eストアーの買収を発表(取得額33億円)

  • 2025年 — Eストアーを完全子会社化。グループGMVが年間5,000億円規模へ拡大。創業来初の配当を発表

2025年12月期の売上構成比は、BASE事業が52%、PAY.JP事業が31%、Eストアーショップサーブ事業が6%、YELL BANK事業が5%、その他が6%です。BASE事業が依然として過半を占めますが、PAY.JPが急成長し第2の柱に成長しています(出典: BASE 2025年12月期 通期決算説明資料)。

セグメント別売上構成比(2025年12月期)

出典: BASE 2025年12月期 通期決算説明(ログミーファイナンス)

セグメント別売上推移

出典: BASE IR 各期決算短信

5つの事業を理解する

BASE事業 — 250万ショップが開設されたECプラットフォーム

「BASE」は、プログラミング知識ゼロでネットショップを開設・運営できるプラットフォームです。テンプレートを選ぶだけで本格的なECサイトが完成し、決済・配送・顧客管理まで一気通貫で提供します。

収益モデルは「成功報酬型」が特徴です。月額費用0円のスタンダードプランでは、商品が売れた時にのみ決済手数料3.6%+サービス料3%(計6.6%)+注文ごと40円が発生します。月額16,580円(年払い時。月払いは19,980円)のグロースプランでは決済手数料が2.9%に下がり、サービス料は無料になります。

2025年12月末時点でショップ開設数は累計250万を突破しています。2020年のコロナ禍で100万ショップを突破して以降、年間20〜30万ショップのペースで増加が続いています。

BASEショップ開設数の推移

出典: BASE プレスリリース各年

また購入者向けショッピングサービス「Pay ID」を併せて提供しており、BASEで開設されたショップの商品を横断検索・購入できます。2025年7月にはPay IDアプリ経由の注文に販売手数料を新設しており、BASE事業のGMVの約15%をPay ID経由が占めています。

PAY.JP事業 — 開発者向け決済APIで第2の柱に

PAY.JP公式サイト
PAY.JP公式サイト

「PAY.JP」は、開発者が自社サービスに決済機能を簡単に組み込めるAPIサービスです。BASEのネットショップ向けではなく、自社開発のWebサービスやアプリに決済を実装したい企業をターゲットとしています。

2025年12月期のPAY.JP事業の売上高は63.3億円(前期比+10.5%)で、グループ売上の約31%を占めるまでに成長しました(出典: BASE IR 各期決算短信)。2022年12月期の21億円から3年で3倍に拡大しており、BASE事業に次ぐ第2の柱です。Stripe等の海外勢やGMOペイメントゲートウェイ等の国内勢が競合しますが、シンプルなAPIと初期費用ゼロのモデルでスタートアップ市場に強みがあります。

YELL BANK事業 — ECデータを活用した独自の金融サービス

YELL BANK公式サイト
YELL BANK公式サイト

「YELL BANK」は2018年にリリースされた将来債権買取型の資金調達サービスです。ショップオーナーは将来の売上を元に即座に資金調達が可能で、銀行融資のような審査や担保が不要です。BASEプラットフォーム上の販売実績・決済データをAIで分析する独自の与信モデル(代替データ活用)により、従来の金融機関では評価が難しい小規模EC事業者にも適切なリスク判定を実現し、貸倒リスクを抑えながら事業を拡大しています。

2025年12月期の売上高は11.2億円(前期比+24%)、セグメント利益は5.2億円と黒字を継続しており、2026年12月期1Qも売上高は前年同期比+30.8%と高い成長を維持しています。2024年6月からはBASEのショップだけでなくPAY.JP加盟店にも「PAY.JP YELL BANK」として提供範囲を拡大し、さらに2026年3月からはスマレジなど外部プラットフォームへの提供も開始。ECデータを持つBASEグループならではの「決済×金融」の融合モデルとして成長余地が大きいサービスです(業績数値の出典: BASE IR 2025年12月期 決算短信 / サービス詳細: BASEグループ公式note)。

Eストアーショップサーブ事業 — 中堅EC事業者向けの伴走型サポート

ショップサーブ公式サイト
ショップサーブ公式サイト

2025年7月にBASEが33億円で買収・完全子会社化した老舗ECプラットフォーム「Eストアーショップサーブ」の事業です。BASEが個人・小規模事業者をターゲットとするのに対し、Eストアーは年商数千万円〜数億円規模の中堅EC事業者に強みを持ちます(出典: BASE Eストアー株式取得に関するお知らせ(2024年12月26日適時開示))。

この買収により、BASEグループは「初心者(BASE)→成長期(Eストアー)」とショップの成長フェーズに応じた一気通貫のEC支援体制を構築しました。連結効果として、年間GMVは5,000億円規模に拡大しています。2025年12月期(連結7〜12月)のEストアーショップサーブ事業の売上高は13.1億円、セグメント利益は1.87億円でした(出典: BASE IR 2025年12月期 決算短信)。

want.jp事業 — 越境ECへの挑戦

want.jp株式会社コーポレートサイト
want.jp株式会社コーポレートサイト

「want.jp」は、海外の消費者が日本の商品を購入できる越境ECサービスです。日本のポップカルチャーやコスメ、食品等への海外需要を取り込む狙いで、現時点では売上規模は小さいものの、インバウンド需要の拡大に伴い成長のポテンシャルが期待されています。

Port買収 — 推し活・エンタメ領域への事業拡大

2026年4月、BASEはエンターテインメントテック企業のPort株式会社を約13億円で完全子会社化しました。Portはアーティストやタレントとファンが1対1のビデオ通話を楽しめる「Talkport」や、エンタメ物販特化のECプラットフォーム「Shoport」を運営しています。この買収により、BASEは従来の物販EC中心のビジネスモデルから、「体験×物販」を融合した非物販領域(デジタルコンテンツ・サービス販売)へと事業ドメインを拡大し、成長著しい「推し活」市場の取り込みを目指しています(出典: BASE 適時開示(2026年4月16日))。

業績推移と財務分析

通期業績推移 — 6年間の赤字を乗り越え黒字定着へ

BASEは上場後、2019年12月期から2023年12月期まで5期連続で営業赤字が続きました。しかし2024年12月期に営業利益10億円で初の黒字転換を果たし、2025年12月期は16.8億円へ大幅増益。赤字体質からの完全脱却を市場に示しました。

決算期

売上高

営業利益

純利益

営業利益率

2020年12月期

50.8億円

△0.7億円

△1.9億円

2021年12月期

89.5億円

△14.8億円

△15.7億円

2022年12月期

82.3億円

△27.0億円

△27.5億円

2023年12月期

96.3億円

△12.0億円

△11.3億円

2024年12月期

124.4億円

10.1億円

6.5億円

8.1%

2025年12月期

207.2億円

16.8億円

18.2億円

8.1%

2026年12月期(予想)

283.7億円

22.7億円

8.0%

出典: BASE IR 各期決算短信 / KabuGraph(J-Quantsデータ)。△は赤字

通期業績推移(売上高・営業利益)

赤字が最も深刻だったのは2022年12月期の営業損失27億円です。コロナ特需の反動減で売上が前期比8%減少する中、先行投資(人件費・広告費)を続けたことで赤字が拡大しました。しかし2023年以降は「テイクレート改善(GMVに対する手数料率の引き上げ)」と「コスト規律の徹底」により、売上総利益率は2022年の41%から2025年には48%まで改善しています。

2026年12月期1Q(2026年1〜3月)— 通期計画に対して順調な進捗

2026年5月に発表された第1四半期決算は、売上高62.4億円(前年同期比+36.6%)、営業利益6.6億円(同+70.5%)と大幅増収増益でした。Eストアーの通期連結効果に加え、ショッピングアプリ「PAY ID」の有料化によるテイクレート上昇がBASE事業の収益改善を牽引しました。PAY ID経由の購入に手数料を新設したことでGMVあたりの収益性が向上し、営業利益率は前年同期の8.5%から10.6%に改善しています(出典: BASE 2026年12月期 1Q決算説明資料)。

株価指標(2026年8月24日時点)

指標

株価

312円

時価総額

約367億円

PER(株価収益率)

19.7倍

PBR(株価純資産倍率)

2.36倍

ROE(自己資本利益率)

12.1%

配当利回り

1.6%(1株5円)

上場来高値

3,448円(2020年10月)

出典: KabuGraph(J-Quantsデータ)

投資家が注目すべきポイント

3つの強み

1. ECの「入口から金融まで」をワンストップで提供

ネットショップ開設(BASE)→ 決済(PAY.JP)→ 資金調達(YELL BANK)→ 成長支援(Eストアー)と、EC事業者のライフサイクル全体をカバーするプラットフォームを構築しています。個々のサービス単体ではShopifyやStripeなどの強力な競合がいますが、「EC×決済×金融」を一体で提供できる日本のプレイヤーはBASEグループが先行しています。

2. 赤字脱却と株主還元への転換

2024年12月期の黒字転換に続き、2025年12月期には初配当(1株5円、配当性向30%目標)と10億円の自社株買いを発表しました。赤字期の「いつ黒字になるかわからない」という不安から解放され、利益成長に連動した株主還元が見込める段階に移行しています。現預金も約268億円と潤沢です。

3. Eストアー買収によるGMV・収益基盤の一段の拡大

Eストアーの完全子会社化でグループGMVは5,000億円規模に拡大。個人向け(BASE)と中堅向け(Eストアー)の二刀流体制で、BASEで成長したショップがEストアーへ「卒業」する導線が構築されつつあります。Eストアーの売上総利益率も約52%と高く、連結の収益性向上に貢献しています。

注意すべきリスク

1. 上場来高値からの大幅下落が示す市場評価の変化

株価は2020年の上場来高値3,448円から約91%下落した312円で推移しています。コロナ特需剥落と長期赤字で失った信頼の回復には時間がかかる可能性があります。現在のPER19.7倍は黒字転換企業としては妥当な水準ですが、今後の利益成長が鈍化すれば下値リスクも残ります。

2. EC市場の激しい競争環境

ネットショップ構築の分野ではShopify(グローバル最大手)、STORES(旧hey)、カラーミーショップ(GMOペパボ)が競合します。ただし各社でターゲット層が明確に異なります。BASEは初期費用・月額費用ゼロで始められる手軽さが最大の強みで、個人や副業層を含む小規模事業者に圧倒的に支持されています。一方、Shopifyは月額33ドル〜で多機能・国際展開に強く月商100万円以上の成長企業向け、STORESはPOSレジ連携など実店舗との統合に強みを持ちます。決済手数料はBASEスタンダードプランの6.6%に対し、BASEグロースプランは2.9%(業界最安水準)、Shopifyは国内カード3.55%です。売上規模が小さいうちはBASEのゼロ月額モデルが有利ですが、月商が拡大するとShopifyの固定費+低手数料モデルが有利になるため、「卒業問題」を防ぐグロースプランやEストアーへの導線構築が中長期の課題です。

3. 営業利益率は依然として低水準

黒字化を達成したとはいえ、営業利益率は約8%にとどまります。同じくEC支援を手掛けるShopifyの営業利益率は約18%であり、BASEが高収益体質に転換するにはさらなるテイクレート改善やコスト効率化が求められます。売上総利益率48%はSaaS企業としては低めで、決済手数料の原価が重い構造です。

4. Eストアーの統合リスク

33億円で取得したEストアーは、2025年9月末時点の暫定値でのれん約22億円が計上されています(出典: BASE 2025年12月期 第3四半期決算説明資料)。統合効果の発現が遅れたり、Eストアーの既存顧客の流出が進んだりした場合、減損リスクが発生する可能性があります。

まとめ

BASE(4477)は、「EC×決済×金融」を一体で提供する日本発のECプラットフォーマーです。

投資の観点からのポイントを整理すると、以下の通りです。

  • 事業の転換点: 5期連続赤字から黒字転換を果たし、創業来初の配当と自社株買いを実施。「成長投資フェーズ」から「利益回収フェーズ」へ移行

  • 成長性: FY2026は売上283億円(+36.9%)、営業利益22.7億円(+34.6%)を予想。Eストアーの通期連結とBASE事業のテイクレート改善が成長を牽引

  • プラットフォームの広さ: 250万ショップ・GMV5,000億円の基盤に、決済API・資金調達・越境ECを重ねる多角的なエコシステム

  • 注意点: 上場来高値から91%下落した株価が示す市場の慎重姿勢。Shopifyとの競合激化。営業利益率8%はまだ低水準で、高収益体質への転換は道半ば

赤字体質からの脱却と初の株主還元は、BASEが「成長性だけが評価軸のグロース株」から「利益も出るプラットフォーム企業」に変わりつつあることを示しています。PER19.7倍は過去の赤字期と比べれば地に足がついた水準ですが、今後の利益率改善と競合優位性の維持が株価の方向性を決める鍵となるでしょう。


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ネットショップ作成サービス「BASE」を中核とするECプラットフォーム企業。個人やスモールチームが簡単にネットショップを開設・運営できるサービスを提供。決済API「PAY.JP」、資金調達サービス「YELL BANK」、購入者向けアプリ「P…

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。記事中の数値は2026年8月24日時点の情報に基づいています。

コラム著者・編集者

K

KabuGraph編集部

KabuGraph編集部は、投資情報の発信と株式分析ツールの開発に携わるチームです。日本株・米国株の事業分析から、投資に役立つ情報をわかりやすくお届けします。

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